…一応パヴァーヌ編の最終決戦あたりまで書き切ってはいるんですが全部終わらせてからだと8月食い込みそうだったのでもう始めちゃいます
久しぶりの更新ということでちょっと長め。
対策委員会編ではドラクエ9のキャラは主にギュメイ将軍だけが表舞台で動いていましたがここから少しずつドラクエ9キャラが増えていきますよぉ
というわけでパヴァーヌ編第1話、お楽しみください!
※7/29追記 アビドス編第5話『再会』の前書きにてギュメイとモモイの相性が悪く、執筆が難航しているという旨を書いていましたがギュメイ将軍のスタンスを曲げたくなかったためブルアカ本編先生ほど円満には進まない、とだけ。
ゲーム開発部(特にモモイ)に推しがいる方は少し覚悟が必要かもしれないです
付け足しの注意書きですがとある方から『あった方がいい』とのお声をいただいたので急遽書き足しました
「えへへ…」
「何がそこまで嬉しいのかよく分からんがしっかり前を見て歩け」
「はぁい!」
迷子になったユメを迎えに行き、その足でそのままミレニアムへと入ったギュメイ。
本来3人で終わらせる予定だった書類の6割強はアウルが終わらせており、我は残りの4割とアウルの終わらせた6割の点検。ユメは0割だ
(こうして振り返ると我の書類作業も速くなったものだ)
ただ何もしてないのは今日だけで彼女は彼女でシャーレのために働いてくれている
が、書類仕事に関してはアウルがほとんど持っていってしまうため、彼女に任せる仕事があまりない(我の分を少し渡したことがあったが頻繁にアウルが持っていってしまうのだ)
我は気にしていないのだがユメ自身はかなり気を揉んでおり、またこれから万魔殿の生徒が入ってくることも考えると今のままユメをシャーレ所属にしていては不満の声もいつかはあがる…
そう考えた我は助手として彼女を連れミレニアム…ゲーム開発部へと足を運んでいた
といってもまだ着いていないのだが
「〜♪」ぺたぺた
「…そんなに気に入ったのか?その名札」
「うん!」
ユメが手元でぺたぺた触っているのはシャーレ所属の生徒であることを示す身分証だ
元々シャーレの身分証というのは我の物以外用意されていなかったのだが『立場を明確にし、権限の委譲やそれによる権限行使をスムーズに行うために』というアウルの提案により鳥山アウルと梔子ユメの身分証を急遽作成。
効力としては我の持つものと同等の証明が可能であるため、使用するには何も問題ないがその分紛失のリスクは高い。ので
「あっ」ポト
びよよーん
「…必要ない時はしまっておけ、そもそもあまり見せびらかす物ではない」
「ひぃん、ごめんなさい…」
ユメのものには脱落防止用のゴムバンドを2本付けさせた
いや信用していないというわけではない、ああ断じてないとも。念の為である、念の為。
さて、しばらく歩いたがこのあたりか?
あらかじめミレニアムに行くことを早瀬ユウカ…サンクトゥムタワー奪還時に出会ったミレニアム生には連絡を入れている。
その時にミレニアムの見取り図も貰ったが来てみると意外に広く──
ヒューン
「──ユメ、動くな」
「へ?」
地図をしまい、刀に手を掛け、
「ふっ」
「ひゃっ!」
ユメの頭上を一閃。落ちてきた四角い物がユメの頭に直撃する前に真っ二つにした
? なんだこれは?
石か何かかと思ったが違うらしい
四角くて平べったい…なにかの機械か?
「あー!つい投げちゃった!!」
「お姉ちゃんなにやってるの!プライステーションは無事!?って、あ。ああっ!プライステーションがっ!?」
窓から身を乗り出してこちらを見下ろしているのは一目で『双子』だと分かる2人の少女。
どうもこの四角い板は彼女達が落とした物らしい
「うん?あれっ、もしかしてシャーレの人?」
「ああ、我が「はいはーい!私たちシャーレから来ました!私っ、アビドス高等学校からシャーレに配属された梔子ユメ!これ、身分証です!」ぺいっ
ふんす、としまったばかりの身分証を少女達に見せつけて胸を張るユメ
・・・故意にやったわけではなかろうが…ユメ、お前は今あの2人どちらかのせいで怪我をするところだったのだぞ?
