そして投稿間に合わなくてホントすみません…!
それではサブストーリー編 第32話です、お楽しみください…
殺意を孕んだ虚ろな瞳で自室に戻ろうとするガナサダイ王子、ギュメイは考えるより彼を早く抱え上げ、街の外へと飛び出していた
やがて街も村も見えなくなって、それでも走り続け──あの祠の前でようやく彼を降ろした
「ギュメイ…」
「お待ちください…!どうか私の話を聞いてください!
確かにガンベクセン王のやったことはおよそ人間ができる所業ではないでしょう…!
しかしっ、命を奪うことだけはなりません!彼は王以前に、貴方のお父上ではありませんか!?」
「あんな化物、父でも人でもないわっ!!その化物の血が余にも流れていると思うだけでっ、気が狂いそうになる!!
いっそ後継者のために一から作られたホムンクルスとでも言われた方がずっと良かった!!」
「しかし、そんな…!実の父君を手にかけるなど!これ以上の不義がありましょうか…!?」
事実、手段はどうであれ我らはみなガンベクセン王に守られていた。
世界がどうなろうとも、ガナンという国が揺らいだことはない。戦争中でさえも。
「………だったらどうしろと言うのだ」
「勢力争いで打ち倒すのです…!ガンベクセン王のやり方に疑問を持つ人間は他にもきっといます!
強奪ではなく、譲渡していただく…!そしてガナサダイ王子が玉座につき、新たな王になるのです!」
「──できると思うか?」
「必ずや!ガナサダイ王子なら「それができれば殺そうなどと思わんわ」
失望の視線を向けてくるガナサダイに胸の奥がじわりと痛む
だが怯んでいる暇はない…!
「しかし!王族であるガナサダイ王子以外にできる者は──」
「あの男はこの国を繁栄させるためならなんでもやる。…そしてその繁栄を阻むものはなんであろうと排除にかかる
お前も見ただろう?王を前にした国民の、彼らの目の輝きようを…」
「………」
無犠牲ではない。しかし3年もの戦争を、それも2カ国同時に相手にしておきながらガナン王国内には殆ど爪痕を残さず、結果的に彼は国と民をほぼ【完璧な形で】守り通した。
不意打ち、補給線破壊、人材引き抜きといった裏工作を知らぬ一般市民達はガンベクセン王をこの世で最も優れた統治者として崇めている
更には戦争中、【危険だから】という理由で全く外に出る機会を与えられなかったガナサダイは当然国民から信頼を得る機会も無く、結果として国内にはガンベクセンを支持する声が非常に大きい…
「余が立ち会ったところで王は変わらぬ、仮に勢力争いに勝ったとして。戦争直後の国の衰退を止める力は余にはない、そうなれば国民は余を追い落としにくるだろうし──いや、それ以前にガンベクセンが【国の繁栄を阻む邪魔者】として余を消しにかかるだろう」
「消しに──い、いくら合理性を求めるガンベクセン王でも実の子を手にかけるなど「妻の死にすら眉一つ動かさなかった男が、1人殺すぐらいで怯むと思うのか?」
「……………」
「ガンベクセンは殺す。余がこの手でな」
人の力がなんたるかを教えてくれた王子はもういない。ドス黒い感情を内に秘めた彼をギュメイは来る日も来る日も説得した
しかし、説得できなかった
止めることはできた。ガナン王国に来てより5年弱、人の力を知ったギュメイは既にガナサダイの戦闘能力を上回っていた。力ずくで戦いを挑めば止められた。
謁見の間に飛び込むこともできた。主から聞いた全てを王に包み隠さず話せばきっと阻止できた。
だが、ギュメイにはどちらも取れなかった
手に入れた人の力、その力を捧げる唯一の主から見限られるのが怖かった
だからギュメイは決断をしなかった。
説得はする、だが踏み込めない。
決断せぬまま月日は経ち、ガナサダイ王子の成人式が明日を控えたその日に──
ガナサダイ王子が、
ガンベクセン王を殺した
ゲルニックから知らせを聞いて駆けつけ、そこで見たものは──地獄だった
戦地を渡り、人と殺し合いをして、人間のあらゆる【負】を知っていたつもりだったギュメイでも、それ以上の凄惨な光景は見たことがなかった。
なかった故に──地獄。
「おう、じ…」
毒牙の短剣を、既に骸となって動かない父親にのしかかって何度も刺している
顔に、首に、胸に、腹に、手、足…刺せる場所が無くなるまで何度も、何度も…
側には止めに入ったであろう大臣2人と8人の兵士が、いや
その全てが一撃で頭や心臓といった急所を刺し貫かれ絶命していたが、だからこそ今もなお刃を突き立て続けるガナサダイ王子の姿が見ていられなかった
立ち尽くしてどれくらい経っただろうか。父親の血でできた海に佇む返り血で塗れた王子はこっちに笑いかける
「今日からは余が王──いや皇帝だ。分かったな、ギュメイ」
いつの間にか、彼が腰にかけた王笏には王の証である宝石がはめ込まれていた──
