オグリの幼馴染が記憶を無くしてチョコレートの怪物になって化け物と戦ってた話 作:かな餅
ミューターが所持している、正体不明のゴチゾウ。
ミューター自身はそれを“カートリッジ”と呼ぶ。
外見は深い紫色で、まるで腐った砂糖を固めたような質感をしている。
他のゴチゾウたちと違い、誕生の気配に“甘さ”が一切ない。
瞳は濁ったガラス玉のようで、生気も意思も見えない。
ただ、頬を引きつらせるような笑みだけが常に貼りついている。
お菓子から生まれたとは考えにくい、“恐怖”という感情から形を得たと推測される。
本当に同じヴァレンシステムを使ってるのか?チョコダンは俺も産んだことがあるが――違う。
変身者そのもの練度と身体能力があまりにも違う、そもそも普通の人間じゃない、"ウマ娘"だ。
平均時速70kmで走る脚力、俺は怪力があってもそこまでの脚力は持ち合わせていない。
俺は平均時速50km程度、その速度で何時間も走るなら俺に部があるが瞬発的な加速力。
障害物なしの駆けっこだったら俺でも捕まらないという自信がない、いや絶対捕まる。
それが変身して戦う、しかもしっかりとした訓練を受けた特殊部隊がだ……ああ。
脚力を生かした一小隊による機動戦、奴相手にはこういう動きは最適解らしい。
奴のあの物質を朽ちさせる力、ゴチゾウ由来じゃなくてミューターという種族の能力。
あんな奴が俺の世界にも居たとはゾッとするな、黒ガヴの酸賀も焦るわけだ。
一応対抗手段はあるにはあるらしいがその詳細は知らん、ただ奴は俺らと同じ生物。
不死身でもなければグラニュートと同様に倒せるはずだ――倒せるよな?
〈ジュニア……サンプルが取れました……戻りなさい〉〖何?今いいところなんだ〗〈命令です〉
〖……はぁ、仕方ない――絆斗、次に会うまでに準備とやらを済ませておくんだな?』〖あぁ?〗
〖……運よく退けたか、索敵チームを呼んでくれ、それと負傷者を医療班へ――彼は?〗
〖どさくさに紛れて逃げてしまったようです追いますか?〗〖いや、良い〗
〖隊長のお墨付きらしいからな……近いうちに会えるだろう、話はその時じっくりと。〗
――ストマック社(現避難所)
「ランゴ兄さん優しいのねぇ人間達のために会社を避難所にしてあげるだなんて、どうしたの?」
「ふん、これも戦略の内だ。現状今の状態ならメディアが忙しなく動く」「あら?報道ね?」
「ストマック社の名が瞬く間に広まり輝かしい第一歩を――」「兄さん!大変!」「なんだ?」
「毛布が足りないの……」「そもそもうちはただの菓子屋だから探してもなくて……」「なにぃ?」
「買ってくればいい話だろう?経費で落ちなければ俺の金で払う、さっさと買ってこい!」
……ストマック社は意外にも忙しないな、動機は純粋じゃないが、俺としては助かった。
「全くだからランゴ兄さんは……戻ってきてくれて助かったよ、忘れ物?」『そんな感じだ』
この状況はいい隠れ蓑になる、あの翔馬が余計な事を口走らなければバレはしないだろう。
「それにしても違和感だよね」『あ?』「あの災害の侵食スピードは尋常じゃないものだった」
「円状に広がる地震のような災害、もしあれが菌の類ならここに居る人間は――」
『データを撮ってるんだな?』「……気になる?」『その発生元を知りたいか?』「……こっち」
どうやら、ニエルブはどの世界でも優秀な科学者らしい。その証拠に……この解析データ。
『……災害地の中心になっている場所はどこが建設してる?』「それが謎でさ?わからないんだ」
開演未定の"お菓子"の家、その近くには……宿泊の宿、元は孤児院か?怪しいな。
引っ張り出せた衛星画像じゃこの付近だけ被害がない、ミューターの本陣――だとすれば。
『……ニエルブ、菓子はあるか?』「え?……まだ在庫はあるけどなんで?」『……信じるか?』
『俺が半分グラニュートで、この腹にはガヴ器官の喉がついてるって言ったら』「何それ――」
「バカみたいに面白い存在じゃないか……君は。」
――◼️◼️クリニック
目的地に向かう前に一つ見ておきたい物があった。外にニエルブに用意させた車を停めてある。
そう長いは出来ない、だから――一目、一目だけで良い。この世界ではどうなってる?
