オグリの幼馴染が記憶を無くしてチョコレートの怪物になって化け物と戦ってた話   作:かな餅

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【ゴチゾウ図鑑:マドリュミエゴチゾウ】

 静かな午後に一口だけ食べた時マドレーヌから生まれたゴチゾウ。

 金色の殻のような背中を持ち、ほんのり甘い香りをまとっている。

 体温は人より少し高く、触れると安心する温かさ。

 性格は穏やかで、落ち込んでいる時は灯を灯すように胸の中心が光って慰めてくれる。

 その光で傷も治すことだってできるらしい。

 取って付きの瓶に入れるとランプ代わりにもなるのでとても便利。



律動・交わる者のウェイクアップ

――■■の世界

 

 

 

 

 

 

 今度は痛くないが、ここは何処だ?寝てたのか俺は……座ってる?何で座ってる。

 

 

 

 

 

 

『厚手の布製エプロン、デニム……少し汚れたTシャツ、こりゃ何らかの職人か?――何の?』

 

 

 

 

 

 

 近くにある工具は……何だこれ、大根下ろしみてえな……そうだ、カンナだ。

 

 

 

 

 

 

 

 となると木を削る工程にこれを使うとして……作るのは椅子……?いや、ヴァイオリンかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とにかく……家の中を散策しない事には何もわからない――見る限りじゃ此処はただの家。

 

 

 

 

 

 

 自然に囲まれた年季がありそうな家だな、菓子は……どっかの戸棚にないか。

 

 

 

 

 

 

『……ヴァイオリン、名札を見るに売り物をぶら下げてんのか……この世界で俺は職人』

 

 

 

 

 

 

 と言っても……このぶら下げられたヴァイオリンが良いものなのか全く分からん。

 

 

 

 

 

 

 

 触れて軽く弦をなぞっても特別音楽の才能が芽生えている訳でもなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 この仕事は忙しいのか?ヴァイオリンの名札に書かれた日付、これは受け取りに来る日か?

 

 

 

 

 

 

 まずいな、早速一つ受け取りに来る奴がいるようだ……まだ自分の名前すら把握してない。

 

 

 

 

 

 

「すみませーん?紅さーん?注文を受け取りに来た槙野ですー!」だぁるぅ……はぁ、はーい。』

 

 

 

 

 

 

いやぁ……この日が来るのを3年前から楽しみにしてましたよぉ?おほほっ!なんてたってぇ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界では俺はヴァイオリン職人、そして名前は紅歩(くれない あゆむ)……父親と2人暮らしらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 知名度は業界の中でならかなりあるそうで知る人ぞ知るヴァイオリン職人らしいな。

 

 

 

 

 

 

 

さあさあ長話はここまで……早速、例の物を」『……どうぞ』「!?おぉ……ほぉッ……」

 

 

 

 

 

 

 紅歩の手で造られたであろうヴァイオリンを手渡すと見惚れるように目を細めた。

 

 

 

 

 

 

 

 どうやらこれはみるだけでも中々に上物らしい、価値がわからない俺でもこいつから出る音。

 

 

 

 

 

 

 弦を一度弾いただけでも何と言うか……一瞬だがかなりの心地よさを感じた。

 

 

 

 

 

 

「……素晴らしい、流石現代のストラディヴァリウスと呼ばれるだけのことはある……」『……?』

 

 

 

 

 

 

 ストラディヴァリウス……は知らんが、並大抵の職人ではないのか俺は?いや俺じゃないが。

 

 

 

 

 

 

最近貴方の作品の価値に世間が気づいたようでしてねぇ直近だとぉ……5000万円で取引されたとか?」

 

 

 

 

 

『……はぁ』「ご存知ないのですか?まぁそれもそうでしょう、貴方は生涯をここに捧げる人」

 

 

 

 

「世間だという俗な物達と関わる暇はないでしょうしねぇ……さて、本題に入りましょう」

 

 

 

 

 

 

 この家で気になったのは置き電話は合ってもスマホ、PCと言った機器は一切ない。

 

 

 

 

 

 

 時代とかの問題じゃない、紅歩はそう言うやつなんだ――そしてここからは勘になるが……。

 

 

 

 

 

 

「一旦いくらでこの作品はお譲り頂けるのでしょうか?」『……ええ、少し待ってください』

 

 

 

 

 

