オグリの幼馴染が記憶を無くしてチョコレートの怪物になって化け物と戦ってた話   作:かな餅

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【ゴチゾウ図鑑:イノモッチゴチゾウ】

 亥の子餅を食べた時に生まれた、ころんと丸い少し大きめの縁起の良いゴチゾウ。

 身体はやわらかな餅色で、大豆や小豆や栗を思わせる模様がぽつぽつと浮かんでいる。
 背中には猪の子どもみたいな丸い縞模様があり、走るとそれがふるふる揺れる。

 見た目はもちもちしていて柔らかそうなのに、意外と踏ん張りが強い。
 押されても転がっても、むにっと起き上がって何事もなかったように戻ってくる。

 性格はおだやかで辛抱強く、誰かのそばでじっとしているのが得意。
 不安そうな者がいると隣にぴたりとくっつき、体温を分けるみたいに寄り添ってくれる。

 祝いの日の餅から生まれたためか、こいつが近くにいる日は妙に物事が上手くいく気がする。
 大きな力はないが、転ばないことくじけないこと、無事でいることにかけてはかなり頼もしい。

 秋から冬にかけて特に元気で、寒い日ほど身体がやわらかくよく伸びる。
 そのまま他のゴチゾウたちの寝床にされていることも多い。

 もちなのに猪らしいのか、猪なのにもちらしいのか。
 よく分からないが、とにかく縁起だけはとても良い。


前奏・孤高で人間想い王様

――キャッスルドラゴンズビル:仮面舞踏会場9F

 

 

 

 

 

 

 さて……ここに来れたのは良いんだが、否めんな――。

 

 

 

 

 

「遅かったな?」『……なんでお前いんだよ?』「靴磨きのおっちゃんがサービスってな?」

 

 

 

 

 

 靴をピカピカに磨いてやった報酬に来れなかった友人の分のチケットが渡されたらしい。

 

 

 

 

 

 なんだこいつふざけてんのか――勘の鋭い女を何とか口説こうとした俺が馬鹿みてえじゃねえか。

 

 

 

 

「ところで見ろ、通路の先にあるでかい扉と門番」『……あの先に王様がいんのか?』「さあな」

 

 

 

 

 てか一向にキバットが見つかんねえ……どこに居んだよあいつ、俺らあいつの客だろ。

 

 

 

 

 通気口……マシュモフにゴチゾウを運ばせれば入れるな、何体か行かせるか。

 

 

 

 

〔ふわぁふわぁ……〕『静かにいけよ……で俺らはどうすっか、真正面から行くか?』「他には?」

 

 

 

 

 

 

『ねえよ』「じゃあ行くか。」

 

 

 

 

 

 この建物にいる奴が自分以外のファンガイアってのがどうにも落ち着かんな。

 

 

 

 

 

 

 言ってしまえば俺達はこいつらの餌、そうそうばれないもんかね。

 

 

 

 

 

 

 士が掴んだ情報じゃ一番の階は他とは比にならない権力者を集まっているだとか。

 

 

 

 

 

 

 明らかにVIPの集まりじゃないのか?身分の確認で顔見せきゃならないならどうすんだ。

 

 

 

 

 

『……二名様ですね、チケットを拝見します』『……?返してくれないのか』

 

 

 

 

 

 

 

『この階に来られる方はこの場での一日を中で終えます、やりのこしたことがありますか?』

 

 

 

 

 

 

 

『ありすぎて困るくらいだ俺はまだここの飯を食ってねえ』「ビュッフェの唐揚げは美味いぞ」

 

 

 

 

 

 

 

『でしたらこちらはどうでしょうか、来てくださった方に提供する――』

 

 

 

 

 

 変な匂いだな、妙に甘ったるくて……匂いだけでも味が舌を転がる。

 

 

 

 

 

 

 他の奴は好きそうな味と匂いだ、でも俺は好みじゃない、ってか……食いたくない。

 

 

 

 

 

 

『是非、感想を聞かせてください』『ああ……士、行け』「俺の辞書じゃそこは行ってくれなんだが。」

 

 

 

 

 

 

 どうやら士は行く気がないらしい、意気地なしめ。仕方ない……俺が食うか。

 

 

 

 

 

 

 

 ここで変に拒めば怪しまれてリスクにしかならない、それにただのゼリーだ。

 

 

 

 

 

 

 

 触感がないただの飲み物でしかないが食えないわけじゃない、むしろタダで――。

 

 

 

 

 

 

……「……どうした?毒か?」『……』「おい?……大丈夫か――」『おぇ……ゔっ』

 

 

 

 

 

 

 舌に触れた途端、砂糖じゃない、もっと上等な蜂蜜みたいな甘さが一気に広がる。

 

 

 

 

 

 

 

