ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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いただいた評価数が10個になりました!嬉しいぃ!!
そして同じ読者の方から二つ目の感想、そして新しい読者の方からは『期待している』という素晴らしく嬉しい感想を貰いました!
しかもしかも片方は朝方、もうすぐ仕事が始まるぞというタイミングで来てくれたので『出勤するの怠い…』と思っていた心境をぜぇんぶ吹き飛ばしてくれたのです!いえーい!

…ところでメインストーリー準拠でやっていますがもちろんメインストーリー(の舞台になる学園)の数と女神の果実の数は釣り合ってません
ので、終いまで書き切ると仮定するとメインストーリー以外の絡み…
(今のところメインストーリーの舞台になっておらず、かつ構想があるのはレッドウィンターだけですが)
も果実捜索に巻き込んでいこうかなと考えていますがどうなんですかね…?

さてさて本編へ。まずなによりもセリカ誘拐阻止。そしてここまでギュメイ将軍の前に出てこなかったアビドス生最後の1人がようやく…
対策委員会編第3話です、お楽しみください


深夜の捜索

「カイザーコーポレーション…」

「そっ、そいつらが私たちを雇ったんだ!

支援してやるからあの学校を襲えって…報酬も良かったから…」

 

 

 

「…なら次の質問だ、武器の取引はどこで行われる?カイザーコーポレーションとの接触点はどこだ」

「それは…向こうから指定されて初めて分かるから…」

 

 

 

まぁ子供に選択権を与えるほど甘い連中ではないか

それにこの様子ではカイザーとやらの狙いも知らないな。期待はしてなかったが

 

 

「ひとまず背後の組織については分かった

よく話してくれたな、では最後に1つ

…今後アビドスに関わるな、いいか?」

 

「そ、それは無理よ!元々私たちは弾かれもので、カイザーの金でなんとか食い繋いでいるし…それにカイザーには逆らえない

逆らったら間違いなく報復と口封じに遭う…!」

 

なるほど、確かにそれは無理だ

 

「だがヘルメット団がカイザーと関わりがあると知ってるのはお前だけなのだろう」

「そう、だけど…?」

 

 

 

ひょい

 

 

 

「え?」

「他のヘルメット団には自力でなんとかしてもらうしかない、どうしようもなくなったらシャーレの門を叩くようにと言っておけ」

 

「あの、なにを…?」

「すまないが──今からお前を誘拐する」

「え。えええーっ!?」

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「補給よし、ホシノ先輩は?」

「まだ戻ってきてない…」

「ん、待ってる時間は無い。先生のところに「あの、シロコ先輩」

 

「アヤネちゃん?どうしたの?」

「その、外に…」

「ん…」

 

 

 

「戻ったぞ」

「きゅう。」

 

 

 

シロコ達が届いた物資で体制を整えたころ、ちょうどギュメイが学校に戻ってきていた

…気絶したヘルメット団を脇に抱えて

 

 

 

「先生?ヘルメット団は…?」

「前哨基地のは殲滅した、彼女はそこのリーダーだ。訳あって連れてきた」

「えっ、じゃあヘルメット団のは全部コイツのせいってこと!?ちょっと、起きなさいよ!」

 

「ひぃん、セリカちゃん怖いよ落ち着いて…」

「ユメ先輩の言う通り、落ち着いてセリカ。…訳って?」

「──カイザーコーポレーションという名前を知ってるか?」

 

 

 

瞬間、その場にいた全員の表情が固まった

…知っているんだな

 

 

 

「どうもヘルメット団はそのカイザーから支援と依頼を受けてここを攻撃していたらしい

狙われるような覚えは?」

「・・・ん、割とある。というか覚えしかない」

 

 

 

俯きながら答えるシロコ

何をしたんだ…?

 

 

 

「そ、そのためにはその、1番の問題の、借金について先生に話さないと…」

「ちょっとユメ先輩!?勝手に部外者に話さないでくれます!?」

「ひぃん、でも…」

 

「私は話していいと思います、実際にこうして助けてくれましたし…今までの大人とはきっと違いますよ」

「私達だけで解決できるような問題ではないです、先生に知恵を借りましょうセリカちゃん」

「くっ…もう知らないわよ!勝手にすれば!?」

 

 

 

まったく嫌悪感を隠さず飛び出していくセリカ

とはいえギュメイとしてはこちらの方が共感はできた

 

ガナン帝国軍の時でも仲間内での密告や謀略などは日常茶飯事であり、主であるガナサダイ皇帝陛下以外に無条件で信じることができる者など数えるほどしかいなかった彼にとってこの反応は至極真っ当なものだったからだ

 

