ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

68 / 125
大変お待たせしてしまいました、パヴァーヌ編同様まだ書き切っていませんが流石にこれ以上空けられないので更新再開します!
今日は半端な時間になってしまいましたが明日(12/3)からはこれまで通り18時に毎日レッドウィンター編を更新していきます
というわけでレッドウィンター編第1話!お楽しみください


イワン・クパーラ編
出張前の駆け引き


時刻は朝8時、それぞれの家で朝食を終えてきた我らはシャーレへと足を運んでいた

もっとも今日シャーレでの仕事はしない、レッドウィンター行きの準備が完全に整ったからだ

 

本当はこのまま向かうつもりだったがゲルニックからシャーレに寄って欲しいと言われてここにいる

 

 

 

「本当にいいんだな?しばらく帰ってこれないかもしれないぞ」

「大丈夫だよ!ホシノちゃんたちにも許してもらったし…

その、あんまり頼りないかもしれないけど…」

 

「いやユメはよくやっている、普段のシャーレ業務はもちろんエリドゥやアビドスカジノの戦いを見てもお前は大きく成長している」

「ホント!?そ、そっか、えへへ…うれしいな…♪」

 

 

 

我が心配しているのは頼りになった分、以前よりも無茶をしそうなところなのだが…

 

ニヤけ顔のユメの頭を撫でながら部室へと入ると──

 

 

 

「おやギュメイ先生、おはようございます」

「………なんだこの荷物の量は、それに後ろの生徒は…?」

 

もはや鳥山アウルでいることが当たり前になったゲルニックがいた

彼女が我より早くシャーレに来ているのはいつものことだが籠城戦でも始めるのか聞きたくなるような荷物の量と後ろの生徒に関しては聞いておかなくてはならない

 

 

 

「初めましてシャーレの先生、今回鳥山アウルさんの紹介でご挨拶にあがりました

トリニティ総合学園ティーパーティホストの桐藤ナギサと申します」

…!そうか、彼女が話に聞いた…

 

「シャーレ顧問のギュメイだ、アウルから話は聞いている

まずはアビドス自治区でユメ奪還のためにティーパーティの力を貸してくれたこと、そして優秀な生徒をシャーレに派遣してくれたことの2点について感謝を」

 

 

 

後者については十中八九ゲルニックの手回しによるものだろうが表向き決定を下したのが彼女である以上、借りを作っていることに違いはない

 

それに前者ではアビドスとシャーレに力を貸すと決断したのは正真正銘、桐藤ナギサだ

そこに対する感謝や謝礼を忘れてはならない

 

中々都合が合わず直接の礼が言えなかったがまさかトップ直々にシャーレに来てくれるとは

 

 

 

「ユメ」

「へ?あっ!わ、私、梔子ユメです!その節はお世話になりましたっ」

 

「いえ、お気になさらないでください

むしろ私はアビドスへ介入するつもりは無かった…功労者と言うのなら私を動かした鳥山アウルです」

「そうか」

 

 

 

──危ういな

 

 

 

アウルのおかげだと言う桐藤ナギサの様子は…はっきり言ってかなり危うい

 

何があったかは知らないがこれまで全く動かなかったティーパーティがゲルニックの一声で動いたと言うのなら少なくとも彼女は相当な信頼をゲルニックに置いている

 

何をするか具体的にはまったく分からないが、のしあがるため権力者に取り行って右腕として動く姿はかつてのゲルニックと全く同じだ

手酷く利用される前に引き離した方がいいが…

 

 

 

「…?あの、何か?」

「いや、なんでもない。それよりもここの荷物は2人のものか?」

 

 

 

わざわざゲルニック自ら連れてきたと言うことはちょっとやそっと言ったところで信頼を崩すのは不可能な段階まで来ているはず

ここで引き離すのは得策ではない、か

 

 

 

