ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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意外と波に乗れば進むもんだなぁ
パヴァーヌ編第16話です、お楽しみください


『頑張ったね』

「うっわ、まさかとは思ってましたがあのコピーマジンガを全部1人で…

C&Cまで呼ぶ必要無かったですねコレ」

 

にしても彼、帝国軍にいた時より強くなってますねぇ?ま、それはワタクシも同じですが。

 

 

 

「さて、トキさんとコピーマジンガは下し、アバンギャルドとかいう悲惨な外見の兵器はエンジニア部が抑えている

ユメさん達がタワーに入れたことからもうこれ以上の戦力は出てこないでしょう

…行けますね?」

『──ああ』

 

 

 

ひとまず翼の治療だけを終えたバルボロスが静かに頷く

 

「…アナタの背に乗って天の方舟を撃墜したのがつい昨日のようですよ、人生どうなるか分からないものです」

『能書きはいい、行くぞ』

 

打ち捨てられていた光の剣を咥えたバルボロスの背中に乗る

 

 

 

「というかそれ持ってくんですか?重くて邪魔な上に電力残量もゼロでは?」

『彼女にはこれが必要だ』

「…闇竜ともあろうものが随分とおかしくなってしまってまぁ」

 

 

 

むしろこれが素なんですかね?

そんな疑問を抱えつつ、空へ──

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

「──ありえない」

ありえないことが立て続けに起こっている

間違いなく死んでいた才羽モモイの復活、センサーにかからなかった改造キラーマジンガ、何故か折れないギュメイ先生の刀

 

この世の事象は全て説明できるはずなのに、どれ一つ説明ができない

いったい、なぜ…

 

 

 

『理解できないようですねぇ、リオさん』

「鳥山アウル…」

 

もう平然とこっちのシステムに侵入して通信を繋いでいる彼女も謎の1つだ

警報もプロテクトにもなんの異常も見られない、だが認証されているわけでもない

 

 

 

『全部説明するのは面倒なので刀だけ教えてあげますが…そうですね、想いの力と人との繋がりの力…これが彼の刀が折れなかった理由です』

「…説明になっていないわ」

 

推し量ることのできない、観測することのできない力は無いのと同じではないのか

少なくとも彼女はこちら寄りだと思っていただけにリオはますます混乱した

 

 

 

『ええ説明にならない、ワタクシも元来アナタ側の人間です。

観測できない力など認めたくもない』

「………」

 

『ワタクシはただの軍師であり、彼のような武将の常識や考えは計り兼ねますが…事実そういった力は確かに存在する。証明はできませんがね

そしてさらに言うならば今このエリドゥ内において、ワタクシとアナタ以外の全員がその力を持っているようなんですよ』

 

 

 

…階段を駆け上がってくる音が聞こえる、今度は警報もちゃんと機能した

 

 

 

『どのみちこの先あなたはミレニアムでの居場所を失う

リオさん、終わった後で構いません

…ワタクシの組織に来ませんか』

「トリニティに転校するつもりは無いわ」

 

『トリニティではなく、ワタクシの元ですよ

──この鳥山アウルの世界(くに)にはあなたのような有能な逸れ者を必要としているので。』

 

 

 

っ?どういう──

『ん、時間切れですか』またすぐに伺いますよ

「たあああーっ!!」

 

 

 

アウルの通信が切れたと同時に、梔子ユメとゲーム開発部が飛び込んできた…!

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

「着いた!」

「ここがエリドゥ中央タワーの最上階…」

 

「…リオさん、いるんでしょ?

アリスちゃんを返して」

「梔子ユメ、そしてゲーム開発部…」

 

 

 

「な、なにさ、まだ戦うつもり!?」

「いいえ、コピーマジンガとトキが倒れた時点で私の切れる手札は無い

アバンギャルド君も…S・キラーマシンを突破するのは無理でしょう

認めるわ、私の負けよ」

 

 

 

「アリスちゃんは?」

「ここにいるわ」

「そうなの?…え、どこ?」

「とりあえず手当たり次第探そう!」

 

 

 

それぞれ違うドアへ駆けていく3人を見送り、残ったのは私とリオさん…

 

 

 

「本当にあなたたちはここまで来たのね

近い将来、キヴォトスの脅威になる事が確定しているあの子を救うために

遮るものをすべてを薙き払って…」

「うん、来たよ」

 

「…梔子ユメさん、1つ聞かせてちょうだい」

「なぁに?」

「ゲーム開発部、エンジニア部、ヴェリタス、C&C…みんな何かしらアリスと繋がりがあった」

「うん」

 

「でもあなたとギュメイ先生にはそれが無かった。

シャーレにアリスを助ける理由は無かったはず

…どうして?」

 

 

 

僅かに首を傾げるリオ

どうして、かぁ

 

 

 

「ギュメイ先生は分からないけど…私は、後悔したくなかったから」

「後悔?」

「アリスちゃんが好きだからなのもあるけれど、リオさんが私と似てたから」

 

 

 

まだピンと来てないらしく、リオはまるで餌を待つ雛鳥のように次の言葉を待っている

 

…私の時と同じだ、今の行動と選択が正しいものだと信じて疑ってない

私はそれが間違いだと指摘してくれる仲間がいた

けど、リオさんにはいなかった

 

 

 

「私もあるんだ、これが正しいって思い込んで1人で決めつけて、1人で勝手なことをしちゃった時がね」

「カイザーPMCの…?」

 

「後輩のためなら、って身代わりになって…よく考えずに生徒会も解散させちゃって…

結局アビドスのみんなとギュメイ先生に迷惑をかけちゃった

今のリオさんはその時の私によく似てる」

 

 

 

「あなたも…私の行動が独善だと言うの…?」

「その言い方は好きじゃないな…

でも…うん、そうだと思う」

 

