ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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夜9時まで全く進んで無かったけど狐系ASMR聴いてたら2時間で書けた!
というわけでパヴァーヌ編第17話です、お楽しみください


真の願い

「急いで急いで!」

わたわた駆けていくモモイ達をのんびりと追いつつ、レミラーマで周囲を調べる

 

 

 

「──ふむ」

ありませんか、ミレニアム内では一切情報が無かったのでリオさんが回収して情報封鎖していると読んでいたんですが…ハズレですねコレは

 

 

 

防衛都市エリドゥにて最も警備レベルの高い場所は間違いなくここだ、ここに無いとすると少々骨が折れることになるが…

 

 

 

今もキヴォトスに散らばる女神の果実…所在が分かっているのはギュメイさんが持つ1つとナギサさんが保管する1つ、そしてレッドウィンターのお子様の分の計3つだけ…

 

 

 

だがここで脳裏に過ぎるのはトリニティ生徒を装って何者かが送りつけてきたキラーマジンガの存在である

原理は不明だがあの兵器には女神の果実を探知する機能がついていた

 

おそらくアレの持ち主はミレニアムのどこかに女神の果実があると踏んでマジンガを送りつけているはず、とすれば必ず果実の1つはミレニアムに…

 

っ?とすると今エンジニア部が持ってきたS・キラーマシンを使えば探知できるのでは──

 

 

 

「アリス、お待たせ!」

モモイに続いてミドリとユズがアリスに駆け寄っていく

 

時間切れですね、この思案は彼女を連れ戻した後にしましょう

レミラーマを解いてアリスの元へ。…だが様子がおかしい

 

 

 

ピッ

 

 

 

「え、あれ!?モニターが!」

「く!ここまで来てまだ邪魔する気なの!?」

 

「い、いえ、私は何もしてないわ!

これは…エリドゥのシステムがハッキング…?

──違う、都市全体が『何か』に変質していっている?」

 

 

 

「モモイちゃん、ケーブルを外して!何かおかしいよ!」

「わ、分かった!すぐに『その行為は推薦しません』

 

アリスの口から聞こえたアリスの声、だがそこには明らかにアリス以外の意思が込められている

 

 

 

『現在【王女】の表層人格は内部データベースの深部に隔離されています

強制的に接続を解除すると取り返しのつかない損傷が起こるでしょう』

 

「ちょ、ちょっとアリスどうしちゃったの!?」

「お姉ちゃん、これアリスじゃないよ…!」

 

 

 

『アリス…?それはあなた達がわたし達の【王女】を呼ぶ際の名称…

【王女】に名称は不要です。名前は存在の目的と本質を乱します。』

 

「あ、あなたは誰なの?アリスちゃんは?」

『──私の個体名は<Key>

王女を助ける無名の司祭たちが残した修行者であり、彼女が戴冠する玉座を継ぐ「鍵」<Key>です』

 

 

 

鍵、ですか。起動システムとその鍵を最初から同じ場所に置いておくとは思えませんしどこかで合流したのでしょうか?

しかし面倒なのが出てきましたねぇ

 

 

 

この後の展開をいくつか予想しつつ、さりげなく距離を取る

 

「…ユメさん、盾は持っていますね?」

「へ?う、うん、持ってるけど…」

「一応そうならないようには努めますがいざという時はモモイさん達を守ってください」

「え…?誰から?」

「──さぁ、誰でしょうね?」

 

ワタクシからですよ、なんて言えば騒ぎ出すのでしょうね、まったく

 

 

 

断片的ではあるが要するにアリスさんが殺戮兵器で、鍵と名乗る彼女が文字通りの起動キー。

ならば彼女を消し炭にすれば起動は防げる

 

いくら頑丈だとしてもこの距離から撃ち込めるだけのメラゾーマを受ければ彼女もただでは済まないはず。

 

…確実性だけで言うならメドローアを叩き込みたいところですがそれをやれば至近距離にいるユメさん達も消し飛ぶことになりますのでやはりメラゾーマですね

 

 

 

リオの肩を持つわけでは無いが元帝国軍第二将の彼女にとってこのような取捨選択の場面は何も初めてではない

 

