オグリの幼馴染が記憶を無くしてチョコレートの怪物になって化け物と戦ってた話   作:かな餅

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【案件受領書】
件名:捜索依頼(田辺健司)
担当者:酸賀絆斗

――依頼内容
行方不明者”田辺健司”(失踪日時:1週間前)の捜索。

――特記事項
成功報酬あり(結果報告後に支払い)

捜索期間中は3日ごとの定期連絡を実施すること

グラニュート関連事案の可能性あり。

調査中は十分な警戒を要す。

受領日:20――年06月03日

署名:酸賀絆斗




手遅れになる前に

 

 グラニュートに攫われた人間を探すには、まず周辺の店を回って聞き込みをするのが基本だ。

 

 

 

 

 通行人に話を聞くのも手だが、相手によっては警戒されることもある。

 

 

 

 

 可能なら監視カメラの映像を確認したいが、それには多少の手間がかかる。

 

 

 

 『人混みが多い場所にはゴチゾウは行かせられんしな……どうするか』

 

 

 

 

「あれ?少年じゃ~ん。昨日ぶりぃ、で?何してんの?ご飯行くの?奢ったげよっか?」

 

 

 

 会いたくないのか分からん絶妙な奴と遭遇したな……確か黒毛で背丈の低い”クロックチップ”。

 

 

 

 

『仕事だよ、仕事。人探し頼まれて聞き込みしてんだ、”田辺健司”って知らないか?』

 

 

 

 

 

「へぇ便利屋ってそこまでするんだ?、良いよ手伝ってあげる、リハビリ終わってヒマだし」

 

 

 

 

 なんだこいつ……昨日とは打って変わってテンションが違い過ぎるだろ。

 

 

 

『……?……いや、おい待てなんでそうなる、おいおい店勝手に入るなって……』

 

 

 

 

「故障中のクロックチップでーす!、友達が人探しているから監視カメラみーせて」

 

 

 

 

「ぇぇ?!なんだいチップちゃん?急に言われてもなぁ……」

 

 

 

 

『すみません、俺は便利屋をやってる酸賀という者でして人探しをしています』

「もうちょい軽くてもいいんじゃない?軽く」

 

 

 

 

『流石に監視カメラはあれだと思うんで、”田辺健司”さんの事何か教えてもら居ないかと……』

 

 

 

 

「あ~常連さんの?最近見ないとは思ったけど……分かった、チップちゃんの友達なら仕方ない」

 

 

 

 ……友達って便利だな、俺1人じゃ軽く話を聞くだけで終わっただろうに。

 

 

 

『すみませんわざわざ、とりあえずお礼はこれで……』

「いや!いいって……それだと親切じゃないでしょうよ……じゃあそれで飯食ってきな?」

 

 

 

 失踪したのはちょうど1週間前。最後に目撃されたのは、この食堂を出た直後だった。

 

 

 

 

 店主の話によれば、来店したのは夕方で、必ずタンパク質の多い料理を注文していたという。

 

 

 

 そして、向かっていったのは東南の方向。

 

 

 

 

 あのあたりには、意外と人が出入りしている銭湯がある。

 

 

 

 

 ……となれば、次の聞き込み先は、そこだな。

 

 

 

『ご馳走様、情報ありがとうございました。俺はこれで』「おう、頑張ってな」

 

 

 

 

 ジムで運動、飯をほうばった後で汗を銭湯で流す……思考が単純すぎるか?。

 

 

 

「なんか聞けると良いねぇ、最近行方不明とか多くて物騒だし」『なんでいんだよ。』

 

 

 

 外見はただの銭湯、室内を探るならゴチゾウを行かせてもいいかも知れないが……後でいいか。

 

 

 

『ここの銭湯使ったことあるか?』「いーや?うちシャワー派だし」『んなこと聞いてねぇ……』

 

 

 

「はい、いらっしゃい……あらぁ?、お若い人なんて珍しいねぇ、嬉しいわぁ」

 

 

 

 

「はーいども!、えっとぉ”田辺健司”って人、一週間前とかそこら辺で見ませんでした?」

 

 

 

『だから勝手に……すみません、便利屋の酸賀と申します。仕事で人探しをしていまして……』

 

 

 

 中にいたのは柔らかい表情をした小柄の老婆、いかにも店主って感じだな。

 

 

 

 

「あらぁ?お客さんの名前はあんまり聞かないからねぇ……」

 

 

 

 

『そうですか……若い人が珍しいなら、常連だった田辺さんも知ってそうと思ったんですけど。』

 

 

 

 

「ああ~……調べてみるからその間に湯船でもどうかしらぁ?」『いえ、俺は良いっす。』

 

