サブストーリー編 第9話です、お楽しみください
「ぬおっ…!アリス!?」
ばしーん、と前に出てきたアリスに弾かれ、しんくう斬りは不発。トキも攻撃のタイミングを見失ったようで逆に一歩下がった
「え、え、え?アリスあの人知ってるの?」
「はい!あの人とは以前、アビドスのカジノで会ったことがあります!」
「カジノだと…?・・・む、そういえば…」
当時ゲルニックがカジノ宛に予告状が届いた話をしていたような…カイザーの資産を狙ったのか?
「おや…?あなたは確かアビドスのバトルトーナメントに出場していた…
妙ですね、私が直接遭遇したのはゲヘナ生2名のみだったと記憶していますが…」
「それはあの時アリスが子レティスの力で小鳥に変身してたからで…あ!レティスのこと言っちゃいけないんでした!」
どうやらアリスはあの怪盗のことを知っているらしく、想定外なのか慈愛の怪盗も少々狼狽えている
そうして怪盗の注意がアリスに集中した瞬間を、トキが逃さず動いた
階段上にいる慈愛の怪盗目掛けて疾風の如く一気に距離を詰め、そのまま銃を突きつけてホールドアップ。…したかに見えたが怪盗は慣れた手捌きで向けられた銃に手を添え銃口を逸らす
槍や剣こそ無いがあの動きは………
「なるほどなるほど、本来来るはずだったC&Cというエージェントはあなたでしたか
見事な身のこなしですね」
「泥棒に褒められても嬉しくありませんね」
「………【怪盗】ですよ、お嬢さん」
銃を振り払い逃げる怪盗、それを追うトキ。
まともに考えればあの距離まで詰められてトキから逃げ切れるとは思えない
だが怪盗は本来であればC&Cが来るだろうと予測を立てた上でここに来た。それならばトキにこのまま追わせるのはまずいだろう
「『マヒャド斬り』!」
先の彼女と同じようにしっぷう突きの容量で距離を詰め、勘を頼りに2人の足場をマヒャド斬りで叩き斬る
「ギュメイ先生!」
「やはりな」
叩き斬られ、凍り付いた足場の下から爆弾のようなものが顔を覗かせていた。いくらトキでもこれを至近距離で受ければただでは済まなかっただろう
…そしておそらく他にもある
「聞け!慈愛の怪盗は既に逃走用の罠を張り巡らせている!
トキ、追跡しながら罠を探すのはゲーム開発部には無理だ!だが1人で追っても間違いなく撒かれるだろう…彼女達を援護してくれ!」
「了解」
「あなたが話に聞くシャーレの…?噂通り良い指揮ですね」
「…これはただの真似事だ、本当に強い指揮官はあと2人いる」
ズキン
「っ…!」
『っ?ギュメイ先生?』
「構うなケイ、全員で追跡しろ!」
号令と共に慈愛の怪盗に向かっていくゲーム開発部達。モモイとミドリの挟み撃ちや、それよって生じた隙を突いてケイがサーベルで斬り込むが怪盗は悠々と回避し、逃げながら反撃までしている
やはり七囚人の相手は無茶だったか?…こんな時、ゲルニックやユメならどうするか…
「ギュメイ先生」
「トキ、お前も追え!ゲーム開発部だけでは荷が重「お断りします」
「っ?トキ…?」
「…………」
▽▲▽▲▽
「このっ!」
「っとと、可愛らしい方々ですね、しかし挑んでくるには少しばかり実力不足だったようです」
「くうう、ちょこまかとガン逃げして…!トキさんとギュメイ先生はなにしてるの!?」
『──アテにしない方が良さそうです…ねっ!』
ケイのサーベルが怪盗の死角を縫うように振り抜かれるがこれも空振り。まともに戦う気がないのかそこまで苛烈な攻撃はされていないが踏み込んでこないためモモイ達の攻撃も届かない
「とった!これでも食ら──げっ!これも避けるの!?」
「私を倒したいなら最初の一撃で終わらせるべきでした、残念ながらあなた方の攻撃は届きません」
「──果たしてそうかな?」
「?」
「私たちにはまだ仲間がいる!今だよ、撃って!」
「はいっ、撃ちます!」
「っ!?レールガン…!」
「光よっ!」
普段使いと違い、室内用に威力と範囲を絞ったアリスの一撃。とはいえこの威力でも直撃すればあのレッドウィンター鎮圧軍将校だとしてもただでは済まない
だがそれを前にして怪盗は笑う
避ける算段があるのか、あるいは他に何かしらの対策を施しているのか、どちらにせよ怪盗にこの二段構えを回避する手段はない
『【ドルクマ】』
「っ…!?」
アリスの攻撃をひらりと避けたその先、怪盗のすぐ背後に浮遊していた闇の光球に避けた光の剣の一撃が直撃。
魔弾となったドルクマが怪しく輝いた瞬間、怪盗の余裕が含み笑いと共に消えた
ドズンッ!
