ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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ギリ間に合ったぁ!
サブストーリー編 第15話です!お楽しみくださいっ!


モモイの秘策

「慈愛の怪盗だ!今度はシャーレの先生と組んで現れたらしいぞ!」

「? なんでシャーレが七囚人に手を貸すんだ?」

「犯罪者に手を貸した理由なんてなんでもいい、これで堂々とあのにっくきシャーレの先生を──っ?おいなんだあのひかり──

 

 

 

「光よ!!」

 

 

 

「よしっ、今だ!とっつげきぃ!」

 

まだ残っていた警備兵もろとも、固く閉ざされた屋敷の扉を吹き飛ばして中へ突入するゲーム開発部+トキとチアキ。

目指すはもちろん地下オークション会場だ

 

 

 

「ええと次どっちだっけ?」

『こっちだ、もしかしたら地下への階段は閉じられているかもしれないが…

なに、開かなければ壊せばいい!』

 

「乱暴だなぁ!ギュメイ先生達が逃げてきたあの通路が使えれば良かったんだけど!」

「放置していればあそこから追手がくる可能性もありました、仕方ありません」

 

 

 

バルボロスに続き、あの隠し階段のある部屋へと急ぐ一行。

………やっぱり中には殆ど警備兵がいない、それだけ慈愛の怪盗とギュメイ先生が引きつけてるってことだろうけど…

 

 

 

「ついたっ!…でもやっぱり閉められてるよ!?」

『みんなさがれ!【ドルモーア】!

 

彼の詠唱と同時に慈愛の怪盗相手に放った魔法弾より一回り大きな塊が時計に叩き落ち、周囲のタイルごと粉々に粉砕。剥き出しになった階段へ一斉に駆け降りて──

 

 

 

「すみません、やっぱり私戻ります」

「っ?チアキさん?」

 

 

 

ふと、チアキさんの足が止まった

それまで基本笑顔で明るかった彼女の声色は一瞬聞いただけでも分かるほど沈んでいる

 

 

 

「これだけ警備兵がいないということはその分先生が無理をしているはずです

私が勝手なことをしなければもっと別のやり方があったかもしれないですし…」

「チアキさん…」

 

『………確かに彼はまだレッドウィンターでの負傷が癒えていない、これ以上無理をさせるのはよろしくないでしょう』

「そうですね、盗品を見逃すのは悔しいですがここは私が『分かりました、私も戻ります』

「え"っ!ケイ!?」

 

 

 

盗品の追跡を諦め、ギュメイ先生の元へ…そう決断しかけたトキを遮ったのはなんとケイ。

 

正直彼女はアリスさえ守れれば他はどうでもいいという思考回路だと思っていたため、モモイは素っ頓狂な声が出てしまった

また、声は出ていないとはいえ同じくそう思っていたミドリ達も同様である

 

 

 

「いいんですか、あなたはアリスを守るためにここに来ていると先生から聞きましたが」

『ええその通りです。つまりギュメイ先生を助けるのは結果的にアリスを守るため…

故にバルボロス!私がいない間はあなたがアリスを守ってください』

 

『…ああ、任せろ』

『仮にかすり傷でもアリスにつけさせようものならぼこぼこにやっつけてサーベルの錆にするのでそのつもりで。』

『う、うむ。分かった、頑張る…』

「ケイ!厳しすぎるよ!?」

 

『これくらいでいいんです。さあチアキさん、ギュメイ先生を助けに行きますよ』

「っ、はい!!」

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

「ついたっ!!…あ、いた!!」

「く!?おのれ何がキヴォトスを救った勇者一行だ…!あっさりと裏切りおって!」

 

ケイとチアキと別れ、地下会場に突入したモモイ達。

利用客は既に逃げたようで誰もいなかったが、明太郎だけは数人の部下と共に美術品を運び出そうとしていたらしく、その姿を捉えることができた

 

「盗んだもの売り捌いておいてよく言うよ!冠含めて盗んだものぜーんぶ返して!」

「確かに盗品だが私は盗んでいない!ブローカーに金を払って買い取ったのは私だ!私のものだ!

警備兵!こいつらを排除しろ!」

 

 

 

どこに隠していたのか美術品を運び出そうとする兵隊とは別に屋敷の警備兵と山海経の生徒がわらわらと出てくる

…が、30分前この場でギュメイとトキが相手した数に比べれば大したことはない、ただの悪あがきだと判断したトキが即座に戦闘態勢に入った

 

 

 

「全力で排除します」

「アリスはこのバトルに勝利して盗まれたものを取り返します!」

 

『あまり前に出るなアリス、私が薙ぎ払う!』

「え、あのバルボロスさん?頼むからこの密閉空間で炎は吐かないでよ!?」

『吐くか!ええい行くぞ!』

 

 

 

トキ、アリス、モモイ、ミドリ、バルボロス。

5人vs寄せ集めの警備兵15人、数こそ勝っていた警備側だったもののC&Cのメンバーに加え闇竜とそれに認められた勇者一行を止めるにはまるで力不足であり、次々と倒されていく警備兵を尻目に明太郎は冠を抱えて逃げ出していた

 

 

 

「王冠は…この、王冠は私のものだ……!」

 

 

 

虚ろに何度も呟きながら脱出路の1つから屋敷へと戻り、万が一のためにと用意していた車のある車庫を目指す

 

