今(10月12日時点)のところユメが優勢ですがこれはレッドウィンターで活躍するユメを見たいからか、はたまたギュメイ不在時にシャーレの実権を握るゲルニックを見たいからか…どちらにせよカジノ編が終われば両方全力で書いていきますよぉ!
それでは『宿屋の地下室編』第2話です、お楽しみください
「ホッホ、よい滑り出しです」
アビドスカジノ『宿屋の地下室』…主に運営を取り仕切る支配人はカイザー元理事だが、資金を提供し方向性を決めるオーナーは別にいる
1人はゲマトリア所属である黒服、
そしてもう1人は──
「あれ?アウルさん?」
「おやヒフミさん、トリニティ生のあなたがなぜここに?…なんて、言える立場じゃありませんねぇ」
相変わらずあのグロテスクで気持ち悪い鳥のぬいぐるみをカバンから下げた少女、ヒフミと軽く談笑。
ちなみにナギサさんからの信頼を得るため彼女は特別待遇である。入店した瞬間から彼女のことは監視しているし、接待係もしっかり用意。もちろん彼女には気付かせない
「それにしてもここは良いところですね!
まさかもう絶版になったペロロ様が手に入るとは…」
「あのグッズを?しかし交換に必要なコインはかなり多かった記憶が…」
「はい、でも思い切って勝負してみたらたくさんコインが出てきて…おかげで思っていたよりずっと少ない資金でペロロ様を迎えることができたんです!」
「ホッホ、それはよかったですねぇ」
えへへ、と喜ぶ彼女ですがもちろん偶然ではありません、ヒフミさんが勝てるようこっちが手を回していますからねぇ
こうしておけばナギサさんに恩を売れる上に良いサクラ役にもなってくれる
本人にサクラ役の自覚が無いので客がワタクシまで辿りつくこともありませんしヒフミさんもあのグッズ以外に興味が無いので損害も被らない
加えてあれのみかなり理不尽な交換レートにしてましたがヒフミさん以外はあの鳥を狙おうとしないので苦情も来ない、いやはや本当に都合が良い
…今だけはあの下品な鳥に感謝してあげますよ
「ヒフミちゃん!ここにいたんですね
そちらの方、は……」
後からやってきた生徒の目がこっちと合った瞬間動きが止まる
が、すぐに持ち直した
ええ、ええ良いですよその胆力。やはりあなたは部下に欲しい。
「こんにちはハナコさん、ヒフミさんの付き添いですか?」
「ええもちろん、それにしてもこのカジノは本当に人気ですね
こんなに人が多いと、わたし…うふふっ」
「おいコハル、あそこにいるぞ」
「え?あ、ハナコいた…って!なんで服脱ごうとしてるの!?」
アズサさん、コハルさんも…補習授業部全員集合ですか、結構。
「それにしても意外ですねぇコハルさん、正義実現委員会のあなたがこんな場所に…」
「わ、私は調査よ!あなたこそここで何してるの!」
「ワタクシも調査ですよ、お互い調査なら都合が良いですしここは協力しませんか?」
「え?うーん、どうし「まぁまぁコハルちゃん、調査なんて建前で私たちは遊びに来たんですから、アウルさんを巻き込んだら悪いですよ」
「んな!ち、違うわよ!その、興味があったのは本当だけど…」
…ふむ
「それでしたら無理には言いませんよ、ただここはカイザーコーポレーションが運営する裏カジノ…アズサさん、いざという時はあなたがみんなを守ってくださいね」
「言われるまでもない、アウルも気を付「え、裏カジノなんですか?ああ…だからこうもいるだけでドキドキするんですね…ドキドキすると熱くなって…熱くなってくると…」ヌギ
「ワッ!ハナコ!?ダメ!えっちなのはダメ!」
「あら上着を脱ごうとしただけなのに…」
ヒフミさん達の誰も気付いていませんが、ええ強烈に拒絶されてますねワタクシ。
ハナコさんに話しかけるのはもちろん、ヒフミさんたちへのガードも硬い
しかも痴女を演じながらこの気配り…浦和ハナコ、もし彼女をワタクシの駒にできれば──どこぞの鉄球馬鹿よりずっと役に立ってくれるでしょう
「っと、そろそろ調査を再開せねば
どうですハナコさん、今日は無理でも近いうちにお話しませんか?