「先生!また2人増えました!」「あーOK、この子見終わったらすぐに向かうよ」『……■■』
「……ぁあ」『とっ……大丈夫か?』「あ、ぁぁ……はい。」「おっと?こっちこっち」
「そこ座らせて置いて……君はこの人の――」『いえ、他人です』「そっかぁここには何を?」
『人を探しに、けど居ないみたいなので。それじゃ』「……ねえ、時間ある?」『……はい』
「じゃあ、ちょっと手伝ってくれる?猫のでも借りたくてさ」『……もちろん。』
酸賀クリニック、主に小児科を専門として扱っているが建物は現在は避難所に。
広すぎるスペースの有効活用だそうだ、大きな病院とのいい中継地点にもなっているらしい。
「絆斗君手当上手だねぇー?普段何やってるの?」『しがないサラリーマン』「本当に?」
『それとヤンチャ』「へぇーやっぱ若い子は元気だなぁ……」『……息子さんは元気で?』
「んー?まあねぇ、本当にすくすく育ってもう俺より身長は高くてさぁ」『写真ありますか?』
少しニヤけた目線の先を追うと……酸賀と学生服を着た少年。卒業式の写真か?
「災害地から離れた大学に居るから無事だと思うんだけど……まあ、心配だなぁ」
『……仮面ライダーって知ってますか?』「……あ~都市伝説の?何?どうしたの?」
『噂じゃ災害地にはバケモノがいて仮面ライダーが戦っているって噂があるみたいです』
「へぇ、好きなの?」『いいえ、でも仮面ライダーが何とかしてくれる。そう信じてます』
「……信じるかぁ、案外見かけによらずそういう事を言うんだ?」『はぁ?』「ううん」
「そうだね、こんな時こそ何かを信じる気持ちも大事だね」『それと……あ~……まあ』
「なに?」『何かあったら、俺が助けます。息子さんも貴方も』「……ありがとう、絆斗君」
――須賀クリニック:駐車場
「おそーい……」『無免許を待たせて悪いな』「それは言わないお約束。」
ニエルブの話だとまだ閉鎖網は張られていない。正確には張る段階にすら達していないらしい。
日本の常識はこうだ。未確認生命体の類が現れれば真っ先に動くのは警察。
実際に動けるのもまず警察。使える武器は基本拳銃だけだ。
自衛隊は災害対応ならあれだが、武力行使が必要と判断される事態にはだるい手続きがいる。
多くの場合、手続き以前に現場の脅威の正体と被害状況を把握が必須で結局は時間がかかる。
現場の感触としては、待っている暇はない。来たとしても解決できるかはまた別だがな。
正直言って、普通の火器であいつらを屠ることはできないだろう。
戦車の砲弾を直撃させられるなら有効打は与えられるだろうが、奴らの能力。
物質を蝕み朽ちさせる力の前じゃ戦車は遅いし重すぎする、かといって生身は――まあ。
この世界にもヴァレンは存在するらしいが、実際の手札はチョコダンだけだろう。
確かにあいつらは強いが俺の世界では自衛隊とかには正式に認知されていたわけじゃなかった。
ヴァレンシステムという兵装そのものは国の公認下にある。
だが秘匿性が高すぎて、公的機関と直接関わらせるのは避けたい代物だ。
この世界でも事情は同じだろう。ミューターに対抗するための“裏の手段”。
だからこそ、表舞台に出すわけにはいかない――が、俺もヴァレンなんだよな。
「それにしても君がまさかあのヴァレン軍団の一員だったとは」『仲間じゃねえけどな』
「へぇ……まあそれは道中で聞くよ、忘れ物は?」『ない――あ~いや待ってくれ。』
「え?ちょっとどこに……あ~もう。」
視界の端に移ってしまったからには向かうしかないが……何してんだ翔馬?
