ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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いただいた感想を読み返すのが楽しい…!
パヴァーヌ編第10話です、お楽しみください


強襲する光

「こちらシャーレ」

 

 

 

ゲーム開発部の廃部を阻止し、いざシャーレでレッドウィンター行きの準備をしていると電話が鳴った、相手は──

 

 

 

「モモイか、どうし──なに?

……分かった、すぐに向かう。…ゲルニック」

通話を切り、横で書類仕事をしている生徒…に化けたゲルニックに声を掛ける

 

 

 

「………安易にそっちの名前で呼ばないでくれます?ワタクシが盗聴器を破壊してなかったら筒抜けですよ」

「──バルボロスが現れた」

 

「!! …はぁ、ですからそういう重要なことをこんな場所で話さないでください」

「モモイが電話で伝えてきた時点でどっちにしろ手遅れだ。調査を頼んでいいか?」

 

「まったくあのおガキ様は本当に…だいたい最近はアビドスカジノの建設作業で忙しいのですが…」

「ゲルニック」

「──いいでしょう、座標を送ってください」

「頼む」

 

 

 

悪態をつきながらもミレニアムへ行く準備を始めるゲルニック

我もミレニアムに行く必要がありそうだ

「…嫌な予感がするな」

 

 

 

いつの間にかゲーム開発部と親しくなっていたユメはここ最近非番時は毎回のようにモモイ達に会いに行っていた

 

今日も朝から『ミレニアムに行ってきます!』と元気よく出ていったのはいいが彼女の携帯電話がここに置きっぱなしのため連絡が取れない

 

 

 

「ユメ…」

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

「ユメとアリスがいなくなった!?」

「多分、そのドラゴンを探しに行ったんじゃないかなって…」

 

再びミレニアムにやってきた我らだったが状況はあまり良くないらしい

 

 

 

「っ…!なぜ我が来るまで待てなかった!?これはゲームではないのだぞ!」

「ま、待ってギュメイ先生…モモイもミドリも、止めようとしたの…でもそのドラゴンが酷いケガしてたのはあの時私も見てて…

助けないとって言うアリスちゃんの顔を見たら…あう、私…」

 

 

 

半泣きでモモイ達を庇うユズに少し良心が痛むも今は気遣っている余裕はない

 

 

 

「……とにかくここの4人だけでは手に余る

ミドリはC&Cに連絡し事情を話して協力を仰げ!

モモイはユウカの元に行って避難誘導の準備をさせろ、下手すればミレニアムが無くなる!

ユズは当時の状況を文章化して我の端末に送ってくれ!」

 

「うぇ!?で、でも信じてもらえるわけないよ!ただでさえ白い竜の話をした時にホラ吹き扱いされてたのに!」

「ならば我に繋げ!我が話す!急げっ!」

 

 

 

メタルスライムを散らすように慌ただしくなるゲーム開発部。

ギュメイが来る前までは『不思議な体験をした』程度の認識だった彼女達であったが、ただならぬ彼の様子にようやく非常事態であることを悟ったらしい

 

 

 

「アロナ、ヴェリタスへ協力を要請して洗えるだけの監視カメラの映像を確認してくれ

竜かユメかアリスか、その誰かが少しでも映っていたら報告を!」

『は、はいっ!』

 

 

 

窓から飛び出し、とりあえず廃墟の方向へと足を向ける

 

 

 

「…まずいな」

 

 

 

モモイの話を詳しく聞くと謎のドラゴン…特徴から察するにバルボロスは既に満身創痍の状態だったらしい

 

天使の力を使っていないとはいえ闇竜をそこまで追い込むことのできる存在など『奴』しか思いつかない

 

 

 

バルボロスと同じくグレイナルが生徒を狙うとは考えられないが可能性の話として、もし2頭の決着がまだついておらず、そしてもしアリスとユメがバルボロスを見つけて助けようとしたら?

もし──それをグレイナルが見つけたら?

 

バルボロスはおそらくミレニアムのどこかにまだ隠れているはずだしグレイナルもそれを分かっているはず

 

 

 

『ギュメイ先生、ユウカさんから電話です!』

「繋げ!…ユウカ!」

『ぎゅ、ギュメイ先生?あの、今モモイが飛び込んできてドラゴンがどうとかって…先生に聞けば分かるって言ったんですけど…』

 

「全て事実だ!事情はあとで説明する、頼む!今は何も言わずに協力してくれ!」

『…!分かりました!…モモイ、何があったかもう一回教えて。ノア!手伝って!』

 

 

 

それ以上聞き返すことなく手を貸してくれたユウカに感謝しつつ走る

既に廃墟には居ないだろうがあそこは既にゲルニックが向かっている。痕跡さえ残っていれば彼女なら追えるはずだ

 

 

 

「ともかくアリスとユメを連れ戻さなくては」

いや2人だけではない、全ての生徒をミレニアムから避難させなければ

下手すれば2頭の戦闘でミレニアムは跡形も無く消し飛ぶかもしれない、一刻も早くドズンッ…

 

 

 

! なんだ!?