少しは危機感をだな…
しかしそんなことどこ吹く風だと言わんばかりに『シャーレ所属』であることを自慢するユメ
ちなみに双子の方は──
「なんか頼りなさそ──あ?あっ、ああ!!プライステーションがっ、ゲーム開発部の財産リスト第一号がっ!?
ミドリのせいだよー!」
「なんで私が…負けたからってゲーム機投げるお姉ちゃんが悪いんじゃない!」
ぽかすか擬音が聞こえてきそうな喧嘩をしながらほとんどユメの方を見ることもなく引っ込んでしまった。その様子はまるでカンガルーの喧嘩だ
「ひぃん、せっかく自己紹介したのに…」
「………」
しかし気になる名前が聞こえた
ゲーム開発部の部員には手紙を送ってきた才羽モモイの他に才羽ミドリと花岡ユズという生徒がいることがアロナの調べで分かっている
モモイとミドリの苗字が同じことから姉妹か双子かと思っていたが上の2人がそうだとすれば──
「ひとまずあの部屋に向かうぞ」
「は、はいっ」
〜
「ゲーム開発部へようこそ!
私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」
「私はミドリ、イラストレーターでゲームのビジュアル全般を担当してます」
「連邦捜査部『シャーレ』の顧問、ギュメイだ。こっちはシャーレ所属のアビドス生のユメ」
「ギュメイ先生の助手として来ました、アビドス対策委員会委員長兼、シャーレ所属の梔子ユメです!よろしくねぇ」ニヘラッ
互いにそれぞれ自己紹介、やはりこの2人がゲーム開発部の部員だったようだ
「うわでっか…じゃない、あとここにはいないもう1人、企画周りを担当してる部長のユズを含めた私たちがミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!
じゃあ先生も来たことだし廃墟に行「待て」
なんの説明も無くいきなり何かしらの行動に移ろうとするモモイを止める
「ちょ、なんでさー!」
「なんでじゃないよお姉ちゃん、説明無しでいきなりじゃ当たり前」
「それもあるが少し待て、そろそろ来るはずだ」
「? 誰が?」
「お待たせしました先生」
「「この声は…!」」
来たか
あらかじめ呼んでいた人物が扉を開けて入ってきた
「久しぶりだな、ユウカ」
「ミレニアムに来ると仰った時はどんな用事かと思ってましたが…まさかあなた達が呼んでたとはね
…ところでこちらの方は?」
「はいっ!アビドス高等学校からシャーレに派遣されてきた梔子ユメですっ、よろしくお願いします!」ぺこっ
「ええこちらこそ。セミナーの早瀬ユウカよ、よろしくね」
「………ミドリ」
「なに?」
「ユウカの太ももとユメさんの胸がぶつかり合ったらどっちが勝つと思う?」
「・・・今そんなこと言ってる場合じゃないと思うけど」
廃部の危機と言っていたが随分と余裕そうだ、いやただの現実逃避か?
「そ、そうだ先生!なんでユウカを連れて来たの!?卑怯だよ!」
「卑怯と言われてもな…部活動の存続は各学園の生徒会に委ねられているのだろう。廃部を阻止してくれと言うのなら生徒会の彼女を呼ぶのは自然のことだと思うが…」
「くっ!正論を…!」
「その通りです先生。…それにしてもモモイ?あなた本当に諦めが悪いわね、廃部を食い止めるためにシャーレまで巻き込むなんて
けどそんなことをしても無意味よ。ゲーム開発部の廃部は既に決定事項…
覆すことはできないわ」
「そんなことない!言ったでしょ、部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば「それが出来れば良し、できなかったら廃部、部費も部室も没収する。私そこまでちゃんと言ったわよね」
…どうも我が介入するしばらく前からこのやりとりは続いているようだ
「部員も足りず、部活としての成果を証明するものも無いまま数ヶ月が経ってる…
──廃部になっても異議は無いはずだけど?」
「異議あり!すごく異議あり!私たちだって全力で部活動をしてるんだから上場閣僚?とかがあってもいいはず!」
「それを言うなら『情状酌量』でしょう
それに全力で活動してるですって?
