異聞帯の女帝ギルガメッシュ   作:サルミアッキ

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またも設定を投げ捨てる。続くかは不明。


言語統一神都バビロン 混迷の塔
マトゥル/女帝ギルガメッシュ


 転生したら、女神になっていた。

 

 杉の森の中にあった水面を覗き込んだら、金髪赤眼の美少女がいた。母親である金髪巨乳美人さんと一緒に、住まいであるエガルマからウルクの街に遊びに行く途中で立ち寄った湖でのこと。そこで自分は前世のことを完璧に思い出した。いや、前世と今生が違和感なく融合し終えた、と言えばいいのか?

 

「あら、どうかしたのかしら。マトゥル?」

「————。何でもない。ニンスン母さん」

 

 今の私の名前はマトゥル。そして母親の名はニンスン。ニンスンはこのウルクに数いる女神、その内の一柱だった。

 

 物心ついた頃、母から『私女神なの』とか聞いた時なんか嘘乙(笑)と思っていたのだけれど、今思い返せばそれこそマジモンだった。空の星を見ただけで未来予知染みたことしてきたし、治癒魔法みたいなことをして人の怪我治したりしていたし。

 え。今日は癒しの女神同士で会議があるからそのついでだった?ニニシナ、ニンカラク、ニンティヌガ、バウ、ミーメ……いつも家に来ていた綺麗なおばさん達も女神だったの?いつも山駆け回って怪我したところを治してもらったり、ハチミツ入りバターケーキを貰ったりで気が付かなかった。

 

 いや、でもヒントは色々あったかも。自称女神の娘である私も、身体能力が謎に高かったし。近所の子供と一緒に遊びに出た時に、杉の森駆け回っていたら小型恐竜サイズのライオンとばったり遭遇、とか日常茶飯だったし。————その時点で気付け案件だよなぁ。この世界、ファンタジー系の世界だって。

 

 ちなみにその化け獅子はヤバそうと思った時点で体が反応して殴り倒してしまっていた。あんまりに呆気がなかったけどこの時代ならそういうものかとか思っていた。

 当時の私、体だけじゃなくて頭の中身も小さかったのか?無鉄砲が過ぎるだろう。カンカンになって涙目の母にも滅茶苦茶怒られたし。

 

 その結果、母の知り合いという人がウチにやって来て、弓術や剣術みたいな格闘技能全般の基礎を教え込まれた。その人(神?)に一通り見てもらったのだけれど……先生からは山野で遊ばせておくにはもったいないとか言われた。ヤダヤダ原っぱで遊んでいたいとごねたのは、今や恥ずかしい思い出だ。ご迷惑をおかけしました……。

 

 そんなわけで、数年で対人や対獣、そして対神戦闘技能を先生から一通り学んだ私は、周囲の子どもたちから頭一つ抜けたガキ大将ポジションを確立したのである。女の子として見られてない気もするが、まぁそんなの気にしない。

 今朝も蠍人間たちが私と母に襲いかかってきて、ウルクに到着するのが昼過ぎになりそうである。掌に力を込めて、二本の双剣を実態化させる。

 先生からもらった剣の持ち手を接続させて、弓にする。ガシャン、ガシャンと剣身が変形するのがニチアサの武器みたいでカッコイイ。これを手にした時ははしゃいだものだ。欲を言えば、音声認証とかできないかな。それとか、電子音が流れる武器とか無いかな……。

 

 そんなことを思いながら魔力の矢を射出し続けると、蠍怪人たちは全て爆散した。母の方も牡牛型の権能の塊で怪物たちを轢き潰したみたいだ。よし、これでウルクまでいけるぞ。

 

 ところで、ウルクって生前の記憶で聞いたことあるな。世界史で、メソポタミアか何処かだったっけ……?

 

 

 

 

 

「へぇ。あなたがボクの妹ですか?初めまして。自己紹介がまだでしたね。ボクはこのウルクの王子、ギルガメッシュと言います」

 

 

 

 

 

 その日。ウルクの広場で、そんなことを宣う金髪赤眼の美少年と出会った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ギルガメッシュ叙事詩・異聞断章

 

 深淵を覗き、すべてを見た人がいた。彼はあらゆる国々を調べ、全てを知り、智慧を窮めた。彼は秘められたことを見て、隠されたものを開き、大洪水以前の世界を詳らかにした。彼はウルクに城と壁を造り上げた。また、この世全ての財を収める宝物庫、聖なるエアンナもまた築き上げた。

 彼こそがウルクの王、ギルガメッシュ。そして、その隣には友がいた。

 

