パヴァーヌ編14話です、お楽しみください
『【メタル斬り】っ!』
「銃も持たずにあの数を…これがシャーレの先生…」
映像越しに見えるギュメイの戦いぶりにリオは小さくため息をつく
…ヒマリとの会談で一度はいらないと割り切ったキラーマジンガ。念のためトキに調査を頼んで正解だった
今エンジニア部に現存しているであろうオリジナルには及ばないにしてもARMSと比べればその戦闘能力は歴然。
…そのはずだが量産したキラーマジンガは既に半分近くがギュメイ1人の手によって破壊されている
「…どうして分かってくれないのかしら」
生徒に理解されずとも大人である彼なら分かってくれると思っていたのに。
これほど強く、頼りになるであろう大人と敵対している事実が未だリオには残念でならなかった
だが敵対したのならそれまで、これまでと同じように排除するだけ
彼の強さは異次元であり、正面から止めることは非合理的を飛び越え不可能だが…それは刀という武器あってのもの。
いくら彼自身が強くともこれだけ斬っていれば刀の方が保たなくなる
そうなればギュメイ先生に打つ手は無い
あそこはいずれ決着がつく、むしろ心配なのはこっち──
「トキ、ネルは?」
『異常です、鼻と目からの出血量が増え続けています。このままでは…』
──まずいわね
トキを止めに入ったネルの様子がおかしい
速度は遅くなったが今度はアビ・エシェフの予知が機能しなくなった
それでもトキ自身のスペックで抑え込めてはいるが相当な無茶を通しているようで被弾していないはずのネルが死にかけているのが映像越しでも分かる
「ネル、いい加減退いてちょうだい。よりによって内輪揉めで貴女を失いたくはないわ」
『ブバッ…ゲっ…そりゃあ…長い付き合いだからか…?それとも戦力としてか…?
どちらにせよお断りだ…!』
通信機で説得を試みるが聞く耳を持たないネル
だがここでトキを退かせるわけにもいかない
………ごめんなさい、ネル
この先のミレニアムを考えれば絶対に避けたかったがもうネルを切り捨てるしかない
何をどうしようと名もなき神々の王女を再起動させるわけにはいかないのだから。
…そして最後の戦場、アバンギャルド君で対処している別働隊は──
▽▲▽▲▽
「やああああっ!」
盾を構えてアバンギャルド君へ突撃。
当然鉛の嵐に晒されるがここはもう仕方ない
「痛っ!ま、負けない…!」
高さも角度も違うミニガンとライフルの銃撃全ては防ぎきれず、肩や足に被弾してしまうがそれでもお構いなしに突っ込む
このロボットの目的は私たちを誰1人進ませないこと…強引にでも裏へ回ろうとすれば攻撃は更に激しくなる
ガガガガッ!!
だが私1人に集中する分、ミドリちゃん達への攻撃が弱まる。そこを突けば…!
「ぐっ…!ミドリちゃん今だよ!
右腕を攻撃してっ」
「っ!」ダダダダッ
ミドリの撃った銃弾がバズーカを持つアームの関節部分を削り取る
アヤネちゃんの言った通りだ、どれだけ頑丈な機械でも駆動場所…人間で言う関節にあたる場所は弱い!
だが流石はミレニアムのトップが作った兵器、それまであまり攻撃に反応しなかったロボットが関節を狙われた瞬間ミドリの方へ──
【ギギッ】ジャギッ
「うわっ!」
「ミドリちゃんは下がって!ユズちゃん、お願い!」
「うん…!」
自動修復機能があるかは分からないがあったとしてもそうはさせない
ミドリを迎撃しようと旋回したロボットを待ち構えるように配置に付いていたユズが再び右腕を攻撃する
【!】
ギャリギャリとキャタピラを回し、今度はユズの方に旋回するロボット
だがこれだけ旋回すれば
「私が攻撃できる…!」
ホシノちゃんから預かったショットガンを右腕に撃ち込み、さらにロボットの注意を掻き乱す
あの変なロボット、変な外見に似合わずとっても強いけど弱点もあった
…最初から完璧な強さだったんだ、けれど完璧すぎて自動学習機能がついていない
あのリオって人は用意周到な生徒だからきっとどこで出しても絶対に勝てるって確信があってロボットを出したはず
でも学習無しのロボットだけでは限界がある
「こ、これは…?」
「…!パターンに、入った…!」
3人で囲みながら執拗に右腕を狙う
あれさえ壊せばロボット右側の武装は盾だけ、側面から危険無く攻撃できるなら勝てる!
