ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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番外編なんで出したいキャラガンガン出せるのがいいね
というわけで作者の最推しでありブルアカを始めた理由の生徒が出ます
尻尾モフらせろ(豹変)


ギュメイの一日 その弐

ホシノが駅にいたのはシャーレに向かうためだったようだ

別に電話でもよかったのだが病み上がりにいきなり電話するのもどうかと思ったらしい

我は気にしないのだが…

 

 

 

そして肝心の用事というのが──

 

 

 

「またカイザーからのスカウトだと?」

アビドス自治区に入ってすぐ出会った浮かない顔のホシノからそんなことを言われた

 

「無視しろ、食い下がるようなら今度こそ全滅するまでやると伝えるんだ

脅しじゃないと証明するため我も出る」

「その時は私も加勢するわ、ゲヘナ風紀委員長として無視できないし…ここのところ戦ってなくて身体が鈍ってるから」

 

 

 

よかった、というわけではないがあれこれ考えず斬り伏せれば解決する問題であることに内心安堵する

 

カイザーPMCはユメ奪還の一件で壊滅状態に陥っており、ゲルニックの目論見通り2度と復活できないダメージを受けている、残党を滅するのはそう難しいことではない

 

 

 

「うん…その、それなんだけど…どうにも様子が変で…とにかくこれを見て欲しい」

「?」

 

あの時と同じ契約書を差し出してくるホシノ、その内容は…

 

『アビドス砂漠に建設予定のカジノ【宿屋の地下室】の警備依頼。

期間:1ヶ月 勤務内容:カジノ警備

給与:300万 条件は──』

 

 

 

…なんだこれは?

 

 

 

見れば見るほどまともな契約書だ、2枚目3枚目を見ればホシノ自身を守るための内容もギッシリと印刷されており、何より目を引いたのは条件だ

 

 

 

『就労条件…本契約をシャーレのギュメイに告知し、許可を得ること。』

「………」

 

 

 

「ね、変でしょ?」

「うむ…」

 

なぜわざわざ我を間に挟む?意図が読めない、欲望を辿るのが難しい

カイザーからの取引などに我が許可を出すわけがない、そんなことは向こうも分かるはずだ

 

…断られることがメリットとなるのか?だが考えても不信感と余計な手間を増やすだけにしか思えない

 

 

 

「………不気味だな」

「でも、私はこの契約を無視したくはないな」

「ホシノ!」

 

「分かってるよ信用できないのは。でもこの契約を受ければ少なくともカジノ内部には堂々と入れる

…アビドスにカジノを作るなんてどう考えても怪しい、アイツらの目的を探るためにも一度カジノに行かないと…」

 

 

 

──…!まさかこれが狙いか?調査という名目にすればシャーレの先生公認のもとホシノはカジノの職員として働くことになる

 

対策委員会が生徒会の役割を果たしている今、ホシノ1人が一時離脱したところで学校を乗っ取られる心配は無いが…だがこれをシャーレ公認とするのはまずい気がするな

 

 

 

「………仮にこれを受ける場合は?返答方法は指示されているのか?」

「カジノに直接来てくれって。この契約書が通行証の役割になるみたい」

 

 

 

よし、決まりだ

 

 

 

「カジノに行くぞ、せめてこの契約書をよこした相手は直接見ておきたい」

「でも、ギュメイ先生?カジノに行くこと自体が契約成立になってしまったら危険じゃない?」

「大丈夫だ」

 

 

 

ヒナの危惧ももっともだが幸いこの契約には我の許可がいる、契約の場で我が『否』と言えばホシノの身柄は奪われない

 

…やはり不気味だ、この契約はどうあってもホシノが不利益を被らないようにできている

この不可解さは無視できんな

 

 

 

「我が許可しないと言えばそれで終わる、反故にしようものなら今度こそ最後の1人まで撃滅させるのみ」

「うへぇ、今更だけどギュメイ先生って静かなカオして容赦無いよねぇ」

 

「? 敵だと分かっている相手になぜ容赦を?」

「・・・うへぇ」

「…どうしてゲヘナが平和になったか分かる気がするわ」

 

 

 

どこか上の空でしんみりする2人に疑問符を浮かべつつ彼女らを連れて一旦アビドス高等学校へと向かう

 