必要に迫られれば殺すだけ、とはいえ後のことを考えている以上殺したくないという思いも確かにあるのだが。

 

 

 

『彼女は【王女】であり、私は【鍵】

それが私たちの存在であり目的…

今、我々を妨害していた攻撃が止まったことを確認しました

 

只今よりエラーを修正し、本来あるべき玉座に【王女】を導かせていただきます。

AL-1Sに接続された利用可能リソースを確保するため、全体検索を実行。

 

リソース領域の拡大。

リソース名、要塞都市【エリドゥ】の全体リソースー1万エクサバイトのデータを確認』

 

 

 

「っ…!そんなことさせないわ!

エリドゥの全エネルギーシステムをダウン!リソース流出阻止!」

『!』

 

ゴゥン、と音を立て部屋が暗闇に包まれる

ブレーカーを落とし…いや、ハッキングを受けていたにしては対応が速すぎますね

 

 

 

「うわっ、わわっ!なに!?」

「エリドゥに電力を供給しているパイプライン全てを物理的に破壊させたわ

白いドラゴンとの戦闘でエリドゥ内にも軍隊を召喚できるのは確認済み。

もう2度と復旧はできないでしょうけどこちらの方が遥かにマシよ

あなたの好きにはさせない」

『………』

 

 

 

生き残ったわずかな電力が非常灯を点灯させる

目を凝らさなければよく見えない薄暗い部屋でも『鍵』と名乗ったそれは忌々しそうにリオを睨みつけていたがやがて──

 

 

 

『…エリドゥからのリソース回収は不可能と判断。予備リソースの使用を許可。

解析完了率64%…【アトラ・ハシースの箱舟】起動プロセスは…可能と判断。』

 

予備リソース…?エリドゥから吸い上げた電力に匹敵するようなものが他に──まさか!

 

 

 

「全員()()から離れなさい!ユメさんは防御!」

「い!?いきなり何を「ゴチャゴチャ言っている暇はありません!」

 

『──仮名【女神の果実】よりリソース回収を開始します』

間に合いますか…!?

 

 

 

『メラゾーマ』!!」

 

 

 

懐から取り出した光り輝く果実を口に含もうとする彼女に、ゲルニックが問答無用で放ったメラゾーマが迫る

が──

 

 

 

『──あむっ』

 

 

 

…!おのれ──

爆炎に包まれる直前、小さな口が果実を齧りとっていたのが見えたゲルニックは小さく舌を打った

「ゑ?ギャー!あちちっ!火!?なんで火!?」

 

 

 

『んぐ、ごくん。…けぷっ

──解析。上級呪文【メラゾーマ】による被害…無し。プロセスサポートのため追従者(Divi:Sion)の呼び出し、及び【グレイナル】との戦闘による損失補填のため【アバンギャルド君】及び【S・キラーマシン】を鹵獲。限定的に追従者(Divi:Sion)としての取り扱いを開始』

 

 

 

!! 最悪な言葉が聞こえましたが聞き間違いであって欲しいところ…

 

 

 

『アウル!アウル聞こえるか!?』

と、それを否定するかのようにウタハから連絡が届く

「っち、ええ聞こえてますよ!要件は!?」

『まずいことになった…!私たちのロマンが、S・キラーマシンが乗っ取られた!

まっすぐタワーに向かっている!』

 

ああもう最悪ですねぇ!

せっかく女神の果実が見つかったと言うのに、こんなことならリオさん側についておくべきでしたか?

 

 

 

『回収リソース、43%』

 

 

 

しかし今更後悔したところでどうしようもない、こうなればもう天童アリスを殺すしかない

 

「…ギュメイ将軍、聞こえますか?」

『聞こえるが… ガンッ! ぐうっ…!今でないと、いけないことか…!?』

 

どうやら既に戦闘中の様子、タワー前には他にC&Cがいるはずですが主力であるギュメイ将軍と美甘ネルがコピーマジンガや飛鳥馬トキとの戦闘で余力が無い以上そう長くは保たない

S・キラーマシンやアバンギャルド君がここに乗り込んでくる前にケリをつけねば

 

 

 

『回収リソース66%』

 

 

 

