ギュメイ将軍のキヴォトス放浪記   作:ルルザムート

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パヴァーヌ編ラストで匂わせをしてからようやく、実に57話挟んでようやく登場!
総力戦編 第6話です、お楽しみください
・・・これアルの視点でもゲルニックの視点でもなくね…?


起動実験

『姿勢制御AI連動完了』

『動力炉、問題無し』

『了解、外部出力から内部出力へ切り替え』

 

 

 

衝撃吸収用の特殊な水の中、宇宙服のような装いの少女は静かに呼吸を整える

 

 

 

「大丈夫…大丈夫…」

確かにここは部室でもロッカーの中でもないが閉鎖空間という意味では同じ類いの場所。ここには自分1人だけ…

 

 

 

『メインスロット感度確認。ユズさん、腕の可動確認をお願いします』

「は、はいっ!」

 

い、いやだめだ!やっぱりロッカーの中とは違う!うう…

 

とはいえ約束は約束。それに起動実験に協力すればエンジニア部とヴェリタス、そしてゲーム開発部共同プロジェクトとして次のミレニアムプライズに発表してくれるというのなら今後のためにも…!

 

 

 

『問題なし。続いてサブスロットへ。』

「りょ、了解、です…」

 

『…問題なし。続いて武装展開システム。』

『両弩への操作回路…良し。』

『次矢装填速度は許容範囲内。』

 

 

 

『メインカメラ接続。サブカメラの用意はありますが所感は?』

「えっと…今のところ無くても問題ない、と思います」

『了解』

 

『リ…ミセス・アバンギャルドさん』

『ええ。パイロットから全可動域へのアクセス許可。コントロールシステムをパイロットコアへ移行して』

 

 

 

「………」

いよいよ始まる、始まってしまう…!

 

 

 

『ユズさん、そう気負わなくて大丈夫ですよ

今日はただの起動実験!面倒なことはこの超天才清楚系病弱美少女ハッカーである私とセンスの無い仮面を付けた人がやるので!大船…いや宝船に乗ったつもりでいてください』

「ほっ…それならなんとか…」

 

 

 

『? せっかく他所の学園から見学者が来ているのに起動実験だけで終わるのは非合理的ではないかしら?』

 

「え。」

他学園からも人が来てるの…?

 

『ちょ…!あなたはちょっと黙っててください!』

 

 

 

不自然に音声が切れて数秒後、スーツの内側に嫌な汗が流れ始める

「・・・」

も、もしかして…

 

 

 

まだ説明を受けたわけではないがゲーマーの直感を頼りにメインカメラを動かし、辺りを見回してみると…

 

 

 

『ナギサ様、ここが格納庫です』

『これがキラーマジンガが素体となった…?』

『キキ、有人仕様型の兵器と言っていたがパイロットは誰だ?覚えておきたい』

 

『ゲーム開発部の花岡ユズです。非戦闘員でありながら最も高い適正を持っていたことで任命されました

…マコトさん?言っておきますがゲヘナに引き抜こうとかは考えないでくださいね?』

 

『もちろんだとも!…今はな?

チアキ、写真はしっかり撮っておけよ?』

『イエッサー!パイロットの写真も撮れたら撮りたいですね!』

 

 

 

「────ア。」

 

 

 

無駄に精度の高いマイクが彼女らの会話を拾ってしまった、聞こえてしまった

外には殆ど出ないから顔は初めて見たものの名前は知ってる

 

今アウルさんが話していたのは…ゲヘナのトップ、羽沼マコト…!そしてもう1人はトリニティのトップ、桐藤ナギサ…!

ゲヘナとトリニティのトップが、ここに──

 

 

 

『ユズ?心拍数が上がっているわ、どうしたの?』

『いやどうしたのじゃないでしょう!全部あなたのせいですよ!?』

 

『分から、ないわ…その、つまりどういうことなの…?』

『〜〜〜!あなたという人は…!』

『部長、こんな時にケンカしないで。エンジニア部とヴェリタスが過労でボロボロな今、人手が…』

 

 

 

なんとか落ち着こうと頑張ってみるが他学園のトップ2人という特大の爆弾を投げ込まれたユズにはもうどうしようもなかった

 

か、帰りたい!部室に、というかロッカーの中に帰りたい!モモイ、ミドリ、アリス、バルボロス、いったんみんなに会いたい!

 

 

 

『あーもう!中止!実験中止です!全回路遮断!動力炉停止!準備が整うまで実験は中止です!』

『ちょっとまってちょうだいヒマリ、準備は既に整ってると…』

 

『その準備をあなたが台無しにしたから中止したんですよ!』

『………そう、また私は失敗したのね』

 

 

 

『あとエリドゥに部外者を入れないでください!なんで他学園の生徒がここに…』

『それなんだけど部長、あの一団の引率者がこの実験の出資者みたいで…』

『構わないから追い出しなさい!見学はミレニアム内からでも充分可能です!』

 

『ヒマリ、あまり叫ぶと喉を痛めるし身体にも悪いわ。それにあそこの2人はゲヘナとトリニティのトップよ、少し落ち着いて』

『だ、誰のせいだと!?あああ!もうあっち行っててください!!』

 

 

 

もはやこっちを無視し、向こう側で大乱闘ならぬ大口論を繰り広げる先輩たちにもう我慢の限界だった

 

「えいっ!!」

 

またまたゲーマーの直感を頼りに手元のレバーをガコンと思いっきり引っ張る

…そしてどうやらその直感は当たっていたらしい

 

 

 

【緊急脱出装置作動】

『『『え』』』

 

 

 

無機質だがとても頼りになる音声と共に球状のパイロットコアが勢いよく発射され格納庫の天井を突き破ってそのままエリドゥの外へ

 

 

 

【着地地点を設定してください】

「………とりあえず」

 

 

 

みんなのところに戻ろう…




巨大ロボットは鈍重というイメージをブチ壊した機神に敬意を払う作者のルルザムートです、ハイ。
というわけでとりあえず例の機体はユズに乗ってもらいました
コユキが自身のやらかしを有耶無耶にするため、ハッキングを掛けて好き放題に乗り回すというプロットも用意していたんですが『うーん』となったため没に。
それではまた明日…
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