ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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本当はカルバノグ編の頭に入れる予定だった過去編をサブストーリー編にブチ込もうと思います(突入は次話から)
彼の過去編はずっと前から…なんならプロローグ投稿前から構想はあったのですが気付けば148話…わぁ、ぁ…(時間かかりすぎ…)

ちなみに彼に限らず帝国三将の過去については殆ど情報がありません。ですのでこの二次創作においての描写は全て『こうだったらいいな』と作者が考えた結果のものなのでこの先、たとえばドラクエⅨリメイクが出た時とかに矛盾が発生する可能性があることをご了承ください
・・・Ⅸリメイクはよ

それではサブストーリー編 第24話です、お楽しみください


【先生】であるために

心地よい陽光が降り注ぐ公園にて、特に目的なくベンチに腰掛けるギュメイとワカモ。

暖かな環境に思わずウトウトしかけてきた時、隣のワカモの膝の上に猫が乗ってきた

 

 

 

「おっと?」

「にゃあん」

「ふふ、よしよし…」

 

 

 

ほんの少し驚いた様子を見せた彼女だがすぐに母親のような優しい笑みを浮かべ、猫を撫でる

 

猫は撫で心地をえらく気に入ったらしく、膝上から落ちないよう器用に身体をよじらせ【次はここを撫でてほしい】と言わんばかりに腹部を見せつける

 

ワカモはそのまま腹を撫で──ることはせず、悪意の無い意地悪な顔になって猫の顎を撫で始めた

撫でてほしい場所では無かったものの、これはこれでリラックスしているらしく、ゴロゴロと喉を鳴らしている

 

 

 

「………動物が好きなのだな」

「私がこんなに動物を可愛がるとは思っていませんでしたか…?」

 

「そういうわけではない。…というより我は今まであまり個人の生徒に深入りしたことが無い。

予想外というより、そもそも知らなかった…だな」

 

 

 

学園や部活の問題を解決、そして主目的である女神の果実回収のため奔走していたが生徒と個人の時間を作るというのは今まで殆ど無かった

 

 

 

「だがこうして共に過ごしてみて初めて知ることもある。…ワカモは猫のどんなところが好きだ?」

「そうですね、この子らは言葉を話すことも無く、その口で他人を傷付けることもありません。いくら可愛がっても天狗になったり、裏切ったりもしない」

 

 

 

裏切り…

 

 

 

「──確かにな、動物は人間のような欲望を持たない。誰も貶めない、誰も裏切らない。

………そして疑うこともしない、キヴォトスに来る前の我の周りには存在しなかった生き物だ」

 

 

 

当時のガナンが捕らえた天使を利用してどれだけ魔物や化物を量産していたか、その全容は将軍である我はおろかおそらく陛下すら知り得ていなかった

 

それでも1つだけ分かるのは、あの帝国にいたのは1人残らず【人間】であって、【動物】はいなかったこと。

 

あそこにいた人間はみな、自分以外の人間に怯えて生きていた。

 

動物のように疑うことを知らぬ者、疑うことができなかった者、他者を蹴落としてでも自分を守ろうと決断が下せなかった者は瞬く間に【人間】によって消えていった。

 

 

 

──それを知るからこそ、ワカモが猫を好く理由にギュメイは共感していた

 

 

 

「ええ。自身に寄せられた挙動に対して純粋に、ありのままに応えることしかできないというのは可哀想ですが…それが切なくて、私はこの子達を愛でるのです」

 

 

 

猫の喉で止まっていたワカモの手が再び動く

今度は喉ではなく、するりと肩を通って背中へ。マッサージするように撫で始める

 

………もしあの時我が陛下を止められていれば、陛下にも今のワカモのようは道があったのだろうか

 

 

 

「先生?」

「いやなんでもない。…それにしても猫か、こうして間近で見るのは初めてだ」

「っ?ギュメイ先生がおられた場所では猫は珍しい生き物だったのですか?」

「そういうわけではないが…猫に限らず、あまり動物に好かれる人間ではなかった」

 

「…お姿が動物を萎縮させてしまうから、ですか?」

「………いや」

「………あっ…!?いえ、先生のお姿を侮辱した意図は一切無く…!」

「心配するな、分かっている」

 

 

 

話すより見せた方が早いと考え、ワカモの膝上で丸くなっている猫の頭を撫でる

すると──

 

 

 

「っ!!フシャーッ!!!」

「あ…」

 

 

 

威嚇をして跳ね飛ぶように逃げていく猫、しかし威嚇をしたのは最初の一瞬だけであり、ギュメイを認識した瞬間怯えた様子で逃げ出してしまった

 

 

 

「もしやと期待したが…やはり駄目か。すまない、猫もワカモも驚かせてしまった」

「いえ滅相も…他の猫でもこのようなことが?」

 

「猫に限らず動物はみな我を避けていた。人間では分からぬ相手の芯を動物はしっかり捉えているのだろう」

 

 

 

だがこれでもかなり改善したほうだ、少なくとも生前、動物は触るどころか近付くこともできなかった

 

 

 

「人間には分からぬ汚れた死の匂い…今の猫もそれを感じ取ったのだ」

「そんなことはありません、だって先生は…」

 

「────ワカモ」

「っ、はい」

 

 

 

何を言おうとあくまで我を【善】として肯定しようとする彼女に対して感じた危機感。

なぜここまで彼女が好意を向けてくれるか、まだ分かっていない。分かっていないがこれ以上は危険だ。

 

どうしてか彼女の前では【シャーレの先生】としては言う必要のない言葉を吐き出してしまいそうになる。

だがそれは駄目だ。我の目的はあくまで果実の回収…本来この世界に存在しない人間…

 

 

 

ギュメイという人間個人として生徒と関わってはいけない。あくまでシャーレの先生として生徒と接し、果実を回収して消える。

 

しかし生徒の中にはワカモやユメと言った、あまりにも優しすぎる子供がいる。言葉を濁して突き放したところで逆効果だ。

 

 

 

──それならば

 

 

 

「っ?あなた様、どちらへ…?」

「すぐに戻る」

 

 

 

ワカモを待たせ公園の外へ。そして…

 

 

 

「ゴレオン」

「うわっぷ!?わ、なんだお前!剣持ってない時くらい足音とか立てろよ!」

 

「これからワカモと2人きりで話をしたい。誰も公園に入れるな」

「・・・ほほーう?よし、任せろ!………アケミか?悪いがちょっと手を貸してくれ」

 

 

 

公園の外で隠れていた(隠れきれていない)ゴレオンに人払いを頼み、どこかへ電話をし始めた彼を尻目にワカモの元へ戻る

 

 

 

「………少し、話がしたい。長くなる上に面白みも無いが…ワカモに我のことを知ってほしい。聞いてくれるか?」

「は、はいっ、もちろんです!このワカモ、一瞬たりとも聞き逃しません…!」

 

 

 

我が【先生】であるために、彼女には知ってもらわなくてはならない。

ギュメイという人間の正体と──業を。

 

 

 

「………300年以上前、当時力に溺れた愚か者だった我はあの方と──ガナサダイ皇帝陛下と出会った」




絆ストーリー書くと言っておきながらあんまりなぞれてない気がしてる作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで次回からちょこっと過去回想。といってもそんなに長くはならないでしょう、多分。
それではまた明日…
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