1人で抱え込まず、全員でなんとかする…ユメに教えたとおりにまずは他の対策委員にも方針を話そう。

 

 

 

「…そういえば」

ユメは上手くやれているのだろうか?心配だが──いや心配しすぎも良くないか、彼女は既にゲルニックからも認められている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ユメさん、あなたはノロマでグズで小心者な上に戦闘技能も無いトラブルメーカーな困った人ですが』

『ひぃん…』

 

『………アナタはアナタが思っているよりも人を使う才能、ありますよ?』

『へ?』

『む…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前エリドゥで見せたユメに対するゲルニックの態度には驚かされた

誰に対しても厳しい物言いをするゲルニックがユメのことを褒めていた…

 

扇動するだけなら皮肉や嫌味を交えない。だがあの時見せた言動はかつて彼女が我を認めた時のものに近い

 

「フッ…」

「どうしたの先生?」

「いや、なんでもない」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「ギュメイ先生、こんにちは!お久しぶりですね!」

「久しいなノノミ」

 

「ホシノ先輩もおかえりなさい!」

「こんなに早く帰れるとは思わなかったけどねぇ」

 

「わっ、あなたはゲヘナ風紀委員会の…」

「そういえばきちんと自己紹介してなかったわね、ゲヘナ風紀委員長の空崎ヒナよ

今日は先生の護衛なの」

「・・・護衛、いる…?」

 

 

 

あれから特に問題なくアビドスの校舎にやってきた我らはひとまず情報交換に移った

 

まずなによりも元カイザーPMC基地に建設されたカジノについて。

そしてホシノが受けた交渉とその対応、また数時間前に飛来した黒いドラゴンについて…

 

 

 

「っ?いや待て、ドラゴンだと?バルボロスか?」

「あ、それよ!バルボロス!凄いスピードでカジノの方に飛んで行ったけど…そういえばあれから見てないわね…」

「………」

 

 

 

十中八九モモイ達が乗っているだろうが…同行しているであろうネルからの連絡はない

 

 

 

「………」

しかしネルに加えてバルボロスまでいるならそうそう危機に陥ることはないだろう

放置する気などは無いが焦って合流する必要はないはず

 

 

 

「他は?何か気になることはないか?」

「ん、カジノとは関係無いけど自治区内で七囚人の目撃情報があったらしい」

 

「場所は?」

「ブラックマーケット、距離もあまり離れてないから一応気を付けて」

「分かった」

 

 

 

七囚人というのは確か狐坂ワカモの呼び名だったか、名前から察するにあと6人居そうだな

暇があれば捕まえて欲しいとリンに言われているが生憎今は余裕がない、警戒はしつつカジノへ急ぐとしよう

 

 

 

「我らはこのままカジノに向かう、情報提供感謝する」

「待ってください先生、流石に徒歩でカジノまで行くのは時間がかかりすぎます

車を出しますので乗ってください」

「助かるぞノノミ、頼む」

 

ノノミの提案に乗って車へ。シャーレ付近では見たことのない車だったが砂漠に対応した特別な車…オフロードカーというものらしい

 

 

 

「さ、乗ってください!」

「ヒナ、ホシノ、行くぞ」

「うん!…あれ?」

「どうしたホシノ」

 

「…シロコちゃん?来ないの?」

「ん、私はいい。そもそも4人乗りだし」

「そう…?」

「ホシノ」

「ごめんごめん、行こう!」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「少し混んできたな」

「アビドスにこんなに人が集まるなんて…」

 

場所は移りアビドス繁華街…人は多いものの、その殆どは他所からやってきた観光客であり元から街に住んでいた者は探さなければ見つからないだろう

 

 

 

「このあたりはオフロードカーだと浮いちゃいますね、走る分には問題無いですが…」

「・・・いや道路は大丈夫なの?オフロードタイヤってあまり舗装された道路に優しく無いと思うのだけれど」

「そこはまぁ…今は非常事態なので」

 

 

 

それで片付けていいのかとも思うが急がなければならないのに代わりはない

口をつぐんで静かに腕を組み、外の景色を眺める

 

 

 

「ねぇギュメイ先生、さっきのシロコちゃんおかしくなかった?」

ふと、ホシノが唐突にそんなことを言った

 

「いきなりだな?…しかし特に違和感は無かったが」

「うーん…正直このドライブにシロコちゃんは無理矢理にでも着いてくると思ってたんだ

ほら、シロコちゃん先生大好きだし、それにカイザーのカジノなんてシロコちゃん好きそうだし」

 

 

 

「彼女、ギャンブルをやるのか?」

「まさか!襲うんだよ、銀行の時みたいにね」

「襲、う?」

「え?あ、そういえばギュメイ先生いなかったね…」

 

 

 

聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ、まさか既に強盗を働いた後か?