 この取引には現金が使われると言うこと、恐らく大金だろう。見たところ……ああ。

 

 

 

 

 

 

 

 違法取引じゃないとすれは紅歩がそのやり方に拘っている、理由までは知らんが……都合は良い。

 

 

 

 

 

 

 

 直接この世界の紙幣が手に入るなら、食料も衣服も潜伏先も金さえあれば何とかなる。

 

 

 

 

 

 

『っと、あった。会計帳簿はわかりやすいところに置いておくよな……えっと相場は――うわっ。』

 

 

 

 

 

 

 

「おや?どうしましたかな?」『……いえ、すぐ向かいます……何だこの馬鹿げた桁は』

 

 

 

 

 

 

 

「さあさあ、この度は一体おいくらで……」『今回は言い値で』「……はい?」『言い値で』

 

 

 

 

 

「言い値……?!こ、これにどれだけの費用と時間がかかってあるのか貴方自身がわかって……」

 

 

 

 

 

 

『今日はこれが貴方にとってどれだけの価値があるのか貴方に決めて欲しいんです』

 

 

 

 

 

 

「た、例え1円でも……!?」『貴方がそう定めるのなら構いません』「この私を試している……?!」

 

 

 

 

 

 とりあえず……下手に金額を言えばボロが出そうだったんで一旦言い値で出させてみよう。

 

 

 

 

 

ふふ……25から脱サラし年収3000万の私に言い値とは……良い度胸ですねぇ!?6000万ッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

『まいど』

 

 

 

 

 

 

――紅邸:浴室

 

 

 

 

 

 やべえ、俺は金持ちになっちまった。贅沢しようてなノリで菓子を買いに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 ただ出来ることなら顔は晒したくない、と言うかこの世界の知り合いに会いたくない。

 

 

 

 

 

 紅歩としての自分が何一つわからない、若いのかジジイなのか堅物なのか穏やかなのか……。

 

 

 

 

 

 だからなるべく身を隠せる格好をしたんだが……どうしたものか、外の様子は?

 

 

 

 

 

 

 窓から見えるあの葉は紅葉か?となると季節は少なくとも9月を超えている。

 

 

 

 

 

 

 ならもう花粉の季節だな……よし、だったら。

 

 

 

 

 

 

  

 ――満月堂

 

 

 

 

 

 

『……駄菓子屋にしてはやけに品ぞろえがいいな。』「……あのぉ」『あぁ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方も……この世アレルギーの人ですか?」『えっ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、居たんですね。僕以外にも……仲間が……『花粉アレルギー』「花粉?何ですかそれ」

 

 

 

 

 

 

 

 この世界で俺は馴染めないかもしれない。この世アレルギーってなんだその奇病は。

 

 

 

 

 

 

 

『……これください。』「ああ。すまんな。変な奴なんだあいつ。花粉症でもないのにな。」

 

 

 

 

 

 

 どうやら店主の方は本物の花粉症らしい、恐らく鼻声だ。重傷なんだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 てか何だこの店、マスクにゴーグルしてマフラーで首をぐるぐる巻きにしてるやつ2人……。

 

 

 

 

 

 

 

 俺を合わせたら3人か……出来る限り長居はしたくないな……早いとこ帰りたい……。

 

 

 

 

 

 

「ところで……お前、この町に来たのは最近か?」『ええ、それが?』

 

 

 

 

 

 

 

「そうか最近商店街にチョコをあつかった菓子屋ができたらしいな」

 

 

 

 

 

 

 

『そうなんですね、私は来たばかりなので知りませんでしたが、今度寄ってみます』

 

 

 

 

 

 

 

 

 この店主、鼻が良いのか?俺からは良くチョコの匂いがするらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 ただ風呂に入ればしばらく匂いが弱くなるし、香るとしても微かに香る程度だ。

 

 

 

 

 

 

 さらに人避けの為に好きでもない香水を濃く付けてるんだぞ……偶然か?

