ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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今回は朝に投稿してみました
7時か8時か迷いましたがとりあえず7時でやってみます
そして本編はまたまたサプライズ!対策委員会編ラストでちょっとだけ出てきた彼が戻ってきます!
それでは『宿屋の地下室』編 第5話、お楽しみください


1回戦目の勝敗

「あれがミレニアムに襲来した白いドラゴンを退けたという天童アリスね」

「見たところ負けそうだけど…」

 

 

 

アリスたちより一足早く1回戦を終え、待合室のモニターで戦況を見守る4人と1匹。

 

 

 

「グルルルル…」

「落ち着きなさい【アニ】、まだ戦う相手が決まったわけじゃないわ」

 

モニターの向こうでゴキゴキと首を鳴らす栗浜アケミに威嚇する獣の頭を優しく撫でる

 

 

 

「…♪ わうっ!」ぐりぐり

「ちょ、ちょっとアニ!くすぐったい!

もうっ、仕方ない子ね…」

 

 

 

見知らぬ相手や敵に対しては牙を見せつけ威嚇する子だが例外として彼女ら4人だけには心を許す

 

【ギャングアニマル】という名前と怪獣のような風貌から来る威圧感はどこへやら。鼻先をお腹に押し付けて甘えるそれはでっかい子犬である。

 

 

 

壊滅したカイザーPMC基地で拾われ、メンバー個人の4つの貯金箱と会社の貯金箱を叩き割ってでも彼女らは自分を見捨てなかったことを獣はしっかり覚えている

 

会話はできずとも彼もまた便利屋68に心を奪われ、恩義を感じていた1匹だった

 

 

 

「アニ、社長が困ってる。」

「キュー…」

 

 

 

カヨコに注意されて引き下がるアニ。言葉は分からないがその様子はとても寂しそうで…

心が痛む…いえダメよ陸八魔アル!今は仕事中!ここは心を鬼にして…!

 

「う…そんな寂しそうなカオしてもダメよ!メリハリはつけないと…」

 

 

 

この子は一切ワガママを言わない、私はもちろんカヨコもムツキもハルカも、便利屋社員であれば誰の言うことも素直に聞く

…しかし中身はまだまだ子供のようでこういう時は決まって寂しそうにこちらを見上げてくる

 

 

 

「・・・・・」

「くぅ…」ウルウル

 

「──ああもう5分だけ!5分だけよ!」ナデナデ

「わふっ♪」

 

 

 

「アルちゃんったらあれだけ躾はしっかり〜とか、甘やかしちゃだめ〜とか言っておきながら1番甘やかしてるじゃーん」

「アル様を独り占め…」

 

 

 

それぞれ好奇と抗議の目で見てくる社員に気付かないフリをして撫でる撫でる

「ふわぁ…」

「っ、か」

かわいい…!

 

 

 

のんびり欠伸するアニに思わず頬が緩み、いつの間にか5分過ぎてしまうが気付かない

 

 

 

「社長、リラックスするのもいいけど観戦しないと。今の試合の勝者が次の対戦相手だし…

どっちに転んでも厄介な相手だよ」

「確かにねー、1回戦目は私たちだけで余裕だったけど次はちょっと…」

「………ええ、分かってるわ」

 

 

 

栗浜アケミにゴレオン将軍…どちらも今ある装備では倒すのは難しい。

 

天童アリスだってあんな攻撃を受けたら気絶どころかヘイローが割れても不思議じゃないし、パートナーの美甘ネルにいたっては本気になった空崎ヒナ並の戦闘能力とヒナ以上の速度を持っている。とても敵わない

 

──私たち4人だけなら。

 

 

 

「アル様、どうされますか?」

「…どっちが勝ったとしてもまず4人で戦うわ。そして戦況によっては…アニ。」

「わふっ?」

「あなたにも手伝ってもらう。いいかしら」

「…!ウォンッ!」

 

 

 

言葉は分からないが『任せて』と彼が言った気がした

「…こんなところで終われない、必ず勝つわよ」

 

 

 

必ず勝つ、勝って賞金を手に入れ──

「5人全員でお腹いっぱい、

ご飯を食べるわよ!!!」

「「「おおー!」」」「ワォーン!」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

ゴゥンゴゥンゴゥン…

「く…!」

「ぐははははっ!!まだまだぁ!」

 

 

 

馬鹿の一つ覚えのように当たらない鉄球を振り回し、避けても鎖が接近を阻む。更には──

 

 

 

「これでも、くらいな!」ガラ…

「ッチ!」

 

 

 

くそ、また来る!

