ブルアカ二次創作に限らずギュメイ将軍がメインの話増えないかなぁ…
そしてこっちですがなんか思ってたより文字数足りなくて次の話もくっつけたの巻
そしてそして後になってやっぱり恥ずかしくなったので少し前話修正。なお修正したのは前書きのみでストーリー本文には一切変更は入れてないのでご安心ください
対策委員会編第4話です、お楽しみください
峰打ちではあったが当たれば一撃で気絶させられる威力のそれを、桃髪の少女は校舎を蹴って飛び退き避ける
武装は散弾銃のみ…だが爆弾を隠し持っている可能性も否定できない
アビドスの生徒やヘルメット団と比べると誰よりも幼い外見をしているが左右で色の違う瞳からは外見で判断するなと言わんばかりに覇気と殺気が飛んでくる
ぼんやりと光輪が見えることから生徒であるのは分かるが…
「………」
桃髪の少女は仕掛けてこない、というよりこちらが見えていないらしい
月明かりは雲に遮られグラウンドを照らす光源は無い。だが砂漠故か雲は小さく、あまり長々とやっていればやがて月光がここを照らすだろう
さっきの身のこなしから見ても只者ではない、ヘルメット団のようにはいかぬか
…これが有事でなければ月が出るまで待つのだが
相手は子供で、しかも公平な条件ではない
武人たるギュメイはそれがどうしようもなく惜しかった
しかし迷うことは無く、今一度桃髪の少女と対峙する
戦いを楽しむことよりシロコ達の方が大切だ
…2人が来る前に終わらせる
仕掛けたのはギュメイ、砂と草の混じった地面を駆け、少女目掛けて峰打ちを放つ
しかし少女は見えないはずの一撃をひらりとかわし、お返しとばかりに散弾銃が火を吹いた
すかさずマヒャド斬りで作った氷を盾に鉛玉を防ぎ、氷ごと蹴り飛ばす
音と気配だけで我の攻撃を防ぐばかりか反撃まで…つくづく敵対しているのが惜しい
「っ!」
だが蹴り砕いた先に少女はおらず、氷の破片に反射して見えた銃口を咄嗟に回避。
一瞬にして上を取っていた彼女から再び銃撃、今度は防ぎきれなかったが直撃しなければ何も問題はない
空中で身動きの取れない少女に今度こそ一撃加えるべく接近、抉り上げるように刀を振り上げ──
とんっ
っ!?
振り上げた刀が止められた、いや正確には少女が刀の上に乗っている
下から振り上げた刀に厚底のブーツを乗せ、一瞬だけ成立した足場を使って更に跳躍。
だが今度は上では無くこちらの後ろに──
刀と体勢を崩され、背後からの攻撃は防げそうにない
…やはり只者ではない、だが我とて帝国の剣だった男。いくら強くとも子供に負けるわけにはいかん
もう加減する余裕も無くなった、全力で倒すのみ!
「『火炎斬り』っ!!」
少女の方へ振り向くことなく刀を構え直すことに全集中し、全力を込めた火炎斬りを地面へと叩き込む!
「っ…!?」
地面に叩きつけられ行き場を失った炎の力が弾けるように拡散し、足元から自身の身体を焼いてくる
「ぐ…!」
当然ガラスを焼き払った時よりも強い火力だ。これに焼かれればギュメイ自身も無事ではいられない
だがこれをやらなければ背後から撃ち殺されていた
振り返ればいきなり出現した炎で怯んだ少女。
炎のダメージこそ無かったが、それに気を取られた無防備な瞬間をギュメイは見逃さない
まさに肉を斬らせて骨を断つ。掌打撃で少女を吹き飛ばし、受け身も許さず両腕を踏みつけて身動きを封じる
「このっ…!」
──この少女は危険すぎる
万全な状態、十全な環境で腕を競えないのが残念でならないがもしこれがカイザーの手先だとすれば絶対にここで討たなければ。次は勝てるかどうか分からないうえ、シロコやユメがこいつと遭遇すれば確実に殺される
「…命までは取らない、だが腕は貰っていくぞ」
「なっ…!?くそ!離せっ…!やめろ!」
帝国軍の時と同じように。陛下を害する芽を摘み取っていた時と同じように刀を振り上げる
もう2度と向かってこれないように。
峰から刃へと切り替えたギュメイの刀が少女の右腕を斬り落と「ギュメイ先生待って!!!」
「っ!?シロコ!」
いきなり乱入してきたシロコに今度はギュメイが怯んでしまい、その隙を逃すまいと手先を器用に動かした少女が散弾銃を撃発。
どこが狙いかまでは察知できなかったギュメイは飛び退く他無く、対面状態は振り出しへと戻った
…正確に言えば先ほどまで居なかったシロコがいるくらい。
「ありがとうシロコちゃん、流石に今のは腕逝っちゃったかと思ったよ」
「ホシノ先輩落ち着いて、彼は敵じゃない
ギュメイ先生もやめて。私の話を聞いて」
「ホシノ…?」
すると彼女が対策委員会最後の1人…?