「ああこれですか?寝泊まりの用意ですよ、不在期間がどれだけかかるか分かりませんしその間シャーレを留守にするのもダメだと思ったので」

「…桐藤ナギサもか?いや咎めているわけではないが…」

 

「それなんですがシャーレ所属で無い生徒の部室寝泊まりは規則上問題になるそうで

ですのでギュメイ先生、出張の間だけで構いません。ナギサ様のシャーレ所属を認証していただきたいのです」

「………」

 

 

 

なぜ桐藤ナギサを…?我とユメが不在なら実質的にゲルニックはシャーレno.1の権力を持つはずだ

 

形だけとは言えこの状況で上の人間をそばに置くのはおかしな気がするが…

ここは掘り下げてみるか

 

 

 

「確かにシャーレとアビドスはティーパーティに恩があるが理由も無く所属を認めるわけにはいかん、ティーパーティのトップならトリニティから長く離脱するのは都合が悪いと思うが」

 

「ええもっともです、申請理由は2つ。

まずアナタ方の出張が終わるまでワタクシはシャーレを離れられません

 

ですがトリニティでも当然ワタクシの仕事はあり、そのためにシャーレとティーパーティを行き来するのは非効率…

 

それなら逆にナギサ様をこちらにお呼びし、ここでシャーレとティーパーティの仕事をこなしてしまおうかと思ったわけです」

 

 

 

「…もう1つの理由は?」

「連邦捜査部シャーレという特異な場所は外から見れば未だ未知数…

早い話がナギサ様にシャーレのことを知っていただくためです、これが2つめの理由。」

 

「うむ…」

「私はいいと思うよ!ギュメイ先生は?」

 

 

 

一応理屈は通っている、それに良い見方をするならばティーパーティのトップがいる間はゲルニックも思い切ったことはできん

問題になれば責任の追及はナギサにも及ぶ、信頼関係を破壊するような行為は彼女もできないだろう

もちろん楽観視は危険だ、信用できる生徒を1人か2人監視につけたいが…

 

 

 

どちらにせよギュメイに断るという選択肢はとれなかった、理由を聞いた上で突っぱねれば『アビドスの恩があるのに無に返した』として以降トリニティとの関係は悪くなる可能性が高いからだ

 

我の思考がそう巡ると読んで呼び寄せたのならさすがと言うしか無いが何もかも彼女の思い通りにさせるわけにはいかん

 

 

 

「分かった、許可する。許可証の発行は連邦生徒会の七神リンに申請すればできる」

「ホッホ、そう言ってくださると思ってましたよ」

「ありがとうございます、ギュメイ先生」

 

「では後のことは任せる。行くぞユメ」

「うん!」

 

 

 

部室を後にそのままシャーレの外へ

…さてどうするか

 

 

 

監視させるならうってつけの人物がいるにはいるがエリドゥ後の件に加えてこれ以上彼女に借りを作るのは危険だ

とはいえゲルニックを放置するわけにもいかん

 

 

 

「先生?考え事?」

「ああ少し──…!そうだユメ、知恵を貸して欲しい」

「? なーに?」

「それは──」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

コチコチと掛け時計の針の音だけが響く私室。昨日と変わらず過ぎていくであろう1日は滅多に鳴らないハズの自分個人の携帯電話が鳴ったことで変化した

 

 

 

「…やあ先生、あなたの方から掛けてくるとは珍しい、何か用かな?」

『ああ、唐突だがしばらくシャーレに滞在してみないか?』

「本当に唐突だな?…レッドウィンター出張中の留守番を頼みたいということか?」

 

もしそうなら願ったりだ、シャーレの先生に恩を売りながら彼が不在のシャーレに堂々と入ることができる

 

 

 

「ならば遠慮することはない、私と先生の仲だ。引き受けるとも

ただ万魔殿として無償協力というわけにもいかない、私たちはボランティア軍団ではないからな」

 

