…パヴァーヌ編第13話です、お楽しみください
『魔王』…ゲームの中で最も分かりやすくて有名な悪役であり、罪もない村人や町人を傷付け、最後は倒される悪。
悪を討ち倒す勇者になりたかった。仲間と力を合わせ、困難に立ち向かい、みんなを救うヒーロー。
──でも勇者は仲間を傷付けたりはしない
ユメさんの制止を振り切り、彼女の元へ
「! 戻ってきた…?」
「アリスは…もう仲間を傷付けたくありません
…アリスが消えれば、これ以上みんなを傷付けなくて済むんですか?」
「そうよ」
「………分かりました」
唯一残った勇者の証である光の剣を手放す
だって自分は、勇者ではないのだから
▽▲▽▲▽
「ミドリ、ユズ、無事か?」
あの後とんでもない妨害を受けながらもなんとかミドリ達と合流したギュメイとユメ
できればアリスも連れ帰りたかったが…
「ギュメイ先生!アリスは!?」
「………自分からリオの元に行った」
「行ったって…なんで止めなかったの!?」
「ち、違うよミドリちゃん、その時ギュメイ先生は…」
ガシャ…
「? なんの音?」
…もう次が来たか
「すぐにアウルのところに戻るぞ、まずは体勢を立て直す」
我とユメが通ってきた通路から聞こえる駆動音
数は4、いや5か
ぬ、と這い出てきた
「うわっ、アイツってエンジニア部で暴れたヤツ?」
「おそらくリオが解析して量産したのだろう、我が戦った奴程の強さは無さそうだがな」
キラーマジンガ…によく似たそれらを一蹴しつつアウルの元へ
ARMSと呼ばれる機械の群勢だけなら我らだけでも問題ないがまさかあの殺戮兵器を量産していたとは…
現時点で既に50機は斬っているはずだが追手が止む気配がない
「先生、こっちです!」
「ああ」
とはいえリオも本気で我らを排除しようとする意志は無いらしく、そこまで苛烈な追撃は来ていない
あくまで追い出すだけに留めるようだ
向かってこないことが分かるとキラーマジンガのコピー…さしずめコピーマジンガ達もARMSと共に中心部へと戻っていく
アウルと合流したのは追手が止んですぐ後だった
「ではお使いお願いしますねフラッグ…
──おや?お早いご帰還で」
「前置きも皮肉もいい、お前の知恵を借りたい」
「それが人にものを頼む態度ですか?
ま、構いませんが…後ろの彼女もお仲間としてカウントしていいので?」
「へ?後ろ?」
「………ああ」
ミドリ達は気付いていなかったが、途中からついてきていた
「仲間だ。…さっきはいきなり攻撃してすまなかった、降りてきてくれ」
ほんの少しの間を置き、彼女が目の前に飛び降りてくる
「ネル」
「ったく、いきなりブッ飛ばしやがって」
悪態をついてはいるものの殆どダメージを受けていないようでそこは安心できた
「さててめぇら、これからあのチビを…あ?なぁ、その…」
「ん?ああ、自己紹介してませんでしたね
ワタクシはアウル、シャーレ所属のトリニティ生です」
「いやそれはいいんだが…なんだそりゃ、モモイの像か?」
「あー、これですか?もうそろそろ戻ると思うんですが…」
頭に疑問符を浮かべながらペタペタとアストロン状態のモモイに触れるネル
元の世界でも見たことのない魔法だったから我も気になっていたが…
「うぎゃあああああ!!死んだぁぁぁ!!!」
瞬間、キヴォトスの外にまで聞こえそうな叫びというか悲鳴をあげながらモモイが飛び起きた
疑っていたわけではないが一応元に戻ってよかったと言ったところか
「あれっ、アリスは?それになんか場所がいきなり…あ、ネル先輩?うずくまって何をしてるの?というかいつ来たの?」
「………耳っ、元、で」
「へ?」
「いきなり叫ぶんじゃねぇぇぇ!!!」
「ぎゃあああああっ!?」
そして…
▽▲▽▲▽
ユメ達と別れ、相変わらずの無人都市をネルと2人で歩く
「ふざけやがってこんな作戦…あのクソガキ…」
「やはり我がやろう、成功はするだろうがいかんせん子供に犠牲を強いることはしたくない」
『勝手に人員異動しないでもらえます?これが1番崩しやすい手なんですから』
会話を盗み聞きしていたアウルから野次が飛んでくるが今回ばかりは文句の1つでも言いたい
…まぁここまで非情になれるからこそ帝国軍第二将という地位につけていたと言えばそうなのだが
ザッ
「…出やがったな」
「………」
アリスのいるタワーが見えてきた頃、彼女は現れた
峰打ちのダメージは完全に消えたらしく、あの時使い損ねていたアーマー?のようなものを身に付け、我らの前に立ちはだかる1人の生徒
「…C&C コールサイン 04、飛鳥馬トキ」
「覚えていただき光栄です、ギュメイ先生」
「色々と話したいことや聞きたいこともあるがそんな時間も無い、押し通るぞ」
ネルを援護に回らせ、トキ──の後ろにそびえるタワーへ全力で向かう
もちろん彼女が黙って行かせるわけがなく、アーマーから展開されたガトリング砲が火を吹くが
「邪魔すんじゃねぇ!」
ネルの妨害とギュメイの剣術によって弾丸が彼に届くことはなく、驚くほどあっさりと門番を抜いていく
「ネル、任せていいんだな?」
「ああ」
…作戦通りに行けばまず間違いなくネルに血を流させることになる
速さが勝負とはいえこれはやはり…
「いいんだよこれで」
と、こちらの心境を感じ取ったのかネルが答えた
「本当にいいんだな?」
「くどいんだよ!行けっ!!」
「──分かった」
1人トキと対峙するネルを置いてタワーへ向かう
と、そこへ
『ギュメイ先生』
「リオ」
リオ…のホログラムが現れた
最後の警告と言ったところか
『ギュメイ先生、あなたは「今お前と話しても時間の無駄だ、アリスを取り返した後でいくらでも話をしてやる
…我をここまであっさり通したのは伏兵がいるからだろう?
