オグリの幼馴染が記憶を無くしてチョコレートの怪物になって化け物と戦ってた話   作:かな餅

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【ゴチゾウ図鑑:カリポテールゴチゾウ】


 細長いスティックポテトを食べると”パキン”と音を立てて生まれるゴチゾウ。



 全身は黄金色で、触るとほんのり温かく、かすかに塩の香りがする。



 俊敏さと跳躍力が自慢。走るとカリカリと乾いた音が響くため、仲間にはすぐ居場所がバレる。



 ヴァレンバスターにセットすると細いポテトのようなものを一斉に飛ばして相手を牽制する。



 性格はサッパリしていて、群れるより単独行動を好む。



 困っている仲間を見ると無言で助けに入る照れ屋。



 ケチャップやチーズ味のスティックからは色違い・性格違いのカリポテールが生まれるらしい。




だるさの奥で芽吹くもの

――何でも屋:【助っ人酸賀さん!】

 

 

 

 

 

 

『絆斗?何かあったのか……お前ら、何があった?』〔ちょわ……ちょわちょわ〕〔ぷるぅん?〕

 

 

 

 

 

 ……棚の上にあった物が床に散乱、だがこいつら(ゴチゾウ)の様子を見る限り……敵が来た訳じゃない。

 

 

 

 

 

 

『……絆斗、様子がおかしいとは思っていたが。何処に行ったか分かるか?』〔ぷる……〕

 

 

 

 

 

 

 

 これをやったのは恐らく絆斗自身だろう。普段は物に当たるようなタイプには見えないが――いや。

 

 

 

 

 

 

 

 あの歳であれだけのものを背負っていれば、何が起きても不思議じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 ショウマもゴチゾウが出なくなってからは本来の力を発揮できず。

 

 

 

 

 

 

 

 頼りのゴチゾウすら現れなくなった。絆斗も同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その立場を考えれば、"辛い"という一言では到底言い表せない苦しさがあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ラキアのおっさん……これ、なんだ?」『白狼か、具体的にはわからんが……複雑、だろうな』

 

 

 

 

 

 

「……あいつ、何処に行った?……血を流してる。」『……分かるのか?』

 

 

 

 

 

 

 確かに……所々違う滴り落ちた様な跡が、物に当たって傷でもついたか。

 

 

 

 

 

 

『ダルいが……心配だな。探せるか?』「ああ、血とチョコの匂いは辿れる」

 

 

 

 

 

 

 

 

――中央区:元人プレス集積場

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……やべぇ、頭がぼーっとしてきた。あと……あと5体で、何とか……この場は。

 

 

 

 

 

 

「あはは♪……どうしたの?あと少しだよー?」〔ヂュッ!ヂュッヂュッ!〕〖……ああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 文字通り心臓に悪いがこいつを使って畳み掛けるしか――ッ。

 

 

 

 

「……そろそろ、集会じゃん?じゃあ続きは……あっちの世界(グラニュート界)でー♪」〖てめ……離せ。』

 

 

 

 

 

 

 ……仕留めきれなかったか。まあ、仕方ない。いっそ向こうに乗り込むしかないな。

 

 

 

 

 

 

 ブシュエルで奴らのアジトを吹き飛ばしてやれば、少なくとも痛み分けには持ち込める――。

 

 

 

 

 

 

「帰ったらニエルブに改造させてようか――なっ……あれぇ?扉壊れちゃってる。」『……』

 

 

 

 

 

 

「面倒くさいなぁー集会遅刻したら怒られるのにー……じゃあ、怒られるくらいなら」『……』

 

 

 

 

 

 

「この子の首を手土産にして昇格しちゃ――」

 

 

 

 

 

 

―― VLAM SHOOTING ――

 

 

 

 

 

〖絆斗……おいッ絆斗!……目を覚ませ!おい!〗「……死人の匂いじゃない、まだ生きてる」

 

 

 

 

 

 

〖かなり弱ってるな、幸果は……居ない。頼れるやつに心当たりは?〗「医者は居ねえけど……」

 

 

 

 

 

 