笑わせないで!」
「「「」」」びくっ!
ユウカの叱責にモモイとミドリが固まる
──なぜかユメも固まっている。
お前は関係ないだろう…
「校内に変な建物を建てたかと思えばまるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すと言いながら古代史研究会を襲撃するし…」
「・・・」
部活動の一環か…?これが…?
「おかしいでしょう!?『全力』かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ!それにこれだけ各所に迷惑を掛けておいて、よく毎度のように部費なんか請求できるわね!?
真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」
「と、時には結果よりも、心意気を評価してあげることも必よ「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」
「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!?」
「無意味な言い訳は聞きたくないってだけよ
ミレニアムは結果が全て。」
「け、結果だってあるもん!私たちだってゲームを開発してるんだから!」
「そ、そうですよ!『テイルズ・サガ・クロニクル』はちゃんと、あのコンテストで受賞も…」
「テイルズ…?ゲームの名前か?」
「あれ?ちゃんと成果あるなら大丈夫じゃないの?」
「………ええ、確かに受賞してるわよ」
ユメの指摘にユウカは肯定を返すがその表情はさっきより険しい
「『テイルズ・サガ・クロニクル』…このゲーム開発部における唯一の成果です
ゲームそのものもさることながらレビューが大変印象的でした」
「れびゅー?」
「えっと、多分評価のことじゃないかな?」
「『私がやって来た中でダントツで【絶望的】なRPG。いやシナリオの内容がとかじゃなくて完成度が』
『このゲームに何が足りないのか数え出したらキリが無いけど…まぁ、1番足りて無いのは【正気】だろうね』
『このゲームをプレイした後だと【デッドクリームゾーン】はもしかして名作の部類に入るんじゃ…って思っちゃうわ』」
つらつら『れびゅー』とやらを並べるユウカ
内容はあまり理解できないが少なくとも良い評価でないことは間違いないだろう
「わ、私たちのゲームは、インターネットの悪意なんかには屈しな「たとえユーザーが無限にいたとしてもたくさんの評価が収束すれば、それは真実に1番近い結果よ
それにあなた達の持っている成果はその『今年のクソゲーランキング1位』だけでしょう?」
…なるほど、誰よりも低い評価を集めたゲームだというのは分かった
しかしユメはわかっていないようで…
「1位!?すごいよ!ゲームはよくわからないけどミレニアムで何かの1位を取るってすごい!」
「えっ、いやそれは…」
「そのゲームは?ねぇねぇモモイちゃん、そのゲームはここにあるの?
私ゲームとかやったことないけどモモイちゃん達の作ったゲームやってみたい!」
悪意の無い言葉の嵐にモモイとミドリが涙目になったところで制止。
「やめておけユメ」
「え?でも「やめろ。…やめるんだユメ」
「と、とにかく!あなた達のような部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷付けるだけよ
それにその分の部費を他所に回せばきちんと意義のある活動をしている生徒のためにもなる…
だからもし自分たちの活動に意義があると言うのなら証明しなさい
何度も言っている通りきちんとした功績や成果を証明できれば廃部は撤回するわ」
「証明って?」
「…何かの大会で受賞するとか?」
「そう、スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとか、その類いよ
ゲーム開発部ならその手のコンテストも色々あると思うけど出せばなんとかなるとは到底思えないわね
あなたたちの実力はあのクソゲーランキングが証明済み。
…ねぇ、もうお互い楽な形で済ませましょう?