逆にシロコやノノミは少し無防備すぎる気もする、子供だからだろうが…いや、それほど余裕が無いということか

 

 

 

と、思案はここまでにして話を聞こう

「シロコ、借金について教えてくれ」

「ん、説明する。借金とは。

他者から借りた金銭のことを指し、またそれを生業とする業者は利息等から利益を…」

 

的外れな説明を始めるシロコに全員ずっこける

 

「い、いやアビドスがなんの借金をしているかを教えてくれ

この世界に疎い我でも元の世界でもあった概念は流石に知っている」

「そう?先生の世界では借金なんてないと思ってた」

「いやあるぞ流石に…」

 

もっともガナンは貸し付ける側だったが。

 

「じゃあ説明するね、まずアビドスがなぜ借金をするようになったのか──」

 

 

 

シロコが教えてくれたのは噛み砕いてこうだ

 

元々アビドスは人も資源も多い豊かな場所だった、だが突然の砂嵐で砂漠化が進み、アビドスはその復興のために多額の資金を使わざるおえなかった

 

しかし融資してくれる相手は中々おらず、闇金…不法な高利貸しに頼るしか無く、膨れ上がった利息をなんとか払うだけで精一杯。

その総額は9億6235万…なるほど、確かに生徒だけではどうしようもない

 

そしてその闇金というのが──

「カイザーコーポレーション、か」

「うん」

 

 

 

ロクな組織では無さそうだがひとまずアロナに調べてもらおう

我が斬って済む話ならそれでいいが組織が相手ではな…

 

 

 

「解決策を模索してみよう、とはいえ9億以上の借金をなんとかするアテは無い

尽力するが期待はしないでくれ、それと…これは我の電話番号だ。何かあったら呼んでくれ」

「ん、分かった。じゃあこれは私の電話番号。先生も何かあったら電話して。」

 

「ありがとう。…あまり力になれず済まない、だがお前達を見捨てないことだけは約束しよう」

「大丈夫ですよ〜⭐︎少なくとも補給のおかげでしばらくは私達だけでもなんとかなりますから」

 

 

 

「…結局ホシノちゃん、帰ってこなかったね…

何かあったんじゃないかな…」

「ん、ホシノ先輩なら大丈夫。私たちは先輩を信じてユメ先輩がフラフラっと迷子にならないよう気をつければいいだけ」

 

「ひどいよぅシロコちゃん!アヤネちゃんもひどいと思うよね?」

「え、えっと…その、どうでしょう…?」

「ひぃん」

 

3年生だというのにものすごく信用されてないらしい

…まぁ、少しとはいえ行動を共にした我も同意見なのだが

 

 

 

「ホシノ先輩が戻ってきたら連絡するね」

「分かった。ではまた明日」

 

追加で申請しておいた補給物資と入れ違うように学校を後にし、ギュメイは一度シャーレへと戻った

 

 

 

 

 

そしてその日の深夜…

 

 

 

 

 

「こんな夜更けに呼び出して済まなかった」

「ん、割と眠い…でも私にしかできない話って?」

 

 

 

シャーレに戻ってすぐ我はカイザーコーポレーションについて調べた

…機械の使い方がおぼつかず、実際に調べてくれたのはアロナだが。

 

 

 

一言でいってカイザーコーポレーションは最悪だった。ガナン帝国軍のように表立って何かするということは無いが軍力は本物であり、またやり方も悪質かつ陰湿、そしてこれだけ情報が手に入りやすいにも関わらず潰れていないのはどの行動もギリギリ犯罪になっておらず、少しはみ出したところで握り潰せる圧倒的な資金を持っているからだ

 

そんな連中に果実を渡すわけにはいかない

 

 

 

「………」

「先生?」

 

 

 

正直話すのは躊躇われる、あくまでこの問題は我の世界が起こした問題が原因だ

だがアロナのサポートがあるとはいえ我1人では限界がある、誰かしらに話して協力を貰わなくては

 

 

 

「カイザーコーポレーションの狙いが分かった

借金も上手くいけばゼロにできる」

「ほんと?」

「…かもしれん」

「ん、どっち?」

 

「それを話すにはまずこっちを説明しなくてはな

シロコ、黄金に輝く果実を見たことはあるか?」

「? いや無いよ、でも純金ならお金になりそうだね」

 

 

 

「…我はその果実を追ってここに来た」

「アビドスに?」

「この世界にだ。キヴォトスに落ちた7つの女神の果実…その回収が我の役目だ」

「──私たちに協力したのは、アビドスにその果実があるから?」

 

 

 

表情は変わらない、だが少しだけ声が哀しそうなものへ変わったのは確かに分かった

 