 口の中だけ妙にねっとりして、舌の上に金色のシロップが薄く張り付いたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 バニラっぽい香りが立ち上がって、奥で焦がしたカラメルの苦みも少しだけ顔を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 その下から、柑橘みたいな爽やかさとラム酒みたいな香りがふわっと追いかけてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬だけ、うまそうに感じた――しばらく下で転がして飲み込んだ次の瞬間――。

 

 

 

 

 

 

 

 次は籠った思いの味が胃の中で広がる――甘さが弾けるみたいに増えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 さっきまで上品ぶってた香りが、一気に全部ごちゃ混ぜにされて、舌の上で暴れ出す。

 

 

 

 

 

 

 砂糖菓子みたいな安い甘さと、腐る寸前の果物みたいな酸っぱさ。

 

 

 

 

 

 

 焦げた苦みと、薬品じみたしびれ。熱いのか冷たいのかも分からない刺激。

 

 

 

 

 

 

 まるで舌の根っこから歯茎の裏、喉の奥にまで一気に駆け上がってくるようだ。

 

 

 

 

 

 

 味覚として拾っているのは甘さだけじゃない……欲、羨望、憎悪、嘲り、諦め、粘つく後悔。

 

 

 

 

 

 

 

 他人の感情がまとめて液体にされて、なりふり構わずぶち込まれた感じだ。

 

 

 

 

 

 

 喉を伝って落ちていくはずのそれが、途中で止まった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 口の中から一気に血の気が引く。背筋に冷たいものが走って、腰から力が入らなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、お前ら一体俺達に何を食わせようと――」『きもぢわるッ――おぇッ……』

 

 

 

 

 

 

 胃がぎゅっと握り潰されるみたいに縮んで、堪える余裕もなく吐き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 ”甘そう”な残り香だけが、喉と鼻の奥に最悪な形で張り付いて離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 『ごれッ――ひどが――ぐうもんじゃ……ねぇッ――』「吐きながらしゃべるなッ!?」

 

 

 

 

 

 

『い、胃酸で床が溶けている……まさかリザードクラスか?』『ああ、納得だ』

 

 

 

 

 

 

 

 何だこれ……毒じゃない、毒よりももっと歪な――いや、まさかこれは。

 

 

 

 

 

 

『ただのお菓子じゃねえ……思いだけじゃなく、命のようなものも感じた』「……つまり?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『何かの"存在"そのものが材料になってるんだよ……うぇッ……

 

 

 

 

 

 

 

『……どうやらこのお客様はお疲れのようだ、別室に案内しよう』「おい、触れるな。」

 

 

 

 

 

 

 食ったことねぇが闇菓子もこんな感じか?んなこと考えてる場合じゃねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうする気だ?」『ここまで来たら、もう後戻りはできねえだろ』〔チョワッ!〕

 

 

 

 

 

 

 

――CHOCO――

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めての暗殺アルバイトはもっとスマートにやりたかったんだけどな、仕方ない」

 

 

 

 

 

 

 

―― SET CHOCO SET CHOCO ――

 

 

 

 

 

 

 

〔WAO‼WAOWAO!!!〕『やっぱお前も変身すんのか?……そういやお前、何者だ?』

 

 

 

 

 

 

 

「俺か?俺は……そうだな、別に名乗る程の物じゃあないが」〔WAO‼WAOWAO!!!〕

 

 

 

 

 

 

 

「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ――変身」

 

 

 

 

 

 

 

 

―― KAMENRIDE ――

 

 

 

 

 

 

 

―― CHOCODON PAKI PAKI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

―― DECADE ――

 

 

 

 

 

 DECADE……ディケイド、やっぱこいつがそうか。世界の破壊者――にしては堂々としてる。

 

 

 

 

 

 

 自覚が無い?……少なくとも今倒すべき存在とは感じてない、その時に考えよう。

 

 

 

 

『……このお客様達にはお帰り願おうか』〖チケットは渡したんだ最後まで楽しむぜ〗

 

 

 

 

 

――キャッスルドラゴンズビル:仮面舞踏会場8F

 

 

 

 

 

 階段を登ってる時妙に長いかと思えば8階だけ9階を経由しないといけない構造か。

 

 

 

 

 

 

 通りでエレベーターのボタンが足りない、門番をぶっ飛ばしたからなもうバレてるだろ。

 

 

 

 

 

……一体何の騒ぎだ。家族水入らずの時間に〖そう言う穏やかな雰囲気には見えないな?〗

 

 

 

 

 

 

 扉を押し破ったが中にいる奴らは振り返りもしない、人形みたいに立ち尽くしてるな。

 

 

 

 

 

 

 特殊なガスが充満してる訳でもい、これは洗脳の類?他に気になるのはあそこの人間。

 

 

 

 

 

 

 

 ファンガイアかも知れないが、あんな碌でも無いゼリーを客に提供するんだ、クソ野郎だろ。

 

 

 

 

 

 

〖お前がファンガイアの王か?〗そうだと言ったら?〖なら話は早い〗

 

 

 

 

 

 

 

 王の手前には膝ついた人間が1人、撃つにはちょっと邪魔だな……あれ人間でいいのか?