…そして【彼女】は明太郎の思考がそう巡り、逃走すると読み、

 

 

 

チャキッ

 

 

 

「う!?」

「………ここまでです、降参してください。明太郎さん」

 

 

 

車庫へと繋がる通路の隅で息を潜め続けていたユズが明太郎の背後をとった

その背中にはユズのグレネードランチャーが突きつけられており、この場で撃てばユズも軽いケガを追うだろうがそれより前に彼の手に抱えられている王冠が無事では済まないだろう

 

 

 

「王冠を…渡してください。そうすれば誰も傷付かず済みます」

「ふざけるな!私は絶対に屈しな── ガスッ! ──な…?」

 

 

 

銃を抜き、最後の抵抗をしようとした明太郎を駆けつけた慈愛の怪盗が軽くノックをするように1発お見舞い。すっ転んだ彼の手から王冠が取り落ち──

 

 

 

「わ、わっ…」ぽすっ

 

 

 

ユズが綺麗にキャッチ、同時に警備兵を殲滅したモモイ達が合流。

これにて【時計王の冠】は裏の世界からしっかりと表に戻ってきたのである!・・・・・

 

 

 

「王冠は…?…良かった、どこも傷付いていませんね」

「! 慈愛の怪盗…!………さん?ギュメイ先生との作戦はどうなったんですか?」

「厄介──いえ、頼もしい助けが来ました、彼は心配いりません」

 

 

 

・・・・・少なくともこの瞬間は

 

 

 

「ありがとうございますユズ、これで元あった場所に返せます。…あとはあなたを拘束するだけです、銅田明太郎。」

「くっ、くそっ…!こんなところで捕まってたまるか!」

 

王冠を失い、それでもなお意地汚く逃げ出そうとする明太郎とそれを追いかけていくトキ

 

 

 

「………ふむ」

 

 

 

ギュメイ先生の元には意外な救援が来ている。後からチアキさん達が来たものの、あの様子なら2人がいなくとも彼の身は心配いらない

 

頃合い。そう確信した怪盗は仕掛けの1つを起動させようとして──信じられないものを見た

 

 

 

『おい本当にやるのか?』

「そこより安全な場所なんてないでしょ?いいから解除して!」

 

モモイに急かされ、何か杖のようなものを取り出したバルボロス。

杖に向かって何かを念じると──あのアビドスカジノでも見た闇竜が狭苦しそうに真の姿を現した。

 

別にそれ自体は驚くことじゃない、いきなり竜の姿をとったこと自体には多少衝撃を受けたものの、別段自分にとってはあまり影響が無いことだ。…そう思った次の瞬間だった

 

 

 

「ユズ!貸して!」ひょい

「へ?」

 

モモイがユズの手から王冠をひったくり──

 

 

 

「うおおおおおっ…!!」

王冠ダンクシュートォォォ!!!

 

 

 

バルボロスの口の中へと王冠を放り込んだのである!!!

 

 

 

「!!??」

な、な、な…!?

 

 

 

『むぐ!?っ、く、ごくっ…──ああっ…!飲んでしまった…!モモイ貴様っ、本当にやったな!?』

「お姉ちゃん!?なん、なに、なにやってるの!?」

「ば、バルボロスが王冠を食べちゃいました!?」

 

 

 

慌てふためくゲーム開発部たち。その中で1人だけにやけ顔で【してやった】と笑うモモイの顔を見た慈愛の怪盗は思った

 

この先、彼女──才羽モモイだけは永久に美術品に近付けてはならないと。

 

 

 

「むっふっふ、うまい具合に良いとこどりしようとしたみたいだけどそうはいかないよ!

王冠はきちんと持ち主に返すんだからね!」

「お姉ちゃん…それが正しいのは分かるけど流石にこれはあんまりじゃ…」

 

「ミドリうるさい!せっかく盗まれたものを取り返せそうだったのに今度は別の人に盗まれました、じゃ意味ないじゃん!」

「それはそうだけど…」

「──それでどうする?王冠を賭けて私たちと勝負する?」

「………ふむ」

 

 

 

少々面食らったものの、確かにこれでは手が出せない。まさかそんな手まで使ってくるとは予想してなかった自分の落ち度だ

 

それに加えて彼女達はキヴォトス最高戦力であるシャーレのギュメイ先生不在の中でペロロジラを撃退した本物の強者達…

 

 

 

「…口惜しいですがここまでですね、今回はお譲りします」

「へ?」

 

 

 

おそらくもう1戦身構えていた彼女らの期待を裏切り、慈愛の怪盗はあっさりと王冠を諦めて撤退した。

 

モモイ達だけならもう少し揺さぶったりして様子を見ようと思っていた怪盗だったが残念なことに【自分と同じ七囚人】と【ゲヘナの最高戦力】が近くに来ている。

 

下手に欲張れば回収どころか自分が捕まりかねないと判断した慈愛の怪盗は『美術品は大切に扱ってくださいね』とモモイに残し、屋敷を後にしたのだった…




いつも余裕なアキラが何かとんでもないトラブルに遭遇して目をスライムみたいにまんまるにしている様子を想像して楽しんでいる作者のルルザムートです、ハイ。
アキラが最後に言った2人が現れた展開ですがもちろんオリジナルです
この後彼女らの絆ストーリーも書きたいと思ってるのでね…
それではまた明日…
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