たしかにそうなるだろう、信用してもいいと思った大人がこれまでの大人達と同じように学校や仲間ではなく利益を見て接触を計ってきたのだと知れば裏切られたと思っても仕方ない

 

だがそれだけは否と言える

 

 

 

「違う。我の目的は果実であるが、それとは別に我へ役目を託した天使に恥じないためだ」

「て、てんし?」

 

 

 

怪訝な顔をされるがウォルロ村の守護天使の名誉のためにもこれだけは言っておかなくてはならない

 

 

 

「我は本来地獄に落ちる男だった。帝国の敵は人だろうと天使だろうと斬り捨て、おびただしい数の屍を築いてきた。…彼にとっても我は仇だったはずだ

 

しかし彼は我に手を差し伸べた。亡霊となった我の願いを聞き入れ、行き場を失った王を鎮めてくれた

 

──その彼が我を頼ったのだ、ならば義を持って応えずなんとする。そこに不義などあってはならぬ、今度は我が彼の願いを聞く番だ」

「えっと、つまり?」

 

 

 

「彼が我を救ったように、我がお前達を助ける

今の我は、守護天使の代理だ」

「………言っている意味がよく分からない

でも助けてくれるのは分かったよ」

 

「…信じてくれるのか?」

「うん。自分が人殺しみたいなこと言ってたけど…多分あなたはいい人…人?だと思う」

「──ありがとう」

 

 

 

「ところでカイザーの狙いが分かったって言ってたけど」

「そうだったな、その話に戻ろう

…カイザーの狙いはアビドス高等学校のどこかにある女神の果実だ」

 

「ん、飛躍しすぎ。そもそもその果実はなんなの?」

「女神の果実は…正直我も正体がなんなのかよく分かっていない。分かっているのはその果実を食べた者の願いを叶えるということだけだ」

「願いを叶える…」

「どんな無茶な願いでもな、カイザーの狙いはおそらくそれだ」

 

 

 

でなければあれほどのコストを支払って尚攻撃し続ける理由が分からない

 

 

 

「……その果実があれば、アビドスを救える?」

「救えるだろう。…だがシロコ

酷な事を言うが果実を使わせるわけには行かないのだ、我の目的はあくまで回収…

元の持ち主に返す事だ、悪いがこれは譲れん」

 

「・・・分かった」

まだ果実を信じていないのか、それとも信じた上での答えなのかは分からないが…

 

 

 

「先生」

「ああ」

 

 

 

もし果実が目の前にあれば、きっと彼女は──

 

 

 

「カイザーの狙いは願いの叶う果実の回収だ

とはいえそれを引き合いに出してくる事は無いだろう

 

下手に果実の詳細を知られれば一気にひっくり返される可能性もある、言わば反則みたいな物だ

故に我らが先に果実を学校から回収し、カイザーに売りつける。…借金の帳消しと引き換えにしてな」

 

 

 

「…!?い、いくらなんでも9億円以上の肩代わりなんて…」

「カイザーは乗ってくる。これだけコストを掛けた以上、向こうにしてみれば手に入っただけで御の字だ」

 

「でもそれだとカイザーに果実を使われちゃうんじゃ?」

「そこは我が横から奪い取る。そうすればアビドスの借金は消え、我は果実は回収できる」

 

「・・・意外と悪どいね、先生」

「ふっ、そうかもな」

 

 

 

「でもそれは学校に果実があって、かつカイザーが果実を狙っていないと成立しない

それにそんな果実、私たちの誰も見た事ないし…」

「だから『かもしれん』だ、まずは果実の捜索を優先したい」

 

「まさか私を呼んだのは──」

「この時間ならアビドスには誰もいないだろう

シロコ、もし信用してくれるのなら我をもう一度アビドスに連れて行ってくれないか?」

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「ついたよ先生。…こんな真夜中に学校に来るのってなんか新鮮。」

「感謝する」

「じゃあまず倉庫とか空き教室から探そう、普段私たちも使ってない場所から探した方がいい」ピッ

 

端末に校内見取り図と送ってもらい、鍵も受け取って校舎へ

 

「じゃあ私は倉庫を探してくる、何かあったら呼んで」

「ああ」

 

 

 

シロコと別れ、近い教室から順に中を改める

「………」

 

机の中やロッカーの中などには無いだろう、そもそもあれだけ喧しく輝いていたのならアビドスの生徒が気付くはず

流石に壁の中まで見るつもりは無いが手詰まりになったらいよいよそうするしか無くなるかもしれんな…

 

 

 

そんなこんなで1つ、2つ、3つと教室を確認したが果実は無い

 

ここが最後か

 

 

 

あっという間に3階の教室まで調べ尽くしてしまい、当然のように果実は見つからなかった

別校舎を探していたシロコの方も同じらしい

 

 

 

残るはもう使われてない調理室だけ──ん?