 

 

 

 

 

 

「それと、香水の付け方は勉強しておけ。服に香水を直接かけると痛むぞ」『……どうも』

 

 

 

 

 

 

 

 ゴチゾウを産む目的とは別に純粋に腹が減った、そうだな……たまにはお菓子じゃなくて。

 

 

 

 

 

 

 

『……ピザに、チキンに……ついでにバーガーも買うか。米も食いたいな。』

 

 

 

 

 

 

――紅邸

 

 

 

 

 

『久々って程でもねえけど、たまには豪華な飯も悪くねぇな?』〔ちょうちょう?〕

 

 

 

 

 

 

『大丈夫だ、たまに身体に悪いもんを食うぐらいが健康的なんだ……んぐ。』〔ちょぉ……?〕

 

 

 

 

 

 ミューターとの戦いで左腕はあまり動かなくなった、それと脳もだな。

 

 

 

 

 

 

 寝たおかげで少しは回復してるが頭痛と疲労感がひどい。そんでだるい。

 

 

 

 

 

 

 ゴロゾウ3つ同時が絶対に悪かった、岩の量も操作性が向上するがあくまで切り札だな。

 

 

 

 

 

 

 とりあえずこれ全部平らげて寝れば明日には良くなってるだろ……。

 

 

 

 

『……まてよ、そういや紅歩は父親と2人暮らしっつったか?……不味いな』

 

 

 

 

 

 時間帯はもう夕方、適当なホテルにでも行っておくべきだった……さっさと食おう。

 

 

 

 

 

「おーい、おれのむとぅこ~!ぱ~ぱがいーま帰ってきたぞぉ~?」『まずいっ』

 

 

 

 

 

 

 

 

おっとぉ?……この音。さ~あゆむ~!リビングの扉を開けてくれ……愛のハグをしてやろう」

 

 

 

 

 

 

 

『いや……いい、ちょっと……その』「なんだぁ?照れ屋さんだなぁ?」『……ダルこいつ。』

 

 

 

 

 

 

 まずいな……シンプルに気持ち悪い、声も明らかに酸賀ではないし、触れられたくない。

 

 

 

 

 

 かといってぶっ飛ばして軟禁するわけにもいかん……どうする。どうす――。

 

 

 

 

 

 

『……サプライズをしたいから、1週間消えて欲しい。』「……ほんとか?」『ほんと。』

 

 

 

 

 

 

 

「なんのサプライズだ?」『……10月8日』「ふ~ん?ふ~ん……ふぅん?」

 

 

 

 

 

 

 

「良いだろう?……その時を楽しみにしてるぞ?俺のムトゥコ♡――」『……消えたか。』

 

 

 

 

 

 

 

 リビングにカレンダーがあってよかった、てか今まで気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 日にちなんて携帯かPCで見てたもんだからこいつの存在自体忘れてたな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 10月1日、俺の世界より3ヶ月近く先……いや、2008年?別世界だが10年近く過去の世界か。

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても……すごい違和感があるな。

 

 

 

 

 

 

 不気味とか、そういうのとは少し違う。ただ何かおかしい。俺は何を訝しんでる?

 

 

 

 

 

 

 

 何かが足りない。だがそれが具体的に何なのかが――視界の端で見えた文字。

 

 

 

 

 

 

 

 馬?表記ミスかと思った。点が二つ多い……宝くじの券みたいな紙切れだな。

 

 

 

 

 

 

 

 馬券・”スリープレスナイト”単勝……ウマ娘の人気投票に使う券に似てる気がするが。

 

 

 

 

 

 

 何かおかしい。どうにも引っかかる――一旦新聞でも見よう。それで違和感の――。

 

 

 

 

 

 

 一部の写真に映っていたのは、俺の知る”ウマ娘”とは全く違う……4足歩行の生物。

 

 

 

 

 

 

 

 四足で地を蹴り、恐らく背中に人間を乗せて走っている……ラクダの仲間か?

 

 

 

 

 

 

『んだこの生物……人が乗ってる?しかもこの背景はレース場、まさか……いや、そうか?』

 

 

 

 

 

 

 ウマ娘が居ない世界?そんな世界あるのか?……レース場はあってウマ娘みたいな名前――。

 

 

 

 

 

『いや、違う。この世界ではこいつらがそうなんだ。代わり(ウマ娘)こいつ()がいる』

 

 

 

 

 

 

 多分、この漢字の読み方は"ウマ"。きっとウマっていうんだ、こいつらは。

 

 

 

 

 

 

『……こんな世界もあるってことか、犬娘だったり猫娘……なんなら狼男まで居たりするのか?』

 

 

 

 

 

 そんなこと話してる場合じゃないな……だからなんだって話だ……ここは俺の世界じゃない。

 

 

 