 

 

 

「ゥオラァ!!」ブンッ

片手で鉄球を振り回しつつ、空いた手を使い粉々になった瓦礫を投げつけてくるゴレオン。

 

「うおおっ!?」

もちろん当たればただでは済まない、持ち前の速度を生かして1つ残らず避ける

 

クソッ、クソッ!なんて乱雑でフザけた戦い方だ!

 

 

 

つけ入る隙はある、危険だが接近もできる、しかし攻撃が効かない

銃弾を叩き込もうが銃で殴ろうが顔面を蹴り飛ばそうがアカネから預かった爆弾を使おうがまったくダメージが無いのだ

 

あたしにコイツは倒せない、唯一勝ち筋があるとすればあのチビのレールガンの最大出力をなんとかしてぶつけられれば…

 

 

 

だが相手がチャージを待ってくれるとも思えない、そもそもアリスとコイツを相対させるのはダメだ。

 

鉄球+鎖+投石の合わせ技をあいつは対処できない、小柄で素早いあたしだから被弾せず戦えてるだけで普通の生徒なら何もできずに轢き潰されちまう

 

チャージまでの時間を稼ぐか?それも無理だ、ゴレオンの猛攻を凌ぎながら七囚人を相手にするのは分が悪すぎる。

 

 

 

「どうすりゃいいん「うわぁっ!!」

「どわぁっ!?」

 

ひたすら思考を回していたところに何故か建物を破って突っ込んできたアリスに吹き飛ばされ、2人まとめて雑居ビルに叩きつけられた

 

 

 

「…んあ?アケミか、そっちはどうだ」

「はっ…はっ…久しぶりに、本気を出しましたが…矯正局で身体が鈍っている上に天童アリスが想定以上に強い。ロケット弾も切れてしまいましたしもう少しかかりそうです」

 

 

 

銃撃も打撃も放つことなく、ただ走るだけで建物を突き破って合流してきた栗浜アケミに冷や汗が出つつ、横でノビているアリスを揺り起こす

 

「おいチビ、起きろ!」

「うう…裏ボスです、まだレベルが足りません…」

 

 

 

未だフラフラなアリスを担いで距離を取ろうと思ったが光の剣をそのままにもできず、外の様子を伺う

 

 

 

「っ…」フラッ

「おっと がし …おい大丈夫か?」

「…すみません、少し休んでも?」

「おー休んでおけ、お前が復活する前にこのゴレオン様がケリを付けておいてやる」

 

 

 

…?なんだ、栗浜アケミに目立った外傷は無いが…かなり消耗してる?

『ネル』

「どわぁ!?」

 

その場にいなかった第三者の声に心臓がハネ上がる

光の剣から?つーかこの声…

 

 

 

「……………リオ?」

『今はそんなことはどうでもいいの、ユメさんから2人に話があるそうよ』

 

どうでもいいわけねぇだろ、と思いつつもそれを言う前に通信機の向こう側から別の声が。

 

 

 

『2人とも聞いて、ここから見てたけどアケミって人はアリスちゃんと全力でぶつかって消耗してる。すぐには復活できないみたいだし今のうちにゴレオンさんを倒して』

「それができりゃ苦労はしねぇよ

…それとも何か作戦があるのか?」

『うん』

 

 

 

──ハッ、面白ぇ

 

 

 

「いいとも、聞かせな」

『それは──』

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「──だよ」

『おーいいじゃねぇか最高だ。おいチビ、いい加減に起きろ!勝つぞ!』

『ふあ!?わ、分かりました!?』

 

 

 

作戦を2人に伝え、あとはただ勝利を願う

「あークソ、まさかハラ壊すなんて…あれ?まだ決着付いてなかったのか」

 

トイレから戻ってきたロブさんに若干申し訳ない気持ちになりつつもこればかりは譲れない

 

 

 

願いを叶える果実を他の人には渡せない、きっとギュメイ先生もそう思うはず。

今は先生が居ないし代わりに私が守るんだ、戦えなくても今できることをするんだ!