「……酸賀に連絡すれば俺らに出来ることがわかるんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

――何でも屋:【助っ人酸賀さん!】

 

 

 

 

 

 

 

〈……うーん、大きく怪我はしてる訳じゃないけど酷く憔悴してるね……となると。〉

 

 

 

 

 

 

 

『やっぱり精神的なものか?』〈うーん……多分?復帰させたのはまだ早かったかな?『……いや』

 

 

 

 

 

 

 

 7月10日。絆斗が笠松へ向かったのは、ほんの些細なきっかけだったはずだ。

 

 

 

 

 

 

 あれから4日、ようやく帰ってきた――だが、どこか違和感、最初の兆候はゴチゾウだった。

 

 

 

 

 

 

 

 あいつが帰ってきていつも通りお菓子を食べてもゴチゾウがまるで出てこなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 最初の夕食ではまだ食欲は普通で食べていた記憶がある。

 

 

 

 

 

 

 それから急に、食べ物が入らなくなり始めてた。

 

 

 

 

 

 

 ただアイスだけは例外で、冷蔵庫のストックが減っていくのを見るたび、まあ大丈夫だろうと。

 

 

 

 

 

 

 

 その時も、ゴチゾウはアイスを食べるときだけはたくさん生まれていた。

 

 

 

 

 

 だから、その時は深く考えなかった。

 

 

 

 

 

〈とりあえず……お菓子を食べて寝て回復するのが絆斗君だから今回も――〉『それができない。』

 

 

 

 

 

 

〈でもアイスは入るんでしょ?だから――〉『……お前は何してるんだ?お前、こいつの親だろ』

 

 

 

 

 

 

 

〈……?そろそろ帰るつもりだからそれまでは――〉『だったら早く帰って来いッ!!!父親だろ!』

 

 

 

 

 

 

 

『ラキア……?なんでここに……てか、ここ「やっと起きた」『白狼……俺、生きては居るのか』

 

 

 

 

 

 

 

〈そうだね、絆斗君は最近幹部とも遭遇してるみたいだし……近いうちに様子を見に戻るよ〉

 

 

 

 

 

 

『……絆斗、うるさかったか?』『酸賀を怒鳴らないでくれ、嫌がる。』『……悪かった』

 

 

 

 

 

 

 ……とりあえず、アイスだけでも食べさせるか。

 

 

 

 

 

『……いい』『食えないのか?……だったら水だけでも飲め、それで寝ろ』『……あいつは?』

 

 

 

 

 

 

 

『あの白い奴のことか?頭を撃ち抜いた』『その周りにいるピエロはどうした?倒したのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そんな奴居なかった気がすっけど」『……幹部がこの辺りに居る、すぐに対処が必要だ。』

 

 

 

 

 

 

 

『わかった後は俺が――』『いや、だめだ。あいつは幹部だ……1人で何とか出来る相手じゃない

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに焦っている……それ程危険な相手なのか、グロッタ似たグラニュートと並ぶ実力者。

 

 

 

 

 

 

 

 

『だとすれば今のお前も相手は厳しいだろ、とりあえず休め心配しなくても無茶はしない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 だとしても、頭数は欲しい。白狼は戦えるらしいがまだ子供……せめてあの馬鹿(辛木田絆斗)でもいればな。

 

 

 

 

 

 

 

『……見つけたか?』〔マシュ!マシュマシュ!〕「浮いてる……何だこいつ」

 

 

 

 

 

 

 

『ラキア……人手が必要なら、こいつについて行け』〔マッシュ!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

――単純な実力なら俺の上を行く奴がいる――

 

 

 

 

 

 

 と……適当な数字の羅列が書かれた紙も渡されて、来たのは古びたホテル。

 

 

 

 

 

 

[六六二七三二]『漢数字ってやつか……何を意味するのか全く分からん。単純にパスワードか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 中に入ったら、無人の受付左にある……募金箱に紙を入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 そのままじっとしてると……通路へのドアが勝手に開く、凝った演出だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 中に入って部屋が並ぶ通路に出たら……何だっけな――そうだ、965室に行く。

 

 

 

 

 

 

 