さて何をしてもらうか、あれでもないこれでもないと一瞬のうちに様々な要求が浮かんでは消えてゆく

 

 

 

『──何を考えているか知らないが恩を売るのはこちらの方だ』

「む?」

 

 

 

万魔殿に仮加入でもしてもらおうかと結論を出しかけた時、予想に反した答えが返ってきた

 

 

 

「キキ…ゲヘナのトップを呼び付けて尚お釣りが来ることでもあるのか?」

『お前の言う通り、我とユメはレッドウィンター出張のためにシャーレを空ける

その間留守を預かるのはシャーレ所属の鳥山アウルと──現在仮所属となっているトリニティ総合学園ティーパーティホストの桐藤ナギサだ』

 

 

 

ピク

 

 

 

「──ほう、それで?」

『ふ、期待してもらっているところ悪いがこれ以上は無い

だが客観的に見るのなら本来トリニティから出てこないティーパーティトップがシャーレに滞在している

 

当然シャーレはゲヘナでもトリニティでもない以上、ゲヘナ生が桐藤ナギサに会いに行ったところでなんの問題も無いわけだ

 

来るかどうかは任せるが…こんな機会は滅多に無いと思うぞ?』

 

 

 

──キ

「キキキキッ!なんだなんだ先生!こういう駆け引きは苦手な男だと思っていたが!

キ、良いだろう、情報提供感謝する」

『今度は我が貸しを作ったな』

「その通りだ、これは忘れずにおこう」

 

 

 

音を立てないように受話器を置いて深呼吸

幸か不幸か今日はイブキと遊ぶ予定がない、今すぐシャーレに向かうとしよう

 

さて向こうにいるトリニティ生は2人…私の他にもう1人連れて行けるが誰にするか…

──よし!

 

「チアキを呼べ!シャーレに向かうぞ!」

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「──ふう」

「ど、どうだった…?」

「ユメ、完璧だ」

 

 

 

トリニティのトップが来ているなら最低でも同格の相手を用意せねば監視はできない、このことから我はいかにして借りを作らないようにマコトを呼ぼうか考えていたのだが…

 

 

 

「ユメの読みは正しかった、まさか借りを作らないどころか貸しまで作ってしまうとはな」

「? よくわからないけど先生の役に立てたならよかった!…えへへ」

 

 

 

ピリリリッ

 

 

 

む、電話が…マコトか?

 

 

 

『もしもしせんせー?もう列車、出ちゃうよ?』

『せんせー、どこー?置いてっちゃうよー』

 

 

 

ああ、ハイランダー鉄道学園の…

「構わん、そのまま発車しろ

シャーレ付近で飛び乗る」

 

『んー、分かったー。…ギュメイ先生、前言ってたとーり飛び乗るってー』

『パヒャッ、りょーかーい!…え、マジで?マジで飛び乗るの?』

 

 

 

カジノの時に聞いた情報だが黒服曰くレッドウィンターは『ほぼ内戦状態』だと…

まともな手段では入れないがハイランダー鉄道学園の物資搬入列車だけは素通りできるらしい

 

もちろんレッドウィンターで検査がない分、ハイランダーで厳しい検査をしているのだろうが一度発車すれば途中停車しないことはアロナが調べてくれた

 

 

 

「ワカモと合流してレッドウィンターへ向かう

行くぞユメ」

「うん!」




多分レッドウィンター編がこれまでで1番書くのに苦戦したんじゃないかと思う作者のルルザムートです、ハイ。
永らくお待たせしてしまいましたが更新再開します!
そしてアンケートの結果からご覧の通りユメを連れて行くことになりましたがもちろんシャーレに残ったアウルとナギサにも出番は来ます
それを書くのはレッドウィンター編が終わってからですが…
ともかくレッドウィンター編だけはこのまま突っ切りますのでどうかよろしくお願いします!

レッドウィンター編でユメとアウル、どちらを連れて行くか

  • ユメ
  • アウル
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。