『そこで何してんだ?』「……何」『……はぁ、母ちゃんなんかあったんだな』「……」
話を聞く限り、翔馬達はミューターに襲撃されたらしい。形状はカマキリのようだったと。
翔馬の血を最初して満足したそうだが翔馬を庇いながら戦った母親は重傷を負った。
ニエルブの調べによれば翔馬の母はヴァレン部隊の隊長って言ったところらしい。
ウマ娘だからまあ、大怪我でも常人よりは早く立ち直れるだろう……ただ、戦力が減った。
尚更俺が肩をつけないとな……なんで翔馬が狙われてる?こいつは――いや、そうか。
理由は恐らく単純だ、むしろなんで気にしていなかった?なんでそうだと思い込んでた?
ヴァレンがいる時点で気づけた、いやこいつと顔を合わせた時から気付くべきだった。
『……なんでお前が狙われた?』「……僕が、普通の人間じゃないから」『……そうか』
こいつは俺と同じ人間とグラニュートとのハーフ、ヴァレンシステムの根幹。
本来あるべき、翔馬の姿……ある意味……部分的に別世界の俺でもあるのか?
『あのヴァレン達がいるのはミューターの存在に対抗するためだと聞いた、お前は戦わないのか』
「……どうやって?」『お前、自分が何者なのか分かるか?父親は……その腹の――』
「何も知らないよ、何も教えてくれないんだよ。周りで勝手に騒ぎ立てて――ねえ、俺は誰なの?」
『……』「ずっと秘密を抱えて生きてきた、人と親密になることを避けてきた。」
「俺のせいなんだよ、隠れて生きようとしなかったから。母さんがバケモノと戦うハメになった」
『……翔馬』「夢なんて見なきゃよかった、僕のせいであいつらが来て……みんな……みんなッ俺が――」
『俺も秘密があるんだ』「……その、腹」『これはガヴって言うんだ、お前のお腹にあるものと同じ』
『俺のは喉しかないけどな、これがあるってことは俺達はグラニュートの面を持ってる』
「……グラニュート?」『別の世界に居る種族で、多分お前の父親はその種族だ』
「……絆斗は、知ってるの?この小さい生物の事」〔わにゃ……〕『それはお前の眷属だ』
グラニュートと人間のハーフはお菓子を食べることで眷属を生み出す能力を持っている。
ただそのためには改造が必要で翔馬はミューターに改造されて生み出せるようになった。
恐らく、これは本来この世界で辿るべき未来じゃない。なんとなくわかる。
ミューターは俺のことを知っていて、色々な力があることも分かっていた。
目的はわからないが、恐らくガヴ器官の変身の能力について研究をしていたんだろう。
ミューターはこの世界に介入し、まだ何の改造も施されていない翔馬に目をつけた。
その結果、翔馬は眷属を生み出せるようになって応じてヴァレンシステム開発。
闇菓子は存在しない、というより――何も知らないストマック社が扉を独占している。
その影響で人間の存在は秘匿され、人々がグラニュートに攫われるきっかけもない。
ニエルブの爺に関してはなんか知らんが早死にしたらしいからな。
恐らくその爺が闇菓子が生まれる分岐点だったのか、ストマック社はただの菓子屋になった。
「眷属……?」『俺はゴチゾウって呼んでる、こいつらは単体じゃ何も出来やしない』
『でも道具次第でに戦う力にもなる、お前の母ちゃんが変身してたみたいにな』「……」
『翔馬、色々辛い事とか寂しい事があったんだと思ってる。でもこの世界にはお前が必要なんだ』
――お前の血とお前が生み出す眷属のおかげでこの世界に仮面ライダーが誕生した――
――お前がいたから人間が街を滅茶苦茶にするミューターに対抗する手段を得た――
『お前は幸せになって良い。母親だってもう、戦わなくていい――俺がもう何も奪わせない』
「……あれ、絆斗、その顔。」『翔馬、お前はこの世界でうんと幸せになれ、とことん好きな事をやれ』
『あの怪物は俺が何とかする、だから……母ちゃんの傍に居てやれ』「……待って、絆斗。待って――」
「絆斗は……何者なの?何処から来たの?……なんで俺と同じ――」『別に名乗る程でもない』
『通りすがりの仮面ライダーだ、忘れろ』
――お菓子な国:孤児院
『……こりゃ家ってより、城だな。』「うん、しかもあれ噂じゃ食べられるらしいよ」
城の手前には、ブランコに滑り台、メリーゴーランドのような遊具まで整備されていた。
孤児院にしては派手すぎる。いや、子供が遊べること自体は悪くない。
足元の煉瓦も新しく、人工芝の緑がやけに均一。人が暮らすなら居心地も良いんだろう。
奥にそびえる巨大なお菓子の城は、陽の光を反射してきらきらと輝いている。
屋根のチョコレートは溶ける気配もなく、壁のビスケットは風雨に晒されても崩れていない。
絵本の中の夢みたいな光景――そこに漂う甘い香りが妙に濃く空気に混じる匂いが鼻を刺す。
『……テーマパークじゃねえのか?作りがそんな感じに見えるぞ』「そう言うコンセプト」
「ふれこみじゃ子供達が感情豊かに暮らせるように設計されているらしいよ?」『……行くぞ』
ここだけ被害があわないように何かされてるって感じでもない気がするが……。
いや、ここには被害を出したくなかったってことなら――やってみるか?