『それで……一三七六一七二七四一四五六七ょ四三二七一一五七六三三二二二』

 

 

 

 

 

 

「一一三五二六二二一三三七一一二七」『六一四一一三一三四一二五六三二二五七二六七二二四』

 

 

 

 

 

 

「……もういい、明らかに絆斗の知り合いだ。」『で……お前がクラウンか?』「……ああ」

 

 

 

 

 

 ……栗毛色の髪を後ろでまとめたウマ娘。

 

 

 

 

 

 

 ウマ娘という種族は、人間よりもはるかに高い身体能力を持つらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 その能力を活かして“レース”と呼ばれる見世物に参加しているが。

 

 

 

 

 

 

 

 正直、その良さは自分にはあまり分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ足が速いだけの存在。自分からすれば、それ以外は人間とさほど違いがないように見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、そんな脚力を持つ者が、もし特別な力(仮面ライダー)を手に入れたとしたら――。

 

 

 

 

 

 

 

 その印象も、きっと変わるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「ラキア・アマルガ。貴様はグラニュートだそうだが……何故同胞を殺せる?」

 

 

 

 

 

 

 

『同じグラニュートだからなんだ?家族でも何でもなく、ましてや……闇菓子に関わる奴らだ』

 

 

 

 

 

 

 

「……絆斗の判断だ、これ以上は何も問わない。それで何をすればいい?」『話が早いな』

 

 

 

 

 

 

 この古びたホテルは絆斗が居る組織の隊員が仮拠点にする予定の場所らしい……。

 

 

  

 

 

 

 近々、何か大規模な作戦でもあるんだろうが……俺には関係ない事だな。

 

 

 

 

 

 

 絆斗の店を出る前に一匹のゴチゾウがグラニュートを発見した、絆斗が無茶をする前に対処。

 

 

 

 

 

 

 と思っているが、絆斗が言う幹部の存在が気になるところだ、手持ちのゴチゾウで倒せるか?

 

 

 

 

 

 

 

 ……難しいだろうな、グロッタ似たあのグラニュートでも勝てそうにない。

 

 

 

 

 

 

 せめてデンデのゴチゾウがあれば変わるんだが、それもショウマに預けたきりだな。

 

 

 

 

 

 

 幹部だったら引いて、それ以外だったら即効倒す……いつも通りやるか。

 

 

 

 

 

「……なんだそれは」『ベルトだ、俺はこれで変身する。』「……変なベルトだな」

 

 

 

 

 

 

『絆斗も持ってる、使うのかは知らんが』「新しいシステムか?」『貰ったんじゃないのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 少し傷だらけだった気もするが、絆斗(辛木田)からのおさがりだろう……だとしたらなんで貰ったんだ?

 

 

 

 

 

 

 あいつに必要か……?今のままでも十分戦えると思うが。酸賀が欲しがったのか?

 

 

 

 

 

 

〔マシュ!〕『此処か?見かけた場所は』「組織の狩場だな、グラニュートの潜伏する場所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 一件ただの裏路地だが……かなり入り組んでるな、ビルに見える建物はコンクリートの塊。

 

 

 

 

 

 

 

 ここら一帯は組織の管理下……だから人も最低限で少ない。どうやったんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「隠しカメラが全て壊されている、直前の記録は……黒い何かを飛ばして破壊したようだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……カメラには黒い羽の様なもの、この世界で言う鳥に酷似したグラニュートか。

 

 

 

 

 

 

 

 

――何でも屋:【助っ人酸賀さん!】

 

 

 

 

 

『……ッ……あ?』「寝れないのか?」『……寝てたか?』「ボーってしてた」

 

 

 

 

 

 

 状態が良くない、意思が途切れる……何か食べないとまずいのは分かる、でも食えない。

 

 

 

 

 

 

『情けないな、お前の前でこんな姿見せたくなかった』「別に今に始まったことじゃないだろ」

 

 

 

 

 

 

 組織の中の最高戦力、そう呼ばれてはいる……実際は新しい力の副作用に振り回されてばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 日に日に強くなってるのは感じる、でも……期待されている様な存在にはなれてないんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なあ、絆斗。お前寂しいのか?」『……何でそう思う?』「……何となく、似てたから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――兄貴(ロガー)の姿に――