今すぐ部室を空け渡して、この辺のガラクタも捨てて」
言い返す暇も与えず矢継ぎ早に言葉を投げつけるユウカ
『厳しすぎるんじゃ…』と呟くユメの声が聞こえるがユウカの指摘は至極真っ当だ
部室も金銭も有限である以上、会計担当であるユウカがその限りある物資を無駄にしたくない、というのは当たり前だろう
こう言っては悪いがゲーム開発部という部活は聞く限りなんの成果も出しておらず、それどころかミレニアムの評判を下げかねない負の資産まで作っている
そんな場所に資金を流しているとなれば、それを決定しているユウカの信用も損なわれていくのは明白だ
それを押してでもモモイ達に部費を渡していたというのなら彼女のゲーム開発部に対する姿勢は厳しいどころかむしろ甘い
成果を出せと言うのは『このままではこれ以上庇いきれない』という思考の裏返しだろうし、廃部にしろと言うのはこれ以上モモイ達の経歴に傷を付けたくないからではないだろうか
…当のモモイはその事実を微塵も分かっていないみたいだが。
「が、ガラクタとか言わないで…!」
「じゃあなんなの?」
とはいえユウカ自身も限界なのかうんざりしている様子だ。我の個人的な意見を述べればユウカの提案を受け入れて既存の部活に入ったほうが良さそうだが…
「──分かった、全部結果で示す!
そのための準備だってもうできてるんだから!」
「え?」
「そうなの!?」
「そうなんだ!?」
「ユメさんはともかくなんでミドリが驚くのさ…
とにかく私たちには切り札がある!その切り札を使って今回の『ミレニアムプライス』に私たちのゲーム…『TSC2』…『テイルズ・サガ・クロニクル2』を出すんだから!」
一作目で酷いイメージが付いた以上、同じ名前で二作目を出すのは愚の骨頂だと思うが…
「ところでミレニアムプライスとはなんだ?」
「ミレニアム中の部活が各々の成果を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテストだよ!
ここで受賞すればいくらなんでも文句は無いでしょ!」
「…受賞できたら、の話だけど
まぁいいわ、私もちょっと楽しみになってきたしそこまでは待ちましょう」
「あのぅ、ユウカさん?ミレニアムプライスまであと何ヶ月くらい時間があるんですか?」
「1ヶ月すら無いわ、2週間後よ」
「えっ」
「この2週間でどんな結果が出せるか楽しみにしてるわ
…それにしてもお見苦しいところを見せましたねギュメイ先生」
「構わん、むしろ思いやりのある生徒だと知れてよかった。…少し甘すぎる気もするがな」
「えっ!どこが!?この冷酷な算術使いのどこに優しさが!?ギュメイ先生、ここに来る前に頭とか打った?それかユウカに脅されたり…」
ぎゃいぎゃい騒ぐモモイに我もユウカも頭を抱える
「・・・大変だな、お前も」
「・・・分かっていただけるだけで充分ですよ
次はもっと落ち着いた状況でお会いしましょう、先生」
「ああ、また顔を出す」
ユウカを見送り、残ったのは2週間という制限時間にあわあわしているユメとブリブリ怒っているモモイ、そして冷めた目のミドリと我だ
「今からゲームを作るより部員を募集した方がいいと思うけど…」
「それならここ1ヶ月散々やってみたでしょ…結局誰も入ってくれなかった…」
──だろうな、彼女らはあれこれ問題を起こす前に部員を募集するべきだった
「うぐぐっ、ユウカの卑怯者め!私たちみたいなオタクは友達が少ないってことを利用するなんて!許せない!」
「いや…それはユウカじゃなくて100%私たちの自業自得だと思うけど…」
どうやらモモイと比べてミドリの方は比較的大人びているというか達観しているようだ
詳しい関係はまだ聞けていないがおそらくこっちが姉だろう
「とにかくこれ以上部員の募集をしても明るい未来は見えない。…でも他に希望がある」
「そういえば『切り札』って何のこと?」
「私にも教えてほしいなモモイちゃん」
確かに気になる、いったい何のことだ?ここまで追い詰められてどうにかできるのならまさに切り札であるが…
「それはもちろん先生のことだよ!」
と、予想だにしない答えが返って来た
「・・・我か?」
「そう!われ!」
自信満々に何を言うかと思えば──はぁ…
「話を戻すと今から行く廃墟っていうのは「ユメ、ここまでだ。帰るぞ」
「えっ?」
「えっ!」
「………」
ユメとモモイが驚いた鳩みたいな顔をしてこっちを見ている
当たり前だろう。
「なっ、なんで!?手紙を読んで来てくれたんでしょ!助けてくれるんじゃないの!?」
「話を聞きに来ただけだ、聞いた結果すぐにでもシャーレの手が必要ならば助力するつもりだったが…」
「なに言ってんの先生!廃部だよ!?廃部の危機だよ!すぐにでも必要だよ!」
………やれやれ、全ての生徒にリンやホシノ、ユウカのような能力を求めるのは間違っている。なにせ相手は子供だ、本来モモイのような子の方が多いはずだから当たり前ではあるんだが…
「廃部を撤回させるためにお前が受賞すると言ったミレニアムプライス…だったか、ユウカの反応から見てもそこで受賞することは相当難しいことであり、また偉業と言ってもいいくらいの発表会なんだろう
無理だと決めつけるユウカに対してモモイ、お前は『準備ができている』『切り札がある』と言ったが…その切り札が今日やって来た我か?