―― CAKE SECOND DECORATION FUWAFUWA ――
『……そもそもここは気に食わん』「あれ?何しようとして――ッ!?何してんの……?!」
『ここと城をぶっ壊す、なんか妙に落ち着いてイライラすんだよここ』「いやだからって……」
『悪趣味な場所だ。行きたい場所に行けない。新しい場所に出られない』「……なんで分かるの?」
『俺がそう感じたからだ、文句あるか?』「……まあ、僕もミューターには思うところはあるし』
〘それでまずは何をするの?〙〖手始めにあの城を爆撃する、あれが一番気に食わん〗
轟音とともに、お菓子の城が砕けた。
砂糖とチョコの破片が雪みたいに舞う。だが、すぐに鼻を刺すのは焦げた糖じゃない。
鉄とオゾンの匂いだ……破片の中で、ちらつく銀色の断面が光った。
どうやら――本物のお菓子で――いや、違う。外装で何かを誤魔化している。中身は構造物だ。
甘い皮の下に、神経のようなケーブルと透明な管。内部でうねる光の脈動が心拍を刻む。
俺が嫌悪しているのはあれだ。あの城の中にある“何か”。
本能でわかる。あれはこの世界のものじゃない――。
『誰かと思えば絆斗。この事態はクラープがひっくり返るな』〖やはりここが根城だったか?〗
『そんな所だ、なぜあの城を狙ったのかは知らんがせっかくだ、教えてやろう……』『……誰?』
『あの巨大な"並行世界移動装置"、今日はそれを改造した新機能を動かす予定だったんだがな』
あんな馬鹿でかいのが世界を渡る装置だと?この辺りが無事な理由はわかったが……あんな。
『クラープは並行世界の酸賀絆斗を集め良質なガヴ器官について研究するつもりだった』
〖何故俺を直接狙わなかった、俺の世界にも行き来出来るんだろ?〗『薄々わかっているだろう』
『お前のガヴが持つのは喉だけの不十分なガヴ、無論それもクラープは欲しがっていたが――』
……とりあえず救いようのない奴等だというのは理解した、並行世界の俺を集める為の装置。
そんな物が作れるだなんて信じられんが本当なら破壊するべきだろうな……しかし、何故だ?
黒いガヴを持っているなら研究材料は十分に揃っているはず、何故俺のガヴを狙う?