 

 

 

 

 

 

〖士、お前がこいつら引き受けろ〗〖何?……2体1だぞ〗〖世界の破壊者なんだろ?〗

 

 

 

 

 

 掴みかかってくる門番を踏み台に大きく飛び上がる、まずは王から人間を引き剥がす。

 

 

 

 

――CHOCO-DON!!――

 

 

 

 

 

 

……何者か知らないが、私を計画を邪魔するのなら誰であろうと容赦はしない、キバット――』

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ガブッ!!!〕いッ!?……って――キバット!何すんだよ!?〔話は後だ!今のうちに逃げよう!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ!?まだ話は終わってない……それにこれは僕の――〖あぁ、ダルッ!さっさと消えろガキ〗

 

 

 

 

 

 

 妙に見覚えと聞き覚えのあるコウモリ擬きと名前だが、今は良い……にしてもなんだこいつは。

 

 

 

 

 

 

 

 ファンガイアの王とはいえ、こうも大技を片手であしらわれたら世話がない……いや。

 

 

 

 

 

 

 

 王相手にまずは様子見って考えの方が危ういか……にしても、俺らで真正面から勝てるか?

 

 

 

 

 

 

『キバット……何故私とワタルを引き剥がそうとするんだ?同じ志を持った同士じゃないか』

 

 

 

 

 

 

〔……もう、今は違う――あんたはただの化け物だ、当時アンタ言ってたじゃないか――〕

 

 

 

 

 

 

―― 人間とファンガイアが共存できる世界をワタルのために作る ――

 

 

 

 

 

 

 

 

《color:#ffd700〔なのに、"ファンガイア同士を共食いさせる計画"に……俺は賛同出来ないッ!!!〕》《/color》『……はぁ』

 

 

 

 

 ファンガイア同士を……共食いさせる計画?

 

 

 

 

 

『君はそんな夢物語を今でも信じているのか?』〔ああ!それは透の願いでもある!〕

 

 

 

 

 

 

 

君も透も子供だからそんな事が言える……人間からすればファンガイアがどうなろうと関係ない』

 

 

 

 

 

 

 ファンガイアの王はファンガイアをそのものを生体エネルギーに変えてファンガイアに与える。

 

 

 

 

 

 

 やがてファンガイア同士で命を奪い合い、人間からすれば天敵がいなくなって好都合。

 

 

 

 

 

 

 

 黒いキバットはこれを止めたかったのか、まあ……俺には関係のない事だな、本当に。

 

 

 

 

 

関係、あるよ。関係ない訳がない……教えてくれたよね、僕はファンガイアと人間の子供

 

 

 

 

 

 

 

『……ワタル』僕は何も知らずにファンガイアを倒してきたけど、それは人間を守るため

 

 

 

 

 

 

ファンガイアも生きる為に、ライフエナジーを必要としてる……それは間違いじゃない

 

 

 

 

 

 

 

『だから私はそれに変わるエネルギーを作った、人間が犠牲に――』それはッ!

 

 

 

 

 

 

 

ただ犠牲になる方が変わっただけだよ、お爺ちゃん『……お前は優しい子だな、そして』

 

 

 

 

 

 

『この上なく、とても――愚かだ、お前の父親に似て。』キバットッ!……力をかし――ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 ただどうにも引っ掛かるのがあのゼリーだ、無意識に避けてしまうあの感覚。

 

 

 

 

 

 

 

 まるで人間をスパイスにして作る実物の闇菓子を見た時のような――まさか。

 

 

 

 

 

 

 

 

〖ッ!?――身体がおもッ重力操作かッ!?〗『加減しているとはいえ……動けるか。』

 

 

 

 

 

 

〔ま、マズい!?〕〖おいおい、自分の仲間ごと押しつぶす気か!?〗『どうせ後で処分する』

 

 

 

 

 

 撃った弾も落ちて役に立たねぇ……ガルムの弾速に賭けるか?いや、ここはコイツだ。

 

 

 

 

 

 

――COOKIETHECHANGING!――

 

 

 

 

 

 

 

『何故結界の中で――いや、無理矢理身体を動かしているのか』

 

 

 

 

 

 

――BEYOND BIO LOGY――

 

 

 

 

 

 

 結界……魔法かなんかの類ならなんとかするのは俺には難しい、だが大元は叩ける。

 

 

 

 

 

 

―― ROCHELLEGARD SAKU SAKU ――

 

 

 

 

 

 

 

――PHASE 2 VALEN――

 

 

 

 

 

 

 

 

『君は一体何者だ?』通りすがりの暗殺者だ……『つまり通り魔か』黙れ。

 

 

 

 

 

 

 すでに全身に軋んでる感じがするが……分厚い筋肉の内側で圧迫さられるよりはマシだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 この状態で流石に俺でも複雑な動きはできない、だが搦手なしで勝てると驕りはしない。

 

 

 

 

 

 

『誰の差金だ?キバットじゃないだろう』いや良い線は言ってるぜ……?〔えっ!?〕

 

 

 

 

 

『なるほど、合点がいく。奴なら刺客をけしかけるか――にしてもこの程度とは』ああ?