廃部を避けたいのも分かるがお前のその場しのぎの発言で被る人の迷惑も考えろ」
「なっ…!違う!私にはちゃんと計画が…!」
「ほう計画、我は何一つ知らされていないが…もし計画があったのなら手紙等で先に知らせることもできたのではないか?」
「そっ、それは今から説明するから!」
「ひぃん…ギュメイ先生、ちょっと厳しすぎるよぅ…少しくらい手伝ってあげても…」
「ユメ、これは彼女達のためでもあるのだ
──その計画だが…我には信用できん、部費が有限であるように時間も有限だ
シャーレの手を借りたいと思っている学園は日に日に増えて来ている、もう民家の庭掃除をしていればその日の仕事が無くなるような状況ではない。時間を無駄にはできん」
「っ!!無駄になんかしてないっ!取り消してよ!!」
今までで1番大きな声を張り上げるモモイ
しかし事実は事実として受け止めてもらわなくてはならない
「・・・なら聞くが我らがここに来るまでお前達は何をしていた?
プライステーションがどうとか、ゲームに負けたとか聞こえて来ていたが…何もせず遊んでいただけじゃないのか?」
「うっ!?うぐっ…!」
「ひぃん、ギュメイ先生…もうそのあたりに「なんなの!?いきなりやって来ていじわるばかり!プライステーション壊してユウカの味方までして!」
「お前が投げ捨てなければ我も斬らずに済んだ
それにユウカの肩を持つのはユウカが正しいからだ。モモイ、お前は気付いていないようだがお前の思っている以上にユウカはゲーム開発部を守ろうとしてくれていたぞ」
ヒートアップしていくモモイとどこまでも冷静なギュメイ。
ギュメイの言っていることは確かに正論ではあった。しかしそれまでなるべく遠回しに、傷付かないようにと気を遣っていたユウカに甘えていたモモイにとってギュメイの言葉は耳に痛すぎる言葉で…
「なんで!アビドスは助けて私たちは助けてくれないの!?おかしいよ!」
「っ!ユメ達とお前を一緒にするな!」
思わず声を荒げてしまった、だが流石に我慢の限界だった
大人に騙され、利用され、どうしようも無くなってもなんとか自分たちで前へ進もうとしていた彼女達を我は知っている
自分のことばかりでわがままばかりな正反対のモモイと同列にされては流石に不愉快だ
「ギュメイ先生…私もホシノちゃん達も気にしないから…だから…」
「………!そうか…シャーレの先生が凄いっていう噂はウソだったんだ…!どうせ自分好みの生徒を侍らせて贔屓してるんでしょ!」
「お姉ちゃんもやめなよ…言い争ってても仕方ないしギュメイ先生の言ってることも正しいし…」
それまで無言を貫いていたミドリも止めにかかるがモモイは止まらない
「変態!スケベ!ケダモノ!いいよ!もうシャーレの手なんかいらない!あなた抜きでも計画はあるもん!廃部を阻止した後、あなたを使ってバカゲー作ってやる!ぜったい作ってやるんだからっ!」
「帰るぞユメ」
「でも………はい、分かりました…」
後ろから聞こえる罵声を無視し、我とユメはゲーム開発部の部室を後にする
…少し厳しすぎたか、正論ばかりでもいけないことは分かっていたのに
「………少し電話する」
「うん…」
…
…
…カチャッ
「…ユウカか?出て行ったばかりで悪いが少し話がしたい
…ああ、ゲーム開発部のことだ。
…分かった、エンジニア部だな?すぐに行く。
…ユメ?それは──いいのか?そうしてくれると助かる。
…礼を言う、後でな
やれやれ…やはり我に教師は向かんな…
ユメ、お前にも嫌な思いをさせた。すまない」
「………」
「詫びと言ってはおかしな話だがセミナーの生徒がここを案内してくれるそうだ
