『宿屋の地下室』編 第4話です、お楽しみください
「ぶはっ!?」
『フクロウ様!大丈夫ですか!?』
「ぐ、大丈夫です、少々面食らっただけですので。」
VIPルームのモニター越しに見えたまさかの人物に普段冷静沈着なゲルニックも飲んでいた紅茶を吹き出してしまった
いや何やってんですかゴレオン将軍!?なんでいるんですか!そもそもなんで生徒の小間使いみたいなマネ──ああもう!
レッドウィンターにガンベクセンがいることは知っていたがまさか彼までいたとは想定外だ
果実を狙ってここに来たのは間違いない、少なくとも栗浜アケミは果実を狙うような生徒ではありませんし。
正直ギュメイ将軍と違って彼には言いたいことが山ほどある、早速カジノ建設の功をそしたと言えるだろうが素直に喜べない
お願いですから勝ってくださいよお二人とも…
ゴレオンを勝ち上がらせたら面倒なことになりますから…
▽▲▽▲▽
「では彼が三将軍最後の1人と?」
「うむ」
密談していた部屋とは別室にて、モニターから戦いを観戦するギュメイと黒服。
黒服の表情は読み取れないがギュメイの頬は…少しだけ緩んでいた
「ふふ、そうか、お前も来たのか
──懐かしい」
筋骨隆々の身体に宿った怪力で立ち入るもの一切合切を薙ぎ倒す鉄球使い…
…鉄球使いというのは間違いか、奴にとって振り回しても壊れない物体はそれだけで武器になる
「それにしても帝国三将がこうして集うとは、人生とは分からないものだ」
「その割には落ち着いていますね、貴方が守るべき生徒がその将軍と相対しているというのに」
「まあな」
確かに他の生徒ならすぐに試合へ割り込んで助けるところだが…彼の前にいるのは美甘ネルだ
「助ける必要はない」
「それは美甘ネルとゴレオン将軍、どちらを見てそう判断したのですか?」
「両方だ」
▽▲▽▲▽
「わがチカラをっ!パワーをっ!
魂に刻みつけるがいいわっ!」ブンッ
「力もパワーも意味同じじゃ──っぶねぇ!」
横殴りの鉄球の一撃を屈んで回避、伸び切った鎖が引き戻される前に距離を詰める
…どう見ても大人だがなんでレッドウィンターの制服を着てるんだ?生徒ってわけじゃ、ねぇだろう──しっ!
瓦礫を作りながら戻ってきた鉄球も回避、距離はあと5メートル強。
これだけ近付けばもう鉄球は投げれねぇ、あれさえ飛んでこなければ──違う!
ジャラララッ
「く!?鎖も武器かよ!」
「ほう、これも避けるか!」
間合いの内側に入った途端、鞭のように鎖が振り回されて近付けない
鉄球以外も攻撃手段ってワケか
ただ精度はあまり高くないらしい、鉄塊の鞭と言えるそれは確かに驚異的な破壊力があったが相手を狙うというよりメチャクチャに振り回された鎖はネルを寄せ付けないだけで、むしろ鎖がゴレオン自身に何度か当たっている
ここまでならただのマヌケだが信じられない事に鎖によってダメージを受けた素振りが一切無い。
バケモンかコイツ…
「………っち、どうするか」
威力は本物、ゴレオンの膂力で振り回された鎖はいとも容易く周辺の廃墟を抉り取っていた
S・キラーマシンのサーベルがおままごとに見えるレベルだ、あれ食らったら間違いなく1発で持ってかれる
──ならば全て避け切ってしまえばいい、脅威ではあるが対策はできる。
自分の速度なら懐に潜り込むのは難しくない、問題なのは…
「どうした?見ているだけか?…ならばこっちから行くぞ!」
おそらく、持っている武器ではコイツに攻撃は通用しない!
「っ…」
こういうタイプのピンチは、初めてだな…!
▽▲▽▲▽
「まだまだ行きますわ!」
「やあああっ!」
殴り飛ばされるランチャー弾を光の剣で打ち返しながら距離を詰める
! これなら届きます!