──しかし安心するのはまだ早い
「2人とも油断しちゃダメ!」
きっとリオさんは今もこの状況を見ているはず、とすれば必ずその時がくる
「………」
…アヤネちゃんが言うには、基本的に無人機の整備や調整は遠隔で行わない
できないことはないが設定を切り替える瞬間どうしてもロボットが無防備になるからだ
もちろんロボットをメンテナンスする整備士の腕によって無防備な時間は少なくなる
けれど、どれだけ優秀でも絶対にゼロにはならない
ユズちゃんの言う『パターン』を崩された瞬間、3人とも吹き飛ばされてもおかしくない
けれど、その崩れた瞬間を狙えれば──
──────ピタッ
「…!動きが止「一斉攻撃!!!」
多分生まれてから1番大きな声を出したと思う声量で2人に指示を飛ばし、自分も攻撃
そして──
バギンッ
バズーカを装備していた右アームが関節部分から砕け散った!
「壊れたよユメさん!」
「よ、よしっ!このままロボットの右側から攻撃し続けて!」
これでもうあのロボットは私たちを攻撃できない、アームが4つもあるのは駆動限界を補うため…ならこれで──『勝った、と思うのは早いわ』
「「「!」」」
ふと聞こえたのはリオの声、だがそれに気を取られたのが良くなかった
「あ…!あのドローン、ロボットのアームを吊り下げてる!」
「落として、早く!」
「だめ…!バリアが…!」
『…完璧かと思ったけれどまだまだ改修が必要だということがあなたたちのおかげで分かったわ
けれどここまでよ』
壊れた右腕がパージし、たった今届いた新しいアームに取り替えられた
もちろんバズーカもセットで。
『お願い、もう諦めてちょうだい』
「………」
ドローンから投影されたリオがこっちを見据えて呟く
…本当にやりたくないんだろう、あまり表情の起伏は無いがそれでもこれが本意ではないことが伝わってきた
「──やりたくないならやめればいいのに」
『そういうわけには行かないわ、私がやらなくては誰もこの危機に対処できない』
「そもそも1人でなんとかしようとするのが間違ってるんだと思うよ」
実際私もそうだった、あの時はそれが最善だと信じて疑わなかったけれど…ギュメイ先生やアビドスのみんなのおかげで間違いに気付けた
『…トキ以外、私に力を貸してくれるような人は…』
「それは──リオさんが歩み寄らないからだと思う、上手く言えないけど…
たまには無責任に『助けて』って声を上げるのも大切だと私は思うな」
『………』
ホログラムのリオさんは何か考え込んでいる
…ほんとは卑怯でイヤだけど、これを逃がす手は無い
「──お願い、モモイちゃん」
「イエッサーっ!」
『!?』
それまで隠れていたモモイがアバンギャルドに飛び移り、完全に死角となった場所からこれでもかとアーム目掛けて銃弾を浴びせた!
案の定リオさんはものすごく驚いてる
それもそうだ、死んだと思っていた人物がいきなり現れたのだから
『才羽モモイ…!?これはどういう──』
「これはオマケだよっ!
うおおおあ!C&Cボンバー!」
ついでと言わんばかりに『鏡』強奪戦でアカネさんが使ってた爆弾もアームに投げつけ、バズーカのアームだけでなく、残る2丁分のアームも粉砕した!
というかモモイちゃんいつの間に拾ってたんだ…
「っと!これでいいんだよね?ユメさん!」
「うん!さあアリスちゃんのところに行こう!」
きっとアームの予備はまだまだあるんだろう、けれど私たちの方が速い
予備のアームが届くより、私たちがタワーに突入する方が速い!
もうあのロボットに用はない、丸裸同然になったそれに踵を返して全員でタワーへ向かう
だが、それがいけなかった
『──シールドパージ』
「っ? え。」
最後の最後で油断していた、もう脅威は無いと
本体から切り離された盾の裏から見えたのは、大口径のリボルバー拳銃。その銃口がモモイをしっかりと捉えている
「!! モ──」
助けるべきじゃない、今あそこに割り込んだところで後が続かない
『いいですかユメさん、指揮官にとって最も大切なのは指揮能力ではありません
たとえ危機に陥っている仲間がいても、それを助けるのはあなたが従える部下の役目です』
『なら…もし自分以外誰も助けられない状況ならどうするの?』
『決まっているでしょう?見捨ててください
助けられない者を無理して助けた結果、自分と仲間を危険に晒すのはただの馬鹿です
指揮官が倒れれば結局全滅するんですから当然の話ですよ』
『………』
──ごめんなさい
やけにスローモーションな世界にて、私は心の中で謝罪をする
助けるべきじゃないんだ、見捨ててアリスちゃんを助けに行くのが正しい選択。だから…ごめんなさい。──アウルさん
「モモイちゃんっ!!」
間違っていると理解した上で、私は飛び込んでいた
明らかに人に向けて撃つような大きさではないリボルバー拳銃から放たれた鉛玉から身体を張ってモモイを守る
「あうっ…!」
ものすごく痛い…!痛いけど…今は我慢しなきゃ…!