 

 

 

 

 

 

 ……別に俺は、寂しくなんてない。

 

 

 

 

 

 

「パウエルの奴らはやばいのばっかだから焦んのも分かるけど、何で戦うのに必死なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『単純に……戦う事が一番自分の価値を示せるからだ。』

 

 

 

 

 

 

 組織が俺を頼りにしているのは、どんな過酷な戦いでも生き残って結果を出せるから。

 

 

 

 

 

 

 "俺自身"だからじゃない。

 

 

 

 

 

 

 とにかく勝ち続けて、何度でも立ち上がって、強い存在であり続けること。

 

 

 

 

 

 

 この世界で自分の価値を証明するには、それが一番確実で、手っ取り早い方法なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 今でもそう思ってる。

 

 

 

 

 

 

 

『……なのに、今はこんなんだ。早いとこお前らが不自由なく暮らせる様にしてやりたいのに』

 

 

 

 

 

 

「……最初にあった時、お前に仮面ライダーか聞いたよな?」『そうだな』

 

 

 

 

 

 

 

「その時は俺、違ってがっかりした」『そうか』「……でも今思うと、がっかりしてよかった」

 

 

 

 

 

 

 

『……何でだ?』「あの日、俺たちが会ったのは酸賀絆斗だったからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狼奈、ああ見えてすっげぇ暗い奴なんだぜ。お菓子を食ってから変わって来たけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

『顎が弱いんだったか?』「石が食えないってくらいで人間くらいだな」

 

 

 

 

 

 

 それでもグラニュートで美味いものといえば基本的に石だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 貴族なんか石のケーキ食ってるらしい……何だ石のケーキって俺も食える立場だが訝しむ。

 

 

 

 

 

 

「お菓子食って……絆斗が現れてからが一番変わったと思う」『……生活が変わっただけだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

「いや、俺も狼奈も兄貴(一狼)も……みんな変わった。日の当たる場所で自分らしく生きられる」

 

 

 

 

 

 

 

『それなら良かった。』「絆斗、お前はきっと戦う事を辞めないと思う、兄貴もそうだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達に明日があるなら、自由あるんじゃなくて絆斗がここに居る方が俺は嬉しい」『……』

 

 

 

 

 

 

 

 

「狼奈も俺もお前の事が好きだからな」『……んだそれ、だる。』

 

 

 

 

 

 

 

 面と向かって好きなんて初めて言われたぞ、なんなんだこいつ……本当にだるい奴。

 

 

 

 

 

 

〔……もっちゃ……〕『きなこか、慰めてくれてるのか?……』〔……もっちゃ……〕『……お前も……ん?』

 

 

 

 

 

 

 

 ……ゴチゾウの言ってることが分かる、身体のだるさは変わってないが……もしかして。

 

 

 

 

 

 

 

『……なんだ、もう食えるようになってたのか』〔ちょわッ!〕〔ちょわわ!〕〔ちょうわ!〕

  

 

 

 

 

 

 

 きなこっちが隣で“もっちゃもっちゃ”と音を立てている、妙に腹の奥が熱くなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 ……不思議だ。ついさっきまで、何も喉を通らなかったはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 手元に残っていた袋菓子をそっと開ける。ふわりと甘い匂いが鼻をくすぶる。

 

 

 

 

 

 

 

 我慢できずに一口、もう一口と、まるで飢えていた獣みたいにお菓子にかぶりついた。

 

 

 

 

 

 

 

 歯ごたえ、ポテチのしょっぱいさ、チョコの甘さ、マシュマロの柔らかさ。

 

 

 

 

 

 

 

 どれもが久しぶりで、食べるたびに身体の奥から何かが蘇ってくるような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 不思議と手も口も止まらない。気がつけば袋の中身は空っぽだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのに、身体はまだ欲しがっている。あれほど重かった胸の内が、ほんの少し軽くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 お菓子を噛み砕くたび、ぽこぽこ――と小さな気配。

 

 

 

 

 

 

 