「よく聞いてください。これより天童アリスを殺害し、この異常事態を止めます

ので、それまで誰もタワーに入れないでください!」

「え!?ちょっと待ってよ!アリスを殺す!?」

「ここまで来たのにそんな…!」

 

「喚くだけなら赤ん坊でもできることです

もう仲良しこよしで躊躇う時間は終わりました

リオさん、ユメさん達を連れて外へ。」

 

 

 

『ゲルニック、他に方法は無いのか?』

「おそらくあるでしょう、しかしそこを考える時間が残されていません」

『──分かった、頼──…!まずい、ネルっ!』

 

爆発音を最後に途切れる通信、もはや一刻の猶予も無い

「………」スッ…

 

己の手の中でメラ系の魔力とヒャド系の魔力を丁寧にすり合わせ、研ぎ澄ます

 

 

 

『回収リソース79%』

 

 

 

──極大消滅魔法【メドローア】…アストロンとは別方向で使いづらい呪文の1つ

だが確実に消し去りたい相手がいた場合これより頼れる呪文は伝説上のみの存在と言われたマダンテしかない

 

もっともその伝説も先ほど目撃しましたが…それなら尚のことここでは終われない

 

 

 

「ま、待って!」

「…どきなさい梔子ユメ、ゲーム開発部はともかくアナタならワタクシの選択の意味は分かるでしょう!」

 

お人よしもここに極まれり、両手を広げてワタクシと天童アリスの間に立ち塞がるユメ

 

 

 

「い、いやだよ!こんな、こんな終わり方間違ってるよ!」

『回収リソース87%』

「あまりしつこいといくらあなたでも殺しますよ!いいからどきなさいっ!」

 

「く、うっ!あ、アリス応えて!返事をして!

このままじゃ殺されちゃうよ!?」

「魔王のまま終わっちゃう!アリスは勇者でしょ!起きて!」

「アリスちゃん…!」

 

 

 

この異常事態を前に誰も逃げ出そうとしない

おそらくワタクシとリオさんだけが持っていない『目に見えぬ、推し量れない力』を持つ故か、だが想いで変わることなど既に──

 

 

 

──いやです──

 

 

 

『回収リソース──…!?』

…うん?

 

 

 

涙目で立ちはだかるユメ、必死で呼びかけるゲーム開発部、着いてこない彼女らに気付いて戻ってきたリオ

 

だがそのどれもゲルニックは見ていなかった、見ていたのは今まさにキヴォトスの脅威となっている少女の瞳。

 

大きく見開かれたそれは否が応でも分かるほど『何が何だかわからない』といったものだった

 

 

 

『リソースの回収に失敗、再試行…』

『──失敗、再試行…』

「なん、ですか?」

これは、いったい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【女神の果実】

人間たちの守護天使への感謝の心が結晶となった『星のオーラ』

それらを数え切れないほど捧げられた世界樹に実った光り輝く果実であり、食べればどんな願いでも叶える奇跡の果実。

 

…そして果実に心の壁は無い、どれだけ隠そうとも、どれだけ塗り潰そうとも、果実は服用者の深層心理を完璧に読み取り、願いを叶える

 

本人が否定したとしても、果実が叶える願いは真の願い。

それが悪辣であれ善良であれ、根底から掘り出したそれに嘘は無いのだ

 

故に果実は少女の心の底へ語りかける。

『お前の願いはなんなのか』と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…アリスは』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者になりたいです




生徒状態のゲルニックの立ち絵描きたいけど絵心が…となっている作者のルルザムートです、ハイ。
ちょっと失敗に気付いたので吐露しますが前半も前半、ユメとモモイとミドリでの廃墟探索パートに書いておいたと思い込んでいた伏線が書き直した影響か、読み直したらすっぱり消えてました
投稿後編集はなるべくしないようにしているので多分メモから移し損ねたんだろうなと…
いきなりケイが女神の果実を取り出したように見えますがちゃんとあったんです…!廃墟で眠るアリスを見て黒服の時のようにドキドキしちゃうユメの描写が…!
とはいえもうやっちまったものは仕方ないのでこのまま行きます、伏線の後付けとか駄作も駄作だからネ…
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