誰も知らない密室で、2人っきりで…」
「んなっ!そ、そんなのだめ!」
「あら、どうしてダメなんですかコハルちゃん」
「だ、だってそんな密室で2人きりなんて…その、間違いが起こるかも…」
「間違い、とは?」
「ま、ま、間違いっていうのは…うう〜」
こうして見るとただの友人同士の会話なんですがねぇ、時折ハナコさんが見せる鋭い視線がそれを否定しています
「うふふ、コハルちゃんが恥ずかしがっているので返事はメールでさせていただきますね
…私たちのヒミツ、誰にも見せちゃダメですよ?」
「ええ、もちろん」
今のところは、ですが
「ひ、ヒミツ!?」
いったいどんなヒミツなの!?と騒ぎ立てるコハルを引っ張り、ハナコ達は人混みの中へと消えてゆく
そして姿が見えなくなって10秒ほどたっただろうか
ピロンッ
メール…ハナコさんからですね
【お誘いですが拒否させていただきます。
今回も、今後も。
あなたの誘いに乗る事は永遠にありません。】
「…ふふ、ホント強情なんですから」
ピリリリッ
おや、今度はスタッフ用のインカムに?
「…こちらフクロウ」
『オーナー、ギュメイ先生がお見えになりました』
やっと来ましたか
「ワタクシを待つ必要はありません、黒服にでも相手をさせなさい。のちに合流します」
『かしこまりました』
入口の警備員によればギュメイ先生と狐坂ワカモ、小鳥遊ホシノの他に空崎ヒナも来ているらしい
本当はギュメイさんとホシノさんで事足りましたがこれはこれで良い
あとはモモイさんが自滅してくれれば…
無料体験型カードで手に入れたコインと貸付カードで手に入れたコインでは当たりやすさが違う、正確には【無料体験型カードが手元にある客のみ勝ち易くなっている】…
所持者がマシンに座れば機械内部の設定が優しくなり、ディーラー全員に持たせている機械には客がカードを持っているかどうか筒抜け。
これでみんな誤解する。『あれ?もしかして私、他の客より勝ってる?』『これなら貸付カード使えば儲かるかも?』と
2種類のカードを同時に持つ事は禁止しているので対策もできない
カジノ経営は初めてでしたが我ながら良い戦略では?
「──モモイさんの動向を追いなさい、彼女に借金が発生したと同時に闘技場の準備を。始めますよ」
『はっ』
▽▲▽▲▽
「またお前か…!目的はなんだ、アビドスで何を企んでる!」
「落ち着いて、小鳥遊ホシノ」
「クックッ…何を、と言われましても、ねぇ?
私たちは健全なビジネスを行なっているだけでして…」
「黒服お前もだ、煽るな」
我が『シャーレのギュメイ』だと分かるや否やVIPルームと描かれた別室に通された
別に危害を加えられたわけではないが…やれやれ、お前まで関わっていたとはな
「…このカジノはお前の発案か?」
「いいえ、とある聡明な『将軍』から持ちかけられたんですよ。共同事業はどうか、とね」
「っ…」ピク
「『将軍』…?裏で糸を引いているのは鳥山アウルではないの?」
「鳥山アウルはスタッフではありますが我々と同格ではありませんよ」
鳥山アウルは、か
「金儲けならこんな目立つ方法である必要はないはずだ、何を考えている黒服」
「あなたの想像通りですよ」
…つまり主犯はあくまでゲルニックであり、真意を知りたいなら奴に聞けと
だが協力した以上お前の『欲望』はあるはずだ
「悪いが我はその『将軍』ほど頭は回らなくてな、お前の口からお前の欲望を聞きたい」
あのゲルニックが正体を明かすほどだ、黒服にも相応の見返りがあるはず。金ではないとすれば──ホシノか?
「私の利、私の欲望ですか…ちなみに先生はなんだと予想しています?」
「…ホシノの確保」
「小鳥遊ホシノを…?」
「やっぱりか…!そもそもユメ先輩の時も本来私を狙って事を起こしていたから…!」
「クックッ、残念ながら彼女ではありませんよ」
「なに…?」
「よくお考えください先生、先生はどうしてカジノにやってきたんですか?
