イワン・クパーラ編 第21話です、お楽しみください
『まずい、押されまくってる!2人とも急いでください!』
「「分かっています!!」」
ユメからの連絡でレッドウィンター生たちの地下牢脱獄を援護。だが妙な胸騒ぎがしたワカモはそのまま合流することはなく、情報収集中に出会った自分と同じ七囚人を探し出して戦場へと向かっていた
「わっ!誰だお前たち!?」
「アネゴ!心配するなチェリノ会長、味方だ!」
「無事で何よりですロブさん。それより──…!あれはカジノでいた…」色は違いますが…
「ええそうっす!今ゴレオンさんが抑えてるっすけど…!」
「事情は把握しました。…失礼ですが戦車を一両いただいていきますわ」ガシッ
すぐさま状況を理解し、投擲体勢に入るアケミ
そしてワカモは…
「ギュメイ先生…!いったいどこに…
────あ。」
遠目だが見間違いでなければ、今先生が刺されて──
「!!!」
瞬間、爆発するかのように頭に血が昇り、そのまま敵へ突進。
激昂の中で精密に狙いをつけたライフルの一撃は敵対者の銃を弾き飛ばし、突進の勢いのまま飛び蹴りを食らわせる
「はっ、はぁっはぁっ…」
間に合った、生きている、だが
「あ、ああっ…!こんなに血が…!?
よ、よくも…!」
「お前は…」
相手がなんなのか、目的はなにか、何もかもどうでもいい。
──私はこいつを許さない
「次から次へと…!」
「あなたはこの狐坂ワカモが地の果てまで追いかけて八つ裂きにします、覚悟なさい!!」
▽▲▽▲▽
「こいつを倒せばいいのですね!?」
「そうっす!そのデカいトカゲブッ殺しゃあカタが付きます!
頼むアネゴっ、思いっきりやっつけてくれ!」
『ギッ…!【ギガデイ「黙りなさい!」
おかしなマネをしようとしたグレイナルを真上から愛銃『エリザベス』で殴りつけ、空いた片手でもう1発。
もちろんこれだけで終わらない、地面にめり込み始めたグレイナルの口内にロケット弾を叩き込む
彼女の持つロケット弾は普通のものとは違う。本来の物は推進用の炸薬と殺傷用の爆薬がセットになっており、対応するランチャー等に装填して使用する
だが殴って飛ばせばいい栗浜アケミはランチャーを必要としない。つまり推進用の炸薬を全て殺傷用に変えても運用ができる
今彼女がグレイナルの口内に放り込んだのはそれだ
「よく味わいなさい!」
『ガギィッ…!?』
大砲すら効かないグレイナルも内側で強化ロケット弾が爆裂してはタダではすまないと感じ取ったのだろう。爆発前に吐き出そうとするも
「ふん!」
鉄塊のようなアケミの拳がそれを許さない、そして
『ガギャ…!?ギャアアアアッ!?』
3発のロケット弾が爆発。逃がしどころを失った爆風が口内で炸裂した!
「む…!?まだ動きますか…!」
『ジッ、ギギギッ…!』
それでもなお暴れようとするグレイナル、鎖に縛られたままギガデインを放とうとするがまたまた阻止。詠唱しようがしまいが次々にアケミの拳が竜の顔面に叩き込まれてゆく
「ブハハハ!すげぇすげぇ!こりゃギュメイの出番はこねぇぞ!」
『ギィッ!?ギギギャッ…!?』
「っと!?あと少しだ、大人しくしやがれ!!」
「動けない相手を一方的に殴りつけるというのは本来恥ずべき行為ですが…あなたに同情の余地はありません。トドメです」
戦車を吹き飛ばす程度のジャブを続けながら呼吸を整え、簡易的な瞑想も終え、力の溜まり切った身体。
──あとはもう殴るだけ
「沈みなさい」
両手を合わせて振りかぶり、そして振り下ろす。ただのハンマーナックルというにはあまりに破壊力がありすぎるそれをまともに受けたグレイナルは声を発する間も無く頭部を地面にめり込ませて動かなくなった
▽▲▽▲▽
「うおおおー!やったぜ、さすがアネゴだ!」
少し離れた場所で戦況を見守っていたユメたち
歓声をあげるロブに釣られ、周りの生徒たちにもその波が伝播していくがユメだけはその状況に違和感を覚えていた
「………おかしい」
「んあ?ユメさんどうしたんだ?」
ここから見ても分かる、アケミさんの攻撃は確かにグレイナルに効果があった
あんなものを立て続けに食らえばドラゴンだって無事では済まない、ならこの違和感は…?