 

 

 

「頑張って、2人とも…!」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「・・・出てこんなぁ」

 

アケミに吹き飛ばされた天童アリスに巻き込まれる形で美甘ネルも建物内に突っ込んでいったがこれくらいでくたばる相手ではないことはゴレオンも分かっている

 

どちらにせよこのまま続ければ体力切れでオレ様の勝ちだ。この調子で勝ち上がってチェリノ様に果実を持ち帰るのみ!

 

 

 

いっそ鉄球で建物ごと粉砕してやろうかと考えた時だった

 

 

 

ドドドドッ!

 

 

 

また爆弾…ん?なんで建物を爆破したんだ?

 

 

 

一方の支えを失った雑居ビルが倒れてくるがゴレオンは慌てない

 

 

 

何をやるかと思えば…フン、我が肉体の前では避けるまでもない!

 

 

 

迫る雑居ビルに棒立ちのゴレオンと、流石に距離を取ろうとするアケミ

その分断の瞬間を、アリスは狙った!

 

 

 

「たあっ!!」

「…っ!」

 

 

 

もう何度目か分からない吹き飛ばし攻撃でアケミが建物の向こうに吹っ飛んでいく

心配はいらない、あの女はあれくらいでくたばる筋肉をしてはいない。オレ様が相手するのはただ1人!

 

 

 

「アリスっ!七囚人は任せたぞ!」

姿は見えないが美甘ネルの声が聞こえる

 

「はい!ネル先輩もどうか──」

言い終わる前に倒れてきた雑居ビルが辺りを押し潰す

 

 

 

「ふんっ!」

もちろんそんなもの自分の鍛え上げられた肉体には関係ない、邪魔な瓦礫を蹴り飛ばして這い上がる

 

「よぉ、ゴレオン…だったな?

──ケリ付けようぜ」

「ブッ、ハハハハ!ハハハハハ!!オレ様と正面から戦ってまだ勝つ気でいるのか!上等だぁぁぁ!!!」

 

粉塵が舞う瓦礫の上で、オレは再び美甘ネルと対峙した!

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「うおおおおあ!!」

一転攻勢、先程までの守備偏重の姿勢を捨ててとにかく攻めまくる

 

鉄球が頬を掠める、鎖が前髪を抉り切る

だが止めない、攻撃が通用しないと分かっていても。

 

 

 

ドンドンドンッ!

 

 

 

「ぐお、耳が…!」

 

あれだけ顔面近くで銃を乱射されて鼓膜が破れないとは思わなかったがそれでも内部にダメージは入っている

このまま押し切ってやる!

 

 

 

「ぬああああっ!こざかしいわっ!!!」

「っっ!ぶわっ…!」

 

 

 

攻撃手段に投石が無くなった代わりに打撃が加わる。攻勢のまま避け切るのは難しく、空中で身動きの取れないネルに真横から叩き込まれるゴレオンのパンチ

 

「くあ…!あ、あああ!んなもん効くかぁ!!!」

もちろんまともに食らえば1発ノックアウトのそれを身体全体を捻り、回転させて破壊力を受け流す

 

 

 

っぐ!腕が軋む…!受け流してこれかよ!?

 

 

 

だが退かない。()()退けない

あと、少し…!あと少しで届く!

 

 

 

「もうちょい…!」

 

 

 

ジャラララッ

 

 

 

あと1歩というところだった、体力低下と無茶な攻め方をして動きの鈍ったネルの足をゴレオンの鎖がついに捕らえる

 

 

 

「クソッ「ドラァア!!」

凌ぐ間も無く地面に叩きつけられ、銃もどこかに吹っ飛んでしまう

 

「ぐ、あ…」

「手こずらせてくれやがって…だがこれで勝負はついた!」

 

「…ああ、勝負はついたな。──お前らの負けだぜ、ゴレオン」

「? おいなんて言ったんだ?オレ様は今耳が聞こえづらく ガララッ

 

 

 

トドメを刺そうと近付くゴレオンの真横の瓦礫が盛り上がる。

瓦礫を押し除け出てきたのは──

 

 

 

「無茶な攻め方をしたのは、テメーにダメージを与えるためじゃねぇ。ほんの少しの間だけ、テメーの耳鳴りを酷くすれば良かったんだ

 

()()()()()()()()()()()

瓦礫の下で、何が起こっているのか!

