ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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実は今章、レッドウィンター陣営で果実のことを『女神の果実』と発言していたのはミノリだけだったり。
イワン・クパーラ編 第17話です、お楽しみください


必要悪

ようやく合点がいった。こうなる前ゲマトリアの男が教えてくれた願いを叶える黄金の果実…それがどう使われたのか

 

 

 

「最初から違和感はあった。今事務局にいる偽チェリノの正体が池倉マリナであることはレッドウィンター生ならだいたい知っていること。

 

…おかしいのは願いだ。果たして彼女にここまで苛烈な支配欲が本当にあったのか?とずっと考えていた。違ったのだ

 

デモとストライキが趣味の彼女には敵が必要だった。物語の中の英雄に悪役が必要なように、簡単には乗り越えられない敵が。

 

それこそがレッドウィンターを恐怖政治に染め上げた真の元凶だったのだ

だ、だがしかし…!」

 

 

 

【捕まえろ!生まれながらに権力と玉座を持ちながら民の言葉に耳を傾けなかった邪悪な王を引きずり落とすんだ!!】

 

「・・・『火炎斬り』」

「ッ…!」

 

ミノリの扇動と同時にあり得ない速度で突っ込んでくるギュメイ。斬撃を杖で、炎をマントで受け流しながらなんとか距離を取る

「く、ギュメイ!私──余の声が聞こえないのか!正気に戻れ!」

 

 

 

呪術や薬物など生ぬるい洗脳の力がミノリの声に乗っている!

彼女が資本家や権力者とみなした相手には効かないようだが…

 

 

 

【立て!立つんだ!守るのは自分だけじゃない…!今こそ立ち上がるんだ梔子ユメ!アビドスを邪悪な権力者、カイザーから守れるのは生徒会長のお前しかいないんだ!】

「うう、あ…!や、やめてミノリさん…!」

 

 

 

彼女はこの体験が4回目だと言ったが、おそらくミノリ自身は数十、数百とこれを繰り返している!でなければここまで相手の内側に入り込む言葉は出せない!

 

 

 

「『さみだれ斬り』」

「ギュメ──うぐぅっ!?」

 

防ぎ、切れぬ…!

 

正気を失っているとはいえガナン最強の剣士の猛攻を防ぎ切れるわけもなく、確実にダメージが蓄積していく

 

 

 

「はーっ、はーっ、そ、そうだ…私は…

みんなを、仲間を守らなきゃ…」ユラ…

シッテムの箱と呼ばれる端末を拾った彼女の目がどんどん虚ろになってゆく

 

「はぁっ、はぁっ…も、もう」

もう私も梔子ユメも限界だ

──賭けるしかない!

 

あまり魔力は残っていないが出し惜しんでいる場合ではないだろう。私は手のひらに込められるだけの魔力を込め──

 

 

 

ッ…!!

『バギムーチョ』!!

 

 

 

最強のバギ呪文を解き放った!

人も建物も、何もかも吹き飛ばす暴風が広場の全てを覆う

 

「………!」グラッ

普段のギュメイなら何があろうとガナサダイから受け取った魔剣士の刀を手放さない、だが洗脳されていた影響か彼自身は吹き飛ばなかったものの刀を吹き飛ばすことには成功したようだ

なにより──

 

 

 

「かはっ!?はっ、あ…?わ、私いったい何を…?」

「思った通りだ…」

【──!────!】

 

 

 

ミノリはこの暴風の中演説を続けているが風に遮られて声が届いてこない

…完全に洗脳される前なら声さえ遮断すれば助けられる!

 

「安心するな!この風はすぐに止む…!

早く逃げるぞ!」

「そ、そんなのだめだよ!?ギュメイ先生を助けないと!」

「割り切れ梔子ユメ!ギュメイに続いてお前まで洗脳されたらミノリは真っ先にシャーレへ攻め込む!今は堪えなさい!」

 

 

 

とにかく一刻も早くここから──

 

 

 

ガクン

 

 

 

「……!」

牢屋生活が長かった上に最上位の魔法をいきなり使ったのだ、身体に負荷がかかるのも分かる

だがよりによって今…!

 

「ガンベクセンさん!?」

「………足が、動かない…!行きなさい、逃げるんだ!」

「いやだ!見捨てない!」

「風が弱まってきた…私に洗脳は効かない!だから早く…!」

 

 

 

【──だ!──て、──のため──】

 

 

 

ミノリの声が…!もう間に合わん!