 

 

 

「えぇ~?じゃあ私は牛乳のもっかなぁ」『そのまま帰っても良いんだぞ』

 

 

 

 ……さて、行動を起こそうにもこいつが邪魔すぎるな。

 

 

 

 

 グラニュートがここら辺に居ると仮定すれば変に離れると格好の的に……いや。

 

 

 

 『逆にありか……』「ん?どしたの少年?」『いや、何でもないちょっと電話してくる』

 

 

 

 

「?……まいっか、ばあちゃ~ん、どう?何かわかりそう?」

 

 

 

 

「いやぁ……ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけどねぇ」「ん?なになに?私やるよ?」

 

 

 

 

 グラニュートを見つけた場合は、まず本部か酸賀に連絡を入れるのが基本だ。

 

 

 

 

 万が一やられたとしても、位置さえ伝えておけば、その後の追跡は組織が引き継いでくれる。

 

 

 

 

 とはいえ、最終的な討伐はどうせ俺の仕事になるんだが。

 

 

 

 

「お兄さん、こんな人気のない場所でどうしたのぉ?」『いや、ちょっと電話で』

 

 

 

 

「お兄さんが探してた人のこと、ちょっと思い出したからぁ……お店に来てくれるかい?」

 

 

 

 

『おっ~マジすかぁ?、これは”機嫌よくなるなぁ?”』「えぇえぇ……それは、良かったなぁッ!

 

 

 

 

 ……やっぱり、この老婆がグラニュートか。

 

 

 

 

 人間の機嫌を良くして、人気のない場所に誘い込む。その流れ自体が、奴らの常套手段だ。

 

 

 

 

 予想はしていた。だからこそ、機嫌が良いと思わせればこうなると踏んでいた。

 

 

 

 

 普通の人間なら、触手で胴を締め上げられた時点で終わりだ。

 

 

 

 

 身体はまるでプラスチック板みたいに、圧縮されてお菓子のスパイスにされる。

 

 

 

 

『お……お前なんで圧縮されない?!、まさか……グラニュートか?!』

 

 

 

 

『そうそう、お前と同じぐらにゅ~と。滑稽だなぁ?そんな姿で人プレス集めか』

 

 

 

俺が“半分グラニュート”であるおかげで、あの圧縮の能力はなぜか効かない。

 

 

 

 

それに、お腹を見せさえしなければ、同族として認識される。

 

 

 

 

 

……つまり、会話もできる。あくまで“同族”として、だが。

 

 

 

 

『なんだよぉ、じゃああいつはお前の獲物ってことかぁ?人プレスにしたのは俺だからな!』

 

 

 

『別に?、というかこんな所を狩場にしてるんだな、怠いから適当に集めてるが』

 

 

 

 

『最近は狩場を見つけねぇと闇菓子が手に入らないからなぁ。お前は闇菓子貯蓄はどうだ?』

 

 

 

 

『誕生日が近いからなぁ……?、12個くらいはため込んでる』『12個ぉ?!我慢強いなぁ……』

 

 

 

 

『というかここら辺に集積所はあるか?、そろそろ交換したいんだが』

 

 

 

 

『だったら店にエージェントが来るからそこで……でっお前の人プレスの品質はどうなんだ?』

 

 

 

 ……エージェントが今日来るなら、早いところ片付けないとな。

 

 

 

『そうだなぁ、見せてやるからこっちこい』『おうおう!さてさてぇ……ッ!!!

 

 

  コートで隠れるようにヴァレンバスターを構え、跳ねるように踏み込む。

 

 

 

  そのまま腹部へと強引に叩きつけ、引き金を連打する。

 

 

 

 

  衝撃と共に、グラニュートの腹がひしゃげる。

 

 

 

 

  機械のような何かが砕ける音と、グラニュートが倒れ込んで困惑したような様子を見せる。

 

 

 

 

  次の瞬間、皮膚が波打つように崩れ始める。

 

 

 

 

  顔が、腕が、まるで粘土細工のようにただれ、偽りの“人間の姿”が剥がれ落ちていく。

 

 

 

『これで、もう人間には化けられない。』〔イート!チョコ!イート!チョコ!〕

 

 

 

 

――CHOCO――

 

 

 

『お前……俺を騙したのかッ!!!久しぶりに同族に会えたと思ったのにッ……』

 

 

 

――SET CHOCO SET CHOCO ――

 

 

 

〔WAO‼WAOWAO!!!〕『ああ……同族さ、半分な。』〔WAO‼WAOWAO!!!〕

 

 

 

 

