思ったよりユメ視点が短く、ゲルニック視点が長くなってしまった…
全部同じくらいの長さにするの難しい…
それではゲルニック視点 ④!お楽しみください
「ナギサさん、入りますよ?…おや」
足早にナギサさんの元へ来たはいいがこれまた事前調査と様子が違う
羽付きゴリラに皮肉ギツネさん…
──まったく、今日はことごとく想定外な事態が多いですねぇ?諜報員、クビにしますか
「ごきげんよう、ミカさんセイアさん」
「ん?なーんだアウルじゃん」
「……………」
ミカさんはともかくセイアさんの警戒具合が尋常じゃないですねぇ…
帝国軍時代のワタクシを知られている以上仕方ないことですが。
諜報員の調べによれば彼女は今日も入院中のはずでしたが…こちらが来ることを予知しましたか?
「………何の用事だい?」
「アナタには何もありませんよ、用があるのはナギサさんだけです
…ですので関係ないお2人にはしばし席を外していただきたいのですが」
女神の果実を知る生徒はなるべく少なくしておきたい、形だけとはいえ預けている以上不確定要素は排除しておかねば
「──ミカさん、席を外していただけますか」
「え、え?え!?ナギちゃんなんで!?なんで私だけ!?」
「お願いします」
「っ………分かったよ」
訳もわからないまま追い出される彼女には同情するがこればかりは仕方ない
「というかミカさんだけですか?セイアさんにも外していただきたいのですが「ゲルニック将軍」
・・・
「──なんでしょう?ナギサさん」
「ミカさんを下がらせたのは、こちらができる最大限の譲歩です。
事実を知った上で遠ざけるなど私にはできない、セイアさんにも聞いてもらいます。」
「やれやれ…」
百合園セイア…お子様のクセに厄介な能力を持ってくれてまぁ…面倒ですねぇ
なんだかんだその『面倒』も楽しんでいる節があるゲルニックだったがそれを表に出すことなく話を切り出す
「以前渡した女神の果実…あれを今少し貸していただきたい」
「なぜ「なぜと聞かれる前に答えますがキヴォトスには所在の判明していない果実があと4つ存在しています
そしてワタクシの預かり知らぬ場所で果実を狙い、悪用しようと企む連中がどこかにいる…
それらを表に引きずり出すため本物の果実が必要です」
「だから果実を返せと?それを鵜呑みにして『はいどうぞ』と渡すと思うのかい?」
「部外者は黙っててくれませんか?果実の取引はワタクシとナギサさんの間で行われたもの…
立ち会いできるからといって同じ舞台に上がっているとでも?変な勘違いはやめていただきたいですね」
「っ…」
「前例は、あるのですか?」
「ええ。わかりやすいのはレッドウィンター…あそこは果実が1つ介入しただけで学園は恐怖政治一色に染まってしまった…
これでもマシな方ですよ?今回手にしたのは生徒である連河チェリノでしたがこれがカイザーコーポレーションのような悪徳企業ならどうなるか…」
こればかりは偽物を使うわけにもいかない、それをやれば偽物だと判明した瞬間、2度とエサには食いつかず同じ手は使えなくなる
確保しなければならない果実は残り4つ…こんな序盤で危険を冒すことはしたくない
「果実を貸してくださいナギサさん
どちらにせよ果実を狙いに来る敵は排除しておかなくては危険すぎます」
「──分かりました、お持ちください」
「ナギサ…!」
顔色を悪くしたまま、床下に取り付けられた隠し金庫を開錠。中の果実を取り出すナギサ。
「ふむ、確かに。ではまた1週間後報告に来ますよ」
手の中の果実から眩い光と力の波動を感じる、紛れもない本物の果実…もうここに用はない
「…セイアさん、1つ警告してあげましょう」
「なんだい…?」
「その力でワタクシの何を見たのかは知りませんが…あまり首を突っ込みすぎない方がいい
ワタクシけっこう優しいので多少は目を瞑りますがあまりおいたが過ぎれば──」
「っ…!どうすると言うんだい?」
「──さぁ?アナタが賢いなら、知る必要のない情報だと思いますが。」
堪えきれなくなったのか銃を抜くセイア
だがそれが構えられるよりも早くゲルニックが撃ち出した極小のバギがセイアの銃を吹き飛ばす
「痛っ…!」
「セイアさん!ゲルニック将軍、何を…!?」
「申し訳ありませんナギサさん、ワタクシも死にたくはなかったので。」
一応モシャスで生徒の耐久力を模倣してはいるが痛いものは痛い。それに怪我をして得することなど今はないからこれは当然の対応だ
「エデン条約と女神の果実…この2つに対応するにはワタクシだけでもナギサさんだけでも不可能です、全てが終われば包み隠さずお話します。ですのでどうか今はお許しください
…『ルーラ』」
バルコニーから宙へ飛び立ち、彼女は消える
内側に秘めた欲望を誰にも告げず、誰にも話さず。
…
「っと、おや待たせてしまいましたか?」
「クックッ、いいえ私も今来たところですよ
それにしてもこのキメラの翼というものは本当に便利ですね」
「・・・貴重品なんですからもっと出し渋って欲しいんですが」
「クックッ、いやどうしても一度使ってみたかったものでしてね?