▽▲▽▲▽
・ガナン帝国建国日
ガンベクセン死去。西ガナン地方祠へ埋葬される。
ガナサダイ即位。ガナン王国からガナン帝国へと呼び名を変更。
ガンベクセンの経歴、行動をガナン国民へ公開。
ガナン王国兵団、また元セントシュタイン兵、ルディアノ兵を元に軍を再編成。【ガナン帝国軍】と仮称。
・ガナン帝国建国1年目
ガナン帝国三将軍制度の設立。第一将にギュメイ、第二将にゴレオンを任命。第三将は空席。
元・現に関わらず国内に残存するガンベクセン派の徹底的な粛清開始。3ヶ月ののちに全滅。
・ガナン帝国建国2年目
帝国軍第三将としてゲルニックが任命。ガンベクセンの遺体を封じるための魔物制作を開始。
ガナサダイ、ガナン帝国を他大陸に移す計画を練り始める
・ガナン帝国建国3年目
ゲルニック、【病魔パンデルム】及び【はにわナイト】の生成に成功。封印の祠へ配置。
ガナサダイ、現在の街を放棄。ガナン帝国を北西の大陸へ移転を決定。
彼らが去った後に、付き従わず残った市民が町の名前を【ベクセリア】に改名。
・ガナン帝国建国5年目
ガナサダイ、移転先の大陸にてサンドネラという王族と婚姻。
サンドネラ城をそのままガナン帝国城へと改装
ゴレオン、移転についてきた非戦闘員の一般女性を国外に追放。これにより第三将へ降格。
ゲルニック、帝国第二将に昇格。また領土内に眠っているという闇竜と竜戦士の鎧について調査中、光輪と翼の生えた謎の生物を発見、捕獲。
・ガナン帝国建国9年目
ゲルニック、天使界からの使者【天使】からのエネルギー供給実験に成功。効率化及び、エネルギーの使い道について研究開始。
サンドネラ、皇妃の立場を使い【カデスの牢獄】を設立。ギュメイを護衛につけ、自身に歯向かうものを処刑し始める。
・ガナン帝国建国13年目
ゲルニック、天使からエネルギーを吸収する装置を設計、制作。カデスの牢獄地下へ搬入。
ガナサダイ、ゲルニック立案の【天使捕縛計画】実行のため全世界へ侵攻を開始。各地の守護天使、及び増援の天使を捕らえ始める
ゴレオン、彼率いる兵団がナザム村で壊滅。ゴレオン自身も重傷を負い退却を余儀なくされる
サンドネラ、雨の島にて世界樹に火を放つ
・ガナン帝国建国14年目
ギュメイ、ゴレオン、兵を率いてナザム村への侵攻を開始。守護天使エルギオスと交戦。
ゲルニック、兵を率いてセントシュタインを攻めるも太古の魔神に妨害され断念。
サンドネラ、護衛のギュメイが不在の中、クーデターを起こした一部の兵士によって斬りつけられ重傷を負いながらも国外へ逃走。反乱者達は残らずガナサダイ自らの手よって処刑された。
ガナン帝国建国15年目
ナザム村の村長の協力により、最高位天使エルギオスを捕獲。帝国城地下へ幽閉し、エネルギーの抽出開始。
ガナサダイ、最高位天使エルギオス捕獲により【天使捕縛計画】を一時中断。また、死亡扱いとなったサンドネラの国葬を開く
ゲルニック、抽出した天使のエネルギーを闇竜に注入。精神と肉体の制御を乗っ取ることに成功。
ガナン帝国建国20年目
空の英雄グレイナル出現。彼と彼を駆る竜戦士【フラッグ】が率いるドミール決起軍と戦争が勃発。
ガナン帝国建国23年目
ドミール決起軍将校の1人、オルドー。ゴレオンによって討ち死に
ゴレオン、グレイナルと一騎討ちの末、討ち死に
ガナン帝国建国24年目
ゲルニック、バルボロスを使いグレイナルと交戦。バルボロスは敗北し、ゲルニックは撤退。
ギュメイ、消耗したグレイナルに戦いを挑み、重傷を負いながらも竜の翼を斬り裂き、飛行能力を奪うことに成功。
ガナン帝国建国25年目
フラッグを背に乗せ、飛行能力を取り戻したグレイナルの奇襲により帝国軍壊滅。力を使い果たしたグレイナルの回復を待たずドミール決起軍、ガナン帝国城へと攻め入る
ギュメイ、帝国城へ攻め入った決起軍を相手に孤軍奮闘。攻め入った第一軍を将校である竜戦士フラッグを討ち取って壊滅させるものの、フラッグから受けた傷が原因で戦死。
ガナサダイ、最後の賭けとしてエルギオスの力を直接奪い取ろうとするもゲルニックに見限られ、彼女の手によって背後から殺害される。
ガナン帝国建国 年目
ゲルニック、飼っていた2羽のフクロウを外へ逃がしたのち、帝国城自室にて毒を飲み死亡。
──ガナン帝国は滅亡した。
凝ったはいいが間に合わなければ何もかも台無し…とテンションが下がっている作者のルルザムートです、ハイ。
毎日その日に投稿する分をその日に書いている、という無茶な自転車操業でしたが今日ついウトウトしてしまい気付いたら16時…
ひとまず毎日投稿は守れましたがどうなるか…
あ、あと年表みたいに書いてますが半分くらいは作者の妄想です、ハイ。
それではまた明日…