 美しき緑のヒト、エルキドゥ。神々によって作られた泥人形。聖娼シャムハトに与えられ培った人の心を以て、彼は暴君を諫めにウルクへと訪れた。広場の一角にて行われた戦いは、一昼夜程度で終わることは無かった。やがて、その激戦は止み、ギルガメッシュとエンキドゥは互いの力を認め合い、友となった。

 

 ————そのギルガメッシュ王には、妹がいた。

 

 ルガルバンダの神の血を用いて生み出された純血の女神、マトゥル。彼女は杉の森を駆ける風にして雨だった。母ニンスンより与えられた癒しと言葉により、森の生命は彼女と共にあった。

 ある時のこと。彼女は、森の奥でヒトに出会う。それは、かつてのエルキドゥと友誼を結んだ者。そして、森の番人として置き去りにされた、この世全ての悪だった。捏ねて混ざった神の人形にして、人々が押し付けた罪だった。木漏れ日射す、花が開く草むらに座っていたヒトは、フワワと名乗った。

 何を思ったのか、女神マトゥルは、この世全ての悪を押し付けられたフワワに手を差し伸べていた。

 時が流れ、ギルガメッシュとエルキドゥが親友となった頃。杉の森に異変が起こり出した。香柏を手に入れる為に森に入ったギルガメッシュとエルキドゥは、駆け付けたフワワと対峙し————一度、永眠の淵に立たされた。畏怖の光輝に包まれたフワワに、ギルガメッシュは問う。どうすれば香柏を譲ってくれるのか、と。フワワは言った。王の姉妹、マトゥルが花嫁として欲しい、と。

 

 そして、フワワの妻として差し出された彼女は……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ————うーむ。懐かしい夢を見た。過労で眠っていた。いけないいけない。扉の向こうから声がする。我が臣下がやって来たらしい。

 ジグラットの向こうに聳え立つ、空想樹を見て頬杖をついた。

 

「……この異聞帯の維持の状態はどうなっている」

「はっ。()()()()()()()()()()()の命の通り、三女神の塔は稼働しております。ですが、ドゥルガーの塔への支給が滞り出しており……」

 

 その時だった。カ・ディンギル周辺に配備しておいた結界発生装置の一つに反応があった。手元にあった、時代錯誤な粘土板風タブレット端末を操作する。

 

「————。来たか、人類最後のマスターよ」

 

 ああ。この地に召喚されて三千年近く待っていた。ようやくか。

 

「歓迎しようではないか、カルデア。(われ)の支配する亜種異聞特異点……、『言語統一神都バビロン』へ!」




簡単な登場人物
マトゥル(女帝ギルガメッシュ)
 ギルガメッシュの妹である女神。肉体スペックはギルガメッシュと同等。だが、生前の記憶も相まって山野を駆け回ることが好きだった故、神代のYAMA育ちになった。タイマンならギルガメッシュだろうとエルキドゥだろうとボコれる。口悪いメソポタミアの藤姉枠。

ギルガメッシュ
 ご存じAUO。妹と違い神と人の混血。唯一の友しかいなかった原作と違い、変な事したら元気溌剌(オブラート)な妹女神と親友ゥがゲート・オブ・バビロンを経由して殴ってくるので若干丸くなった。なんやかんやで妹や一部の女神を価値ある者だとは認めている。

エルキドゥ
 ウルクのキレた斧。友達の妹に嫌われたくない恋人心を芽生えさせ始めた。マトゥルのスキル変容(道具)で自分を使ったらどうなるのかな、と武器ながらにワクワクしている。それはそれとしてもうちょっと慎みを持ったらどうだい?イシュタルじゃないんだし。

シドゥリ
 この異聞世界では酒と料理の女主人=女神。同じ女神のマトゥルとは話が合う同僚。一方、イシュタルは面倒な上司的な扱いで、さり気なく間でバランスを取るウルクの潤滑油ポジ。ジウスドゥラについて教えたが、そこから長期間旅に出るとは思わず、シドゥリはキレた。

ルガルバンダ
 オリキャラその1。エンメルカルの末子にしてシャマシュの孫という神人。外見はどことなくプロトギル……と言うか一世代ズレたご本人そのものと言って良いレベル。イシュタルから王権を授かった手前言わなかったが、彼女のアレさに頭を悩ませたことがちらほら。

ニンスン
 オリキャラその2。ウルクのエガルマ在住の女神。ギル兄妹の母。女神グラでもある。外見はどことなくアルクェイド。ルガルバンダとのイリアザでの逢瀬とかを平気で子供に惚気るアーパーだが、イシュタルはクソだと教えるなど常識もある。聖娼シャムハトとは友人。

フワワ
 正確には異聞フワワ。こちらでは神と人の業そのもの。ガワがアンリマユなので、まぁそう言うことである。
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