カルバノグ編 第9話です、お楽しみください
「…………」カリカリ
シャーレにて、事務机に向かい書類と格闘するギュメイ。
大半はアウルがやってくれたみたいだが全てではない、残る書類仕事を我とチアキで片付けているのだが…
「ギュメイ先生っ、こっちの書類終わりました!」
「ありがとうチアキ。…ところでアウルは?」
今日…というかここ最近、奴を見ていない。そもそも彼女が頻繁に表に出てきていた事自体が異常だったのだがこうしばらく姿を見ないと不安も積もる
「アウルさんですか?百鬼夜行連合学園に行くと言ってました!」
「…また1人でか?」
「はい!」
以前ワカモが通っていたという学校…あそこからの話は特に何も来ていないはずだが
「うん?ああ仕事じゃないですよ、ここ最近アウルさんはシャーレでの仕事を終えたらよく百鬼夜行に行くんですよ。友人に会いに行くって。」
「…………そうか」
仕事に関係なく単独で動けば注意を引くことなど彼女は分かりきっている、何をするつもりか知らんが用心するに越したことはない
「あ、あのギュメイ先生…終わりました…
か、確認を、お願いします…」
「ん?ああ、今行く」
と、今度はシャワー室の方から自分を呼ぶ声がしてそちらの方へ。
今日の当番はミユ──…ああ、だからユメが席を外したのか。理由は知らないがどうも彼女はユメが苦手らしい
清掃を終えたミユと入れ替わるようにシャワー室に入り、軽く点検。
「…………」
「どう、でしょうか」
「………うむ、問題点は無い。丁寧な清掃に感謝する」
「よ、良かった…じゃあ…!」
「Rabbit小隊のシャワー室使用を許可する」
「ありがとうございます…!」
少し過剰とも言えるほど丁寧な清掃を確認し、いつも通りシャワー室の使用を許可。
再び入れ替わるようにギュメイは事務机へ、ミユはシャワー室へと戻る。
公園生活が始まったことで入浴という心身のリフレッシュができなくなったRabbit小隊にとってシャーレのシャワー室は今や欠かせない場所の1つになりつつあった。
…声が聞こえていないと思っているのかシャワー室からは機嫌の良さそうな鼻歌が聞こえてくる
「待たせた。続きをやるぞ」
「はい!SRTの生徒さん、嬉しそうですね」
「ああ」
…別に我は気にしていない、最初からシャワー室くらいなら貸していいと思っていたのだが無償の助力より対価があったほうがRabbit小隊も安心するだろうというガンベクセン様に賛同したことでこうなった。
具体的には週に2.3日のペースでRabbit小隊にシャワー室の清掃を依頼、見返りとして賃金の代わりにシャワー室の使用とシャーレ出入りを許可する…といったもの。
確かにこれなら互いに貸し借りを作ることにはならないな
そうして僅かに残る書類をチアキと共に処理していき、最後の1枚が終わった時──
「これで全部か、ありがとうチアキ」
「なんのこれしき!また頼ってください!…そしてあわよくば写真も──」
ガチャ
「ギュメイ先生〜もう入って大丈夫?」
「ユメか、今はまだ ガチャ 「さっぱりした…ギュメイ先生、ありがとうござい──ひゃう…!?」
予想外の鉢合わせに相当驚いたらしく、ユメから逃げるように我のコートの中に隠れてしまった
その様子はまるで、というか小動物そのものである。
「・・・あのー普通逆ではないですかね…?」
「・・・まぁ、そうだな」
「ひぃん…」
魔獣体、人間体に関わらず元の世界では歩いているだけで怯えられることも少なくなかった。チアキの言う通り本来この中で最も畏怖されるはずの我だがミユにとってはユメの方が恐ろしいらしい
・・・いや何故だ本当に…
露骨に怖がられてしょぼくれるユメはどこから見ても人懐っこいただの少女であり、実際その通りの人間だ。…それはそれで心配だが。
「………ひとまず送っていこう、ユメとチアキはシャーレに待機。何かあれば電話をしてくれ」
「うん分かった!」「分かりました!」
良い機会だ、しばらくぶりに子ウサギ公園の様子を見に行くとしよう
▽▲▽▲▽
「入浴中?」
ミユを公園付近まで送り届け、ついでに様子を見ようとしたところでガンベクセン様に止められた
「うん、せっかく来てくれて悪いけど今は遠慮してくれるかな」
「分かりました。しかし子ウサギ公園に風呂場が…?」
「そういえば言ってなかったね、ドラム缶風呂だよ。とある仕事の時に依頼主から譲ってもらったんだ」
「ふむ…」
実際に働いている場面はまだ見ていないがRabbit小隊が便利屋のようなことをしているのは本当らしい。
確かに人手を欲している企業や組織にとって元SRTの隊員が金銭や物資提供で雇えるという事実は軽くない。しかしよくミヤコが納得したものだ。
「出直してまた来ます。ところでガンベクセン様、1つお聞きしたい」
「いいよ、なにかな?」
「…なぜミヤコ達に協力を?」
正直なところガンベクセン様がミヤコ達を助ける理由が全く思い浮かばない。
理由が無ければ助けないような人柄だとは思わないがそれならなぜチェリノ達を置いてレッドウィンターから来たのかが謎のままだ。
「さて、何故だろうね」
「無理にとは申しません、しかし貴方は不明瞭な選択肢は決して取らないお方です
貴方には既に
迷いや戸惑いといったものの一切が無い真っ直ぐな瞳で彼はそう言った。
そこに合理性の王はいなかったが、かつての王とはまた別の人間が確固たる意志を持ってそこにいた。
「ガンベクセン様」
「言えないんだ。それは私のためであるしギュメイ、君のためでもある。
そして──
「………あと1つだけ質問をお許しください
その決断を下したのは「私だ。誰の命令でもなく、誰の意見も聞かず、私が決めた未来だ。
今は…これを答えとさせてくれ、頼む。」
「──分かりました」
それ以上の問答は無く、ガンベクセンと別れたギュメイ。
レッドウィンターの生徒達によって人間らしさを取り戻したかつての王…その内に秘めた決意を知るのはもう少し先の話だ。
「………すまないな、ギュメイ」
2度目。存在し得ないやり直しの機会が巡って来たのだ。お前やチェリノ…これまで関わってきた人間全てを裏切ることとなったとしても、私は──
ミユは実質レッサーパンダだと思っている作者のルルザムートです、ハイ。
ストックが中々貯まらなくてちょっとヤバい…1章分は間に合う、と思いたいですが…滝汗
とりあえずまた明日…