イワン・クパーラ編 第16話です、お楽しみください
『番組の途中ですがクロノス報道部より臨時ニュースです!
先ほどカイザーコーポレーションが運営するアビドスカジノ、宿屋の地下室へ【覆面水着団】を名乗る者達が強盗に入った模様です!
詳細はまだ入っておりませんがカジノには10億を超える金銭が保管されているという噂もあり…
いやぁ私もあやかりたいですね!
勢いのままに次のニュースです!ミレニアムサイエンススクールが開発している有人仕様型超巨大決戦兵器【サージタウス】の起動実験が近々行われると…え?放送妨害?
カイザーが作ってるくっだらないエンタメよりこっちの方が視聴率とれるでしょ…あ、あー!離してください!私にはこの情報を発信する義務が──あー!』
プチッ
「アビドスカジノに強盗か…ううむ、あの娯楽施設は気に入っていたのだが…
ああすまない、好きな場所に掛けてくれ」
3回目の時と同じようにレッドウィンター敷地内に入った私たちはこれまた同じように偽チェリノのマリナさんと談話室で向かい合っていた
…多分マリナさんは果実の持ち主じゃない、誰かの願いを叶えた結果こうなっただけだ
そもそも彼女が果実を堂々と見せつけていたこと自体おかしかった
思い起こされるのはエリドゥでの戦いだ。あの時果実の力を利用しようとしていたケイちゃんは私たちの目の前で果実を食べ、その力を使おうとしていた…つまり果実がそのまま残っているのなら誰も願いを叶えられていないはず
果実による願いが支配でないのなら…願いはこの逆行?でもなんで…?
これ以上欲望を辿れない、この逆行が真の願いだとすればこの期間内に特別な想いを抱いている誰かがいるはずだが内戦真っ只中を楽しむ人なんているわけがない
私の知らないところで別の何かが起こってる…?
「──メ、ユメ」
「ひゃっ!な、なにギュメイ先生?」
「上の空だったが大丈夫か?自己紹介を頼む」
「ひぃん、ごめんなさい…えっと、連邦捜査部シャーレ所属、アビドス高等学校の梔子ユメです
よろしくお願いします…!」
「はは、そう気に病むな。誰にでもあるさ
…ギュメイ先生に梔子ユメ殿、自己紹介感謝する。改めて…既に周知かもしれぬが余がレッドウィンター事務局書記長の連河チェリノである。
他にも色々と肩書きはあるが全て読み上げていては長い上に客人も面倒であろうからそれだけ知ってくれれば良い
もちろん聞かれれば答えるがね。…ゴレオン、自己紹介を。」
このままじゃ3回目と同じだ、何かできることは…
理想は地下のガンベクセンさんに会いに行くことだ。3回目で聞いたベクセリア?の話はある程度覚えているからそれを話せば力になってくれるかもしれない
でもそれじゃダメだ、仮に会えたとしてもミノリさんが牢屋に駆け付けたらそのままクーデターが始まっちゃう
もし犯人を見つけてもクーデターで弱っているところを攻撃されたら…!
「なにか、何かないの…?」
「ユメ」
「ひゃあ!?」
「・・・本当に大丈夫か?」
「へっ、う、うん!大丈夫だよ!えっと、なに?」
「反乱分子のリーダー、安守ミノリを見に行く。シッテムの箱を預かってくれないか」
「わ、分かった!」
「すぐ戻る。…ゴレオン!待て!」
…行っちゃった
「──さて、梔子ユメ殿。ただこうして待っているだけというのも退屈だろう?
彼らが戻ってくるまで事務局を自由に見回っていいぞ。見回りには話を通しておく」
「ありがとう、ございます…」
部屋を出ても、何も思いつかない
あえて牢屋に行かないようにする?でもあそこにはミノリさんの仲間もいるからどっちにしろ彼女は来るし…
『ユメさん、大丈夫ですか?』
「アロナちゃん…」
『元気が無いですよ。…もしかして寂しくなっちゃいました?』
「そういうわけじゃないんだけど…」
『ギュメイ先生も言ってましたが無理はよくありません。私に言いづらいことなら相談しやすい人の電話番号とかメアドを教えてください
アロナちゃんはいつでも味方ですよ!』
「うん、ありが──え?電話?」
そうだ、確か…!