重機関銃の重たい弾丸も光の剣でしっかりガード、付近に出来上がった瓦礫の山を足場に跳躍。重力と光の剣の重量を味方に付け、
「『まじんぎり』!!」
叩きつける!
「…っ!?」ガクン
アケミも機関銃を盾代わりに防御したが『ごしゃり』と尋常ではない音を立てて機関銃が変形する光景を前に驚愕を隠せず動きが一瞬止まる
もちろんその隙は逃さない!
「はあああーっ!」
着地と同時にもう一度振りかぶり、無防備になった胴体へ光の剣を叩きつける
「ッ…!」
1撃目で体勢を崩されていたアケミに2撃目を対処する余裕は無く、バトル漫画の如く複数の建物を突き破って吹っ飛んでいった
「──あ。」
やりすぎた、と思ったがもう遅い。つい必死になって手加減無しの一撃を叩き込んでしまった
アケミさん…だ、大丈夫でしょうか…?
▽▲▽▲▽
「あああ!アリスやりすぎだよ!?」
観戦席に届いた映像には建物を3つ、4つ破壊しながら吹き飛んでいく対戦相手、そして明らかに『やっちゃった』って顔でカメラ目線なアリスが…
いくら相手が七囚人だからといっても今のはヤバい。下手すれば死ん──
「おーすげぇ、アネゴを力で吹っ飛ばすなんて…そんなことができる生徒がミレニアムにいたんだな」
「キミ彼女の仲間でしょ!冷静すぎない!?」
すごいすごいと感心するヘルメット団の彼女。
いや言ってる場合!?
「…心配すんな、むしろこれがアリスってやつの全力ならお前たちに勝ち目は無い」
「へ?」
「アネゴとヘルメット団が対立してたのもあって私も最近まで詳しく知らなかったが…1つ確かなことがある。
──アネゴを倒したいなら今と同じ攻撃をあと50発はブチ込む必要があるぜ」
無理だろうがな!とゲラゲラ笑うヘルメット団のロブ。画面の中では瓦礫をどかしながら涼しい顔で戻ってくる栗浜アケミの姿が…
…え、マジ?
▽▲▽▲▽
「よかった、生きてました!…あれ?でもあんまりダメージが無さそうな…」
「ダメージならありましたよ。見かけによらず良い力です、今のは少々効きましたわ」
建物を4つも突き破っておいて『少々効いた』で済まされてはたまったものでは無いが事実アケミは目の前に立っている
これはひょっとして本当に裏ボスなのでは…!?
「すー…はー…天童アリスさん、先に謝罪しますわ。わたくしは外見に捉われあなたを甘く見ていた…
ここからは本気でお相手させていただきます」
歪み、本来の用途には使えなくなった機関銃を手に今度はアケミの方から突っ込んでくる
「ならばもう一度です!」
こちらも駆け出し、光の剣を振りかぶる
手加減を考えなくて良いのなら、今度も全力で…!
「はあっ!!」 「『まじんぎり』!!」
光の剣と重機関銃が激しくぶつかり合い、重たい金属音が響き渡る
ググググッ
「っ?あ、あれ?」
さっきよりも強い力で振ったのに、足もしっかり踏ん張っているのに押し切れない
というか逆に自分が押され──
「セイッ!!」
「うわぁっ!?」
さっきのお返しだと言わんばかり今度はこちらが吹き飛ばされ、建物へ叩きつけられた
「──あら、意外と軽いんですわね?」
アケミとゴレオンのコンビは割と気に入っている作者のルルザムートです、ハイ。
少し短いですがこれで第4話は終了。
そして投稿時間をパヴァーヌ編の時みたいに変えてみようかなと思ってます、あの時はお昼に投稿してましたが今度は深夜帯、もしくは午前中とかにやってみようかな…?
それではまた明日…
レッドウィンター編でユメとアウル、どちらを連れて行くか
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ユメ
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アウル