 

 

 

 

 

 

 俺しか動けてないとかなり油断してるな、俺のことじっと視界の中心に捕えてる。

 

 

 

 

 

 

『君はなぜここに来た?何のために私を始末しようとする?』〖あぁ?……そうだな〔しゅぱしゅぱ……〕

 

 

 

 

 

 

 

お前を倒せるヒーローが居ないから、俺がこの世界に呼ばれたんだよ『なら私は魔王か』

 

 

 

 

 

 

 

『お喋りはここまでにしよう、私には時間がないんだ……これ以上は無駄に――は?』

 

 

 

 

 

 

 ロシュアガルドの超体幹の小さなゴチゾウたちロシェルガルドの“子供”にある。

 

 

 

 

 

 

 ただ俺の動きに合わせてわずかに重心を調整する役目を持っているだけだが。

 

 

 

 

 

 

 それだけで俺の身体は勝手に動く、そして俺はそれに逆らえたことがない。

 

 

 

 

 

 

身体の一部が勝手に動かないきゃびっくりするだろ?〔シュパッ!〕

 

 

 

 

 

 

 ロシュアガルドの子供を、試しに王の膝へ貼り付けた。

 

 

 

 

 

 

 ほんの僅か――いや膝が曲がって重心がズレる。戦いじゃかなり致命的な隙だ。

 

 

 

 

 

 

―― CRUNCH SECOND WEAPON GATUGATU ――

 

 

 

 

 膝が勝手に沈む。片足がどうにも踏ん張れないらしい――それを俺が見逃すわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 踏み込みたいのに身体は重い。結界の圧が全身を押し潰してくる……全身が軋む。

 

 

 

 

 

 

 

 地面を蹴って懐に飛び込む。肩口に体当たりして、足を絡めて刈る。

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間には王の上に跨っていた。胸に膝を沈め、片手片足で両腕押さえ銃口を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 重力は俺にだけかかる――上等だ、身体はさらに重くなっていくが俺には都合がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 銃口を顔面すれすれまで近づける。息がかかる距離で引き金を絞った。

 

 

 

 

 

 

 

 反動が腕を叩くたび、俺の身体は重力でさらに押し付けられていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 身を捻ろうとしても無駄だ。俺が上にいる限り重みでそこからは動かせない。

 

 

 

 

抵抗しても無駄だ『グッ!貴様――』さて、このままやられるがままか?

 

 

 

 

 

 

 突然、ふっと身体軽くなる。肺の奥まで押し潰してきた圧が抜けて骨の軋みが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 俺の膝で押さえつけられたままじゃ格好がつかない。反撃の前に場を戻したってわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 予想通り。なら、次は――王の胸に沈めていた膝が、わずかに浮く。

 

 

 

 

 

 

 

 重力が戻って軽くなった分だけ、俺の体重も重石としての意味を失う。

 

 

 

 

 

 

 視界の端で門番が動いた。さっきまで重力に貼り付けられていたはずの奴が王へ駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

『ッ……王から奴を引き剥が――』〖全く、散々だ〗

 

 

 

 

 

 

 その声が最後まで届く前に、乾いた声が割って入った――士だ。

 

 

 

 

 

 

 こなれた様にカードを指先で弾くみたいに取り出してベルトへ滑り込ませる。

 

 

 

 

 

 

―― ATTAC KRIDE ――

 

 

 

 

 

―― SLASH ――

 

 

 

 

 

 

 士の手の剣が走る。刃が伸びる……いや、違う。伸びたんじゃない、分裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 一本が二本、二本が複数に裂けて、門番の進路を線で塞ぐみたいに走った。

 

 

 

 

 

 

 

 空気が裂ける音。遅れて肉と装甲が切り開かれる鈍い感触が俺の耳まで届く。

 

 

 

 

 

 

 切られたことに気づくより身体がステンドグラスになって砕けていった。

 

 

 

 

 

 

 俺は王の肩を蹴って距離を取る、軽くなった身体で跳ぶのがやけに簡単だ。

 

 

 

 

 

重力から解放された気分は?〖身体が給料日前の財布みたいに軽い〗

 

 

 

 

 

 カードで変身してカードで技を使う。妙に割り切った仕組みだ。

 

 

 

 

 

 