「アロナちゃん!今から言う番号に電話して、今すぐ!」
『ふぇ!?』
思い出せ、がんばれ私!あの時トモエさんから聞いた番号──
『にゅ、入力しましたがこれ誰の電話番号ですか?』
「………」
それは…
『おお!まさか電話がかかってくるとは!誰でもいい!おいらを助けにきてくれ!事務局の地下に牢屋が「ガンベクセンさんに代わって!」
『ぬ、いきなりなんだ!というかお前誰「いいから代わって!!!」
有無を言わさず要求したことでチェリノちゃんが少し怯えてしまったけど今は急がないと!
…後で謝らなくちゃ
『…誰だ?』
「私は梔子ユメ。ギュメイ先生と一緒にシャーレからやってきた生徒です
…信じられないかもしれませんが今から話すことは全て事実です」
私は覚えている限り話した。これが4回目の体験であること。果実の真の持ち主を止めないと今日という日は決して終わらないということ
果実とクーデター、宝剣『銀河の剣』…
そして前回聞いたベクセリアという街で起こった出来事を、なるべく詳しく
『────』
「………」
返事が無い、流石に信じてくれないか──
「うわっ!ガンベクセンさん!?どうやって牢屋を──ぎょえっ!」
見張りの生徒を魔法で薙ぎ倒しながら飛び出してきた彼と目が合った
よかった、来てくれた!
「! ガンベクセンさん!」
「──梔子ユメ、正直に言えば気味が悪い。息子との確執やそれに対する本心はギュメイにさえ言っていなかった
…だがそこまで知っているのなら他ならぬ私が話したのだろう
来なさい、まずは事務局から脱出しよう」
▽▲▽▲▽
「えっ、それ本当ですか?」
「ああ、1人いる!この状況を願ってもおかしくない生徒が!」
事務局を飛び出した私とガンベクセンさんはとある場所目指して全力で走っていた
場所の名は…『おひげ広場』
「もしもしワカモさん聞こえる!?地下牢の人たちを助けたらおひげ広場に来て!そこに私たちが回収しに来たものがある!」
『分かりました。ですが後で事情は説明してもらいますよ、わたくしにもギュメイ先生にも』
「もちろん!」
広場はすぐそこだ、戦いは──もう終わってる!
「どけミノリ!もう喋っている時間は無い!」
「分かっている!だがあなた1人で行ったところで地下牢の場所は見つけられない…
縄をほどいてくれ!あそこには私の同志達もいるんだ、かならず助ける!」
!!いた、今にもミノリさんの縄を切ろうとしているギュメイ先生が──
「その縄ほどいちゃだめ───っ!!!」
「ユメ!よかった無事で──
っ!?が、ガンベクセン王!?王もよくぞご無事で「ギュメイ!今すぐ離れろ!果実を持っているのはチェリノではない!」
「いきなり何を「果実を持っているのはお前の横にいる──」
【闘争は終わらない】
「キャッ…!?」
なに、この声…まるで頭の内側に響いて…
『ユメさんっ!』
地面に落ちたシッテムの箱、そこから聞こえるアロナちゃんの声が…すごく遠くに聞こえて──
「耳を塞ぎなさい!」
「っ、はいっ!」
咄嗟に耳を塞いだおかげでおかしな感じは無くなった
何故かガンベクセンさんは塞がなくても平気みたいだけど…どうしよう!?
「ギュメイっ、耳を塞げ!早く!」
ギュメイ先生の様子がおかしい!まるで抜け殻になったみたいな…
この、声のせい?
【そうとも、終わらない!レッドウィンターだけじゃない、キヴォトスには邪悪な権力者、強欲な資本家たちが数えきれないほどいる!】
【今こうしている間にも、まだ顔も知らぬ同志達は奴らに踏みつけにされている。その全てを救うまでこの闘争は続くんだ】
『あわわ…これはいったい…!?ユメさん、囲まれてます!』
「…う!?」
アロナちゃんの声が聞こえたわけじゃない、でも画面の中で大きく指さす彼女のおかげで気付いてしまった
こ、この人たちみんな工務部の…!?
「………」ブチッ
ミノリの縄を切ったギュメイ先生が、彼女を庇うように立って──
「まさ、か…」
【ありがとうギュメイ先生】
【…そうとも!彼のように志を共にする同志と共に現政権を打破し、やがて私たちの闘争はレッドウィンターの外へと向かう!
さぁ立ち上がれ!全ての権力者を引きずり落とし、労働者の権利を勝ち取るんだ…!】
【ストライキを開始する!】
レッドウィンター編、それと同時刻シャーレで起こっている事件について書き終わったらちょっとゲーム開発部メインで書いてみたいものがある作者のルルザムートです、ハイ。
というわけで次回、ガンベクセンが治めたことで平和になったレッドウィンターを内戦状態へと陥らせた本当の黒幕との戦いです
それではまた明日…