 視界の端で、腹の喉から出てきたゴチゾウが嬉しそうに俺を囲む。

 

 

 

 

 

 

 

 出てこれなかった分まで出てきてるのか……大分数が多い、納品には十分だな。

 

 

 

 

 

 

『……まだ足りない、他に菓子は?』「もちろんあるぞ……これは狼奈が最近好きな奴だな。」

 

 

 

 

 

 

 クランチチョコ――ざくざくとしていて、普通のチョコとはまた違う食感だ。

 

 

 

 

 

 

 

 袋を開けた瞬間、ほんのりとした甘さと、香ばしい匂いが鼻をくすぐる。

 

 

 

 

 

 

 

 手に取ったチョコを思い切り噛み砕くと、パフやビスケットの歯ごたえが心地よく響く。

 

 

 

 

 

 

 

 ザク、ザクッ――その音がやけに気持ちよくて、止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガツガツと夢中で口に運ぶたび、砕けたクランチが舌の上でほどけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 冷蔵庫で冷たいはずのチョコレートが、噛むたびに体の奥まで温かくなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 飢えていた獣みたいに、欲望のままに食べ続けている自分がいる、今日はおかしいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 それでも手も口も止められなかった。腹に入ったお菓子がすぐにゴチゾウになるからか?

 

 

 

 

 

 

 

 気づけば――ぽこぽこと腹の奥で何かが跳ねる気配。喉の奥から小さな存在が這い出してくる。

 

 

 

 

 

 

……ガツガツッ!!!ガツッ!!!『元気だな……チョコ系統のゴチゾウか?』

 

 

 

 

 

 

 クランチチョコの欠片を身にまとった、小さな眷属たちが、嬉しそうに俺のまわりを駆け回る。

 

 

 

 

 

 

 

 一匹、二匹――次々に生まれてくる。さっきまで感じていた空虚さはもう感じない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴチゾウの甘い香りで、いつの間にか満たされていく。まるで生き返った気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

『……ああ。だりぃ、寝てぇ……ああでも、あのモノクロのクソガキを始末してからだな……』

 

 

 

 

 

 

「いや素直に寝ろよ」『ああ?んなわけには行かねえだろ、あいつぜってえぶっ倒す』「……」

 

 

 

 

 

 

 

 ……立とうとしたら肩をぐっと押さえつけられた、取り押さえたつもりか……こんなもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな……この――くそ、このッ……動けん。なんだ、こいつこんな力強いのか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『おい……離せ……このッ』「ほら寝てろ、ラキアも心配してんだから」『……だる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ぐっと押さえつけられて、冗談じゃないと反発したいのに、指先が微かに食い込む感触。

 

 

 

 

 

 

 

 

 全く動かない……こんなやつにずっと無防備な姿勢で居たのか俺は。

 

 

 

 

 

 

「……痛いか?」『別に。』「じゃあこのままでいいな」『離せ馬鹿力』「じゃあ寝ろ」

 

 

 

 

 

 

 

 担がれた……米俵か俺は。俺は抱えられるのが不服で嫌いなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ……でも、今は休む方が良いのも事実か。せっかくゴチゾウが出る様になったしな。

 

 

 

 

 

 

 

――中央区:狩場

 

 

 

 

 

 

 

「……すべての監視カメラは羽を使って壊されているらしい、何故カメラの位置がわかった?」

 

 

 

 

 

 

 

 普通なら誰も気づかないような死角にあるカメラまで、迷いなく正確に狙って壊している様だ。

 

 

 

 

 

 

 

『情報は少ないが……組織の狩場を認識しているのは確かだな』

 

 

 

 

 

 

 もしかしたらこの近くにバウエルのバイトが出入りする扉が出来たのか?

 

 

 

 

 

 

 だとしたら……扉を特定して破壊するってまでが絆斗の仕事だな、バイトはついでに倒す。

 

 

 

 

 

〔ちょわ……ちょわちょわ〕〔ましゅ?ましゅー……?〕〔ちょうちょう……〕「……もう居ない様だな」

 

 

 

 

 

 

 

 組織の記録によれば俺たちが此処に来る直前にすべての監視カメラは破壊された。

 

 

 

 

 

 

 

 痕跡が少しはありそうだが……空から見張って居たゴチゾウが何も見てないなら帰ったか?