 刃が分裂したのも、あいつの技なのかそれとも力の引き出し方がそういう性質なのか。

 

 

 

 

 

 と……そんなこと考えてる場合じゃないな『妙な能力だ、種族は?』

 

 

 

 

 

 

〖人間だ〗〖半分人間だ〗『……別世界の存在か』〔シュパッ!〕

 

 

 

 

 

 次の行動に移られる前に奴の関節にロシュアガルドの子供を張りつかせる。

 

 

 

 

 

 

 

 肉体的な強さが上でも自由に動けなきゃ、こっちが有利に立ち回れる。

 

 

 

 

 

 

んん……〔翔、翔!……早く起きないと――〕『君は……私の意に反すると言うんだな』

 

 

 

 

 

 

 

〔ああ、でも敵になりたい訳じゃない……それに今ならまだ――〕『もう遅い』

 

 

 

 

 

 

『私の計画はこの日をもって始まりを迎えたんだ、それは誰にも止めることはできない』ダル

 

 

 

 

 

 

 

 口から漏れたのは、ため息に近い言葉だった。ここまで来てまだ“計画”だの“始まり”だの。

 

 

 

 

 

 

 

 そういう大層な看板を掲げる奴ほど、やることが薄汚い――本当にだるいな。

 

 

 

 

 

 

王にしちゃ独善的で身勝手――ファンガイアが化け物ってのは人間からすりゃそうだろうな

 

 

 

 

 

 

 けど、人間に紛れて働いて飯食って笑ってる奴まで、丸ごと否定する気はない。

 

 

 

 

 

 

 俺はこの世界の事情を知らない。知らないまま決めつけるのは好きじゃない。

 

 

 

 

 

 

 ただ――あのゼリーだけは別だ。

 

 

 

 

まだ俺はこの世界のことを知らないがな……たが、あのゼリーは一体なんだ『……食べたか』

 

 

 

 

 俺の舌に残る、甘さの奥の気持ち悪さ。味じゃない。

 

 

 

 

 

 命みたいなものが混ざっていた。材料に“存在”が入ってる感覚。

 

 

 

 

 

 闇菓子を見たときの、あの嫌な予感と同じだ。

 

 

 

 

 

馬鹿みてえに不味かった『だろうな、あれは……いや君にそこまで喋るギリは――』

 

 

 

 

 

 最後まで言わせなかった。ロシュアガルドの子供が王の膝に張り付いている。

 

 

 

 

 

 膝が僅かに沈み、重心がずれる。ほんの少しだが動けないなら十分――だが。

 

 

 

 

 

 

 硬い。打撃に強いなんて言葉じゃ軽い……骨に拳が当たったとは全く違う。

 

 

 

 

 

 

 まるで生身でタングステンの壁を殴ったみたいな手応えが返ってくる。

 

 

 

 

 

 

 明らかに効いてねえ時の手応えだ、手首に嫌な震えが走る。

 

 

 

 

 

 

 あのキバってやつもそうだった、どこを撃っても微かに怯むだけ――俺に殺せるのか?

 

 

 

 

 

それならそれで良いが、あんたを始末しないといけないんでな……くたばって貰うぞ

 

 

 

 

 

『君は確かに優秀な戦士のようだが……私を殺す事など出来ないさ――キバット、我に従え

 

 

 

 

 

 

 声による催眠術……いや、にしては目視で知覚できるのは変だな、波動催眠ってところか。

 

 

 

 

 

 

 だがあんな小さい蝙蝠なんぞは一旦気にすることは――。

 

 

 

 

 

 

〔シュパッ?!〕〔しゅぱぱぱ~ッ?!〕なッ?!〔王、剥がしたぞ〕

 

 

 

 

 

 

 蝙蝠野郎がロシュアガルドの子供をいとも簡単に剥がしやがった、小さい癖に――。

 

 

 

 

 

『君はキバの鎧を身に着ける”人間”にすら及ばない』ッ……あぁ?

 

 

 

 

 

 追撃の拳を受け止められる、骨が軋むほど強い圧で俺の腕が固定された。

 

 

 

 

 

 

 

 明らかな腕力差、さっきまで遊んでもらっていたことが良く分かるな――くそ。

 

 

 

 

 

 

 背後で士が何か叫ぶ声がしたが聞いている余裕はない。

 

 

 

 

 

 王の視線が今度はしっかりと俺を捉える――俺は息を深く吐いた。

 

 

 

 

 

 

 単純な格闘じゃ勝てない――それは分かってた……この世界で俺は弱い。

 

 

 

 

 

 

  

 だから搦手も使った……なのに、この差だ――俺はこの世界の枠の外にいる。

 

 

 

 

 

 

 だが人間離れした身体能力を持つ怪物を戦うなんて専門分野だったはずだ。

 

 

 

 

 

 