今すぐ出すがいい、1つ残らず叩き斬ってやる」
『………ギュメイ先生の強さはしっかり調べた。そしてあなたを正面から止めるのは非合理、というか不可能だと判断したわ。
だから…それなりの戦力であなたに対処する』
「具体的には?」
『いくら剣術に秀でていようと剣が無ければ意味がない。故にその刀が折れるまで攻撃を続けさせてもらうわ
………アビ・エシェフに電力を割いている間、細かい指示が効かないのよ
だから──死ぬ前にエリドゥから出てちょうだい、先生』
リオのホログラムが消えたと同時に前後左右、果ては上や地下からわらわらとコピーマジンガが現れた
…どうやら我は相当警戒されているらしい、おそらくエリドゥ内で動かせる全てのマジンガをここに向けているようだ
数はざっと見ても60から70、今も増え続けている
だがそれがどうした
複製されたキラーマジンガにはオリジナル程の強さが無いことは分かり切っている
数で潰せると思っているのならそれは間違いだ
「………我の刀を折る、か」
できるものならやってみろ、リオ
▽▲▽▲▽
「やっぱりこっちには誰も来てないみたい」
「よしっ、じゃあさっさと突撃してアリスを取り戻すよ!!」
「お姉ちゃん、一応リーダーはユメさんだから勝手に動くのは…」
「まだ大丈夫だよ。…うん、大丈夫。」
ギュメイ先生とネルちゃんは作戦通りトキさんとキラーなんとかって兵器を止めに行った
今のうちに私とゲーム開発部でタワーに忍び込んでアリスちゃんを連れ出す、そういう作戦だけど…
「………」
「ユメさん?」
…作戦前に言われた言葉が反芻する
▽▲▽▲▽
「──ま、こんなところでしょうか?この戦いはエリドゥ内の敵勢力を叩き潰す戦いではありません
アビドスの時のように兵力も十全ではありませんしひとまずアリスさんを連れ出すところまでで妥協しましょう」では解散
各自納得しながら配置につこうとしていたがそれに待ったをかけた生徒がいた
「おいトリニティ生、人選はそれでいいのか?」
「おやネルさん?何か問題でも?」
「あたしとギュメイ先生が囮になるのはいい。
だが別働隊のリーダーをソイツに任せていいのか?」
彼女の言う『ソイツ』とはもちろん私…梔子ユメのことだ
「別に負けるつもりはねぇが最後まで戦わず、横からあのチビを掻っ攫って退くのが作戦ってならこの人選には疑問が残る
テメーの本質はかなりクズ寄りみたいだがアビドス砂漠の一戦はこっちも聞いている、別働隊はお前が率いた方がいいんじゃねぇか?」
「小学生みたいなナリのくせに人をクズ呼ばわりとは随分言ってくれますねぇ」否定はしませんが
ネルちゃんの言うことは分かる、この作戦の要は別働隊の私たちがアリスちゃんを取り返せるかどうかにかかっている
私も何もしなかったわけじゃない、ギュメイ先生の役に立つためにアウルさんにお願いして色々勉強していた
ホシノちゃんやギュメイ先生みたいに強くはなれなくてもできることはあるはずだ、と
でもまだ私は…
「…これが正しい人選です。アナタたちが思っている以上に梔子ユメは頼りになりますよ?」
迷う私にアウルさんは言い切った、これでいいのだと。
「ユメさん、あなたはノロマでグズで小心者な上に戦闘技能も無いトラブルメーカーな困った人ですが」
「ひぃん…」
庇われたと思ったら貶された!?
