ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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今回ちょっと短め、次回から本格的に動き出しますよぉ…
対策委員会編第13話、お楽しみください


ティーパーティから来た残影

マコトと取引を終え、ゲヘナ風紀委員会を引き連れてアビドス砂漠でホシノ達と合流したのは良かったものの──

 

「…なぜトリニティも集まってきている?」

 

 

 

ホシノ達しかいないはずの合流地点には何故かトリニティ…ティーパーティの軍勢も集まってきており、その数は風紀委員会に勝るとも劣らない

 

なんなら戦車とか出てきている以上風紀委員会よりも…

 

 

 

「やあおかえり先生、まさかゲヘナ風紀委員会を引っ張ってくるなんておじさんびっくりしちゃったなぁ」

「ホシノ、あのトリニティ生徒達は…?」

 

「それについてはワタクシから説明しましょう

…と言っても説明するほどの大した内容では無いのですが」

 

 

 

「アウル」

「『シャーレがティーパーティの助けを必要としている』…そうナギサ様に進言しただけですよ」

 

大したことはしていないと言うアウルだが間違いなくそんなわけはない、これまで一切動かなかったトリニティを動かすには簡単な進言だけでは無理だろう

 

 

 

そんなことを思ってるとアウルの後ろからもう1人生徒が。

 

「はじめまして先生、トリニティ総合学園ティーパーティから来た聖園ミカだよ

何があったのかはよく知らないけど力になれたら嬉しいな」

「シャーレ顧問のギュメイだ、まずこうして力を貸してくれたことに感謝する」

 

 

 

差し出した手を掴んでぶんぶんと振るミカ

…見かけに反して力が強いな

 

 

 

「さて駒…じゃない、役者はだいたい揃いました。ではこれより梔子ユメさんを救出するためワタクシから完全な勝利に向けた道筋をご説明いたします」

「…ところで誰あなた?見たところトリニティ生みたいだけど、勝手に仕切られても困るわ」

 

と、それまでギュメイの後ろで静観していたヒナが口を開いた

 

 

 

「これは失礼いたしました、トリニティ総合学園ティーパーティ所属の鳥山アウルと申します

現ティーパーティホスト、桐藤ナギサ様直下の部下でありシャーレ所属の生徒…以後お見知り置きを、空崎ヒナさん」

「………そう」

 

「さて我々の目的はカイザーPMC基地内に捕えられている梔子ユメの救出…

彼女を連れ出すことが我々の勝利であり彼らの敗北です」

 

 

 

がしかし、とアウル自ら言葉を切る

その様子はまるで中学生がタチの悪いイタズラを思いついたような邪悪な笑みで小さな体躯と童顔に似合わないそれは誰が見ても不気味なものだった

 

 

 

「ただ勝つだけでは面白くない、アビドスだけならともかく、ここにはトリニティの刃たるミカ様とゲヘナ最強の風紀委員長殿、そしてなにより天下無敵のギュメイ先生がいらっしゃる

 

はっきり言って救出だけならギュメイさんとホシノさんで知恵を絞れば事足りますがこれだけ戦力があれば別の勝ち方も見えます」

 

「………軍師ごっこは後でやって、今はすぐにでも彼女を助けに「まぁ待ってよゲヘナ、彼女口は悪いし性格も最悪な上、気に入らない生徒は陰でしょっちゅう粛清するような人だけど戦術眼だけは私もナギちゃんも認めてるんだ

まずは聞いてみようよ」

 

 

 

いきなり飛び出した爆弾発言、だがまぁ…特に驚きは無い『やっぱりか』という感想だけだ

 

 

 

「・・・こんな時に、ミカ様さては私のこと相当嫌いだったりします?」

「そうだけど?」ゲヘナの次にね

 

 

 

「話を戻せ、お前の言う完璧な勝利とはなんだ」

「ご教授しましょう、それはこの基地にいるカイザーPMCの全滅です

 

先の戦闘でカイザーPMCはヘリ2機、戦車8両、四輪駆動車14両、そして派遣した兵力の半分を失いました

 

著しく弱体化はしましたがこのまま蹴落とすにはあともうひと押し欲しい…

つまり我々の完全な勝利とは梔子ユメを回収し、かつ基地内のカイザーPMCを全滅させ2度と復活できないように叩くことです」

 

 

 

確かにカイザーは厄介な相手だ、PMCだけでも潰せればこの先大きく動きやすくなるが…

 

 

 

「失った兵力を他所から補充しているとはいえ数ある前線基地の1つだろう

あれを潰したところでカイザー全体の兵力を削ぎ切ることなどできんぞ」

 

「削ぐのは兵力ではありません」

「ではなんだ」

 

 

 

「評判です」

評判?

