果たして何ボロスなんだ…?
というわけでパヴァーヌ編第9話、お楽しみください
つまりあの子は…
「世界を終焉に導く兵器」
「『かわいい後輩』ですよね♪」
「………」
「………」
明星ヒマリと調月リオの密会、内容はアリスの正体とその処遇をどうするか。
また、エンジニア部を中心として調査・解析が進められている機械の魔神…キラーマジンガについての議題も出てはいたが
『時間をかければミレニアムの技術と超天才(以下略)の頭脳で充分再現できる兵器』としてリオに脅威と認識させなかったため特に深掘りは無かった
…もちろんキラーマジンガを渡すまいというヒマリの意思が込められているものだったのは言うまでもない
総括するとミレニアムの頭脳とも言える2人の生徒が話し合う内容はミレニアムの、ひいてはキヴォトスの未来を左右するほど重要なものであると言って差し支えないだろう
しかしそれに引けを取らない大事件がこことは別の場所で密かに起こっていた
同じ、ミレニアム自治区内で──
「アリス、いったいどうしたの?」
「このまえギュメイ先生がたくさん斬ってくれたとはいえロボットもそこそこいるのに…」
モモイ達ゲーム開発部は『早く早く』と急かすアリスに引っ張られ三たび廃墟に来ていた
といってもゲームを作るためではない、テイルズサガクロニクル2を出品し、ミレニアムプライスで特別賞を受賞したゲーム開発部は部の存続を認められ、廃部の危機は去ったのだ
…にも関わらずアリスは迷うことなくあの廃墟へと向かっていく
「ユズ、大丈夫?やっぱり部室に残っていた方が…」
「…大丈夫、仲間が危険な場所にいくかもしれないのに部長の私が閉じこもってちゃいけないし…それにロボットしかいないって分かってれば気が楽だし」
「アリス、そろそろ教えて?ここに何があるの?」
もうめぼしいものは残ってないと思うけど…と漏らすミドリ
しかしアリスは『そんなことありません!』と力強く答える
「あの日から時間が経ってしまいましたがアリスは確かに見たんです!黒い竜がこのあたりに落ちていくのを!」
「・・・え、竜?」
「もう、お姉ちゃんだけじゃなくアリスまで…」
「うえ!?いやだからホントに見たんだってば!真っ白で細長いドラゴンを…
っていうか黒?白じゃなくて?」
ずんずん進んでいくアリスに遅れないよう3人もついていく
やはり相当数ギュメイが斬っていたらしく、迎撃しながら進むのは簡単だった
そして──
「なに、これ?」ヒョイ
「鱗…みたいだけど」
黒っぽいプレートみたいな鱗を拾い上げ、よく見てみる
うん鱗だ。やたらデカいって点を除けば普通の鱗。
それに鱗…というか廊下全体から変な匂いが…
「ひゃっ!?」
「ユズ!大丈夫!?」
その時何かに驚いたユズがすっ転んだ
って、これは…
「血…?」
暗くてよく見えなかったが尋常ではない量の血の跡と匂いが廊下にこびりついている
全て乾き切っているがもし人間でこの量では失血死確定…というか足りないはず
奥に続いてる…
「お、お姉ちゃん、なんだかやばい気がするんだけど…前来た時こんなの無かったよね…?」
「か、か、帰った方が、い、いいんじゃ…」
藪蛇どころではないパンドラボックスだと確信したミドリとユズがそう言う中で、アリスだけはとにかく前へと進んでいく
そしてモモイも…
「お姉ちゃん!?」
「確かに怖いけど…でもこれだけ様子が変わっていれば前回無かったものがあるかもしれない!そしてそれはきっと、次のミレニアムプライスで優勝するのに使えるハズ!」
アリスに続いてモモイも進みだしたことで躊躇していた2人も結局進むことに。
そして、進んだ先には──
「・・・これ」
「・・・うん」
「
蒸気機関のような息遣いととんでもない『何か』の気配。
暗すぎてよく見えないが確かに4人以外の何かが奥にいる
『──失せろ』
「ひえっ!?ちょ、ちょっとぉーミドリ??変な声出さないでよー!」
「こんな低い声出せるワケないでしょ!」
「あ、あわ、あわわわっ…!」
奥から聞こえた恐ろしい声を幻聴とかミドリのせいにして現実逃避するがもはやそういう場合でもないらしい
『失せろ、と言ったのが聞こえなかったのか?