……なるほどな。やっぱ、まともに殴り合う相手じゃねえ――いつも通りだ

 

 

 

 

 

 相手の土俵に乗るな、俺の土俵を作れ。ロシュアガルドの子供はまだ生きてる。

 

 

 

 

 

 

王だけあって流石に強いな……だが、こっちにだってまだ考えはある〔しゅぱぁッ!〕

 

 

 

 

 

 

〔王から離れ――ッ!〕〖いい加減目を覚ませ蝙蝠擬!〗

 

 

 

 

 

 

―― ATTAC KRIDE ――

 

 

 

 

 

 

―― BLAST ――

 

 

 

 

 

 

 

 良い仕事だ士、これでまた張り付いても剥がされることは心配はなくなった。

 

 

 

 

 

 

 物理がだめなら他の手と行きたいところだが、生憎――手札は少ない。

 

 

 

 

 

 

―― CANDY SECOND WEAPON PEROPERO ――

 

 

 

 

 

 甘い匂いが弾ける。空間がきしむように歪んで、キャンディ色の車体が形を結ぶ。

 

 

 

 

 

 次の瞬間、その“走る塊”が、骨格を組み替えるみたいに変形し始めた。

 

 

 

 

 

 

 フレームが折れ、伸び、ハンドルの位置が下がり、車輪の軸がずれて砲身の形に。

 

 

 

 

 

 ライドキャンゴチゾウはバイクを生み出せる特殊なゴチゾウ――だったはずだが。

 

 

 

 

 

 

 そのバイクには特殊な変形機構が備わっている――兵器への変形。

 

 

 

 

 

 

 元の世界じゃ普段使いにできなかった代物、なにより反動と危険がでかすぎる。

 

 

 

 

 

 

 街中でぶっ放せばグラニュートどころか、建物ごと消し飛ぶ可能性だってある。

 

 

 

 

 

 

 だから選択肢から消して、今日までずっとこいつの事を忘れてた。

 

 

 

 

 

 別世界ならそんなことは関係ない、足を止めて至近距離からぶっぱなす。

 

 

 

 

 

あんたがいくら強いからって”レールガン(電磁砲)”は喰らったことねえだろ――〔らいっ!〕

 

 

 

 

 

 両手で持ってるはずなのに、重い――本来なら持ち上げることを想定していない。

 

 

 

 

 

 大砲として扱うのが正解なんだ、それでも今は距離を詰めることを選ぶ。

 

 

 

 

 

 基本形態じゃ反動が凄まじくてぶっ飛ばされたがこの形態なら耐えられる――多分。

 

 

 

 

 

『……跪け』ッ……何度も倒れてたまるかよッ!!!〖絆斗ッ!!!〗〔3!2!1!〕

 

 

 

 

 

 足裏で床を噛む。踵をずらさずつま先で耐える。呼吸を浅くして、腹に力を残す。

 

 

 

 

 

 士が俺の横に滑り込んで、王の圧に逆らうように身体を入れてきた――良い。

 

 

 

 

 

 2人で支えれば心なしか軽く感じる――上からの圧を無視できたらだが。

 

 

 

 

 

 

―― CANDY PERORERO BLAST CANNON ――

 

 

 

 

 

 

 至近距離からの砲撃、確実に直撃させたはずだ――だが……。

 

 

 

 

 

この形態でも、2人係でも踏ん張れないのか……士?〖……とんでもない武器だな〗

 

 

 

 

 

 生身じゃ骨が折れるどころじゃない、最悪身体が粉砕されそうだ。

 

 

 

 

 

 

 肝心の王様はどうなった?身体丸ごと消し飛んだわけじゃないだろ……いや。

 

 

 

 

 

 

 ファンガイアはガラスになって砕けるんだったか?だとすりゃ今頃――。

 

 

 

 

 

『……なるほど、確かに君の能力なら戦い方次第で格上も倒せるな――優秀だ』

 

 

 

 

 

なんで、生きてる……直撃したはずだ『ああ、直撃した――正直、危ないところだった』

 

 

 

 

 

『君は他にも能力を持ち、それらを組み合わせ、周囲を利用することで生き残ったのだろう』

 

 

 

 

 

 何が喰らっただ……見たところ無傷だろ?超再生?それとも強力な防御手段。

 

 

 

 

 

 

 どっちでもいい、こいつが加減してる間に何とかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 こうなったらガルムの火力で何とか押し切るしか――不味いッ……。

 

 

 

 

 

『そして行動原理は殺すか、死ぬか――撤退という概念が君にはなさそうだ』

 

 

 

 

 

 明らかにさっきよりも圧の強い、重力操作こうなると床が――いや、床だ!