 

 

 

「………」ガララッ

 

 

 

鍵が開いている…

他の教室は全て鍵がかかっていたのだがここだけ鍵が開いていた、妙だとは思ったが中に入った瞬間、我の手は刀へと伸びていた

 

 

 

何かいる…

 

 

 

生き物の気配、じっと身を潜めてこちらを伺う生物の気配。

真っ暗闇の調理室には確かに、人間1人分の気配が空気に乗って漂っていた

 

 

 

シロコを呼ぶ余裕は無い、そもそも呼んだところで彼女を危険に晒すだけだ

こんな時間に学校に潜んでいるなどどう考えても普通ではないし我が先に遭遇して良かった

 

 

 

狙いは果実か?カイザーの手先が夜な夜な学校を物色しているというのなら果実があることの裏付けにもなるが

 

 

 

「………」

 

 

 

刀に掛けた手を離さず、調理室を歩いていく

…関係ないがこういうところは魔獣体になって良かったと思っている。人間のままならこの暗闇で視界を確保することなどできなかっただろう

 

ん…?

 

4つ先の机の裏、よく見ると靴が少しはみ出していて、僅かに動いている

 

 

 

そこか

 

 

 

音無く刀を抜き、構えを取る

別に殺すつもりも傷付けるつもりもない、少し脅かして武器を斬り捨てればそれで済む話だ

 

 

 

「   」トンッ

 

 

 

しっぷう突きの要領で床を蹴り、慌てて逃げ出そうとするそいつの首筋にひたりと刃を押し当てて──

 

「たっ、たすけてホシノちゃ──あ、あれ?」

「…っ???ユメ?」

 

そこにいたのはカイザーの手先でもヘルメット団でもない、翠髪をふるふる震わせ怯える梔子ユメが…

 

「こんな時間にこんなところで何を

「させるかっ!!!」

 

 

 

 

 

「な」

 

 

 

 

 

状況を理解するのにほんの少しだけ時間がかかった。とはいえほんの少し、ユメ以外の誰かに飛び蹴りをくらい、ガラスを破って3階から突き落とされ、地面に叩きつけられそうになる少し前には頭の整理は終わっていた

 

 

 

ガシャン!

 

 

 

「っ、『火炎斬り』!」

受け身を取って着地すると同時に降り注ぐガラスの雨を火炎斬りで溶かし尽くして防ぐ

 

今のは誰だ?今度こそカイザーの手先?とすればユメは今の奴から隠れていた…?

 

見上げれば粉々になったガラス窓から桃髪の少女がこちらを見下ろしていた──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユメ先輩ケガは!?」

「だ、大丈夫だよホシノちゃん。…あと私たち同級生じゃなかったっけ…?」

「………よし」

 

ユメ先輩に怪我は無い、首筋に刃物を突きつけられていたのが見えた時は焦ったけどなんとか間に合った

 

 

 

「っ、『火炎斬り』!」

 

 

 

外からさっきの男のものであろう声が聞こえ、窓の方へ

 

「………」

 

刃物から吹き出している炎に照らされ、一瞬だけ男の顔が見えた

 

キヴォトスでよく見る獣人ではあったがどこか異質で、口元からほんの少しだけ見える牙やツンと立った耳、そして炎が消えた後でも朧げに光る2対の瞳は5秒後暗闇となったはずのそこでもしっかりと私を見据え、切先をこちらに向けている

 

狙いは分からないが深夜の学校に忍び込むなんてロクな奴じゃない

カイザーかそれ以外か、どこの手先か知らないがここで始末してやる!




ガンベクセンが暗殺されるまでガナサダイとその下の将軍達はベクセリアにいた…ギュメイ将軍はベクセリアでどんな生活を送ってたんだろうなと思っている作者のルルザムートです、ハイ。
というわけでカタカタヘルメット団を壊滅させたのでセリカ誘拐イベントは起こらなくなりました。
しかし果実捜索を急ぐあまり別のイベントが発生。さてさて…
次回はこの二次創作で初めての強者vs強者の戦闘になります
また余談ですが戦闘シーンを書く時は何かしらのドラクエbgmを横で流しながらやってるのでかなりノリノリです
(好きな戦闘bgmを聴きながら、自分だけの戦闘シーンを脳内再生してたのは私だけではないハズ…)
この次の話を書いていた時に聴いていたのはドラクエ6より『魔物出現』…
はぐれのさとり欲しさに冗談みたいな回数聴いていても飽きが来なかった名曲です
それではまた明日…
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