我はユウカと話があるからユメはエントランスでその生徒を待っててくれ」
「うん、分かった…」
分かりやすくしょぼくれているユメ
しかしあそこで助けては彼女達のためにならない、助けるばかりで導くことをしなければ誰かに頼り切りの人間になってしまう
…とはいえ嫌われてしまった我にその役目は無理だ、廃部になったあとのことはユウカに頼もう
「端末と紙の地図を両方渡しておく、何かあったら電話しろ
…また後でな」
そこでユメとは別れた。話をして、シャーレに戻り、別の仕事にかかる…そのつもりだった
しかしギュメイは忘れていた。ユメの行動力を。度を超えたお人よしで、そういう点で彼女はあの守護天使にも負けない優しすぎる生徒であることを。
「………」
ギュメイの背中が廊下の角に消えたことを確認して扉を開ける
「とりあえず私たちだけで廃墟に──っ!?なにさ!シャーレの手なんか…!」
「私は見捨てないよ!ね、モモイちゃんミドリちゃん!ギュメイ先生の代わりになれるか分からないけど…私でよければ手伝わせてほしいな」
・・・
「ユメさーん、シャーレからお越しのユメさんはいらっしゃいませんかー?
・・・むぅ、ここで待ってると聞いてたのに居ないじゃないですか
…もう帰っていいかな?いいよね!いないってことは案内なくても大丈夫ってことだろうし
ユウカ先輩にはテキトーに報告しとこっと!」にっはは〜♪
▽▲▽▲▽
現時点での各登場人物について
ギュメイ将軍
アビドスの問題を解決したことでキヴォトスでの知名度が一気に上昇。
シャーレの権力もさることながらゲヘナ風紀委員会やカイザーPMC相手に見せた圧倒的な戦闘力。そして1週間でゲヘナを静まり返らせた技量により様々な学園が彼に注目している
今回ミレニアムに来たのは単純にアビドスの次に送られてきた依頼だったため。
梔子ユメ
カイザー基地から救出されて以降、本格的にシャーレ所属の生徒として動く事に。
相変わらずおっちょこちょいであるがこのままではよくないと感じた彼女はアウルに頼み込んで軍略を学ぶ事に。
飲み込み自体は早いが実践経験が少なすぎるため頼りになるのはまだ先のようだ
鳥山アウル
アウル改めゲルニック将軍。かつてティーパーティ所属の生徒だったがアビドスの一件以降『ティーパーティの機密がシャーレに漏れる可能性がある』として除籍され、現在は新しい部活『梟の止まり木』を立ち上げて活動中。
なお最近ユメからやたら指揮について教えを請われており、面倒になった彼女は鬱にさせる気全開な厳しい指導を繰り返したがユメには全く応えていないらしい
才羽モモイ
ゲーム開発部の部員。廃部の危機をどーにかするためギュメイを呼んだがあっさり断られたことで若干パニック中。
数日前に見たという白い竜の話は既にゲーム開発部の仲間やユウカに話していたが誰も信じていないようだ
彼女は『見た!』と言い張っているが…
最近ゲルニック将軍推しの方にフォローされて暖かい気持ちになった作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで復活しました!長らくお待たせして申し訳ない…
ここからパヴァーヌ編がスタートします。とはいえ原作先生と違いギュメイ先生は『生徒だから』と言う理由で無条件に手を貸すことはしません
この場合自業自得だしね…
あとやっぱりゲーム開発部に対するユウカの姿勢がメチャ甘いなぁ、優しいなぁ、と思ったのでそこに対する心象も追加しました
『ギュメイのユウカに対する評価がみるみる上がっていく!』
ではまた明日…