 

 

 

 

―― CAKE THIRD DECORATION FUWAFUWA ――

 

 

 

 

 

戦術的撤退って言葉はしってるさ……〖お前まさかッ――〗

 

 

 

 

 

 

 

――キャッスルドラゴンズビル:仮面舞踏会場7F

 

 

 

 

 

〔う~!むいっ!〕「こら暴れないの、全くどこから忍び込んだのかしら……」

 

 

 

 

 

 

『黒部様、どちらへ?』「あら?下の階に行こうとしていたのだけれど、それとこの子……」

 

 

 

 

 

『そうですか、良ければこのゼリーはいかがですか?会場の皆さまに提供をしているのです』

 

 

 

 

 

「私は良いわ、だったらこの子に――」〔むいっ!〕「あら、ゼリーは好みじゃないみたい」

 

 

 

 

 

「そういうことだから、食べたい人にあげて頂戴」『いえ、是非味わって頂きたいのです』

 

 

 

 

 

「……ちょっと、しつこいのは嫌いなんだけど?」〔ういっ!!!〕『……こうなれば力ずくで』

 

 

 

 

 

 思惑通り床が抜けてくれてよかった、重力からは解放されたがこの後どうするか――。

 

 

 

 

〔あ~っ!ういうい!〕?!お前何でここに居んだ……?家で待ってろっていったろ。

 

 

 

 

 

 

「……何?上からなんだか聞きなれた声がしたする人が落ちてきたんだけど。」やべ

 

 

 

 

 

 さっき口説いた女と……うちの白いチビがここに居ちゃ巻き込まれるな。

 

 

 

 

 

 

 流石にちゃんと撤退するか?だがあの王様恐らくここにいる全員を――。

 

 

 

 

 

『考えたな、そんなやり方もあるとは盲点だった』倒せなきゃ被害が増える

 

 

 

 

 

 こいつ上の階の奴ら丸ごと巻き込んで床にねじ伏せたからな……。

 

 

 

 

 

 囮になって士が一撃必殺の何かを持っていることに賭けるしかないな。

 

 

 

 

 

『……これはこれは、黒部財閥のご令嬢ではないですか。すぐにこの鼠を……』

 

 

 

 

 

「それよりも貴方の家来がこの私に力づくでゼリーを食べさせようとしたみたいだけど?」

 

 

 

 

 こいつもこいつで、圧がすげえ……王ほどじゃないが強いな。

 

 

 

 

「無理矢理食べさせたい程のゼリーをここの皆に提供するそうね?これは何なの?」

 

 

 

 

 

詳しくは知らんがどうやら、ファンガイア材料にした生体エネルギーらしいぞ?

 

 

 

 

 

『そんな他所の者の戯言を信じてはいけませんよ』「ええ、もちろん」〔うぃ~〕

 

 

 

 

 

「彼が正しいかはこれを持ち帰って黒部財閥が調べるわ」やってやれ

 

 

 

 

 

「ついでに彼も取り調べのため連行するわ、ご理解して頂ける?」勘弁してくれ。

 

 

 

 

 

『君の立場は厄介だ。ファンガイアを財政を支える財閥の父と秩序を守る監視団の母親』

 

 

 

 

 

 

「立場が厄介なのはそれは貴方も同じでしょう?でも貴方の無礼な家来のお陰で理由ができた」

 

 

 

 

 ファンガイアとかに警察とかいたのか……後々が面倒だが良い状況だ。

 

 

 

 

 

「ファンガイアの秩序にのっとり、貴方にも話を聞かせてもらうわ――王よ、同行を願います」

 

 

 

 

 

 

 

『……何がファンガイアの秩序だ、そんなものこの世界では安っぽい幻想でしかない』

 

 

 

 

 

「でも価値があるから幻想として見えてくる、”人間との共存”もそうでは?」

 

 

 

 

 

 警察が仕事してくれんのは良いが、敵陣のど真ん中でんなこと説いて仕方ないだろ。

 

 

 

 

……あのチビどこ行った?『監視団との衝突はやがて免れない運命だった。』

 

 

 

 

 

 

「ところでそこに居る白くてデカい人は仲間?」『……?何を――』〘むいっ!〙

 

 

 

 

 白い眷属はそこに居た、いたそれが音もなくゆっくりと顔を上げる。

 

 

 

 

 

 内側から脈打つように膨れた。内側に溜め込んでいた何かが全身を押し広げているようだ。

 

 

 

 

 

 

 肩が張り出す。腕が太くなる。肥大化した白い拳から、色とりどりの光がちらついた。

 

 

 

 

 

 

 振りかぶりすらなかった。ただ腰が沈み、肩が入り、肘が畳まれ――。

 

 

 

 

 

 

 全身に溜め込んだ力が一つの拳に圧縮される――白い拳が王の胴へめり込む。

 

 

 

 

 

―― OVER SMASH !!! ――

 

 

 

 

 