比較対象が欲しいのか?……それだけの理由で巨大な装置を作ってまで特定個人を――。
『お前の"遺伝子"から作られた
〖……そのガヴの持ち主はどうした?〗『ああ、死んでいるに決まっているだろう?』
〖……なんのために?〗『?』〖なんのためにそこまでして力を求める?何故幼い翔馬を攫った?〗
『キングがガヴ器官の力を気に入ってな?だからクラープが必死に培養体や俺を作った、まあ』
――世界を蝕み破壊するのは俺達ミューターの本能――
『すべての行動原理はこれに尽きる、装置が壊れた以上この世界を残しておく理由もない――』
〖……酸賀絆斗はどの世界を探そうと、存在するのはここに居る俺だけだ〗『……何?』
〖この世界に俺は存在しない、何故なら生まれてくる必要が何一つないからな……〗
この世界には狂った科学者は居ない、愛する息子を見守りながら医者として生きているからだ。
この世界に闇菓子は存在しない、存在するのは純粋に家族でお菓子を作る会社だけだ。
この世界に俺は存在しない、幸せになるべくして生まれた子供が幸福に育つ筈だったからだ。
〖なのにお前達はそれをぶち壊した、もうこれ以上はやらせない。例え世界が違っても俺は――〗
――仮面ライダーだ――
〔ゴロ……ゴロッ――ぴゃあ!ぴゃっ!〕〖行くぞゴロゾウ、あいつをこの世界から叩き出す〗
――STONE CHOCO―― ―― TELLER ――
〔ゲットレディ!!!〕
――SET STONE CHOCO SET STONE CHOCO――
『新しい力かッ!退屈させてくれるなよ?〗〖ニエルブ〗『残党は任せてよ、面白くなってきた』
〔IT'S SHOWTIME!!〕
〔 Yay! Yay!! WAO WAO WAO!!! 〕〖変身〗〔 Yay! Yay!! WAO WAO WAO!!! 〕
―― MAGIC THE CHOCO GOROGORO ―― ―― HORROR VIOLENCE ――
〔PLUS ULTRA!!!〕
接近戦はやりたくないが火力の出せるガルムはヴァレンバスターに大きな負荷が掛かる。
この世界のヴァレンと連携することも考えたが――そもそも俺は余所者だ。
この世界の他にまた別の世界に行く予定だってある、なにより元の世界に帰るのが目的だ。
11月、それまでグラニュートとが俺を狙って東京に集まってくる。
ニエルブとの取引でバイトを一掃するために交わしたのは良いが……ああ。
とにかく俺は早く帰りたいんだ……さっさと仕留めてさっさと帰る。
〔MAGICTIME!!!〕
奴の能力は主に手が物質に触れることで発動するらしい、ただ身体全体も例外じゃない。
戦う分には近接戦もある程度は問題はないんだが、捕まれたら一発アウト。
かすりでもすればそこから身体が浸食されてじり貧になる。それは避けたい――だから。
〖アルデミシアのように全身を圧迫し、拘束する〗
やつの能力で脱出は容易い、ただ今回はただの拘束にはならない。
ブシュエルの能力が付与された石は一度は爆散し、粒子となってまた塊に再結合する。
拘束と爆破を繰り返し奴を消耗させ仕留める、これが最善――ただ上手くいけばの話だ。
〖見え透いた動きだ……〗〖そううまくはいかないよな……だるいが仕方ない。〗
ゴロゾウの石の動きがこいつに追いつけない……となれば、前もって行動するか。
石チョコの形態は能力に関しては優秀だが派手な動きをするのには向いてない。
身体が強張って単調な動きしか出来なくなるんだ、その分防御力はあるがな。
そしてその欠点の補い方は既に思いついた――あとはゴロゾウと俺の脳内CPUに掛かってる。
〖俺の脳がへばるかお前がくたばるかだ〗〔MAGICTIME!!!〕
浮遊する石を半歩先に並べて、それを足場にも障壁にも見立てる。
丸い塊を壁代わりに立てるのではなく、相手の攻撃軌道に先回りして角度を作る。
相手が振り回す拳が通るはずの軌道上に、振りかぶる腕に石を差し入れていく。
そうすれば速度は死んで動きは止まる、当然相手は反撃を見かけて引き下がる。
だが逃がさない、相手のすぐ後ろには岩石の壁。
壁に押し戻される胴を下から跳ね上げるように殴る。拳が石を纏い、質量を増して唸る。
―― MA - GI - CA - L ――
―― STONE FUWA FUWA THE BOMBING ――
〔ユナイテッド・ストライクッ!!!〕
岩の拳に加えて爆発で重ね掛けした威力は確かに効いてるが……流石に俺にもダメージがあるな。
〖確かにお前は戦ってきた中で3番目には強い――が、諸刃の剣だな?グラニュートとは言え――〗
―― MA - GI - CA - L ――
〔ユナイテッド・ストライクッ!!!〕
〖そう言うのは使い慣れてるんでな〗
角度が合わなきゃ
使えば使うほど
火力はあるが撃つたびに銃身を
戦い初めて5年間はずっとチョコドンで戦ってたか?それが最近になって変わってきた。
多分、短い間で俺は突然かなり強くなった……ああ、今までと比べたらそうだ。
なのに身体的スペックの成長で言えばたかが2倍程度だ、目の前のこいつは俺の何倍だ?