 

 

 

 ウマ娘が居ないことではっきりしてるのは恐らく、高橋翔馬は存在しない。

 

 

 

 

 

 

 人間とはかなり異なる馬から人間から生まれてくるわけはないだろう、さて。

 

 

 

 

 

 

 

 前の世界の滞在は1日未満、役割は高橋翔馬を仮面ライダーにすることだった。

 

 

 

 

 

 

 

 時間がない、次で完全に慣れろ――俺にとってここは異質な世界。

 

 

 

 

 

 

 意図としてはあるべき(ウマ娘)ものがない、その認識が必要だった。世界によって常識は違う。

 

 

 

 

 

 

 逆にあってはいけないのものがあってしまったりもする時だってある――アレみたい(ミューター)にな。

 

 

 

 

 

 

 

『……となると、気になるのはこれか。夜に現れる化け物……実際に行方不明はいる』

 

 

 

 

 

 

 グラニュートに似た存在が居るんだろう……しかも夜は俺にとっても都合がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 事件が発生したのは1週間前から、だが似たような事例は過去何度も起きているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 新聞の情報じゃ心もとないがとりあえず、完全に日が暮れるまではゴチゾウの生成だ。

 

 

 

 

 

 

――満月堂

 

 

 

 

 

 

ねぇージローさん、やっぱ透は倉庫整理させた方がよかったんじゃない?僕接客したい

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだ、お前は人を呼び過ぎる……うちはな?別に繁盛させたいわけじゃないんだよ」

 

 

 

 

 

 

「でも、商店街にスイーツ屋さんができる度に眉間に皺が……」「ああ?」まあまあ!

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず今日はこれくらいで上がるね、実家の手伝いもあるし……ジローさんも透も来る?

 

 

 

 

 

 

 

「……後でな?透、お前も帰る準備だ」「あ、はい……じゃあ、ばいばい、翔……」

 

 

 

 

 

 

 

 満月堂を離れたところで人が居ないことを確認して路地裏に向かう、勿論いつもの道。

 

 

 

 

 

 

透は変な奇病さえなかったら看板娘になると思うんだけどなぁ……まあいいや、キバットいる?

 

 

 

 

 

 

〔おう!ここに居るぜ!〕今日はどっち?〔残念ながら透はまだ不調だ、今日も頼んだぜ〕

 

 

 

 

 

 

 

おっけぇ〜……ふぅ、明日は流石に寝よっかなぁ……

 

 

 

 

 

 

 この黄色いコウモリに似た体型を持つ生き物はキバット族のキバット3世。

 

 

 

 

 

 

 ちょっと何やかんやあって秘密の頼まれごとをこなしてる、その頼まれごとってのは……。

 

 

 

 

 

ねえどうしていつも青い笛は使っちゃダメなの?〔ダメなもんはダメ!〕けち

 

 

 

 

 

 

 誰に話す訳でもないのに、頭の中で言うのも変だね?――さて、お仕事だ。

 

 

 

 

 

――中央区:神代公園

 

 

 

 

 

 町の中心に位置する巨大な公園にある神木の木、高さはざっと……50m。

 

 

 

 

 

 

 普通なら立ち入り禁止なんだけど、僕はこの公園を作った人達の親戚だからある程度許される。

 

 

 

 

 

 

 

 木に登ると誰も知れない秘密の空間があってそこには特別なヴァイオリンが置いてある。

 

 

 

 

 

 

 元々このヴァイオリンは母さんが持っていたらしい……てか、制作者なんだって。

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァイオリンは僕の専門じゃないけれど、それでもこれがどんなにすごいもののかは分かる。

 

 

 

 

 

 

 その証拠にこのヴァイオリンはある条件を満たすと独りでに音がなるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―― ――

 

 

 

 

 

 

 

 「このヴァイオリンってさ、何で誰かがいる訳でもないのに声が聞こえてくるんだろうね?