 

 

 

「ホシノ…?」

「う…ごめんなさい、でもお金はとってないよ」

「ホシノ先輩の言うことは本当ですよ、まぁ銀行からお金は取っちゃいましたが『こんなことよくない』ってホシノ先輩が止めてくれたおかげで一線は越えずにすみましたから」

 

 

 

我としては銀行から強奪した時点でもう越えていると思うが…これを言うのは不粋か

…む?

 

 

 

「止めろ!!」

「わっ!!」

「ひゃっ!?」

 

 

 

窓から一瞬見えた生徒の後ろ姿に思わず叫んだ

今のは…

車が止まるのも待たずに外へ飛び出し、眼前の生徒を追う

 

「ちょ、ちょっとギュメイ先生?」

「ホシノ、ヒナ、戦闘態勢に移れ!

ノノミは離れていろ!」

 

 

 

なぜアビドスに…目撃された七囚人とは彼女か

目が合った訳ではないが向こうもこっちに気付いたらしく、初めて出会ったあの時と同じような俊足で逃げ出していく

 

 

 

…だが今回はそうはいかない

 

 

 

逃げ足はかなりのものだったが妨害も無い平地での速度でギュメイに敵うはずもなく、あっさりとその生徒は捕まった

 

 

 

「ここで何をしている、狐坂ワカモ」

「どうして、分かったのですか…?」

 

ブルブル身体を震わせて質問してくるワカモ

どうして、と言われてもな

 

「サンクトゥムタワーで一度会っているからな」

「し、しかし今回は装いも目立たぬようカイザー職員の制服を来て…仮面もしていないのに…」

 

「そんなことで我が見逃すはずがないだろう

タワーで会った時から一度たりともお前のことを忘れたことはない」

「へ…」

 

 

 

移動中、アロナから七囚人に関する話は聞いていた。矯正局から逃げ出した7人の生徒…

そのいずれも危険な生徒ばかりであり、その筆頭である狐坂ワカモは特に戦闘能力が高く、他者への扇動も得意…

 

なにより厄介なのが彼女には目的がない、破壊活動も略奪行為も全て『趣味』であること

破壊や略奪によって成し遂げたいことがあるわけでなく、それ自体が目的であるため行動が全く読めず対策がとれない

 

結果ついた異名が『災厄の狐』…妥当な名だ

彼女は言わばいち個人で完結したテロ組織…

秩序側の人間にとってこれほど厄介で恐ろしい相手はいないだろう

 

 

 

「…ここで出会えたのは幸運だった、今度は逃さん」

後ろから駆け足の音が聞こえる、まもなくヒナとホシノも合流するだろう

もうワカモには何もさせん

 

 

 

「分かり、ました。まだわたくしの心の準備はできていませんが…あなた様が望むのであれば…」

 

背負っていたライフルを取り落とし、完全に戦意を喪失したらしい

七囚人確保は目的外だったが見つけてしまった以上、野放しにする理由はない

 

 

 

「このワカモ、この身と生涯全てをあなたに捧げます…♡」

・・・・・うん?

 

我の手を包むように握り、こちらを見上げるワカモは…生徒や犯罪者という顔ではなかった

というかガナン時代にも見たことのある系統の顔で…

 

 

 

「先生…?」

「・・・何やってんの、先生」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「…なるほどね、よく分かったよ」

「ようやくか」

「うんうん、先生は生徒相手に、それも七囚人を口説くために車を飛び出したんだね」

「分かっていないではないか…」

 

 

 

さっきからずっとこれだ、訳もわからないままワカモに懐かれ、それを見たホシノの機嫌が悪い。…心なしかヒナの機嫌も良くない気がする

 

 

 

「うふふふ…お気に召さないようでしたらもう一度教えて差し上げます

 