以前の私ならしどろもどろになって誤魔化してたかもしれないけど…ここは教えてあげなきゃ

私が教えてもらったみたいに。

 

 

 

「あなたの行動を手放しで肯定することはできない、それはあなたが誰にも告げず、頼らないで、誰も納得させなかったから…

 

誰もが納得する方法なんてそうそう無いし…もしかしたら存在しないかもしれない

だからあなたのは『独善』だった

でも私はそれを悪いこととは思わないよ」

「え…?」

 

 

 

この近距離でも目を凝らさなくては分からないくらい小さく震えるリオにゆっくり歩み寄る

 

 

 

「やり方は間違っていたかもしれない、1人で突き進みすぎたのかもしれない

けれど、リオさんはミレニアムとキヴォトスを守るためにここまでやった

 

大切で、守りたいって想いは伝わってきたよ

だから私だけでも感謝させて、ありがとうリオさん。私たちのことを守ろうとしてくれて」

「…?何を──」

 

 

 

目を逸らすリオの背中に手を回し、抱きしめる

 

 

 

「…私は間違っていたんでしょう?どうして、感謝するの?」

「結果は間違いだったとしても、そこに辿り着くまでの努力は報われてほしいな、って思ったから」

 

 

 

「………私、やり直せるかしら」

「やり直せない人なんていないよ、みんなみんなたくさん間違えて、誰かに頼って、迷惑かけて、直して、前に進むんだ」

 

「でも、私には…」

「大丈夫だよ、ミレニアムのみんなにもリオさんの想いをそのまま伝えて、ごめんなさいすれば…きっと分かってくれる

仮に分かってくれなかったとしても、私が助けるよ」

 

 

 

「ユメ、さん」

「誰にも認められないまま見えない敵と戦い続けるなんて、そんな辛いこと私にはできないよ

リオさんは頑張った、すごく頑張った

ただ頑張る方向をちょっと間違えちゃっただけ

ね、今度は私も協力するから…今までリオさんはトキさんと2人だけだったけど…今日からは3人だよ」

 

 

 

ギュメイ先生が言っていた、ヒナちゃんや私のように学園の1番上に立つ人には甘えられる存在がいないって

…だから誰かが頭を撫でて、背中をさすって、

『頑張ったね』って言ってあげなきゃ

 

 

 

「…!私、わたし…!」

「辛かったよね、苦しかったよね、どんな凄い人だって抱え込み続けるのは耐えられないよ

だから…泣きたい時に泣いておこう?」

 

 

 

それまで行き場を失っていたリオの両腕が私の背中に回る

リオの体重が少しずつ預けられ、啜り泣く声が耳に届く

 

 

 

口では人との関わりを諦め、どう思われてもいいと言っていた彼女。

しかしそれはただの強がりで、むしろ寂しがり屋で臆病なだけの普通の生徒で、

強がるうちにきっと調月リオという殻の中から抜け出せなくなってしまったんだろう

 

 

 

でもきっともう大丈夫、私はちゃんとリオさんを見たから。

 

 

 

時間にして1分にも満たない時間だったが静かに泣き続けるリオの背中をユメはずっとさすっていた

アリスは助けなくてはならない、でもそれとは別に彼女も助けないと。彼女もアリスと同じくらい未来のある生徒なんだから──

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「………」チラッ

──やれやれ

 

 

 

「・・・人心掌握術まで教えた覚えは無いんですがねぇ…

コレじゃワタクシの出番がありませんよまったく」

 

 

 

応急処置を済ませたバルボロスに乗ってタワー最上階まで飛び移ってきたのはいいがまさか自分が言いくるめる前に落とされてしまうとはこれまた予想外。

 

とはいえ後からあれこれ付け加えたところで不信感が増すだけです、あの様子ならユメさんには心を開くでしょうし気長にやりましょう

 

 

 

「いた!いたよ!アリスがい──うわっ、2人ともなにやってんの!?」

「え!えー…と、ハグ、かな?」

 

戻ってきたモモイに見つかりオロオロする2人

こうなることくらい予測できたでしょうに

 

「………で、アウルさんはなんで覗き見してるの?」

「「え!」」

「おっと、失敬」

 

 

 

おお怖い、リオさんの睨みが怖いのでここまでにしてアリスさんの元に向かいますか

 

 

 

「ホッホ、まぁ気長に行きましょう」

「のんびりしてる暇は無いよ!すぐに来て!」

「はいはい、分かってますよ」

 

 

 

──リオさんだけではない

浦和ハナコ、仲正イチカ、桐藤ナギサ、狐坂ワカモ、天雨アコ、申谷カイ、黒服、引き入れたい人材は大勢居ます

 

 

 

特にリオさんはハナコさんと並んで最も欲しい人材でしたが…ま、焦ったところで仕方ありません

気長にやりましょう ホッホ




真面目にミカ✖️童磨の短編を書こうか悩んでいる作者のルルザムートです、ハイ。
理想の王子様ムーブをする童磨に目を輝かせるミカ、そしてミカを虐めるトリカスを陰でひっそりと喰…いややめよううん。没で。

それはそれとしてブルアカ本編先生がヒナやホシノに好かれている理由の一つとして、自分より上の人間…無条件で甘えられる相手だから、があると思います
そしてそれはきっとリオにも当てはまることであり、ホシノ達のように頼れる仲間…もっと言えば対等以上の相手がヒマリ以外おらず、そのヒマリとの衝突も多かったので結果はともかくそこに至るまでの道と努力は『頑張ったね』と褒めてくれる人がいてもいいんじゃないかなぁ、と思いこうなりました

…さていよいよクライマックス、様々なイレギュラーの発生したエリドゥ内での戦闘ですが結末はいかに。
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