 拳が触れた一点から衝撃が輪になって弾け、空気が爆発したみたいに瓦礫が吹き飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 王は一瞬だけに縫い止められたように静止し、次の瞬間には弾丸みたいに彼方へ消えていた。

 

 

 

 

 

 

 壁が一枚、二枚。石も鉄も飾り柱も関係なくぶち抜いた後ようやく轟音が追いつく。

 

 

 

 

 

 

 遅れて天井のシャンデリアが揺れ、細かな破片が雨みたいに降った。

 

 

 

「……」……ぶっ飛んでったな、はるか彼方へ「ええ、まあ。とりあえず。」

 

 

 

 

 拳を突き出したままの白い眷属の全身から、ぷしゅう、と熱の抜けるような音が漏れる。

 

 

 

 

 

 張り詰めていた外殻がみるみる痩せ、膨れ上がっていた腕も肩も一回りと縮んでいった。

 

 

 

 

〔ぅぅ~……あ~!〕赤ガブの資料に合ったデカい形態と酷似……なるほど

 

 

 

 

 

 ゴチゾウをやけに蓄える習性は、力を溜め込むためか。

 

 

 

 

 

 普段は小さい姿で眷属として追従しながら、せっせとゴチゾウを食って備蓄する。

 

 

 

 

 

 そうやって限界まで詰め込んだ力を、一撃に全部変える。

 

 

 

 

 

 だから燃費は最悪だ。今の一発だけで白い巨体の輪郭が目に見えて萎んでいく。

 

 

 

 

 

 ここ別世界でよかった。元の世界であんない力だされたら誤魔化が効かねえ。

 

 

 

 

 

 

 白い眷属はふらつきながらこちらを向き、どこか誇らしげに小さく鳴いた。

 

 

 

 

〔ういっ!〕「器物損壊、不法侵入それと暗殺未遂ってことね、じゃあそう言う事だから」

 

 

 

 

 

 

『おい待て待て……こっちは今はそれどころじゃないだろ、よく考えろ』「はぁ?」

 

 

 

 

 

『俺を信じるかは別としてあのゼリーを何とかするのが先決だろ?』「……それもそうね」

 

 

 

 

 

 良くも悪くも白い眷属によって王様は彼方にぶっ飛ばされた、殺せたかは知らん。

 

 

 

 

 

 

 このまま去ってもいいが、どのみち帰れるのは■■■■が現れた時だ。

 

 

 

 

 

 

 それまであのゼリーについて、闇菓子と関連があるのか調べてみたい。

 

 

 

 

『その前にちょっとこいつを……仕舞わせてくれ、ほら入れ』〔う~……むいむい。〕

 

 

 

 

 

 士もどっかに埋もれてるだろうな……あいつは後でいいか――って。

 

 

 

 

 

『……俺も俺もで動けないんだった、やべ。』「……はぁ、そこで、”大人しく”ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういや、あそこにいた子供……なんか、翔馬に似てた気がするな――気のせいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱ気のせいじゃない気がする。




【ゴチゾウ図鑑:ババロームゴチゾウ】

 ひんやり冷えたババロアを食べた時に生まれた、なめらかな身体のゴチゾウ。

 身体は淡いクリーム色で表面はつるんとしているのに触るとふわりと沈む不思議とやわらか。
 歩くたびにぷる……ぷる……と全身が揺れていて、慌てて走るのは少し苦手。

 性格はとても穏やかでおっとりしており、騒がしい場所でも自分の調子を崩さない。
 近くにいるだけで空気が少し静まり、焦っていた気持ちまでゆっくり落ち着いていく。

 身体の中には甘い香りの冷気が満ちて、暑い日には周囲をほんのり涼しくしてくれる。
 そのため夏場は他のゴチゾウたちから妙に人気が高い。

 戦い向きではないが、柔らかな身体で衝撃を受け止めるのが得意。
 小さな誰かが転びそうになった時、間に入ってぷるんと受け止めてくれることもある。

 機嫌が良い時は頭の上にとろりとしたソースのような光を浮かべる。
 それはまるでアングレーズソースみたいで、甘い匂いに釣られて皆が集まってくる。

 冷やされている時が一番ごきげんだが、日向ぼっこも嫌いではない。
 少し溶けそうなくらい眠たげに揺れている姿は、見ていると妙に癒やされる。

 あまりにも気持ちよさそうなので、たまにプリンと間違えられる。
 本人はたぶん、あまり気にしていない。

13話~27話:仮面ライダーヴァレン(酸賀絆斗)人気投票+α(他キャラフォーム)

  • 超反応クランチガルムフォーム
  • 超大幹ロシュアガルドフォーム
  • モフモフボディドーマルフォーム
  • ビターなギフデットチョコルド
  • 気怠いどっぷりんフォーム
  • 新兵器プライマルクッキーフォーム
  • 思い出の味ダートグミフォーム
  • 漲る怪力ストロングカスタム
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