今だやっちまえ!アリスッ!!!」

 

 

 

「魔力充填100%…!行きます。」

「な、な!?どっから現れたんだぁ!?待っ──」

 

 

 

【 光よっ!!! 】

 

 

 

「こ、このオレ様が…!」

 

 

 

ぬぐあああ!!?

ブァカなぁぁぁ──っ!!!

 

 

 

最大出力の光の剣を受け、文字通り地の果てまで吹っ飛んでいくゴレオン

っし、やったぞ!

 

 

 

「っく、ゴレオンさん…!?」

「おっとそこまでだ」

 

 

 

雑居ビル倒壊直前にアリスが吹き飛ばしたアケミが戻ってきたがもう遅い

 

 

 

「ネル先輩、銃です!」ポイッ

「おう」パシッ

 

 

 

確かにあたしの攻撃がゴレオンみたいに通じない可能性はあるが…

 

 

 

「ゴレオンは倒したぜ、このまま続けてもいいが…あたしの攻撃を捌きながらコイツのレールガンを避け続けられるか?」

アリスのレールガンなら関係ない、1対1で当てる事は不可能に近いが2対1なら機会はいくらでも作れる

 

 

 

「・・・無理ですね、口惜しいですが降参しますわ」

ひしゃげた機関銃を取り落とし、膝を付く栗浜アケミ。つまりこの瞬間──

 

 

 

『ゴレオン将軍戦闘不能!また栗浜アケミの降参により、本試合の勝者が決まりました!』

 

「ネル先輩っ」

「おう」

 

 

 

『【宿屋の地下室】バトルトーナメント、1回戦勝者!チームモモイですっ!

苛烈な戦いと予想外の機転を見せ、見事勝利を掴み取った2人に、どうか喝采を!!』

 

 

 

──アリスとネルの勝利が確定したのである




ゴレオンの戦闘シーンを書くために鬼滅の刃の悲鳴嶼さんのところを読んできた作者のルルザムートです、ハイ。
先日とある読者の方から疑問を持たれていたのでここで書いておくとまず帝国三将軍それぞれが使える特技・呪文には作者なりのルールを使っています。

最初に主人公であるギュメイですが彼の代名詞とも言える『魔神斬り』より強い剣技は使わせません
もちろんパヴァーヌ編のキラーマジンガ戦のように他の剣技の方が相性がいい場合もありますが、魔神斬りより破壊力のある技は基本出てこないとだけ。

そして次、鳥山アウルことゲルニックは逆に超強化させルーラやアストロンはもちろん、ベホイミやマホトーン、レミラーマといったたくさんの呪文を覚えてもらいました
これに関しては世界を震え上がらせたガナン帝国、その国力そのものである帝国軍の第二将の最高呪文がバギマとメラゾーマではあまりに弱すぎるので帝国将唯一の軍師かつ魔法使いということでこうなりました

最後にゴレオンですが彼はⅨ本編でも明確に技として使っているのはテンション上げの『ためる』のみ。
ギュメイの『斬り上げ』やゲルニックの『マホカンタ』のような下手な小細工を一切せず正面からぶつかってくる彼に技を使わせるのはあまり見栄えがよくないかな、ということで『不器用は不器用なりに戦うのが1番強い』という言葉を思い出して他媒体のゴレオンや怪力軍曹の技は使わせないというルールを決めました

ドラクエ本編ではレパートリーの少ないボスはⅤのゴンズのように単調になりやすいですがここはキヴォトス…怪力、頑丈というステータスはかなり活かせると思っているのでこれはこれでいいかなぁと

それではまた明日…

レッドウィンター編でユメとアウル、どちらを連れて行くか

  • ユメ
  • アウル
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