「へ?ぎょわーっ!!?」
「お姉ちゃん!」
「こ、これはいったい…!?わわっ、ガラスを割ったみたいなヒビが入ってます!」
光の剣の電気エネルギーを叩き込まれたドルクマから放たれたのは衝撃波ではなく、周囲の地形ごと歪ませる重力波に近い力だった。
規模と周囲への被害を抑えるためドルマドンから2ランク落としたバルボロスだったがそれでも尚壁や天井、目に見える範囲全てにヒビが入り、建物全体が大きく震えた
『アリスっ!っ、バルボロス!少しは加減しなさい!まるごと吹き飛ばすつもりですか!?』
『い、いやそこまで強い呪文は…?みんな大丈夫か!?』
「いたた…ちょっとバルボロス!ドラゴンのスケールでいちいち呪文ブッ放さないでよ!」
『す、すまん…』
が、流石は伝説の片割れである闇竜。闇の力が見境なく飛び出していく前にコントロールしたおかげでアリス達に大きな怪我は無かったようだ
「く、今のは闇竜バルボロスの力ですか…なるほど、才羽クロイの正体を今理解しました…」
『あれを避けたのか…!?』
『あなたそんな名前名乗ってたんですか…ってそんなことどうでもいい、私が行きます!』
どうやったか直撃は避けたようだがかなりダメージを与えたはず。ここぞとばかりにケイが斬り込む
動きは悪くなったがそれでもひらりひらりとサーベルを避け切る怪盗。
反撃の一手でサーベルを弾き飛ばし、いよいよもって撤退という意思に傾き切ったその瞬間、怪盗背後のダンボール箱が動いた!
「う、撃ちます…!」
「うっ!?」
ゼロ距離からのユズの射撃が怪盗の背中を直撃し、その身体が崩れ落ちる
チャンスはここだ!
『今だ!取り押さえろ!』
モモイ、ミドリ、ユズ、ケイ、遅れてアリスとバルボロスも怪盗目掛けて一気にとびかかる
しかし──
ボフッ
「うわっ、煙幕!?」
『上に抜けたぞ!』
多量の煙をバラ撒き、ワイヤーガンのようなものを使って上へと逃れる怪盗
いつの間にか、消えていた含み笑いが戻ってきてはいたが開戦直後のような侮りは消えていた
「キヴォトスを救った闇竜と5人の勇者達…実のところ闇竜の力に頼ったワンマンチームかと思っていましたが訂正します
あなた方は強い。お名前をお聞きしても?」
「私は才羽モモイ!」
「私は才羽ミドリ」
「は、花岡ユズ…」
『バルボロスだ』
『………答える必要はありません』
「ちょっとケイ!空気読もうよ〜!」
『相手は七囚人です。お喋りは牢屋に叩き込んだあとでいくらでもすればいい』
「んもー!アリスからも何か言ってよ!アリスのお願いならケイも…アリス?」
緊張感だけが無いモモイと緊張感で満たされたケイのやり取り、その横でアリスは名乗るよりも早く話を切り出した
「………慈愛の怪盗、本当の名前は清澄アキラ…ですよね」
バルボロスに対して一切の遠慮なく文句を言いまくるモモイを書くのが楽しみの1つである作者のルルザムートです、ハイ。
本来初会合であるアリスとアキラですがアビドス地下金庫での一件があり既に名前を知っているという状況に。
まぁ人が小鳥に化けてるとは思わないよねぇ
それではまた明日…