『そうやって俺の同僚も消したんだろッ!、てめえだってこの世界じゃ俺と同じ化け物の癖にッ』

 

 

 

 

―― CHOCODON PAKI PAKI ――

 

 

 

 

〖ああ、そうだな。化け物だ、襲うのが”人間”か”グラニュート”かっていう違いがあるだけの。〗

 

 

 

 

数本の触手を自在に操るタコ型グラニュート、間合いの読みが難しく、厄介な相手だ。

 

 

 

 

触手を何本撃ち落としてもすぐに再生してくるあたり、手数を削る戦術は通じそうにない。

 

 

 

 

なら、多少強引でも接近して、至近距離で決めるしかないか……。

 

 

 

 

〔イート!スナック!イート!スナック!〕〖お前を使えって……?、やってみるか〗

 

 

 

 

――SET SNACK――

 

 

 

なぁによそ見してんだぁッ!!!〖まずッ……〗

 

 

 

 

――SNACK SECOND WEAPON ZAKUZAKU――

 

 

 

 

 

『痛ぁ?!』〖……あ?……ヴァレンバスターからなんか生えてる。〗

 

 

 

 

 バスターから……ポテチの剣、角度が丁度良かったのか切断する形で触手を防げたのか。

 

 

 

〖つまり……銃剣か?〗〔ザクザクッ!〕〖腰にもう一本か、まあ……やってみるか?〗

 

 

 

 角度が悪ければ刃が砕け、適切な角度なら鋭く切り裂く諸刃の剣。

 

 

 

 

 だがこう言うのはなんだ……使ってて面白いな?もし応用するなら……。

 

 

 

 ――CHOCO-DON――

 

 

 

 

 〖上からチョコを被せれば……割れない剣にもなると?〗〔チョコッ!〕〔スナックッ!〕

 

 

 

 

 『クソ……報告にあった動きと違うじゃねえかッ聞いてねえぞ……』

 

 

 

 スパッと斬れるほど軽くはない。だが、角度さえ合えばザクッと深く断ち切れる。

 

 

 

 

 伸びてきた触手の一本目を、水平に振り払って切り裂く。

 

 

 

 

 返す刀で二本目、切断面から黒い液体が吹き出す。

 

 

 

 

 次いでもう一本、踏み込んで胴をかすめるように斜めに払えば、触手の根元ごと斬り飛ばせた。

 

 

 

 

 グラニュートが怯んだ隙を逃さず、さらに一本。刃を深く食い込ませて、剥がすように裂く。

 

 

 

 

 繋ぎ目も構造も、関係ない。ただ“角度”と“勢い”が合えば、このポテチ剣は確かに通る。

 

 

 

 〔ザクッ、ザクッ、ザクッ……!〕〔チョコッ、チョコッ、チョコッ……!〕

 

 

 

 斬る、斬る、斬る。切断面の粘膜が蠢くたび、すぐに再生しようとする触手を次々と切り裂く。

 

 

 

 

 相手の手数を削ぐための迎撃じゃない。攻撃の手を止めさせるための、強引な切除だ。

 

 

 

 

 それができる武器……いや、“俺のためにある武器”だ。

 

 

 

 

 インファイトを好む俺には、この“踏み込んで潰せる剣”が、まさに理想だった。

 

 

 

〖どうする?銭湯でゆで蛸(自害)か、輪切りのカルパッチョになる(俺に倒される)か〗『どっちも知らねえよッ!』

 

 

 

 

 

――切り伏せるための角度――

 

 

 

 

―――高刃圧、連斬性、最鋭角――

 

 

 

 

 

〔ザクザクチップスッ!〕〖終わったら一風呂浴びるか〗

 

 

 

 

 

――CHOCO ZAKU ZAKU THE SLICE――

 

 

 

 

『なんでッ同族こんな奴がッ――』〖どこにだっているさ、変わりもんはな』

 

 

 

 

 

 

〔ざくざくぅ……〕ちょ~ろぉ~〕『お疲れさん、良い初陣だったな』

 

 

 

 

 落ちた人プレスを確認すると……やっぱチップもいたか。

 

 

 

『……正体がバレないという点ではこれもいいが、流石に次からは無しだな。』

 

 

 

 ……受け取りに来るエージェントって、大体一体だったな。

 

 

 

 

 なら、ついでにそいつも片付けちまっていいか。

 

 

 

 

 銭湯の裏にある収納ボックスに“人プレス”をまとめて突っ込みんで……。

 

 

 

 

 あとはエージェントが現れるのを待つだけ。

 

 

 

 

 エージェントは外から来るが、グラニュート界から特殊な手段を使ってこの世界にやってくる。

 