今すぐ消えよ…!』
ズシンズシンと足音と思いたくない音を立て、闇に覆われ見えなかった
「おお!やはりいました!アリスが見た通りの…!」
「え、これ現実?現実かな?ほっぺつねってみようっと」
「いたたたっ!?お姉ちゃん!普通自分のほっぺつねるでしょ!私のつねってどうするの!」
「わ……あ…」
人間くらいならひと呑みにしてしまえそうな大きな口とそれに見劣りしない無数の牙、ギラリとこちらを睨む瞳はまるでそういう魔法があるかのように私たちの身体を硬直させる
そしてその瞬間まで足だと思っていたそれは巨翼の先についた鉤爪であり、無骨なそれはどんな武器よりも恐ろしいと感じるほど
最後に気付いた翆色のたてがみのおかげで大蛇のように長い身体の全体像が見えた
「やりました!アリスは闇の竜をついに見つけたのです!」
「キヴォトスにドラゴンがいるなんて…!」
「ワイバーン、初めて見た…」
「いや呼び方統一しようよ!?」
緊張感の無いモモイのツッコミ。普段ならギャグで有耶無耶にできそうな気がするが目の前の怪物にそれは通用しないらしい
『消えろと言った…!これ以上うろちょろするなら…貴様ら全員焼き殺してしまうぞ!!!』
「「「ぎゃあああああっっ!!?」」」
竜の咆哮と口から漏れ出る紫の炎でようやく硬直が解け、我先にと逃げ出すゲーム開発部。
途中何度も転びながらも3人は廃墟の外へと逃げ帰っていった
そう、【3人】は…
『なんだ子供だったのか…む?』
竜がふと見下ろすと全員逃げたと思っていた子供の1人がまだ残っていた
『おいお前っ、まだいたのか!さっさと消えないと…恐ろしい目に遭わせるぞ!!!』
再び咆哮と闇の炎で子供を脅す竜だったが──
「あなたは喋れるタイプのドラゴンなんですね!あなたの名前はなんですか?」
『なっ…!?』
「あっ、私は天童アリスです!あなたの名前はなんですか?」
まるで憧れの相手を見るかのような尊敬の眼差しで少女がこちらを見上げてくる
『…お前、私を見てなんとも思わないのか?』
「驚きはしましたが怖くはありません!アリスは勇者です!こうして出会うことはきっと運命だったのです!」
こんな子供が勇者?と竜は困惑した
しかし自分を前にして全く物怖じしない者などそれこそグレイナルと共に私に向かってきた勇者くらいで──いや待て、さっきこの子供は私を一目で『闇の竜』だと…
まさか本当に…?
「む、よく見たら怪我をしています!それもかなり酷い怪我です!
しかし…どうすればいいんでしょう?アリスはヒーラーではないのでどうすればいいか分かりません、ひとまずギュメイ先生に…」
!!!
『ギュメイ、だと?』
その名前は確か帝国軍の──
「あ、アリスなにしてるの!?逃げるよ!」がし
「へ?あっ待ってくださいモモイ!まだイベントが終わってませ…わあああっ!?」ズルズル
戻ってきたモモイという少女に引きずられ、勇者を名乗る少女は行ってしまった
竜はしばらく考え込んでいたものの…
『…良い隠れ場所かと思ったのだがもうここにはいられないな』
グレイナルから受けたダメージは思いの外大きく、みじろぎするだけで傷が裂けるのではと思うほどの痛みだったがこのままここにいれば見つかってしまうだろう
『どこかで傷を癒さなくては…』
分の悪い賭けだが最後の手段として帝国軍将校を探すという手もある。だが奴らから受けた仕打ちを考えれば本当に最後の手段だ。
それか、もしくは──
『………天童アリス、か』
彼女が本当に勇者であるのなら、いずれ彼女の元に…
──その日勇者は、竜と出会った
朝起きたらメチャクチャ嬉しい言葉が届いててテンション最高潮のルルザムートです、ハイ。
というわけで勇者とドラゴンのフラグがしっかり立ちました
ここをグレイナルにするかは迷ったのですが『光』×『光』はドラクエ9本編でやってますし何よりこの話の主役はギュメイ将軍を始めとしたガナン帝国軍側の人物。
というわけで『光』×『闇』にしました、彼もなんだかんだ不遇な最期でしたし活躍させたいのでね…