総力戦編 第2話です、お楽しみください
「ナギサ様、荷物はこれで全てです」
「結構です。ギュメイ先生を待ちましょう」
「仰せのままに」
──さて
トリニティ自治区で便利屋が仕事をしていたのは知ってましたが中枢にまで入ってくるとは予想外でした。
それにヘルジャッカルだけでなくあの小鳥まで連れ歩いているとはこれまた予想外。
『いやユメはよくやっている、普段のシャーレ業務はもちろんエリドゥやアビドスカジノの戦いを見てもお前は大きく成長している』
『ホント!?そ、そっか、えへへ…うれしいな…♪』
「来たようですね」
「ええ、ユメさんも一緒のようです
狐坂ワカモはいないようですが」
アビドスカジノの金庫が破られたあと、保管されていたはずの卵は既に空だった…
調査の結果ほぼ間違いなく便利屋が回収していたと踏んでいましたがこれで確定しました
あの小鳥、お喋り以外にできることは今のところなさそうですが…
「おやギュメイ先生、おはようございます」
「………なんだこの荷物の量は、それに後ろの生徒は…?」
少なくともメラやヒャドを唱えられる程度の魔力はありました。間違いなくキヴォトスの生物ではないでしょう
「初めましてシャーレの先生、今回鳥山アウルさんの紹介でご挨拶にあがりました
トリニティ総合学園ティーパーティホストの桐藤ナギサと申します」
「シャーレ顧問のギュメイだ、アウルから話は聞いている
まずはアビドス自治区でユメ奪還のためにティーパーティの力を貸してくれたこと、そして優秀な生徒をシャーレに派遣してくれたことの2点について感謝を」
ゲマトリアにこの情報が知られなかったのは幸運でした。呪文の存在自体は知られていますがワタクシ以外の手がかりはなるべく渡したくありませんのでね
「ユメ」
「へ?あっ!わ、私、梔子ユメです!その節はお世話になりましたっ」
「いえ、お気になさらないでください
むしろ私はアビドスへ介入するつもりは無かった…功労者と言うのなら私を動かした鳥山アウルです」
「そうか」
情報収集、資金調達、人員確保…ええ、アビドスカジノは役目を終えました。もう潮時ですね、シロコさん達を向かわせて潰しましょう
まともな情報源になるとは思えませんが残しておく理由は無い。
「…?あの、何か?」
「いや、なんでもない。それよりもここの荷物は2人のものか?」
おっと考え事はここまでにしておきましょう
せっかく自分から出ていってくれると言うのにここで不信感を買っては台無しです
「ああこれですか?寝泊まりの用意ですよ、不在期間がどれだけかかるか分かりませんしその間シャーレを留守にするのもダメだと思ったので」
「…桐藤ナギサもか?いや咎めているわけではないが…」
「それなんですがシャーレ所属で無い生徒の部室寝泊まりは規則上問題になるそうで
ですのでギュメイ先生、出張の間だけで構いません。ナギサ様のシャーレ所属を認証していただきたいのです」
「………」
ふふ、考えていますね?ワタクシがなぜナギサさんをシャーレに留めようとするのかを
「確かにシャーレとアビドスはティーパーティに恩があるが理由も無く所属を認めるわけにはいかん、ティーパーティのトップならトリニティから長く離脱するのは都合が悪いと思うが」
「ええもっともです、申請理由は2つ。
まずアナタ方の出張が終わるまでワタクシはシャーレを離れられません
ですがトリニティでも当然ワタクシの仕事はあり、そのためにシャーレとティーパーティを行き来するのは非効率…
それなら逆にナギサ様をこちらにお呼びし、ここでシャーレとティーパーティの仕事をこなしてしまおうかと思ったわけです」
「…もう1つの理由は?」
「連邦捜査部シャーレという特異な場所は外から見れば未だ未知数…
早い話がナギサ様にシャーレのことを知っていただくためです、これが2つめの理由。」
「うむ…」
「私はいいと思うよ!ギュメイ先生は?」
嘘か、はたまた真実か、彼とワタクシの間にその事実はさして問題ではない
アナタはキヴォトスで出会った人間とは違う
ギュメイさん、アナタはゲルニックという女を
「分かった、許可する。許可証の発行は連邦生徒会の七神リンに申請すればできる」
「ホッホ、そう言ってくださると思ってましたよ」
桐藤ナギサをシャーレに留めることに大した意味はありません。まあ信頼は稼げますがたかだか子供1人のためにここまでやる必要はないのです
「ありがとうございます、ギュメイ先生」
「では後のことは任せる。行くぞユメ」
「うん!」
防寒具を手に部室を出ていく2人を笑顔で見送り、仕事を始める
「では仕事に取り掛かります、知りたいことがあれば随時説明致します」
「お願いします、早速ですが──」
そう、真に必要なのはアナタに考える時間を与えること…
ワタクシの一挙手一投足に注意を払っているアナタならどんな動きも見逃さない
ならば見せてやればいい、一の知略と百のお遊戯を。
百まであなたが考える間にワタクシは百の知略と万のお遊戯を用意してまた披露する…
ホッホ、せいぜい頑張って考えててください
ワタクシの描く理想の未来において、今はまだギュメイという剣士が必要です。
「──とまあこんなところですね」
「ありがとうございます。それともう一点、ギュメイ先生がたのように我々も出張の可能性はありますか?」
「ありますよ、本日はミレニアムで有人仕様型超巨大決戦兵器ことサージタウスの起動実験日…シャーレとして見学に向かいます」
「キラーマジンガを元に作られた兵器ですか…私も見学できますか?」
「もちろんです、案内しますよ」
そして…まだ全ての展開は読めませんがこれだけは言い切れます
「ふふ」
「アウルさん?」
「いえなんでもありません」
シャーレの先生にして元ガナン帝国軍第一将である、剣豪ギュメイ…この男こそ──
ワタクシが戦う、最後にして最強の敵です
ゲルニックの心情描写が難しくも楽しい作者のルルザムートです、ハイ。
章の名前から分かる通り今章は原作ブルアカコンテンツの1つである総力戦に焦点を当てています
ギュメイ不在の中これにどう立ち向かうかは…全て彼女の技量に掛かっている、ということで。