 

 

 

 

 

 

 

『この辺りに扉は?』「……扉を模した壁は一つ、ただ埋め込んでるだけで開かないはずだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『なら最後にそこを調べて一旦絆斗の元に……浮いてたゴチゾウが落ちて来たな、疲れたのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔もっ――……ふ……〕「……構えろ、アマルガ。どうやら誘い込まれたらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 空から偵察していたゴチゾウが討たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵は黒い羽を持つグラニュート。空を飛ばれたら厄介だが……飛べる羽でもなさそうか?

 

 

 

 

 

 

 

……もしかしてさ?おチビちゃん(ゴチゾウ)を生み出す。酸賀絆斗君って居ない感じ?

 

 

 

 

 

 

 当然だが……見知った顔じゃない。ただのバイト……にしては雰囲気が違う。

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ……此処で討ち取れば一気に幹部って思ってたんだけどさぁ、居ないの?困るなぁ

 

 

 

 

 

 

 

『お前もバウエルの手先か?』その通り……でも、平和主義だからさ?今日は話し合いで

 

 

 

 

 

 

 

 ……不気味なほどに敵意を感じない、監視カメラを破壊したのは確かにこいつだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 グラニュートを2人を前にこの余裕……手練れか、ただの馬鹿か。

 

 

 

 

 

 

 

 すぐに攻撃するべきか?いや、こいつがもしバウエルに順応じゃないのならこっち側に……。

 

 

 

 

 

 

 

グラニュートハンターって組織でしょ?だから幹部とか……あるじゃん?「それがどうした。」

 

 

 

 

 

 

 

じゃあ、さ?酸賀絆斗を差し出してくれたら俺も幹部の首を差し出す、フェアな取引しない?

 

 

 

 

 

 

 

 

……は?上にのし上がったら俺は闇菓子を沢山食べれて君らも出世する良い取引じゃん?

 

 

 

 

 

 

 

 

――CUP ON―― ―― SET ――

 

 

 

 

 

 

 

『その汚い口を閉じろ』「救えない奴だ。」

 

 

 

 

 

 

 

―― HEATING ――

 

 

 

 

 

 

 

『変身〗「交戦を開始する〗

 

 

 

 

 

 

 

 

―― PUDDING ―― ―― MECHANO BIO LOGY ――

 

 

 

 

 

 

 

―― VLAM SYSTEM ―― ―― PRIMAL COOKIE JUST MADE ――

 

 

 

 

 

 

 

ああ……そう、残念。じゃあ――ッ!?殺すしかなくなっちゃったよ?

 

 

 

 

 

 

 一瞬、黒い羽が視界をかすめた。細く、鋭い……それでいて異様な存在感。

 

 

 

 

 

 

 

 目の端でその影をとらえたときには、もう身体は反応……したはずだった。視界が反転する。

 

 

 

 

 

 

 

 黒い何かが目前に迫る。ほんの一瞬。視界がふさがった、辛うじて見えるのは黒い羽。

 

 

 

 

 

 

 

 どうなってる?いや、正面から反応が追い付かない速さで頭を壁に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 幸いそこまで酷いダメージじゃないが……こいつは――グロッタよりも。

 

 

 

 

 

 

それ、古いシステム(仮面ライダーヴラム)なんだって?純粋に使用者の身体能力を底上げするらしいけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

―― VLAM BREAKER ――

 

 

 

 

 

 

 

 

筋のいい傭兵とトントンってとこかなぁ……まぁただのバイトを相手にするなら十分か?