ところで先日面白いものを拾ったんです、何かの卵のようなのですが…」
「ほう卵?」
砂漠に降り立ち、今のところビジネスパートナーとして成立している男と軽く言葉を交わし、かつてカイザーPMCの基地だった場所へ入る
──キヴォトスは、まだゲルニックという女を知らない。
▽▲▽▲▽
「行ったか…」
「………さぁ仕事に戻りましょう。セイアさんもまだ療養中でしょう?すぐに病院に「ナギサっ!」
弱々しく震えながらも強い力でセイアさんが掴みかかってくる
…言いたいことは分かる
「今すぐゲルニックとの繋がりを切るんだ!アレは誰かの下に付いたり、他人を思いやれるような人間じゃない!」
「…彼女には果実の知見に加えてシャーレとの繋がりもある。
ティーパーティの今後のためにも、彼女との付き合いは続けます」
実際損得勘定で考えればゲルニックとの付き合いによって発生する見返りはことさら大きい
女神の果実だけではない、白いドラゴンと黒いドラゴンの詳細や連邦捜査部シャーレとのコネクションに、それを利用した情報収集…
一応ティーパーティから除籍されてはいるがそれも形だけ。彼女が立ち上げた『梟の巣』は言わばティーパーティの前線基地のようなものだ
今、彼女を失うわけにはいかない
「今ゲルニックを失うわけには行かないのです
女神の果実やキラーマジンガといったオーパーツへの対応は彼女を頼るしかない」
「く…何故だナギサ…どうして先に彼女を頼った?
なぜ──真っ先に私やミカを頼ってくれなかったんだ…」
「………話は終わりです、セイアさんは病院に。」
「ナギサ…」
──どうすればいいんだ
百合園セイアは自身の能力によってゲルニックの過去を目撃していた。
生徒のフリをした今とは似ても似つかない残虐で冷酷な軍師として、おびただしい死体の山を作らせ続け、必要とあれば味方さえ裏切り、欺き、無常に消してしまう…そんな奴が何食わぬ顔で友人の隣にいるなんてとても認められなかった
はやく、はやくナギサの心からゲルニックを追い出さなくては。しかし──
一歩遅かった。ナギサは既にゲルニックを頼り、信頼を寄せている。
何より私が彼女の正体を告げるより早く、ゲルニック自身がナギサに打ち明けたのがまずかった
これで私の告発はナギサを引き止めるどころかゲルニックへの信頼をますます固めてしまっている
病弱な身体に鞭打ち、フラフラと廊下を歩きながら思考を回す
──私がなんとかしなければ。
最悪ティーパーティは乗っ取られようとミカとナギサだけは守る…少女はそう誓ったのだった
相手によって別人のように姿勢を変えるゲルニックも好きな作者のルルザムートです、ハイ。
最後の視点を投稿し終わり、これでカジノ編の準備が整いました
そのカジノ編も後日談が後少しで書き上がるのでパヴァーヌ編の時のような毎日投稿破綻の恐怖に怯えることは多分無いと思います
それではまた明日…