ギュメイ先生は『初めて会った時から狐坂ワカモを忘れたことはない』『ここで出会えたのは幸運だった』『もう離さない』…

 

第三者の目からも、相思相愛なのは明らかでしょう?」

 

確かにそう言ったがなぜ相思相愛になっているんだ

 

 

 

「いいえ違うわ、先生は犯罪者相手に心を許すような人じゃない」

と、どうやらヒナは分かってくれているらしい

 

「先生が好意を向ける相手は私のように秩序を守り、真面目に生きる生徒よ

先生の妻に相応しいのはあなたじゃない」

「・・・ヒナ?」

 

我は結婚する気など「まぁいいや、どっちにしろ七囚人…犯罪者でしょ?懸賞金くらいかかってるだろうし大手を振って叩きのめせて助かるよ」

「ホシノ、お前も落ち着け」

 

 

 

今まさに戦闘態勢に入ろうとしている2人を宥めながら内心頭を抱える

 

 

 

「それにしても鳥山アウルはこうなることを予期してわたくしをカジノに向かわせたのですね

おかげで先生と出会うことができました」

…!…やれやれ、仕方ない

 

 

 

「ヒナちゃん、準備はいい?」

「ええ、もちろん」

 

「うふふふ…今のわたくしは無敵ですのよ?何せわたくしには先生がついて『マヒャド斬り』

 

 

 

2人相手に今にも暴れ出そうとしたワカモを凍らせて無力化。言って聞かないなら強引に止めるしかない

 

「さすがギュメイ先生ね、放置するわけにもいかないし連行してしまいましょう」

「ダメだ、彼女には聞くことがある。狐坂ワカモの身柄は我が預かる

………なんだその目は」

 

 

 

抗議の視線を向けてくる2人になんと声をかけていいか分からなかったがそこでようやく車を置いたノノミが合流し、頭を冷やさせる意味もかねてホシノとヒナを一旦引き取ってもらった

 

これが『女心』というやつだろうか?生前ゴレオンにも『女との付き合い方があまりにもヘタクソだ』とよく言われていたが…

 

 

 

とはいえこればかりは誰に聞くこともできない、ゲルニックに聞いたことはあるが『ッチ…それくらい自分で考えたらどうです?』と何故か怒り気味にメラゾーマを撃たれてしまった(もちろん打ち払ったが。)

 

 

 

──そうだ、ゲルニックだ

 

 

 

「このあたりでいいか」

威力を抑えた火炎斬りで氷を溶かしつつ、気絶したワカモを抱えて路地裏に入る

 

さっきの話を聞くに彼女はゲルニックの提案に乗ってアビドスに来たことになる

奴が七囚人の筆頭と裏で繋がっているなど看過できん事態だ。何があったか聞き出さなくては。

 

 

 

とはいえワカモの意識が戻るまで時間がかかりそうだ、先にゲルニックから話を聞くとしよう

 

携帯電話を取り出し電話をかける

3コール目が始まろうとした時、通話が繋がった

 

 

 

『ギュメイ先生』

「アウルか、狐坂ワカモについて聞きたい」

 

 

 

色々聞きたいことはあるがまずはここからだ

様子のおかしい彼女だがこれが素なのかゲルニックの影響でこうなったのかをまず知りたい

そして2人の関係性も…

 

 

 

『ふむ、具体的には?』

「七囚人の狐坂ワカモと遭遇したが敵対するわけでもなく妙に懐かれていてどうしたらいいのか分からん。彼女はお前の話に乗って我の元に来たと言っているがどういうことだ」

 

 

 

「んぅ…?あなたさま…?」

と、ここでワカモが目を覚ました

…カイザーPMCやゲヘナ風紀委員と比べても明らかに復帰が早いな

 

 

 

『説明面倒なんで話の詳細はワカモさんに聞いてください。対処法は説明するのでイヤホンに切り替えてもらえます?』

「面倒の一言で片付けられては──はぁ、分かった。切り替えたぞ」

 

 

 

こういう場面で彼女に口答えしたところで時間の無駄なのは分かりきっていること。ひとまずシャーレで会った時に問いただすとして今は指示に従おう

 

 

 

『では以前ヒナさんにやったようにワカモさんを抱きしめてください』

「っ?」

 

 

 

なぜそんな必要が?…とりあえずやるとしよう

「わかった」ぎゅ

「ひゃっ…!?」

 

 

 

…よし

「ワカモを抱いたぞ」

さて次は?