 

 

 

 そのせいか、普通のグラニュートと違って目立たないし、少しだけ強い。

 

 

 

 

 実体としては俺のゴチゾウと似たような“眷属”らしい。

 

 

 

 

 本体を倒さない限り、何度でも現れるって話だ。

 

 

 

 

 ……何を“喰ったら”湧いてくるんだろうな。

 

 

 

〘今回の収穫――……何故顔を隠している?〙『最近見た映画の真似、どうだ?似合ってるか?』

 

 

 

 

〘ふむ……まあいい、人プレスはこの箱か?〙『ああ、あと巻きはしたが近くに……な?』

 

 

 

 

 

 

〘グラニュートハンターか?ならこれをお前が持って指定の場所まで運べ、時間稼ぎは――〙

 

 

 

 

 

『……?、おい。どうした?』〘ッ……――〙

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうする?』

 

 

 

 

 

――二度と闇菓子に関わらないか――

 

 

 

 

 

 

――それとも俺に倒されるか――

 

 

 

 

 

『……お前、そんなことしてどうなるか分かってんのか?。元締めから狙われるぞ』

 

 

 

 

『……?、この匂い……』〔チョワッ!!!〕

 

 

 

 

 ……ハイエナ……いや、狼のグラニュート。

 

 

 

 

 こいつが言っていた奴の家族か……丁度いい、ここで根絶やしに――。

 

 

 

『君は……グラニュートだったのか?……あのトレーニング場で君はッ……!』

 

 

 

『随分鼻が利くんだな?、となるとお前はあそこに潜ん――』『人を攫っていたのか?!』

 

 

 

 

『……はぁ?』『とぼけるなッ、お前は何を思ってあの場にいたんだッ!……”絆斗君”!』

 

 

 ……話が通じない。こいつは、エージェントに手を出した。人プレスの略奪とは性質が違う。

 

 

 

 

 だがトレーニング場、あの場所にいたことをなぜ知っている?。

 

 

 

 

 あそこにいたのは、ほんの一瞬。少なくとも名前は名刺を渡した奴にしか――。

 

 

 

 

 ――君、クロックチップに喝を入れてくれたんだって?――

 

 

 

 

 『……だりぃ、そういう事か。お前はクロックチップのトレーナーだな?』

 

 

 

 

『……そうだ、あの子はどうした……まさかもう――』

 

 

 

 

『……訳アリらしいな、だったらこいつはくれてやる。』『っ……なんで?、闇菓子は……?』

 

 

 

  とりあえずクロックチップの人プレスを渡せば敵意は消えるだろ、てかまさかな。

 

 

 

 

『んなだりぃもん食ったことねえよ、仮説はあったが居たんだなぁ……グラニュートの裏切り者』

 

 

 

 まあ、俺も似たようなもんか。

 

 

 

 

 最近、”グラニュートハンターによるものではない討伐”が報告されていた。

 

 

 

 

 当初は、人プレスの横取りが目的だと考えられていたが……。

 

 

 

 

 実際には、人プレスは回収されるどころか、“解放”されていたという。

 

 

 

 

 その異常な行動に、本部も困惑していたな。

 

 

 

 

 過去の仮面ライダーが帰ってきた訳でもなく、ただのグラニュートが人間の味方。

 

 

 

 

 観測されてないだけで例はあるかもしれんが、かなりの異常事態だ。

 

 

 

 

『……君は、もしかして人間の味方なのか?』

 

 

 

 

『ああそうだな、そう言える……そしてグラニュートの敵』〔ちょろ……ちょろちょろ。〕

 

 

 

 

 

『グラニュートハンター……君はグラニュートを誤解してる、一旦話を――』

 

 

 

 

 

 

『人間の世界にのさばるグラニュートを倒すのが俺の仕事……おい、チョコゾウ』

 

 

 

〔ちょーわ!ちょーわ!〕『”話を聞いてからでも遅くない”ってぇ?……たく』

 

 

 

 

『……まずは、捕まった人たちを解放しよう、話は……それから。』

 

 

 

 

 




【ゴチゾウ図鑑:ザクザクチップス】



 ノリ塩のポテチチップスから生まれた黄色い眷属。



 たれ目で何故か顔に傷が付いていることからお腹の中で喧嘩していたのかもしれない。



 ゴチゾウの中では渋めのイケボらしく、口癖は均一で”ザクッ”。



 生まれてきたら必ず周囲にあいさつ回りを欠かさない礼節をわきまえたゴチゾウ。



 ポテチには色々種類があるけど、コンソメとかチョコが掛かったゴチゾウも産めるんだろうか。

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