いまいち理解できなかったが答えに辿り着く前にヒナが反応した

 

「…なるほど、ギュメイ先生。あなたが風紀委員会と戦ったことで起きた事象を思い出して

私たちはあなたにこっぴどく負けた後ゲヘナで爆発的に増加した規則違反者達の取り締まりにずっと追われていた」

 

 

 

 

 

 

「…PMCとしての信用を奪うのが狙いだと?」

「その通り、カイザーは良くも悪くも巨大な組織です。大小様々な企業、団体がその動向を追っている。特に先の敗戦は世間に大きく広まったはずです

 

ですのでそこに追い討ちを。今度はカイザーPMCと対抗する戦力…つまりあなた方『子供』の所在を明らかにして堂々とカイザーを殲滅し、2度と傭兵稼業が成り立たないほど酷い負け方をさせます」

 

 

 

「──うん、悪くないかな。アビドスがしてるカイザーからの借金は無くなってないけどPMCだけでもいなくなればまだ希望はあるかもしれない」

「カイザーの評判はゲヘナでも聞いている、潰せるチャンスがあるなら逃したくは無いわね」

「私はどっちでもいいんだけど…ナギちゃんも邪魔になりそうって言ってたしいいかも!」

 

アビドスしか知らなかったが相当な嫌われようだなカイザーコーポレーション…

もちろん我も同意見だが

 

 

 

「確かに、その完全な勝利とやらを狙えるのならやるべきだろう」

「皆様の正当な評価、感謝致します。ではその勝利を掴み取るための戦略をお話しします

まずユメさんの所在は拠点内の中心部、そのどこかにいると思われますが一旦これは忘れてください」

 

 

 

「彼女の救出作戦なのにか?」

「基地の兵隊がゼロになればもう関係ありませんよ」

 

「………顔に似合わず鬼だな」

アウルは本気でここのカイザーPMCを全滅させるつもりらしい

 

 

 

「褒め言葉として受け取っておきますよ

…基地には北、南、東、西、それぞれに軍が堂々と通過できるほどの出入口があります

そこで東にヒナさん、西にミカさんを配置。

そして北にギュメイさんとホシノさんを向かわせ合図と同時に基地に攻撃をかけてもらい、それと同時並行で南口を囲うように包囲網を敷きます」

 

 

 

「…殲滅するなら全員で4方向から攻撃した方がいいんじゃないかな?」

「それではユメさんが巻き込まれます。逃げ場を失った兵隊がユメさんを人質にする可能性もありますし…

ミカさん、これは救出作戦ですよ?そんなことも分からないんですか?頭の中まで紅茶とロールケーキでいっぱいなんですか?」

「」イラッ

 

 

 

「…包囲網を敷くのは2人の突撃の後なの?

包囲を敷いてから始めた方が強固なものが作れると思うけど」

「包囲を敷くのは南口だけ、しかし早々に1方向だけに包囲を敷いては意図を勘付かれる恐れがある

故に敷くのはギュメイさんとホシノさんが内部を混乱させたあと。

どれだけ強力な包囲網だろうと敵が来なければ意味がないんですよ

それくらい察してイチイチ言わせないでください」

「………」

 

 

 

「やれやれ…子供とはいえ、お2人ともこの程度でよく組織のトップが務まると ガンッ! ホッ!?」

 

ヒナとミカに対して嫌味が止まらないアウルの後頭部を峰で思い切り叩く

「いちいち食ってかかるなと言っている」

「うぐっ、教師が生徒になんてことを…体罰ですよ体ば「もう1発落ちる前に話を進めろ、狙いは敗走か?」

 

 

 

「…ええ、ミカさんとヒナさんには東西を封鎖してもらいますが突撃は結構。あくまでそこから兵が逃げ出さないように封鎖だけしていただければ。

 

…あの基地には他所から補充された兵隊もいますが大半は先日の敗戦から退却した残党、つまりギュメイさんとホシノさんの強さを身に染みて知っている連中です

 

故に顔見知りであるあなた方に内側で大暴れしてもらい、指揮系統が機能し始める前に南口から敗走させます

 

そして砂漠に追い出した兵隊達をあらかじめ配備しておいたティーパーティ、ゲヘナ風紀委員会合同戦力で包囲し殲滅。

これでカイザーPMCは終わりです」

 

 

 

なんてことないようにすらすら話すアウル

だがこれは…この対軍戦術はおよそ子供の頭から出るものではない

やはり彼女は──

 

 

 

 

 

「待ってよアウルさん」

「おや、ホシノさん。如何されました?」

「風紀委員会とティーパーティの役割は分かったけど…私以外の対策委員会は?」

 

 

 

そういえばそれについての話は無かったな

 

「ああ忘れてました。シロコさん達にはホシノさんへの補給路を確保しつつ、ユメさんの捜索に当たらせます

砂漠化しているとはいえここに1番詳しいのは彼女達でしょうし適任でしょう」彼女らには伝えてありますのでご心配なく

 

 

 

「うん、分かったよ」

「ところでゲヘナ風紀委員長さん、ひとつご相談が。」

「…なにかしら」

 

「いくら敗走させたとしても数だけは多い連中です、包囲網を敷くにはティーパーティだけでも風紀委員会だけでも数が足りません

故にカイザーPMC殲滅までの間だけ、ワタクシに風紀委員会の指揮権を譲渡していただきたい」

「………」

 

 

 

「別にワタクシが前に立つ必要はありません、ただ指揮を取るであろうアコさんやイオリさんに、ほんの少しワタクシの意見に耳を傾けるよう口添えしていただければ…と」

「………包囲網の作成における指示、それ以上の口出しはゲヘナ風紀委員長として許可しない」

 

「となればそこまでは譲歩してくださると、いやはやありがたいことです。ティーパーティの指揮はワタクシが取ります、それでは各員配置についてください

──今日ここでカイザーPMCを葬りますよ」




なんだかんだ帝国軍第2将も好き。な作者のルルザムートです、ハイ。
いよいよ最終決戦。そしてギュメイ将軍、これまで疑惑の線を出なかったものがここで確信に変わりました
とはいえ彼女が本気で隠蔽しようとしたのなら自分が気付けるわけがないとも思っているのである意味安心してはいます
ではまた明日…
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