 

 

 

『次に彼女の耳元で他の誰にも聞こえないように小さな声で彼女の名前を囁いてください』

またおかしなことを…まぁいいか

「………ワカモ」

「ぷぴゃっ…!」

 

 

 

がくっ、と力なく崩れ落ちるワカモ

せっかく意識を取り戻したというのに気絶してしまったようだ。…いや何故だ

 

 

 

「気絶したぞ、何をさせた?」

『なんでもいいでしょう、とにかくそれで運びやすくなったでしょうしそのままカジノに行ってください』

 

「…!なぜ、カジノが目的地だと?」

平然とこっちの目的地を見破っているゲルニック。

特に言っていないはずだが

 

 

 

『ワタクシを誰だと?ともかく今こっちは楽しいお茶会中です、あとは自分でなんとかしてください』

 

「おい待て、ゲルニック!…切れたか」

 

 

 

この様子ではもう一度かけても無駄だろう

ワカモが目覚めるで待つしかない…む。

 

 

 

背後に感じる3、いや遠方にもう1つの計4つの気配に対し振り向くことなく刀を抜く

…ここまで分かりやすい敵意も珍しいな

 

 

 

ザッ

 

 

 

「…誰だ」

「SRT特殊学園所属のFOX小隊、私は隊長の七度ユキノ。あなたが抱えているのは狐坂ワカモですね?

彼女は七囚人としてキヴォトス全土に指名手配されている凶悪犯罪者です。あなたは彼女の仲間でしょうか」

 

「いや違う」

「よかった、では彼女の身柄をこちらに渡してください。今は眠っているようですが一度暴れ出せば止めるのは困難です

起きないうちにこちらへ。我々FOX小隊が責任を持って連行しますので」

 

 

 

敵意は単にワカモの仲間だと思われていたことから来ていたらしい

もちろん仲間でも味方でもないのだが…今ワカモを渡すわけにはいかない

 

 

 

「彼女には聞かねばならんことがある、意識を取り戻すまで待て」

「だめです、先も言った通り一度暴れ出せば周囲に甚大な被害が出る

気絶しているうちに確保、拘束し連行する必要があります」

 

「その時は我が止める。心配はいらない」

「………仲間ではないというのなら身柄をこちらへ渡してください、欲しい情報なら檻の中で聴取します」

 

 

 

ワカモを渡そうとしないこっちの態度に再び敵意と疑惑の視線が向かってくる

…今は時間が惜しい、情報を聞き出した後で連行という形にして欲しいが向こうは譲歩する気は無いようだ

 

 

 

「こっちにも引けない事情がある。ワカモは渡せない」

「そうですか、では

──オトギ」

 

 

 

ダァンッ

ガンッ!

 

 

 

路地裏にも関わらず真横から飛んできた弾丸を反射で叩き落とす

 

どこから…?いや窓か、2枚の窓ガラスを撃ち抜き、建物の中を通して我に弾丸を…

 

 

 

普通ではあり得ない狙撃と正面から向かってくる七度ユキノに一瞬気を取られ、音もなく背後から忍び寄ってきたもう1人への対処が一歩遅れてしまう

 

 

 

バシッ

 

 

 

「なっ…!?」

だが遅れたからと言って間に合わないわけでは無い。背後へ刀を振り抜き、迫っていた金髪の生徒が持つ銃を弾き飛ばす

 

 

 

「…武器を破壊するまでには至らなかったか」

 

 

 

包囲が既に完了している可能性がある、姿の見えない4人目に加えて5人目や6人目が出てくるかもしれん、ここに留まるのはまずいな

意識のないワカモを抱え直し、左右で壁となっている建物を蹴り上がって上へ

 

 

 

まずはここを離れるか

 

 

 

「……奴を追う。ニコ、クルミ、行くぞ

オトギはそのまま援護。

ワカモと同じかそれ以上の手練れの可能性がある、気を引き締めろ」

『「「了解」」』




ワカモのふわふわ尻尾に魅了されている作者のルルザムートです、ハイ。
ワカモに尻尾はあるのにFOX小隊に尻尾がないのはなんで…?
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