「………アナタはアナタが思っているよりも人を使う才能、ありますよ?」
「へ?」
「む…」
何故かギュメイ先生が少し反応をしていたがその時の私は気付かなかった
だって勉強の時もシャーレの仕事をしている時も基本的に毒しか吐かないアウルさんが初めて私のことを…
「──いいですかユメさん、指揮官に必要なのは何よりも冷静さです
何がどうなろうと冷静さを失わない胆力…正直それさえあれば並の相手ならどーにかなります
…さて、続きの文は?」
「…相手の欲望を知り、相手にとって1番嫌な手を使う…だっけ?」
「よくできました。ま、何も敵を倒すだけが勝利に繋がることとは限りませんからねぇ
現場の判断に委ねますよ」ワタクシは囮組に回るので。
▽▲▽▲▽
そこでアウルさん達とは別れた。
予想通りリオさんはギュメイ先生とネルちゃんを止めるためにトキさんとロボットの殆どを回しているみたいでこっちは静かだ
とはいえ──
「! ユメさん、ロボットが来たよ!」
前方の様子を伺っていたミドリちゃんか叫んだ
「どっち?刃物持ってる方?」
「ううん、アームズって呼んでた方!」
やっぱり全部ギュメイ先生達の方に行ってるんだ、これなら…!
「あんなやつらに構ってられない!ユズ!ここは力づくで「攻撃しちゃだめ!ミドリちゃんはこっち!ユズちゃんは隠れて!」
今にも突撃しそうなミドリを引き留める
相手の欲望…それはアリスちゃんのヘイローを壊すために私たちをエリドゥから追い出すこと…
アリスちゃんのことを知っていたならゲーム開発部と私が廃墟に行っていることは知ってるはず。少なくとも廃墟付近のロボット群よりたくさんのロボットが無いと止められないとリオさんは分かっている
でもミドリちゃんが撮ってくれた映像の中のロボットはちょっと少ない、これでは足止めしかできないはず
…多分、無理に強行突破しようとしたら新しいロボットが別の場所からやってくる
と、思う、きっと。
タワーが見える位置でロボットが現れ始めたのも私たちを焦らせるためだ、ギュメイ先生とネルちゃんもタワー近くまで来てるけどそこから動けていないみたいだし
しかし回り込む時間も無い、あれは一瞬でやっつけて先に進まないと
「気付かれた!」
「大丈夫!ギュメイ先生達を止めてる間、ロボットは細かい判断ができないから…
このまま引き付けるよ!」
ARMSが撃ってきた弾丸を盾で弾きつつ、ミドリちゃんと一緒に後ろへ
もうちょっと…!
「…!今だよ!攻撃っ!」
無機質に前進してくる機械兵達を引き付けユズ、ミドリ、ユメで挟み込んで一気に猛攻をかける!
「ミドリちゃんとユズちゃんは合流しながら機械兵をやっつけて!
あとは私が真横から…!」
予期しない3人だけの包囲網を受けたARMS達は一瞬怯んだものの、すぐに自動迎撃に切り替わったのか反撃を開始。
しかし──
ガガガンッ!
「っ!やっぱり、そこまで複雑な命令はされてない!」
中距離を保って攻撃を続けるミドリ達には目もくれず、敵の殆どは盾で固めた私を狙ってきている
少なくとも私がここから離れない限り、モモイちゃん達は狙われない!
身を守りつつ、盾の陰からショットガンを連発して挟み撃ち。思惑通り一瞬でやっつけることに成功した
「倒した?倒したよね!よし!じゃあアリスのところに急ごう!」
「まだダメ!慌てないでミドリちゃん!」
確かに今のロボット達は倒したけど今のとは別のロボットが待機してるはず
「残りのロボットを倒すまで進むのは危険だよ、多分次が来るから…」
「でも…ユメさん、なんか他のロボット達逃げていくよ?」
「え?」
キャララララ…
…キャタピラの音?
『──こんなに早く出す事になるとは想定外だったけど仕方ないわ
ここに用意した兵器はどれもあなたたちと戦うためのものではないの、これ以上失うわけには行かないわ』
「会長の声…うん!?わっ、なにあれ!」
ビルの陰から、いや2つに割れたビルの中から現れたのは…その、なんていったらいいのかな…
変、というかおかしな…じゃなくて、ええと…
『…アバンギャルド君、発し「「ダッッッサ!!」」
(※今回の後書きはちょっと発狂する上に本編と関係ないので読まなくても大丈夫です、ハイ。)
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夏イベのミニゲームが難しすぎて割と本気で発狂している作者のルルザムートです、ハイ
ヤシの木かクロノス報道部のどちらかに壊滅or半壊させられるんだがこれなんとかなりませんこと?
だいたいクロノスはともかくヤシの木ってお前…
しかもイチカのカケラが報酬に入ってるからスルーもできない上に1週するだけでやたら長いし…
あ、カードイラストはどれもメチャクチャ大好きです(特にセイア)
というわけでこのモヤモヤを解消するためワタクシ発狂しますね
あああああ!ワカモかわいい!恥ずかしくなって逃げちゃうのかわいい!狐耳ピコピコかわいい!ふわふわ尻尾かわいい!先生のためなら、って自制の努力してるのかわいい!先生のためにチョコレート作るのかわいい!かわいいだけじゃなく超強いのかわいい!陰ながら先生を守ろうとしてくれてるのかわいい!狐属性かわいい!んちゅちゅっちゅー!
…まぁ、はい。これで心身リフレッシュ。というわけでまた明日…