〖ヴァレンシステムは本来グラニュートが扱う事を想定していない〗〖あぁ?〗
〖元は人間をグラニュートと戦える最低基準まで引き上げるものだったからな……〗
データとしてはここ1ヶ月で十分という程取れたはずだ、あとは他の形態。
特にクランチガルムやチョコルドを他のヴァレンにどう落とし込むか……。
酸賀がどうするのか見ものだな……ああ、だから。だから俺は――。
〖さっさとお前をぶっ倒してッ……帰るんだよ、どんだけ傷付いてもどんだけお前が強くても〗
―― STONECHOCO SECOND DECORATION GOROGORO ――
〖仇なす全てをねじ伏せて、酸賀の野望もオグリの願いも翔馬の人生も俺が守る〗
―― STONECHOCO THIRD DECORATION GOROGORO ――
〔〔〔DIVISION TIME !!!〕〕〕
重たいのを2発喰らわせて分かったのは俺の攻撃は通じる――が、あくまで通じるだけだ。
こいつの形態は身体を部分的に体を不定形・液状に変形させる能力らしい。
本人はまだ気づいてないみたいだが通りで物理攻撃があまり効いてないわけだ。
形は崩せてもすぐに戻り、まるで無傷のようにそこに立っている……厄介な相手だ。
〖眷属――いや、岩の分身か?〗〖お前の倒し方は分かった……さて、どうする?〗
――世界を滅ぼすのを止めて、大人しく自分の世界に戻るか――
――それともここで、俺に倒されるか――
〖はっ……見え透いたハッタリだな、さっきの攻撃があまり聞いてなくて開き直ったか?〗
予想通り大胆に踏み込んで来た、俺の打撃は受けきれると踏んでるんだろう。
それは事実だ、だがこいつには戦闘経験が足りない。自分の能力に理解がない。
岩の分身は確かに脆く砕けやすく、自分の打撃で身体が砕ける諸刃の剣。
だが生身の身体じゃなく岩だ、そう――どれだけ砕けても集結し再結合する。
例え少数でもそれが死なず、痛みも感じず、何度壊しても元通りになって立ちはだかる。
〖……貴様、何故さっきからそこを動かない、高見の見物か?――〗〘動かしてるさ〙〖?!〗
〘グラニュートにも人間にもない俺だけの特技があってな――〙〖……何故だ、何故朽ちない?〗
〘それは多重思考、端的に言ってまあチェスをやりながら将棋をできるって感じだ〙
俺は物覚えが良いだけでそれほど頭は良くないが、俺の脳は特別らしい。
だからこうして”3つの身体”を切り替えるんじゃなく同時に動かせる。
1つは前線に立たせてもう1つはそれのカバーに、そして本体は観測に徹する。
分身の身体を動かせはするが目がない盲目の身体だ、相手の姿は無論見えない。
だが自分の身体である物体は感じ取れる、そう例え生物の肉体にめり込んでいてもだ。
〖岩の身体は1つの個体ではなく集合体だ、触れられても一部を切り捨てれば問題ない〗
〘厄介だろう?脆いくせに何度も立ち上がってくる敵は、俺もかなり追い詰められた――〙
〖だからどうした……ならここら一帯事吹き飛ばせば――なんだ?身体が……〗
〖お前は正直言って格上だ、その形態も身体スペックも俺よりもはるかに上だったんだろう〗
ただ相手が俺なのが悪かったな、まさか思いもしなかっただろう。
再生力が高いグラニュートが居たら底なし沼に叩き込んで溺れ死なせるなんてよくやったよ。
〖さて……フィナーレだ。〗〖くそ……何故、動かん……一体何をしたッ!お前は――ッ!!!〗
―― MA - GI - CA - L ――
〔〔〔MAGICTIME!!!〕〕〕
拳の形から散った石片たち分身から崩れた破片が、一斉に“意志”を持ったかのように動き出す。
俺の周囲を漂っていた破片も吹っ飛んだミューターの身体を中心に渦を巻き始めた。
奴の全身を包み込むように、円を描いて空間を囲んでいく。
上からも、下からも、横からもあらゆる角度から石片が滑り込む。
その軌道は寸分の狂いもない、なんせ過去に一度やったことがあるからな。
半端な速度ではない。けれど暴力的な力でもない。ただひたすらに“制御された圧”で圧迫する。
石片同士が互いに引き寄せ合うように、球状に閉じていく。
逃げ場をなくした空中の一点に、“圧縮された岩球体”が形成されていく。
まるで核に核を押し込むように、内側に向かって静かに、けれど強く圧が増していく。
ただこのままじゃ奴は拘束を解いて直ぐに抜け出してくるだろう。
―― CAKE SECOND DECORATION FUWAFUWA ――
なら――奴事それを壊す、球体の中に閉じ込められた存在は逃げ場のない密閉空間で。
周囲全方向から圧縮された爆発圧を受け、高熱、衝撃波すべてに包まれる。
―― STONE FUWA FUWA THE BOMBING ――
〖まさかッ……こんなッ――〗〖ふぅ……ばんっ。〗
逆に俺がここら一帯を吹き飛ばしちまった。まあこの場所に人なんていなかったからいいか。
使える岩は爆散して知覚できる範囲外まで吹き飛んでしまったらしい、となると?