 

 

 

 

 

 

〔さぁ?……まあでも便利だから!〕

 

 

 

 

 

……じゃあ、行こうかキバット〔おっしゃぁ!キバって行くぜぇ!――ガブッ!〕

 

 

 

 

 

 

 親指の腹を噛ませて得体の知れない何かを身体に注入する、気分は少し高揚する。

 

 

 

 

 

 

 

 腰に伝わる冷たい感触がもう気にならなくなった、今となってはどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 視界は闇に包まれ全身が銀に覆われて、高鳴る蝙蝠の声が妙に心地良い。

 

 

 

 

 

……変身

 

 

 

 

 

 

 砕けて散った銀内側に、血塗られた紅い鎧が黒い身体を包んでいる姿。

 

 

 

 

 

 どの魔族も人間も総じてそれはキバと呼ぶ魔人らしい――今は僕がキバだ。

 

 

 

 

 

 この姿になれば特に頭を回す必要はない、身体が勝手に目的地まで突き進んでくれるんだ。

 

 

 

 

 

 

 ただ着くまで意識は飛んで次に目が覚める時には――だめだ、意識が飛ぶ――。

 

 

 

 

 

 

〔……嘘つきでごめんな、翔、透。きっともうすぐ終わるから。〕

 

 

 

 

 

 

――旧黒山トンネル

 

 

 

 

 

 

 

 新聞の情報じゃこのトンネルを通った人間は2度と帰らないって噂だが……なるほど。

 

 

 

 

 

 

 

 この先は樹海にも繋がってて失踪にもうってつけだな……それと人攫いにも。

 

 

 

 

 

 

 ちょっと前から失踪が絶えないトンネルって……噂が立っていたが。

 

 

 

 

 

 

 まずこのトンネルは10キロ、徒歩で抜けるとしたら大体2時間。

 

 

 

 

 

 

 森で出入口も隠されて分かりにくいが避難抗もあるな……タイヤを追うと、まじか。

 

 

 

 

 

 

 コンクリの壁がへこんでる、入口からはそう離れてないところだな。

 

 

 

 

 

 

 そもそもここはだいぶ昔から廃トンネル、立ち入り禁止の看板だけで出入りは自由。

 

 

 

 

 

 

 等間隔で作られた非常口は……一番近くの扉がぶっ壊されて開けられるようになってる。

 

 

 

 

 

 

 警察は手を抜いたのか?中はばらされた車の部品に衣服と時計やらが乱雑に捨てられてる。

 

 

 

 

 

 

 ガラケーは壊されてないな、電源がつくものの履歴から直近だと昨日攫われた奴がいる。

 

 

 

 

 

『……ただ身包みを剥がされたって感じじゃない、むしろ目当ては身体自体に思える』

 

 

 

 

 

 

 どうにもグラニュートっぽい気配がする、それとやはりこの世界でも写真は歪む。

 

 

 

 

 

 

 歪んだ写真の1つ前にこのトンネルを背景にした人の写真が写ってるな。

 

 

 

 

 

 

 しかもこの顔には見覚えがある、この世界で一番最初にあった奴だ。

 

 

 

 

 

 

「……ここで何をしているかと思えば、失踪者の捜索ですか?……紅歩さん?」

 

 

 

 

 

『いいや?結果的にはあんたを探してたことになる槙野さん……失踪事件の犯人』

 

 

 

 

 

 

「全く油断ならない、何故私が?――という事はもうどうでもいい、残念ですよ』

 

 

 

 

 

 

 顔に痣が浮かんで瞬きする間に姿が変わった、見たところか蛙型の怪人か……よし。

 

 

 

 

 

 

 ウマ娘は居ないがここには異形の怪人が居て、俺は仮面ライダーだ。

 

 

 

 

 

 

――CHOCO――

 

 

 

 

 

 

『貴様……イクサじゃないのか?』『んなもんしらねえよ、通りすがりの仮面ライダーだ』

 

 

 

 

 

―― SET CHOCO SET CHOCO ――

 

 

 

 

 

 

 

〔WAO‼WAOWAO!!!〕『覚えとく程じゃない、忘れろ――変身〗〔WAO‼WAOWAO!!!〕

 

 

 

 

 

 

 

―― CHOCODON PAKI PAKI ――

 

 

 

 

『新手のファンガイアハンターか……』〖さあな?〗

 

 

 

 

 

 

 散らばった衣服を見るに失踪者は手遅れと考えるか、こいつは銃持っている?珍しいな。

 

 

 

 

 

 威力は通常の火器以上だが……許容範囲内だ、この程度ならある程度無茶ができる。

 

 

 

 

 

―― MOCHI SECOND DECORATION MOCHAMOCHA ――

 

 

 

 

 

 

 強大な餅の包みを広げて巻きつける、攻撃性はないが拘束性は高い、それに餅だからな。

 