 

 

 

落下音…かなり遠いが確かに聞こえた、音の大きさから相当大きなものが…

 

『! ギュメイ先生!ミレニアム自治区外郭に謎の落下物確認!これは…キヴォトスの生物ではありません!』

 

くそ、よりによってこんな時に…!

 

「回り道している時間はない!障害物を斬り刻んで直進する!」

『わ、分かりました!』

 

 

 

間に合うか…!?

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「な、な?なんだコイツは…!?」

「ひぃん…何が起こってるの…?」

「あなたはあの時の…」

 

 

 

ドラゴンを探してミレニアムの外れを歩いていたアリスとユメ、そしてC&Cの任務中でたまたま出会ったネルが彼女らにゲームの誘いをしようとした時、そいつは降りてきた

いや、落ちてきたと言う方が正しいか

 

 

 

『ゼェッ…ゼェッ…見つ、けたぞ…勇者アリス…』

「ひ、ひどい!ひどいキズです!いったい何があったんですか!?」

 

廃墟で見た時よりもさらに負傷が増えていたドラゴンにアリスが駆け寄る

もちろん手当ての仕方なんて知らないアリスができることは無かったが『そんなことよりも』とドラゴンは話し始める

 

 

 

『天童アリス…!お前は勇者か…?』

「へ?アリスのジョブですか?アリスは勇者で『いやもうこの際勇者でなくとも構わん!天童アリス、お前をこの闇竜バルボロスを駆る竜戦士として認める!私の背中に乗れ、早く!』ぱく

「えっ、あー!」ぺいっ

 

 

 

バルボロスと名乗ったドラゴンは答えも聞かずにアリスの首根っこを咥え、自身の背中に放り投げた!

 

『…!?見かけに似合わず重たい勇者だ、だがこれなら…!』

「て、てめー待ちやがれ!そのチビをどうするつもり【ギガデイン】

 

 

 

ネルが伸ばしかけた手はいきなり落ちてきた落雷によって引っ込めざる負えず──

 

『く!もう追いついて来たのか!?飛び立つぞ、振り落とされるな!』

ドラゴンはネル1人を残して飛び去ってしまった

 

 

 

 

 

 

『ネル』

「──ああリオか?言っても信じないかもしれねーが」

『いいえ信じるわ、だって見ていたもの。

………しかしこのまま行くとあの竜がたどり着く先は…』

 

 

 

通話口の向こうが言い淀む

「…リオ?」

『あれは私で対処するわ、あなたは引き続き任務を続行して』

 

「はぁ?あんなモン見せられて黙って仕事しろとでも言うのかよ?」

『こっちも放置できる案件ではないわ、ともかくやって』

「………ああ了解だ」

 

 

 

預かっていた通信機を握り潰し、黒いドラゴンとそれを追いかける白いドラゴンの背中を見上げる

 

ドラゴンだけなら任務を遂行したが…目の前で友人が攫われてンのに無視なんてできるわけねぇ

 

「──ドラゴンだろうが関係ねぇ、あたしのダチに手を出したらどうなるか思い知らせてやる

おいアビドス生!お前は先に戻って…あ?」

 

…あいつどこにいったんだ?──まさか

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

『く…!』

 

天童アリスとは別にもう1人の子供もしがみついていたのは仕方ないとして──

 

 

 

『グオオオオッ!!』

 

「! また火球が来ます!」

『分かっている!』

 

火傷や裂傷でズタズタになっている翼を全力で羽ばたかせひたすら逃げる

おのれグレイナル!どうあっても逃がさないつもりか…!

 

 

 

光竜グレイナルと闇竜バルボロス…そして聖なる心のアギロゴスは元は1つだった。

だが3つに分かたれた時アギロゴスは幽閉され、光と闇に分離した我らはそれぞれ違う人間の勢力について争うことになった

 

私は私の意思でガナンについたわけでは無かったが…いや、これは言い訳か

とにかくガナン帝国は既に消滅し、私を操っていた大天使エルギオスも正気を取り戻して星に還った。あとは私とグレイナルが聖なる心の元へ帰るだけ…

 

──それなのに

 

 

 

対立する理由は既に無いにも関わらず空の英雄は300年前と同じ、いやそれ以上のチカラと殺気を込めて攻撃を仕掛けてくる

 

どういうことだグレイナル…?もう殺し合う理由も無かろうに、異世界にまで来てなぜ…

「バルボロスさんっ!」

『! くそっ…!』

 

 

 