〖連戦は無理だな、頭が重い――3つは流石に使いすぎか〗『……ねぇ……ちょ……』
〖ニエルブの方も終わったか?それとも爆風に巻き込まれて文句を言いに来たのか〗『待って!』
いや、ニエルブは何か――誰かを追いかけている。誰だ?人間……人間?まさか……翔馬?
〖……あいつ何しにきた?何でここが……いやそれよりもあいつがここに来たら――〗〖ッ……』
完全に仕留めたと思ったミューターは驚いたことに人の形を保っていた、ベルトは粉々だが。
『……ふふ……ははは……お前に会ったのが……運の尽きだった様だな……だが、タダでは死なん』
〖良い加減にしろ、お前はもう限界――〗『世界を蝕み破壊することッ!誰も止められはしねぇッ!』
地面に振りかざす手を止めるには俺の反応は遅すぎた、ガルムに切り替えておくべきだった。
地面に触れた手から黒いシミが瞬く間に広がった、そこからは黒い人の形をした眷属。
〖……何で俺はいつも後一歩足りねぇんだ〗「絆斗!……絆斗でしょ――やっと見つけた。」
ミューターの眷属が次々と湧き出てくる……放置しておくにはかなり不味い。
鎮圧するにしてもこの数を今の状態で一掃するなんて無理だ、俺の脳がもたない。
ヴァレンが駆けつけるまでどれくらい時間が稼げる?俺に注意を向けさせられるか?
〘……ニエルブ様〙『……こりゃ、僕の手に負えない……兄さん達には連絡しとこうか』
〖ニエルブッ!翔馬を逃がせ……退路は俺が何とか作――〗「絆斗、後は俺が引き受ける」
―― CAKE ――
「……行くよ、ケーキの王様」〔ふぉっふぉっふぉ〕〖……お前、まさか。〗
―― EAT CAKE EAT CAKE EAT CAKE EAT CAKE ――
「絆斗たしか、そうだ……変身〗〔むぉ〜!!!〕
―― CAKEKING AMAZING !!! ――
ケーキの……仮面ライダー?いや、ガヴがついてるならそりゃ変身できるだろうが……。
何でここに来た?……何のために――ミューターへの復讐か?