「………!!そうか…!みんな気をつけてっ!多分グレイナルは復活するよ!」
「はぁ!?」
幸い戦っている4人に声は届いたようだがそれと同時にグレイナルが再起動。ゴレオンに向けて打っていた雷が今度はアケミさんに──
「アネゴ!!」
「ええい、奴はフジミか!?…というかユメ!なんで分かったのだ!?ガンベクセンですら気付いていなかったのに…」
「………竜戦士が、干渉しようとしてなかった」
ゴレオンがグレイナルを抑え込み、アケミが一方的に殴り続ける状況でも竜戦士は我関せずといったままギュメイたちと戦い続けている
確かに竜戦士も強いがグレイナルが倒されれば孤立無援。何かしら妨害するはずだが今のところそれが無い
「竜戦士は知ってるんだ、普通の方法じゃグレイナルは倒せないって…」
「いっ…!?じゃ、じゃあどうするのだ!
ガンベクセン!お前も何か考えろ!」
「再生より早くあの怪物を殺すまともな方法はない
…チェリノ、生徒たちを集めてくれ。私がグレイナルを止める、その隙に1人でも多く逃がしなさい」
「待って!」
どこか達観したガンベクセンさんを慌てて制止。
…何かは分からないが彼を行かせては取り返しのつかないことになる気がする!
「放っておけばギュメイとゴレオンがやられる、他の生徒たちもな
何をしようとそれだけは防がなればならん、何をしようと…!!」
「………」
分かっている、ここで止めないと…でもそんな方法があるの?全力のアケミさんが倒しきれない怪物を私たちが…
『随分と弱音を吐きますね、ユメさん』
…アウルさん
アウルの声が聞こえる。もちろん彼女はここに来ていない、そもそもこの現状も知らないだろう
これはただの妄想、どうしようも無くなったと諦めかけているユメの頭の中だけにいる鳥山アウルだ
『ワタクシからいったい何を学んだのですか、どんな状況だろうと指揮官が考えることを放棄すれば残った道は全滅以外にありませんよ』
分かってる、けれど…
『しっかりしなさい、アナタはワタクシが唯一認めた軍師なのですよ?
そのアナタが早々に諦めて、ワタクシの顔に泥を塗るつもりですか?』
………
『ここにいる彼女らがアビドスの仲間だとしても、あなたはあっさり諦めるというのですか?』
…!
「………諦めない」
『顔を上げ、戦況を見て、思考を回し、相手の最も嫌がることを突き止めなさい
頭を抱えてうずくまるだけの無能を育てた覚えはありませんよ』
──うん、ありがとうアウルさん
「…っ、みんな聞いて!」
「のわ!いきなりどうした!?」
「私たちでグレイナルを止める!戦車用の燃料をあるだけかき集めてきて、あいつに浴びせる!」
「燃やしたところでアレは倒せん!それより1人でも多く逃がす策を「説明してる時間は無いの!…お願い、今は何も言わずに力を貸して」
ここはレッドウィンター学園──寒冷地だ、もしかすると…
「…よし分かった!燃料を集めればいいんだな?」
「ロブさん!」
しどろもどろで動かない生徒たちの中、真っ先に声を上げたのはロブさんだった
「アビドスカジノのバトルトーナメント…アネゴとゴレオン相手に劣勢だったミレニアムの2人を作戦1つで勝ちに持って行ったユメさんのことだ。俺は信じるぞ」
「ゲルニックの弟子、か…よし、私も力を貸そう」
「ガンベクセンさん…!」
…っ?ゲルニックってだれ…?
「レッドウィンター生、聞きなさい!これからユメの策でグレイナルを止める!
今すぐ戦車用の燃料を集めてくるんだ!チェリノ、トモエ、指揮を取れ!」
「ぬ、わ、分かった!」
「分かりました!」
「工務部にも協力を要請しろ!機器の扱いなら彼女たちの方が強い!」
「協力、するでしょうか?彼女たちが…」
「『協力すれはガンベクセンがどんな要求でも飲む』と伝えろ!急げ!」
「了解!」
ガンベクセンの一声でそれぞれ散らばっていく生徒たち
私がみんなを守るんだ、私が──
七囚人に推しが多すぎる…というか推ししかいなくて困ってしまう作者のルルザムートです、ハイ。
今更ですがレッドウィンターに本来関係のない2人の七囚人を出した理由を知人に聞かれたのでここで話しておくと…ハイ、単純に大好きだからです。というか七囚人はみんな大好きなので少なくとも判明している七囚人はいつか全員出す予定です
それではまた明日…