そんな疑問を浮かべているとようやく月が雲の陰から顔を出し、ここで向こうもはっきりとこちらを認識したらしい
刺すような殺気は変わってないがシロコのおかげでいきなり飛びかかってくるようなことは無さそうだ
「ん、紹介する。対策委員会副委員長で3年生のホシノ先輩。ホシノ先輩挨拶して」
「………」
「我から話そう。我はギュメイ、連邦捜査部『シャーレ』の顧問だ。
奥空アヤネから支援要請があって昨日アビドスに来た」
特に言葉を選ぶことなく、事実だけを伝える
…しかしホシノからの疑惑の視線は微塵も途絶えない
「………信用できないな、それなら補給が終わったらもう用はないはずでしょ
知らない大人がこんな夜中に私たちの学校で何をしてたの?」
「それは…」
「ん、説明すべき。こうなったら全部話さないと多分ホシノ先輩は信用してくれない」
躊躇う我を見越して即座にシロコが割って入った
確かにここまでやった以上、説明無しでは不信感しか残らないが…
「しかし「対策委員会には知った秘密をバラそうとするような人はいない。それが助けてくれた人なら尚更。
そしてアビドスを救う手かもしれないなら言うしかない、と思う」
「………」
「先生、私を信じてみんなに話して欲しい
やっぱり私たち2人だけじゃ限界がある」
「………分かった」
どうやらもう話すしかないらしい、ひとまず明日の朝もう一度ここに集合、対策委員会全員に話をすると約束して我らは学校を離れた
「私は信用しないよ、もう大人にはうんざりだ」
「ん、するかどうかは明日の話で決めるべき」
「それでも駄目だと言うなら我も退がる、他に言えることは無い」
・・・ところで
「ユメはどうした?」
「「あ」」
「・・・ホシノちゃん遅いなぁ…」
その後、もちろんユメも連れて今度こそ解散。
それぞれが家へと帰り…そして夜が明けて次の日
「願いを」
「叶える」
「黄金の」
「果実?」
「ん、そう。カイザーはきっとそれを狙ってる」
「………」
朝一で6人の全生徒が集められた対策委員会室で我は約束通りアビドスの生徒達に女神の果実とそれを追ってここに来た自身の話をした
「す、すごい…その果実があればアビドスも…!」
「でも使っちゃダメなんですよね…」
「な、何よ!期待させておいてそんなの狡いわ!」
「ん、でも見つければ借金はチャラにできるかもしれない」
反応はそれぞれだったものの、話を聞いた彼女達は一貫して信じてくれた
…言った自分でも胡散臭いと思う話なのにだ
「カイザーはその果実を使ってもっと悪どいことをする気。そして…多分この学校のどこかに果実があると知ったんだと思う」
「借金をチャラにする代わりに果実を探して渡すと?」
「で、でもそれカイザーに果実を使われたら危ないよシロコちゃん」
「使われる前にギュメイ先生が横から掻っ攫うから大丈夫。借金が消えて補給があれば今度は私たちが叩き潰せばいい」
「ひぃん、かわいい後輩が悪どい顔をしてるよぅ…」
「でも果実を渡して借金はそのままにされる可能性もあるから渡すとしても慎重にやらないと
それにまだ果実がどこにあるかも
「くだらない」
これからどうやって果実を探すか、という舵を切り掛けたシロコの話を両断したのはホシノだった
本気になったホシノしか知らないギュメイは周囲の様子に疑問符を浮かべていたものの、対策委員会の5人はホシノの口から飛び出した信じられないほど低く冷たい声に一瞬思考が停止した
「え、あの、ホシノ…先輩?」
「くだらないって言ったの。
…ギュメイ先生、あなたがアヤネちゃんの支援要請を受けて物資を送ってくれたことには感謝してる。私がいない時ヘルメット団を追い払ってくれたのもね
でもさ、だからって調子に乗ってこんなデタラメをみんなに吹き込んでからかうのはやめてくれないかな?」
「………」
「ホシノ先輩、ギュメイ先生は嘘なんか「シロコちゃんは黙ってて
ギュメイ先生、私たちはこの学校を守りたいんだ。住民も生徒も居なくなって、廃校寸前になっても、それでもなんとかしたいって集まったのがこの5人なの
何が狙いか知らないけどさ、これ以上私達の努力に土足で踏み込むのはもうやめてよ」
明確な拒絶、困惑や恐怖からくるものとは違う。『分かり合えない』という確信からくる拒絶が言葉となって次々飛び出していく
「ホシノ、我は…」
「ほ、ホシノちゃん!いくらなんでもそんな言い方あんまりだよ!ギュメイ先生は…」
「昨日だってあと少し私が駆けつけるのが遅かったらユメ先輩の首を吹き飛ばしてたんじゃないの?」
「えっ!?ちょ、ちょっとどういうことよギュメイ先生!」
「その、本当ですか?何かの間違いでは…」
「誤解だ。………と言っても信じては貰えないだろうな、ユメに刀を向けたのは事実だ」
「そんな…!」
「み、みんな違う…!誤解だよ!ギュメイ先生は隠れてた私を敵と間違えて「そもそもなんでギュメイ先生は真夜中の学校に居たの?
