帝国軍時代はともかくとして、ガナン参入前の三将については本当に情報が無いため、作者の作る設定に嫌悪感を示す方がいるかもしれません。
…が。書きたいことを書いてこその二次創作だとも思っているのでこのまま突っ切ります。
それではサブストーリー編 第25話です、お楽しみください…
3XX年前…
ルディアノ王国、ルディアノ城にて…
「く!?もう一度言ってみろ!!」
激昂する黒騎士。それもそうだ、目の前の彼の言った言葉は、黒騎士が生涯をかけて仕えると誓った主君への侮辱に他ならなかったから。
「我は剣士だ、姫を守る騎士ではない。このままメリア姫を守り続けたところで剣を試す敵など現れんではないか
これ以上こんなままごとに付き合っていられん、我はここを出ていく」
「なんだとギュメイ、キサマ…!」
「お前も来いレオコーン。いくら強くともそれを試す相手がいないのでは意味がないだろう
…それに敵がいなくともお前ほどの実力者が共にいれば我の剣が鈍ることはない」
強者と強者が命をかけてしのぎを削り合って戦う…負ければそれまでだが勝てばさらなる強者が待っている…
自分こそが最強だと考えるギュメイはそんな未来を求めていた。これに終わりはない、敗北と老衰以外では決して終わらない剣の旅。
…だが今の状況はどうだ?そのような未来があるか?
「ふざけるなっ!私はこの命も槍も、全てメリア姫に捧げている!」
「・・・くだらんな、そんなもののために来もしない敵を夢想して鍛錬するとは
敵は自分で探し、そして斬り伏せるものだというのに」
これ以上話していても時間の無駄だと確信し、扉を開けて外へ── ガシッ
…黒騎士がこちらの腕を掴み、眼前に立ちはだかった
「行かせんぞ…!そも私を差し置いて騎士団長に任命されておきながら、姫に会うことすらなくその責任を放棄しようというのか!?」
「『騎士団長にしてくれ』と言った覚えは無い、それに任命したのはルディアノ王だ。メリア姫に断りを入れる必要などない」
我が降りたところでどうせレオコーンか、もしくは他の人間がやる。
だいいち我を騎士団長に任命したのは単純に待遇を良くして国に留め、敵に回したくなかっただけなのは知っている
そうしなければ我がルディアノ国に絶対の忠誠を誓うレオコーンを『強者だから』という理由で殺しにかかると、そう思い込んでいるからだ
………全ては否定しない、だが愚かだとは思う
それこそレオコーンに命令して我から本音を聞き出せば良いというのに。
「共に練兵した仲だ、一度は忠告してやる。どけ。」
「どくものか…!そんな不義、私は許さんぞ!」
「………なら仕方ない」
「くっ…!?」
構えられた槍を魔神斬りで弾き飛ばす。
黒騎士の槍は回転しつつ放物線を描いて飛んでいき、勢いよく壁に刺さった
…丸腰となっても、レオコーンは恨めしそうにこちらを見据えて動かない
「…弱くなったな、レオコーン」
「くそっ…!」
…邪魔だな、斬って出ていくか
「そこまでです」
「…!」
これが普通の兵士や民間人の声なら気にせず刀を振り抜いていたが…声の主が主だっただけに思わず刀を止めてしまった
「………メリア姫?」
三歩近付けば容易く両断できそうな距離に、かの王女が立っている
普段王室から出てこない王族が兵士の詰め所などになぜ…?
「!? メリア姫!近付いてはなりません!騎士団長ギュメイは乱心しております!」
「大丈夫です、それよりもギュメイ団長。本当にこの国を出ていくのですか?」
「そうだ。この国にいても我の剣が腐るだけ。腰を据える理由はない」
「ギュメイっ!キサマ、姫になんという言葉遣いを「構いません!…分かりました、お父様と大臣には私から伝えておきます。お勤めご苦労様でした」
「勤め?王族の散歩や買い物、村の見物の度に王族の横を歩いただけだ。そんなもので感謝されても逆に腹が立つ、感謝はいらん」
「良い加減に…!!「レオコーン」
ああそうだ、王族の側近…どんな悪党や敵が襲いかかってくるかと思えばせいぜい弱小の魔物だけ。肩透かしもいいところだ
「…王室があなたを恐れ、あなたの機嫌を伺いながら遠ざけていたことは知っていました。すみません、何もできずに。」
「……………」
別に、どうでもいいことだ。何をしようと王族に対する恨みや不満は無い
…剣を振る機会を与えなかったこと以外はな
頭を下げるメリア姫に目もくれず、騎士団長の腕章を投げ捨てて城の外へ。
群がってくる魔物を数匹切り伏せながらギュメイはルディアノ王国領を後にするのだった…
▽▲▽▲▽
「待てっ、待ってくれ!降参する、アンタの勝ちだ!だから──ぎゃあああっ!!?」
「…決闘だなんだと息巻いていた剣士が安易に降参などするな。代償として貰っていくぞ」
喚き続ける戦士の右腕を斬り飛ばし、落とした腕をそのまま火炎斬りで完全に焼却。ボロ雑巾のように転がって呻いている『かつて剣士だった男』から食料を強奪し、さらに東へと進む
…やはりこの地域には強い戦士、剣士はいない
このあたりの魔物は軽く一太刀浴びせればそのまま即死する弱い魔物しかおらず、またその関係で兵士や旅人も強い人間がいない
弱い相手しかいないため強くなれないのもあるが、そもそも強くなろうとする姿勢が無いのだ
「…関所か」
やがて東に歩き続けると別地方を繋ぐ橋、兼関所が見えてきた
さっき腕を斬り飛ばしたのがセントシュタイン地方で1番の戦士…その情報が確かならもうこの地方にも用事はない
「あれ?旅人ですか?申し訳ありませんが現在関所は封鎖中です。ここのところ平和だったのですが最近辻斬りが現れたみたいで…」
「・・・・・やれやれ」
ほぼ間違いなく我のことだ、セントシュタイン領でもそこそこの人間を斬ったからな
…まぁ、どれもこれも命を奪うにも値しない戦士【もどき】であったが
「その辻斬りは我のことだ。セントシュタイン領から出て行くから門を開けろ」
「うん?なっ、なんだって!?た、確かに手配書の顔に…敵襲っ、敵襲ーーーっ!」
言葉が通じていないらしい、ただ通り抜けてここを去りたいと言ったつもりだったのに見張りの兵士は次々と仲間を呼んでいく
「…それならそれで」
──斬ってから、勝手に通る
ギュメイがガナサダイに忠を誓うのは敗北以外の要因もあると思っている作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで妄想100%の過去編の描写が始まりました。ゴレオンやゲルニックもこういう妄想テンションで進めるのでもし感性に合っていらしたら応援してください
それではまた明日…