 

 

 

 

 

『なっ……このぉッ?!』〖力任せでも刃物でも破りにくい、さてどうするか〗

 

 

 

 

 

 

 尋問で色々聞き出すか?この手の奴は口が硬いと言うより話が通じないことも多いが。

 

 

 

 

 

〖お前の敵になりたい訳じゃないんだ、俺はお前をいつでも始末できるしな?〗……なんだ

 

 

 

 

 

 

〖俺はちょっと遠くから来たもんで分からないことが多いんだ、教えてくれりゃあ礼もする〗

 

 

 

 

 

 

 まず気になるのはファンガイアハンターって奴らの存在だ。

 

 

 

 

 

 

 名の通りファンガイアを狩る組織でグラニュートハンターと似てる気もするが。

 

 

 

 

 

 

 イクサという存在以外、戦うのは生身の人間らしい。恐らく……民間組織。

 

 

 

 

 

 

 そしてバックかトップには金持ちだろう、俺の組織はそれを束ねて作られてる。

 

 

 

 

 

 

 海外にもファンガイアはいるようでハンターも同時に存在している。

 

 

 

 

 

 

 特に注目したのが……ファンガイアはこの世界に昔から居た存在らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまりだ、これが本当ならこいつらは歪みではなく。この世界の一員ってことだ。

 

 

 

 

 

 

 俺がこの世界でファンガイアと戦う意味はあまりない、ただ……気には障る。

 

 

 

 

 

 

『……満足かな?』〖ああ、あらかた知りたいことは知れた、さて1つ聞こう。〗

 

 

 

 

 

 

〖何故お前は人を襲った?〗『……これでも私は大人しくしているつもりなのだがね』

 

 

 

 

 

 

『私は必要ないがある友人はエネルギーの消耗が激しくてね?"食事"を提供していたんだ』

 

 

 

 

 

 

 ライブエナジー、こいつらがそう呼ぶそれは恐らく生体エネルギーの一種だろう。

 

 

 

 

 

 

 つまりこいつらの主食は人間ってとこか?闇菓子依存のグラニュートよりタチが悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 ……人間にとってタチは悪いが、まだファンガイアの存在自体知らなすぎるな。

 

 

 

 

 

 

『……ところで私はいつ解放してもらえるのかな』〖悪いが時間が経たなきゃそれは破れん〗

 

 

 

 

 

『全く……ただどうにもただの人助けには見えませんねぇ?』〖あぁ?……仕事だ、仕事。〗

 

 

 

 

 

 

『ほう?なら金目当て……なら、今日から私の元で働くのはどうでしょう?』〖……あぁ?〗

 

 

 

 

 

『私は例え同族ではない人間でも友になれると思っていましてねぇ?特に貴方は素晴らしい』

 

 

 

 

 

〖……〗『貴方が作るヴァイオリンには一部のファンガイア一目おいていましてねぇ……』

 

 

 

 

 

 

「何だそいつは?……俺の縄張りに何の用だッ!」『お待ちなさいッ!!!』

 

 

 

 

 

 

『今私が話している相手は唯一無味のヴァイオリン職人です、それに手を出すなら――』

 

 

 

 

 

〖……教えてやろうか?あれは俺が作ったんじゃねえ。そもそもあれは売ってねぇ〗

 

 

 

 

 

 

『……は?』〖売ったのはあれの模型、見た目は殆ど変わんねえけどな?〗

 

 

 

 

 

 

 正直俺にはあれの売り方が分からなかった、素人でもわかる美しい音色。

 

 

 

 

 

 たが目の前の奴が見ていたのは音色などではなく、その形とそのブランド(紅歩)

 

 

 

 

 

 俺が歩だったらこんな奴にヴァイオリンを売りたくない、だから言い値で買わせてやった。

 

 

 

 

 

 その形とブランドにどんな価値があるのか、自分で決めさせてやるために模型やった。

 

 

 

 

 

 

〖俺は紅歩じゃないからあのヴァイオリンは売れないが、お前に見合うものは用意してやった〗

 

 

 

 

 

 

『き……貴様、この私をコケにしたのかッ……人間の分際でぇッ!!!〖どうする?〗

 

 

 

 

 

 

――2度と人間に手を出さないか――

 

 

 

 

 

 

――それともここで俺に倒されるか――

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりファンガイアハンターじゃねえかよ……生きが良いのは好きだぜぇ?