私とユメ先輩は見回りでたまたま学校にいたけど…もし私たちがいなかったらやりたい企みでもあったんじゃないの?」
もはや誰も言い返さない、これまで色んな大人に騙されていた経験だろうか。さっきまであったはずの信用はホシノの言葉によってあっという間に崩れ去ったのをギュメイは感じた
「違う…!本当に違うの…ギュメイ先生は…」
ただ1人、梔子ユメを除いて。
「とにかく今すぐ出て行って。もうシャーレからの補給も支援も必要ないから
2度とアビドスに来ないで」
「…分かった」
ともあれここまで拒絶されてはどうしようも無い、これ以上ここにいても進展はないだろう
「ギュメイ先生!」
「ホシノの言葉が正しい。我はお前達を信用せず、最初から果実の話をしなかった
これはその不義が招いた結果だ、我はアビドスから去る」
その前に
「だが消える前に聞いておきたい
…小鳥遊ホシノ」
「なに、こっちにはもう話すことなんか」
「──何を失った?」
「へ?ギュメイ先生?」
「どういう…」
誰もギュメイの質問の意図を理解できなかった
ただし、この質問を投げかけられたホシノだけは──瞳孔が目に見えて縮小するほどの動揺を見せたが。
「っ!!!お前…!」
「やはりか…」
昨日からずっと気になっていた。なぜ子供であるホシノがここまで強いのか、なぜ敵に対してあそこまで躊躇が無いのか
こうして拒絶の意思をぶつけられてようやく分かった
帝国軍将校の我が戦場で何度も見た『失った者の目』
親か、友か、恋人か、それに準ずる何かを失った目を小鳥遊ホシノは持っている
「2度と失うまいとするその心は立派だ、だが失ったものに囚われ続ければいずれ必ず酷い結末を迎える。別のものも失うか、自分自身を失うか…そういう人間を我は何度も見てきた」
天使にはできない、戦場で戦い続け、命を屠り続けた我だからこそ言うことのできる言葉
きっとあの守護天使なら別の寄り添い方をしたのだろうが彼女を助けるには無理矢理にでも向き合わせるしかない
「前へ進め、小鳥遊ホシノ。我から言えるのは
ジャキッ
「っ!?ホシノ先輩、何を!?」
「ホシノちゃんやめて!」
激昂のまま散弾銃を撃とうとするホシノをシロコとユメが抑え込んで止め、その隙にセリカから追いやられるようにして我はアビドスを後にした
「2度とここに来るなっ!!!」
「………」
小鳥遊ホシノの怒号を背にして──
ベクセリアでギュメイ将軍が1人黄昏ていたところに『ぎゅめいしょうぐんさま!』って駆け寄ってくる街の子供の頭を撫でてた過去があったらいいな…と思ってる作者のルルザムートです、ハイ。
一切手加減のないギュメイ将軍に本編とは似ても似つかないほどキレてるホシノ…
本編先生は仮に気付いたとしてもすぐには言葉に出さず、少しずつ歩み寄って助ける。というイメージですがギュメイはいきなり核を突いて無理やり前を向かせようとするので衝突が多いです
これに関しては元軍人の『明日自分や相手がどうなってるか分からない』という経験から、過程を全て吹っ飛ばしてとりあえず今すぐに立ち直れ。というスパルタ100%なスタンスが前に出てきたと思ってもらえたら。
もちろん教育者としては赤点なので彼もこの先変われるのかどうか…