こっちの思考などお構いなしに飛んでくる火球はもはや横殴りの流星群であり、とても全ては防ぎ切れずに被弾していく

 

「ひぃん!?」

「こ、このままじゃマズいです!アリスがなんとかします!光の剣で…!」

『よせ!避けられるだけだ!』

「でも何かしないとアリス達はぜんめつしてしまいます!」

 

 

 

そんなことは分かっている、だが私の闇の炎もドルモーアもほとんど効かなかったのだ

余力を考えなければ1発、ドルマドンを唱えることはできるがドルモーアで効かないのなら焼石に水だろう

 

もうできることなど逃げることしかない、竜戦士の騎乗によって空を飛ぶ力はなんとか取り戻しているがその力もいずれ尽きる

なんとか振り切らなければ…

 

 

 

「あ、アリスちゃん、ドラゴンさん聞いて!作戦がある!」

「む!」

『なに…?』

 

作戦だと?

 

 

 

「教えてくださいユメさん!」

「そ、その前に…ドラゴンさん!」

『ドラゴンさんはやめろ!私は闇竜バルボロスだ!』

「ドラゴンの耳ってどこにありますか?」

 

・・・

 

『「はぁ?」』

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

『………』

 

追いかける。

 

稲妻を打ち鳴らし、自身の喉を焼く程の火球をバラ撒きながら、かつて空の英雄と呼ばれた白い竜はバルボロスを追う。

 

 

 

バルボロスを殺せ、という命令はされていなかった。目的はあくまで無力化。

殺してはいけない人物の名前もいくつか示されていたが天童アリスと梔子ユメの名前が無い以上は攻撃を緩める必要はない

 

 

 

『………【ギガデイン】』

 

 

 

疑問も躊躇も無い、かつて人に頼られ、愛され、敬われた空の英雄はそこに無い

歯車の壊れた機械のように、そこに英雄の意思はほとんど残っていない

そこにあるのはより良い未来、理想の未来を願う人間の意思だけが──

 

 

 

『グレイナルゥッ!!!』

『!』

 

 

 

それまで逃げの一手だったバルボロスが急停止、300年前と変わらない闇の火炎を吐き出してくる

 

『ガアッ!』

 

こちらも光の火炎を吐き出して闇の炎を焼き尽くし、そのまま炎の壁の向こうのバルボロスを──

 

 

 

『ぐっ!?ぐあああっ…!』

「うわぁっ!!し、白い炎が…!」

 

半分ほど防いだものの、それでもグレイナルの光の炎は勢いを止めずにバルボロスを焼いていく

もうバルボロスに逃げる体力は無い、これで

 

がしっ

「ひぃん!?おっ、落ちる…!」

 

 

 

!?

 

 

 

炎同士の炸裂と撃破したバルボロスに気を取られ、飛び乗って来た翠髪の人間への対処が一瞬遅れる

だが無駄だ、キヴォトスの武器で竜の身体を傷付けることなど──

 

 

 

「ごめんね…!えいっ!」

ドンッ!

 

『っ!!?』

 

 

 

そう、傷付けることなど出来はしない

だから少女はただ攻撃するのではなく竜の耳を狙った

 

火山山頂に居ても麓の音が聞こえるほどの優れた聴力は弱点にもなり得る、耳元というか耳の内側で爆裂した散弾銃の撃発音は光竜の鼓膜を破ることこそ無かったものの一瞬、ほんの一瞬脳を揺らした

 

 

 

『グオッ…!?グ、ガアアアッ!!』ブンッ

「ひっ!きゃああっ!」

 

 

 

最優先で排除すべき対象を更新し、頭上の人間を振り落とす

だが落下死するまで待つつもりも無かった竜は落ちていく人間目掛けてギガ『【ドルマドン】』

 

 

 

『グオッ!?』

 

 

 

詠唱しかけていたギガデインを潰され、改めて意識がそっちに持っていかれる

バルボロスがまだ墜ちていな──っ!奴の背中に誰もいない…!?

 

 

 

「っ、今だよアリスちゃん!」

『今だ勇者…!叩き込めッ!!』

「はいっ!魔力充填100%…!」

 

 

 

! 真上に「光よっ!!!」

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

『………やはりエリドゥ内に落ちるわね、トキ』

「はい」

『梔子ユメさんの救出を。』

「イエスマム」




しっぷう付きが使えるなら一閃突きも使えるのでは?と最近思い始めてる作者のルルザムートです、ハイ。
Ⅸ原作では覚えないどころかそもそも存在しないデイン系呪文ですが宝の地図にてどう見てもギガデイン級の威力で『荒れ狂う稲妻』を撃ってきているので覚えてもらいました
没になっただけでデイン系も出る予定だったらしいんですけどその名残りですかね…
あと描写が楽(←おい)
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