 

 

 

 

 

 

餅で包んだ人質を気にせず突っ込んでくるか、すぐに命を奪えるって訳じゃねえから最善策だな。

 

 

 

 

 

 

『ま、待ちなさい!私を解放……全く……愚鈍な奴め。まあ良い、これくらい私1人で……」

 

 

 

 

 

 

〔キバ!意識は戻ってるか?人間が倒れてる!〕あぁ……うん、まずは解放してあげようか

 

 

 

 

 

 

やはりキバも来たか……ふふ、良いことを思いついたぞぉ――助けてくれぇっ!2体の怪物が……」

 

 

 

 

 

 

――旧黒山トンネル:樹海

 

 

 

 

 

 どれだけ撃っても勢いが止まらない、チョコドンじゃ火力不足か、相手の装甲は硬い。

 

 

 

 

 

〖だったらこいつの出番だ〗〔ロル!ロール!〕

 

 

 

 

 

 

 ―― LOLLAXE GURU GURU ――

 

 

 

 

 

 

こいつでかち割ってやる『厚着したって筋肉質には見えねぇんだよッ!』

 

 

 

 

 

 こいつを使うのは久々だな。重い装甲に、リーチの短い手斧――銃撃は封印される。

 

 

 

 

 

 

 前に翔馬も試したらしいがあいつはこの重量に押し潰されて満足に動けなかったと聞いた。

 

 

 

 

 

 

 当然このフォームはブシュエルのように身体全体圧力がかかって動きずくなるからな。

 

 

 

 

 

 

 獣のファンガイアが踏み込み爪を振り上げる。正面から受けず半身をずらして掠める程度に。

 

 

 

 

 

 

 

 一拍遅れて腕を引き、重心をそのまま流す――踏み込みの勢いをそのまま刃へと伝える。

 

 

 

 

 

 

 奴の身体はよろけるが装甲に少し亀裂が入っただけか、時間がかかるな。

 

 

 

 

 

 

 

 力任せに振りかぶりたいが相手の方がタフで力も強い、だが動きは見切れる。

 

 

 

 

 

 

……ヴァレンエンゲージは思ったよりも融通が利く〔ブシュッ!〕試してみるか

 

 

 

 

 

 

 

―― CAKE SECOND DECORATION FUWAFUWA ――

 

 

 

 

 

 

 亀裂に畳み掛けるように大きく振りかぶる、隙が大きい一撃。だが反撃には耐えられる――。

 

 

 

 

 

 

『ッ……ってぇな。捕まえたぞ。』……なるほど、反撃よりも俺の動きを止めるか

 

 

 

 

 

 

 亀裂を狙ったおかげでさっきに比べて刃先が少し食い込んだ、同時に不味い状況だ。

 

 

 

 

 

 

 

『この斧さえ抑えればてめえなんて……』こんな斧知ってるか?あぁ?何言って――ッ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 鉛玉を抜いたショットガンの弾を装着し、刃が刺さった勢いで起爆。

 

 

 

 

 

 

 

 刃の先端部分からの爆風が薪を吹き飛ばすというとんでもなく非合理的で実用性に欠ける。

 

 

 

 

 

 

 

 だが、自分で作って、使ってみると案外……面白かったのを覚えてる。

 

 

 

 

 

 

 

 刃の先端から高圧ガスを噴射して、刺した対象を内部から破壊するワスプナイフに似た発想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その刃先には排気口が幾つもあって木に突き刺さると排気口は密閉される。

 

 

 

 

 

 

 

 密閉と同時に鉛玉を抜いたショットシェルが前方に進み、カートリッジに当たる。

 

 

 

 

 

 

 

 弾は暴発しガス発生するが排気口は塞がり逃げ場はない、そしてガスが逃げる唯一の方法。

 

 

 

 

 

 

 

圧力で木を押し広げること……パックリ胴体切断とは行かなかったが、いい感じに決まったな

 

 

 

 

 

 

 普通の人間なら死んでると思うが、流石は怪物。胸に裂け目が出来ても死んではないか。

 

 

 

 

 

 

 心臓まで届いてそうなほど深い裂け目、急所の位置は思ったより違うのか。

 

 

 

 

 

『……はぁ……ッ?!……』いい勉強になった、じゃあ終わらせてやる

 

 

 

 

 

 

『ま、まてぇッ!分かった……2度と人間は襲わない、だからッ――』何を言ってる?