…カジノ行きを決定付けたものは?」
「それは…」
ホシノの付き添いだ、あの妙な条件を見てカジノに行こうと──そういうことか
「目的は我か?」
「その通り、まぁ目的というほどのことは無いんですが…電話ばかりでは少しばかり寂しかったのでね」クックッ
…これ以上深堀りするならホシノ達は退出させた方がいいかもしれんな
「──彼と1対1で話をする。2人ともワカモの元へ戻れ」
「こいつと話なんてする必要はない!だいたい──「一時の感情で行動を決めるな、彼の持つ情報は必要だ。…ホシノ、下がるんだ」
「っ…」
「小鳥遊ホシノ、ここは先生に任せましょう」
ヒナの後押しもあり、渋々ながらも退出したホシノ
…すまない、だが流石に生徒の前でゲルニックの話はまだできない
「さて、これでいいか」
「ええ、貴方と私の関係を知る人間は1人でも少ない方がいいので」
明らかに過剰な金のかかったソファに座り直し、黒服は話を切り出した
「…単刀直入に聞きますが鳥山アウル、いえゲルニック将軍とギュメイ先生はキヴォトスに来る前から?」
「ああ、そうだ」
「とするとあなたも軍を率いたことが?」
「ある。だが形だけだ、ガナンには我を含め3人の将軍がいたが実質的に軍を動かしていたのはゲルニックだった。
我ともう1人の将軍は彼女の指揮のもと兵士を率いていたにすぎない」
ゴレオンも我も、陛下から将軍の地位を与えられていたがその軍位に相応しい能力を持っていたかと聞かれればそれは否だ
確かに戦闘に関して言えば我より優れた兵士はいなかったが人を率いるとなると…
「カジノ建設前に少し彼女と話しましたが…ええそうですね、一言で言って得体が知れない
目的はなんなのか、どうやってここに来たのか、どんな思想を持っているのか、何ができるのか、探りを入れても何も分からない
教えてくださいギュメイ先生、ガナン帝国軍第二将ゲルニックとは…いったいなんなのですか?」
「分からん、だが果実に執着を見せていないとなると狙いは別にあるのやもしれん」
【強いていうなら幸せに生きること、ですかね?】
──おそらくミレニアムでこぼしたあの言葉に嘘はない、証拠はないがなんとなくそう感じる
であるなら、彼女の幸せとはなんだ?
欲望を見抜き、人を操り、騙し、嗤う、それはなんのために?それをすることによってお前はどこに辿り着こうとしている?
「分かっているのは仮に奴が事を起こした場合、我1人では絶対に止められんことだけだ」
「絶対、ですか?」
「このキヴォトスでギュメイという男を誰よりも理解している女だ。もし表立って敵対することがあればそれは我に勝てる確証があってのことだろう」
やむおえず正面切っての戦いにでも持ち込まれない限り、奴は負ける戦いを始めない
「あまり彼女に気を許すな、下手すればお前の組織を乗っ取られる可能性もある」
「流石にそこまで甘く見られるのは心外です。…が、他ならぬ貴方の忠告であれば身に留めておきましょう」
「頼む」
「──ゲルニックさんの話はここまでに。せっかくこうして会えたんですし何か聞いておきたい事はありますか?」
「女神の果実の所在は?レッドウィンターの物以外は見つかったか?」
あの報告以降、新しい果実が見つかったという話を聞かない
楽観視していたわけではないものの流石に次が見つかっていいと思うのだが…
「申し訳ありません、難航しています
…だからこそこのカジノが建ったわけですが」
「っ?どういうことだ」
「たった今終わりにしたばかりの話を蒸し返してしまいますが今回このカジノ建設の理由は女神の果実を探すためにあります」
「…?つまりなんだ」
黒服は若干迷う素振りを見せつつもアビドスの時と同じように女神の果実を取り出した
「!」
力の波動を感じる…本物か、どこから持ってきた?
「これはゲルニック将軍がブラックマーケットで確保したという女神の果実です
これをカジノの目玉として宣伝し、裏で果実を狙っている者達を引きずり出します」
「本気か?危険すぎる、偽物では駄目なのか?」
「私もできればやりたくありません、しかし至近距離とはいえギュメイ先生がこれを本物だと認識できたように果実を知る者には判別ができる。こればかりは本物を使う必要がある」
だからと言って…!
「それはゲルニックの案だな?お前の組織の、ゲマトリアで果実を捜索するのは難しいのか?」
「はい、レッドウィンターのものは運良く情報網に引っかかりましたがそれ以外が本当に…
おそらく果実を狙う者が意図的に情報を隠しているのではと踏んでいます」
…うん?待て、だとすると──
「残る果実は全て同じ人物が持っている、と?」
「そうは言っていません、しかしゲマトリアの情報網にここまで掛からないとなると隠されているとしか思えないのです
そしてその隠蔽した者は我々ゲマトリアにとっても超の付く危険人物…
危険を冒してでもここで引きずり出す必要がある」
黒服の言っている事は理解できる、このまま続けても見つからないのならアプローチを変えるしかない、砕けて言えば彼の言うことはそういうことだ
しかしもしこの果実を奪われたら…
「ゲルニックはこんな危険な橋を渡ろうとしているのか?」
「私が思うに、だからこそ彼女は貴方をここに呼んだのだと思います
万が一のための戦力として。」
「………」
ホシノの元に届いたあの依頼書はカイザーでも黒服でもない、ゲルニックが用意したものだったのか…?