後頭部に直撃した鉛の衝撃にふらつきながらもなんとか立ち上がる
「ユメさんっ!」
「っ…ミドリちゃんとユズちゃんは進んで!私もすぐに…」
『いいえ、ここまでよ』
指揮が乱れ、足の止まった彼女達をリオは見逃さなかった
あらかじめ呼び寄せていたのかドローンに吊り下げられた数々の予備アームがアバンギャルド君に装着されていく
こんなに、はやく…!
モモイだけでも逃がせると楽観視していたユメだったがリオの迅速な立て直しを前に思考が停止しかけていた
「う…!」
アウルさんに正しい対処を教えてもらっていた、けれど納得できなくて…間違っていると分かった上で助けに入った
──その結果が、これだ
モモイちゃんを見捨てれば少なくとも3人はアリスちゃんの元に辿り着けていたかもしれない
見捨てたとしても、モモイちゃんが殺されるようなことは無かったかもしれない
ただ納得できなかったという理由だけで、ギュメイ先生の努力もネルちゃんの努力も、みんなの努力を無駄にしてしまう
──ああそうか、アウルさんが凄いのは作戦を考えられるからじゃない、今の私みたいに感情に流されないからだ
装備し直された3つの銃器が余さずこっちを見下ろしている
『別働隊のリーダーをソイツに任せていいのか?』
ネルちゃんの言った通りだった、別働隊はアウルさんが率いるべきだった
こちらを見下ろす銃器が、一斉に火を吹いて──
「今だっ!『ギガスラッシュ』っ!!」
「え?」
覚悟を決めた瞬間、ロボット…アバンギャルド君に雷みたいな何かが叩き込まれた
それまでいくら撃ち込んでも怯みすらしなかった巨体が浮き上がり、数十メートル吹き飛んだ
ひっくり返ることこそなかったものの、しっかりとダメージが与えていることを斬撃の跡が教えてくれる
今のは…?
『やれやれまったく、ワタクシの授業を聞いていなかったのですか?今のはどう考えてもモモイさんを見捨てるべき盤面でしたでしょうに』
リオと同じようにホログラムで現れたアウルが心底呆れたように呟く
「う…でも、やっぱり見捨てるなんて私…」
『つくづくお子様ですねぇ…しかし結果だけを評価するならあなたは部下を誰も失わず援軍到達まで持ち堪えたとも言えます
最初から援軍をアテにした特攻など下策も下策ですがあなたは存在を知らなかったので…まぁ、オマケのオマケにオマケを付け加えて…今日は合格点をあげましょう
ここはもういいんでタワーへ向かってください、あとは彼女らが相手をします』
そう指し示す方にはアバンギャルド君に勝るとも劣らない大きなロボット
ARMSとは違う、どちらかと言うと…
『…!?この反応はキラーマジンガ…!でもどこから現れたの?それに外見がまったく違う…?』
『ふむ?ものは試しでしたが監視カメラやセンサーの類いにもマヌーサの効果はあるようですね、新しい発見です
ではあとをお願いしますね?──ウタハさん』
「ああ…任せてもらうぞ」
ガシャガシャと4脚の足を踏み鳴らし、そのロボットはアバンギャルド君へと立ち塞がる
『──そう、オリジナルのキラーマジンガを改造したのね』
「セミナー会長が手掛けた戦闘兵器が相手か、見かけがダサいのが少々気に食わないが性能を確認するにはいい相手だ
ヴェリタスの準備はできてるか?」
『できてるよー、ウンザリするくらいややこしいけど…ま、100%分しっかり動かしてみせるさ』
「よし、それなら始めようか」
「
▽▲▽▲▽
S・キラーマシン【ミレニアムカスタム】
解析したキラーマジンガを元にエンジニア部とヴェリタスが協力して作りあげた決戦兵器(プロトタイプ)
本家とは違い動力源は電力であり、生徒の血を求めたりはしないのでご安心を。
2本の剣を持っているのは同じだが3本目と4本目のアームにはクロスボウの代わりに迫撃砲とガトリングがそれぞれ1つずつついており、試作型とはいえ火力だけならアバンギャルド君に引けを取らない
またエンジニア部の執念でレーザー砲も取り付けてあるが後述の弱点があるため切り札であると同時に最後の手段でもある
そして唯一の弱点は活動可能時間。エリドゥから常に電力を供給されているアバンギャルド君と違い、内蔵電源が切れれば動けなくなるため戦い方には気をつける必要がある
ティーパーティの3人に混じって鬼滅の刃の童磨がお茶してる夢を見た作者のルルザムートです、ハイ。
ミカやナギサと話してる童磨、メッチャ楽しそうだったな…
それはともかく、『キラーマジンガともう一機』の一機はご覧の通りスーパー・キラーマシンでした
そもそもデフォルトでレーザー砲もついてるコイツとエンジニア部の相性はかなり良いと思ったので。
さて、これでストックを使い切ってしまったわけですが毎日投稿すると宣言したのは私なので執念と意地を見せます
…もしどうにもならなかったらまた報告しますが…それまでは足掻きます、ハイ。