「あっ!ギュメイ先生!…げ、血が出てるよ!?」
「かすり傷だ、問題無い」
慈愛の怪盗に助けられ、地下のオークション会場を脱出したギュメイとトキ。
敷地内の端へと出た彼らを出迎えたのは先に脱出していたゲーム開発部だった
「ギュメイ先生ぇ…ごめんなさい〜!私がフラッシュを焚いたばかりに…」
「過ぎたことだ、何も言わん。お前達は無事か?」ユズが居ないが…
『とりあえずは、な。だが地下への侵入がバレたらしい、地上や屋敷の警備兵の様子が慌ただしくなっている
今ユズが偵察に行っている』
『…それにしても遅いですね、彼女どこまで見に行ったんでしょうか』
…まさか彼女1人に行かせたのか?
「そんな危険を「み、みんな!戻ったよ…!」
「ユズおかえり!どうだった?」
「…やれやれ」
あわや最悪の事態が頭をよぎったものの、ダンボール箱を片手にあっけからんとしているユズの顔を見て内心胸を撫で下ろす
「ひとまず全員無事で良かったがこのまま放置もできん、今後の動きを話し合いたい
「「「彼女?」」」
「偶然、無作為、不均性、不確定性…
いずれも美学を語るうえで外すことのできない要素…ごきげんよう、みなさん」
「「「!!」」」
【またお会いしましたね】と再会の挨拶をする慈愛の怪盗に対し、文字通りひっくり返るモモイ達と、それとは対照的に即座に戦闘態勢に入るバルボロス、ケイ、トキ
チアキは…ここから見ても分かるくらい写真を撮りたくて仕方ないみたいだがさっきそれで窮地に陥った関係か、しどろもどろになっている
「よせ、彼女はもう敵ではない。…とはいえ味方というわけでもないが…
ああ、余計な前置きは挟まん。率直に言う、我らがこれから取れる道は2つだ」
「2つ、ですか?」
「うむ」
これから何をするにせよここまで兵力差があるとできることは限られてくる
他にもあるかもしれないが少なくともギュメイにはこの2つ以外に思いつかなかった
…ならばさっさとその選択肢を提示し、意見を聞こう
「1つ、ここを放棄してミレニアムに戻る。地下には元の警備兵の他にカイザーPMC残党と山海経という学園の生徒が警備にあたっていた
あれらとまともに戦うなら我らだけでは手が足りん、C&Cを始めとしたその他戦力を募ることだ」
「…私はその意見に賛成です、本来これはC&Cに行くはずだった任務…これ以上みなさんが危険な目に遭う必要はありません」
「…言っておくが退くならトキ、お前も一緒だぞ」
彼女は確かに強いがアビ・エシェフのような切り札も無しにあの数を打ち崩すのは不可能だ。最低でもC&Cが揃ってからでなければ…
「しかし合流を待っていれば銅田に逃げられます。やはりここは私が…」
「2つあると言っただろう、最後まで聞け」
「…ではその2つ目とは?」
「ああ…2つ目は──」
「慈愛の怪盗と共闘し、【時計王の冠】を奪取する道だ」
▽▲▽▲▽
「『慈』『愛』『の』『怪』『盗』…随分と変わった照明弾を持っているな」
屋敷の裏手、ちょっとした小さな林の中からでも見えるほど鮮烈な閃光弾が夜空に打ち上がり、堂々と【自分はここだ】と宣言している
これなら誰の目にも届くだろう
「花火と呼んでください、これで館内の警備兵はここを目指して来るでしょう」
当初は『信用できない』と共闘を拒否していたトキだったがここを逃せばせっかく見つけた盗品の行方が再び眩むことをチアキに指摘され、渋々と言った形で承諾してくれた
…共闘による作戦は至極単純である、というよりこの数の差で剣士の自分があれこれ考えたところで失敗するだけだ、シンプルな方がいい
「来ましたよ」
「見えている」
まずは警備兵の注意を逸らす。とはいえ3つの組織からなる警備部隊の注意を向けるにはこちらもそれなりの餌を用意せねば全ては食いつかない。
故に1級のお尋ね者となっている慈愛の怪盗と、カイザー残党から恨まれている自分が囮として裏手に回る
他はどうか知らんがこれならカイザー残党は確実にここに集まるはずだ
やがて屋敷が騒がしくなり、その喧騒はすぐに屋敷の外へと──
「…やれやれ」
・・・小さな合戦くらいならそのままできそうな数の兵隊が屋敷の扉や窓から飛び出し、うち数人がこっちを認識した。
まっすぐこちらに向かってきている
「ギュメイ先生」
「………流石に全ては止められん、撹乱を頼む」
「ええもちろん、これ以上あなたに──いえ、主力に回った彼女たちも含め、誰にも血を流させはしません」
ざっと見ても40人強、尚も後続が続いている…
だが退くことなく問題を解決するにはこれしかない
「──行くぞ、残党共」
今更ですけどユズのダンボールやセイアのダンボールってやっぱりメタルギアソリッドのパロなのかな?と思っている作者のルルザムートです、ハイ。
メチャクチャ短くなってスミマセン、休みのうちに書けるだけ書くつもりが全然進まず…
最低でも白亜の予告状が終わるまではなんとか続けたいと思ってますがかつてないピンチにどうしたらいいか自分自身分かってません
ひとまずまた明日…
明日は、来るのか…?