「ホッホ、正解ですよ黒服さん」
「「っ!!」」
不意打ちだった。真横から聞こえた艶かしい女の声に一瞬刀に手が伸びそうになる
「………ゲルニック」
「聞いていた通りです、本物の果実を囮に裏で果実を狙う目障りな連中を炙り出します
そいつらを追えば…残りの果実も見つかるはずです」
「…いつから部屋に?」
「さぁ?でも黒服さん、あなたもいつの間にか部屋にいたりしますしあんまり気にしても仕方ないのでは?」
…何かしら呪文を行使した気配があった
だがなんの呪文だ?
そもそもガナンにいた時よりも扱う呪文が格段に増えているのは間違いない
呪文の存在を黒服に伝えるべきだろうか?
判断が難しい、ゲルニックの人間性は信用できないがだからと言って黒服に全ての情報を開示する事もできない
利害関係がはっきりしている以上ゲルニックよりは信用できるが全ては信用しきれないからだ
帝国軍の時はただ陛下の敵を斬っていれば良かったが改めて駆け引きの難しさを痛感する
「・・・・・」
いっそここでゲルニックを「おや、ワタクシを殺すおつもりですか?」
殺気か、手の僅かな動きか、こっちの行動を先読みしたゲルニックがいたずらっ子ぽく笑う
今の彼女はモシャスで生徒の姿をしているがそれ故に元の姿より不気味だ
「──ああ、そうだ。ここで死ぬがいいゲルニック」
「ギュメイ先生…!?」
黒服が狼狽えるが知ったことでは無い。刀に手をかけ、居合斬りの構えに入る
「本気で言ってます?ワタクシが消えれば果実捜索、ざっと10年は後退しますよ?」
「お前という爆弾を生かしておくよりいい」
この距離だ、斬れる。ゲルニックが呪文を唱えるより早く、彼女の首を落とせる
「言い残す事は?」
「んー、特には。」
「ギュメイ先生っ…!!」
「………ッ──」
空気が切れて歪むほどの居合斬り。人の首など容易く吹っ飛ばせるその一刀は──
鳥山アウルの首、1センチ前で停止していた
彼女は何もしていない、ギュメイがギュメイの意思で刀を止めた。止めざるおえなかった
「──なぜ何もしなかった?」
「あなたが何もできないと分かっていたからですよ。少なくともまだあなたにワタクシは殺せない」
ギリギリまで殺気は出していた、刀を振り切る気もあった。だが直前になって理性が止めた
『彼女はまだ殺すわけにはいかない』と
「そっちの用事はこれでいいですか?ではこちらの要件を。
…闘技場の準備が整いました。黒服さん、お手伝いをお願いします」
「──ええ、分かりました」
「ギュメイさんも戦闘の用意を。当分出番は回ってきませんが準備するに越した事はありません」
「………」
涼しい顔で刀から身を引き、あれこれ指示を出しながらゲルニックは出て行く
「ホッホ、ではまた後で」
「…ああ」
…やれやれ、ゲルニック以外の参謀が欲しいな
オリジナルストーリーの背景描写って難しいな…と考えている作者のルルザムートです、ハイ。
今更ですが裏カジノの名前である『宿屋の地下室』について「元ネタはなんなの?」と知人に言われたのでこの場で発表させてもらいますともちろんドラクエ9からです
といってもゲーム中には出てきませんが元々セントシュタインにあるリッカの宿屋、その地下には開発段階でカジノが設置される予定だったそうです
しかし容量の問題でその部分を削り、泉だけが残ったと…
せっかくなのでこのネタを使って何か名前を考えようと思った結果、シンプルに『宿屋の地下室』と
我ながらオシャレじゃないかなー、と思ってますが物語内での名付け親は誰なのかは考えてなかったのでそこはまぁ、見逃してもらえると…
それではまた明日!
レッドウィンター編でユメとアウル、どちらを連れて行くか
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ユメ
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アウル