「────あ。」ピタッ

ユメの動きが、停止して──

「ミノリっ、やめなさい!!やめ──」

 

 

 

【見ろ!この惨劇を!追い詰められれば力に訴え、ただ破壊を振り撒く…こんな奴を野放しにしておけば我々労働者の未来は永遠に来ない!連れていけ、広場の中央で縛り上げて晒し者にするんだ!】

 

 

 

虚ろになったユメとギュメイに抑え込まれ、身動きが取れない

せ、せっかく彼女が私に教えてくれたのに…!

 

 

 

「なにか、呪文を…むぐ!」

 

 

 

だめだ、口を塞がれてもう「ゴレオン!そのストライキ女をはっ倒すのだっ!!!」

「仰せのままにだぜチェリノ様ァ!!!」ゴゥン

 

【え。ぶべぁ!?】

 

 

 

「────」

 

 

 

──な

 

 

 

「「「なんで???」」」

 

 

 

ゴレオンを引き連れて現れたチェリノに自分も、ギュメイもユメも目を点にして驚いている

っと、どうやら洗脳は解けたようだ

 

それに少しずつではあるがこれまで逆行した分の記憶も戻ってきている。…ということはこれで本当に解決したのだろう

しかしこれはいったい…?

 

 

 

「ふ、ふふふふ…!電話越しにぜーんぶ聞いたぞ…初めはどうやってマリナから書記長の座を奪い返そうかと思っていたが…違った!

レッドウィンター工務部部長、安守ミノリ…この騒ぎはお前が中心だったのだな…」

 

「あれっ、え?電話?」

『あ、はい。チェリノさんから折り返しがあったのでとりあえず繋いでました』

見ればユメの持つシッテムの箱に表示された『通話中』の文字が…

 

 

 

「お前のせいでおいらは書記長の座を奪われた…昼寝の時間も、プリンも、ふかふかのベッドも、イワン・クパーラ祭も、プリンも、暖かい部屋も、全部全部…!」

 

「? チェリノ様、プリンって2回言ってるぜ」

【ま、まだだ!まだ終わってな「ええい、どっちもうるさい!粛清!粛清粛清粛清だぁーっ!!!」

 

 

 

もはや収拾がつかないほど怒り狂ったチェリノがやたらめったら銃を乱射するせいで誰も近付けない

幸いトモエとマリナが追い付いてきたことで少しは落ち着いたが怒り自体は全く収まっていないようだ

 

 

 

「…マリナ、今回お前に非はないと判断し、粛清はしない。だからさっさとこいつを連れていけ!」

 

「はっ!…ところで粛清はどのように?」

「え?えーと1ヶ月のトイレ掃除と草むしりとプリンの配給停止とそれから…んーとえーと…

よし、後で考える!とにかく連れていけ!」

 

「分かりました!…さぁ来るんだ!」

【そうか…なるほど、よく分かった」

 

 

 

「! マリナ!ミノリを黙らせ「そうだとも!これは資源を独占し、私腹を肥やす資本家に向けた罰だったんだ!」

 

「っ?ガンベクセン様、いきなり彼女は何を…」

「ミノリは…こういう生徒だ」

 

いきなり自己批判を始めたミノリに目を丸くするギュメイを優しく諭す

・・・無理もない

 

 

 

「女神の果実という資本を他ならぬ私が独占し、あろうことかそのまま何食わぬ顔で目を逸らし続けた…確かにこれは粛清されるべきだな。…ギュメイ先生!」

「う?う、うむ、どうした?」

 

「この果実…探していたんだろう?これはあなたに返そう、私が持つべきものじゃない」

「正直我もまだ混乱しているが…うむ、確かに受け取った」

 

こうして2人は本来の目的である果実の回収およびガンベクセンの安全を確保。

あとは逆行中の記憶が戻れば…ここでのギュメイとユメの仕事は終わったも同然だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《女神の果実を確認、これより回収する》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「? なんの気配だ?」

「ガンベクセン様?どうされたので

《焼け、グレイナル》

 

 

 

なんの前触れも予兆も無い、理不尽とも言える光の炎が──広場の全てを押し流した




メモを整理してたらラーの鏡で偽チェリノの秘密を暴くというプロットが見つかって『なんで…?』となっている作者のルルザムートです、ハイ。

ガンベクセンが放つ魔法は上級(メラゾーマやイオナズンが該当)クラスに留めようかとも思いましたが方針変更して最上位のものに。
んー…メラゾーマとかと違ってⅨ本編でもこの二次創作でもバギ系列は扱いづらい…

…次回よりレッドウィンター編、最終決戦。
そして未だに最後まで書き切れていないのでチキンレースですねハイ。
それではまた明日…
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