〖絆斗、君が誰なのか、何で僕と同じ顔なのか。いろいろ疑問はあるけど今は聞かない〗〖……〗
〖でも、これだけ教えて〗〖何だ?〗〖絆斗は……自分が自分として生まれて幸せ?〗
俺は元々……翔馬の人間として生きる身体のために作られて、自分の物は脳みそだけだ。
翔馬の身体に脳を入れ替えられて、酸賀に育てられて――8年生きた。
〖俺には父親も母親もいないし、俺は作られた存在だ〗〖……そっか〗〖だが、後悔はしてない〗
〖俺が俺として生きていること、何一つ後悔していない。例え世界が違っても俺はここに居る〗
顔も朧げな翔馬の母にも会えて、俺の名前も呼んでもらえた――それだけでも十分幸せだ。
〖……あいつは■■■■?何でこの世界にいる――〗「■■■■■■■■■」
〖はあ?どう言う事だ。ミューターを倒す事が俺の役目じゃなかったのか?〗「■■■■■」
〖この状況で行けるわけねぇだろ……せめてこいつらを――〗〖絆斗、行って!〗〖お前まで……〗
―― WHIP PARTY !!! ――
〖大丈夫!だって俺……仮面ライダーだし!〗〖……俺は2度と戻って来ないぞ〗
〖だよね……でも、さよならってのは違う気がする。だからここは――またね、絆斗〗〖……だる〗
〖またな、翔馬』「■■■■■、■■■■■■」『分かってる!……ってちょっと待った』
〘あー!……あぁー!ういっ!〙『とっ……翔馬に預けっぱだったな。ほら行くぞ腹に入れ!』
〘……!〙〖これも眷属かな?まあ良いや、一緒に戦おう!〗
――???の世界
『……また此処か、おい■■■■、あの世界での俺の役目は何だったんだ?』「……ふむ。」
「君は分かっていて彼を勇気つけた訳ではないのか?」『……翔馬の事か?』「ああ」
酸賀絆斗が持っていたあの世界での役目、それは翔馬を仮面ライダーにする事。
『……は?』「あの世界は本来……仮面ライダーもミューターも居る筈がなかった」
「しかし、ミューターはあの世界に訪れた本来あるべき歴史を歪めてしまった」
歴史が歪めば、世界はそれに呼応して形を変える。
闇菓子のない平穏な日々だったはずの世界は、ほんの少し――オカシな歪みを孕んでしまった。
そんな中で、酸賀絆斗という存在を見つけられたのは、奇跡に近い幸運だった。
彼はどの世界にも存在しない。そもそも生まれるはずのなかった“欠けた存在”だ。
ゆえに、別世界の歴史に干渉しにくく、また影響も受けにくい。だからこそ、選ばれた。
あの世界での彼は曖昧な影のように認識され、同じ顔が並んでも違和感なく受け入れられた。
本来存在しない彼は、与えられた役目を通して、世界が本当に必要とするものを探す。
そんな“欠けを埋めるための存在”になりえる資格を持つのが彼だった。
『……それで必要だったのが、翔馬が仮面ライダーになる覚悟って事か?』「その通りだ」
不安定にあったあの世界の歴史も、高橋翔馬という仮面ライダーの歴史をなぞり、形を作る。
無論それだけが世界の歴史を作っている訳ではないが、少なくともミューターは退けられる。
『何でだ?何であいつである必要が――』「端的に言えば、君が居ないからだ」
「あの世界には
『……何とかなるのか?あの世界は』「既に新たな物語の幕は開かれた、言えるのはそれだけだ」
彼は思うよりも飲み込みが良い、今の状態でも充分だが……備えがあるに越したことはない。
「さて、次の世界だが……思ったよりも時間がない状況だ。次で完全に慣れてもらおう」
『あぁ?次は何だ?ラキアが幸果と結婚してる世界か?』「君からすればかなり異質な世界だ」
『はっ俺以上に異質な■■があ■■■■■■■■……』「それでは健闘を祈る――ふぅ」
「闇菓子が存在しない平和な世界、彼からすればそれは自分が必要とされない世界」
「本来あるべき世界ではなく、もしも酸賀絆斗が誕生する理由がなかったら?」
「俗に言う、彼にとってのパラレルワールドだ」
【ゴチゾウ図鑑:ケーキングゴチゾウ】
俺の誕生日に母さんが作り置きしてくれたショートケーキを食べて生まれたゴチゾウ。
今までとは違って戦っても消えない、特別な一匹――まるで思い出みたい。
クリームのお鬚はフワってしててモフモフと喋る、若干おじいちゃんみたいかも?
あれから絆斗の姿は全くみてないけれど、俺のところにも白いチョコのゴチゾウが生まれたよ。
次の会えた時は一緒にケーキを食べたいな。
13話~27話:仮面ライダーヴァレン(酸賀絆斗)人気投票+α(他キャラフォーム)
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超反応クランチガルムフォーム
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超大幹ロシュアガルドフォーム
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モフモフボディドーマルフォーム
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ビターなギフデットチョコルド
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気怠いどっぷりんフォーム
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新兵器プライマルクッキーフォーム
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思い出の味ダートグミフォーム
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漲る怪力ストロングカスタム