 

 

 

 

 

 

 

 至近距離の射撃を難なくよけられた……ストマック家とそう変わらない強さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 改造されたからじゃない、こいつ自身が元々強い。近い雰囲気で言うなら……マーゲン。

 

 

 

 

 

 

 

俺さ、こう見えて結構更生したんだよ?殺し屋から美味しいお菓子のスパイス集め(人攫い)

 

 

 

 

 

 

 

 殺し屋、本来なら金でしか動かない存在が闇菓子で懐柔された、なら次に来るやつも……。

 

 

 

 

 

 

 

質を選ばなきゃ毒で動けなくして捕まえるのが鉄板……やり方で言ったらそっちには敵わない

 

 

 

 

 

 

 

 

〖……〗ラーゲ9(ラキア・アマルガ)、一時期は……ストマック社で有望なバイトだったって?ご教示頂きたいね

 

 

 

 

 

 

 

 

―― HEATING BLAST ――

 

 

 

 

 

 

 

 

おっとと……羽が焦げちゃう。〖立て、ラキア・アマルガ〗〖……俺は〗〖何も聞かない〗

 

 

 

 

 

 

 

 

〖組織も色々抱えている奴らばかりだ、私も絆斗も、そしてお前も〗〖……そうか、ダルいな〗

 

 

 

 

 

 

 

 

―― CUP ON ――

 

 

 

 

 

 

 

―― JELLY ――

 

 

 

 

 

 

 

 

―― VLAM SYSTEM ――

 

 

 

 

 

 

 

 

〖絆斗にこれ以上負担は掛けさせない〗〖あと1発、有効打を与えられるのは時間は2分もない〗

 

 

 

 

 

 

 

――CUP LADY――

 

 

 

 

 

 

 

 

〖なら俺が隙を作る〗〖巻き込まれるなよ〗うーん……お友達は察しも物分かりいいと……

 

 

 

 

 

 

 

――INVISIBLE JELLY!――

 

 

 

 

 

 

 

 こいつ相手に透明化したところで今の俺に出来るのは撹乱すること……だが。

 

 

 

 

 

 

……こっちのやつは欲しいかも

 

 

 

 

 

 

 姿だけでなく足音や影に至るまで存在を消せるこの姿を……捉えられている?隙が無い……。

 

 

 

 

 

 

 

 時間はない。クラウンが仕掛けると決めたら俺ができるのはその瞬間を逃さないことか……。

 

 

 

 

 

 

 

 相手は黒い羽のグラニュート。想定される攻撃は単縦なフィジカルの押しと羽の投擲。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラウンは一瞬で間合いを縮めた。銃口がほとんど押し当てるほど近くに突きつけられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 通常の武器なら反撃の隙を与えかねない距離――だが、あれが無駄かどうかはもう知ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 発砲と同時に身を沈め、相手の手刀を紙一重で躱す。すぐさま薙ぎ払う様に銃撃、距離を取る。

 

 

 

 

 

 

 

こっちは見たことないけど新型〜?貫通弾みたいで効くねぇ……だけど、弾数には限りがある

 

 

 

 

 

 

 

 ―― JELLY OVER ――

 

 

 

 

 

 

 

透明化にも限りが――〖その通り、加えるなら透明になれるのは俺だけじゃない〗おっと?

 

 

 

 

 

 

―― VLAM SHOOTING ――

 

 

 

 

 

 

〖隙は作った、当てろ〗〖避けろ、トドメは刺す〗

 

 

 

 

 

 

 

 俺の放った透明化した矢が、奴の周囲に次々と降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 直撃したところで、こいつには大したダメージは与えられない――だが、本命はこれじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

―― HEATING BLAST ――

 

 

 

 

 

 

 

 熱の余韻が肌を刺すように残っている……息を吸うたび、焦げた匂いが喉に絡みつく。

 

 

 

 

 

 

 

 もしこの姿がチョコだったら、とっくに溶けて形も残ってないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 視界の端で、まだ揺らめく熱気。

 

 

 

 

 

 

 

〖……熱が完全に冷めた、ここを去るぞ〗〖いや、まずは扉だ〗

 

 

 

 

 

 

 次に現れるグラニュートは腕利の傭兵……それかまた殺し屋?……何が来ても厄介だ。

 

 

 

 

 

 

〖あのレベルのグラニュートと対峙したのは初めてだった、あのレベルにもこれが(ベイクグロック)有効打に――〗

 

 

 

 

 

 

 

 

あ〜……不動の絶対防御が壊れちゃった、まあ生きてるからおーるおっけー……だと良いね?