 

 

 

 

 

 

 

お前に今更あると思うのか?そんな選択肢がお前のような奴に――あの世で懺悔しろ

 

 

 

 

 

 

 

 俺が踏み込めば守るよりも手負いの獣は最後の一撃に全てを賭ける。

 

 

 

 

 

 

 

 だが止まる気はない。振りかぶる瞬間、奴の肩が先に跳ねた――奴の方が一手速い。

 

 

 

 

 

 

 トリガーを引き、爆発で柄の内部に溜めた圧が一気に抜け、排出口から逆噴。

 

 

 

 

 

 

 から跳ね上げる軌道で斧を振り抜く。爆圧で初速が伸び、手応えの直後に抵抗が切れる。

 

 

 

 

 

 

 

 奴の腕が宙へ散った。重力と爆発が起こす勢いに身を任せ、斧頭を真下へ叩き下ろす――。

 

 

 

 

 

 ―― CAKE FUWA FUWA THE CHOP ――

 

 

 

 

 

 

―― LO - LLA - XE ――

 

 

 

 

 

 

 

……流石に倒せた、みたいだが。叩き切れたってよりガラスを割った感覚だな

 

 

 

 

 

 ファンガイアは倒すとガラスのように砕けるらしい――それと、なんか飛んでるな。

 

 

 

 

 

 

光が宙に浮かんでるな……あれは攻撃するべきか?――そういやもう一体……

 

 

 

 

 

 

 何かいるが蛙とは違う、あたらしいファンガイア?腹の下には蝙蝠みたいのがついてんな?

 

 

 

 

 

 

 

〔キバ、あいつ……ファンガイアじゃない。新しいイクサか?〕……ううん、違う

 

 

 

 

 

 

 

そういう感じじゃない、ファンガイアと戦ったみたいだけど――もしかして君は。

 

 

 

 

 

 

 ……どっちかと言えば、仮面ライダーに部類か?となると喋ったあればベルト。

 

 

 

 

 

 

 

 すぐに攻撃してこないあたり、そこまで敵意は感じないが……ファンガイアハンターか?

 

 

 

 

 

 

……君は■■■■■?……あぁ?俺はヴァレンだ。その名前は何を示すんだ?

 

 

 

 

 

 

世界を渡り歩く旅人であり――世界の破壊者、少なくとも君はこの世界の存在じゃない

 

 

 

 

 

 

だったら、どうするんだ?ただ話をするだけか?ん~……君かな?あの人を捕まえたの

 

 

 

 

 

 

 

……あの爺の事か?そうだが、あいつはファン――バッシャーマグナム!!!

 

 

 

 

 

 

 いきなり撃ってきやがった……こいつ、あの蛙の仲間か……?まあいい。

 

 

 

 

 

 

―― CHOCO LD PAKI PAKI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 分厚い装甲でダメージはないが遠距離攻撃相手にロルアックスは鈍足すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは様子を見ながら可能なら捕縛してあの仮面の下がどんな顔をしてるか確かめてやる。

 

 

 

 

 

 

〖かかってこい……相手してやる〗〔ヂュッ!〕……行くよ、キバット




【ゴチゾウ図鑑:ブランマロウゴチゾウ】

 濃厚なモンブランをゆっくり味わっている時に生まれた、重みのあるゴチゾウ。

 身体は栗色で、丸く、層のような模様全身を包んでいる。

 性格はとても穏やかで、動きもゆっくり。

 歩くたびにずん……ずん……と小さく地面を震わせているような重量感。

 他のゴチゾウよりも少し大きめの身体で若干力持ち。

 秋になるとブランマロウの周囲だけ空気が少し暖かくなり、ゴチゾウたちが寄り添って眠る。

13話~27話:仮面ライダーヴァレン(酸賀絆斗)人気投票+α(他キャラフォーム)

  • 超反応クランチガルムフォーム
  • 超大幹ロシュアガルドフォーム
  • モフモフボディドーマルフォーム
  • ビターなギフデットチョコルド
  • 気怠いどっぷりんフォーム
  • 新兵器プライマルクッキーフォーム
  • 思い出の味ダートグミフォーム
  • 漲る怪力ストロングカスタム
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