 

 

 

 

 

 

 

 立ってるか……あの至近距離で直撃を受けて、まだこの余裕。

 

 

 

 

 

 

 焦げ跡ひとつは見えるが……致命傷には程遠い。

 

 

 

 

 

 

 それに絶対防御。ニエルブの兵器をこいつが使ってるとなれば、立場は幹部の傍に近い。

 

 

 

 

 

 

 好奇心が強いニエルブでも、自分の発明をそう簡単には託さないはずだ……。

 

 

 

 

 

 

 

  刺さった黒い羽の威力はそこまでじゃないが、その防御を忘れていたのは致命的だな……。

 

 

 

 

 

 

  クラウンの一撃で無力化できたのは僥倖だが、もう一発あれを撃たせるのは――無理か。

 

 

 

 

 

 

 

 

〖……ラキア、気づいたか?〗〖ああ……?こんな時に――なん、だ?〗

 

 

 

 

 

 

 

 指先が痺れる。手の内側で糸みたいな電気が這う。握ったはずの武器が指の腹からすり抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……毒か? いつだ――いや、“刺さっていた”黒い羽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 胸の奥がざわめくような違和感と、筋肉が言うことを聞かない不快感が同時に押し寄せる。

 

 

 

 

 

 

 

 呼吸はできるが、腕に力を込めようとするたびに、痺れがさらに濃くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

んっ~……ふぅ、じゃあベルトにその他もろもろ貰って――おびき出す餌でもいいねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

「クローザーさんここに居たんですね」〖ニエルブ……お前〗「なるほど?こういう状況……」

 

 

 

 

 

 

 

 

これはこれはニエルブ様……ちょうどいいところにここに二体のグラニュートハンターを……

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石、ですが……彼らにはやってもらいたいことがあるので今日の所は」と、言いますと?

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう1つ秘密のアルバイトなんて、どうですか?」……ジェレスに順応なのとどっちがお得で?

 

 

 

 

 

 

 

〖お前、今度は何を企んで――〗「君らにとっても悪くない話だよ、酸賀さんの坊やによろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 毒の効果はそう長くは持たないらしい……だが、ここで襲い掛かったとして無駄だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダルいが……素直に去るのを見届けるしかない、クラウンに関しては声すら出せなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ……ついでにこれも伝えてよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――明日の15時、溝ノ口倉庫にてジェレスを始末しろ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕も酸賀さんの坊やも、ジェレスを消せる時といえばそのタイミングしかない、伝言頼んだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〖……だる』

 

 

 

 

 

 




【仮面ライダーヴラム(ラキア・アマルガ):プリンカスタム】

プリンカスタムは、ラキア・アマルガが“ヴラムシステム”を用いて変身する姿である。

本人はグラニュートであり、普段はミミックキーによって人間の姿に擬態して活動している。

ヴラムシステムは、ストマック社に所属していたニエルブによって開発された戦闘システム。

純粋なグラニュートが使用することを前提として設計されている。

そのため、装着者の身体能力を極限まで底上げすることに特化。

同システムは辛木田絆斗が同型ベルトを運用していることから、高い汎用性を持つと考えられる。

変身時に使用されるプリンのゴチゾウは、消費後も消滅せず残存する性質を持っているのが特徴。

そのため人工ゴチゾウである可能性が高いと推測されている。

最大の特徴は、防御構造であるプディスタムジャケット。

非常に柔軟な生体組織で構成されており、通常時はしなやかな動きを可能。

熱や衝撃を受けると瞬時に硬質化し、高い防御力を発揮する。


――スペック
身長:199.3cm
体重:87.8kg
パンチ力:1.7t
キック力:2.4t
ジャンプ力:5.1m(一跳び)
走力 7.4秒(100m)

1話~12話:仮面ライダーヴァレン(酸賀絆斗)人気投票

  • 基本的な形態チョコドンフォーム
  • 粒子を振りまく災害ブシュエルフォーム
  • ポテチの剣豪ザクザクチップスフォーム
  • 自由の象徴マジックザストーン フォーム
  • 重装甲近接特化ロルアックスフォーム
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