親友を堕とす冴えたヤリ方   作:N/2

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親友を堕とす為の第8話

 

「親友、これは一体全体どう言うことだい?」

 

「見ての通りだが」

 

「親友の、がっっっしりとした胸板に掛けられている物に書いてあることも教えて欲しいんだけど」

 

「光希接触禁止の札って書いてあるな」

 

 後輩の奏多さんとの一件から数日後、のんびり屋上で飯を食べていた俺に光希は不服そうに問い掛けている。

 

 そんなに変だろうかこれ。

 

 普通に接触禁止と書いてあるだけの札なのだが。

 これを学校に入ってから自主的に掛けていたおかげか、この時間まで光希が身体的接触をすることはほとんどなかったように思う。

 それでも触ろうと思えば触れる距離にはいるのだが。

 

「どうして急にこんなものを掛けようとしてきたんだい? 今までそんなこと無かったよね」

 

「そりゃあこの前みたいなことがあったら大変だからな」

 

「ほほう? 私の身体に飽きたという事なのかな……?」

 

「だから社会的地位を殺しに来るのやめろ」

 

 そもそも理由が違う。

 光希が学校生活中割とべったりしてるから、校内でいらぬ噂が立ってしまうのだ。

 

 それを見越して、接触禁止の札を首に掛けてるわけだが効果はそれなりといったところなのが救いか。

 このまま光希からのボディタッチを含むスキンシップが少なくなれば、俺も不用意にムラムラすることが減ってくるはずだ。

 

「つい最近の事を思い出せ。 奏多さんとか洋介の働きでいらぬ噂が沈静化しつつあるんだから、これ以上面倒ごとを増やすんじゃない」

 

「ボクは好きで親友にくっついてるだけなのに何で皆騒ぐんだろうね?」

 

 どう考えてもお前がイケメン美少女になった事と、そのナイスバディーがいけないと思います。

 男子は家に帰ったら、お前の爆乳を必死に思い出して自家発電しているに違いない。

 

 半分嫉妬のような物であるのはわかるので、俺からはとやかく言えないのである。

  ただ言える事があるとすればこれだけであろうか。

 

「もう少し自分の美貌を自覚しろ。 今のお前は普通とは違うだろうが」

 

 呆れ果てた風に言えば光希は頬を赤く染めながらもそっぽを向くようにしていた。

 自覚があるのかないのか定かではないものの、無意識下の行動なのだろうとは思う。

 

 まあ多少自重してくれるようになったのはありがたい事だけどな。

 これでちょっとでもマシになってくれればいいんだが果たしてどうなることやら。

 

「そう言えば親友、この後の授業って何だったっけ?」

 

「確か体育じゃなかったか。 男女別にやるって話は聞いてるが」

 

 唐突な話の切り替えに面を食らうが、いつものことなので特に気にせず光希に答えを返す。

 それを聞いた光希は少し考え込む仕草を見せるとニヤリと笑みを浮かべて言った。

 

 どう考えても嫌な予感がする。

 

 そう思いつつも黙って成り行きを見守っている事にした。

 こういう時は黙っておくべきで、触らぬ光希に面倒無しだ。

 

 下手に口を挟んでもろくな目に遭わないことを経験則上知っているからである。

 どうせロクなことにならないのだ。

 既に諦めた俺はのんびりと空を見上げつつ遠くを見ていた。

 

「そうとわかれば準備しないとね。 じゃあ親友、ボクは先に行ってるよ」

 

 そう言って立ち上がると彼女はそのまま走り去っていった。

 やれやれと言った風に見送った俺は昼飯の続きを始めるべく弁当箱へと手を伸ばした。

 せっかく作ってもらった弁当をお残しするわけにはいかないのである。

 

「で、体育の時間になったわけだが」

 

「何言ってんの八木君」

 

 あれから昼休みが終わり、体育の時間がやって来たわけなのだが、何故か俺と洋介以外の男子生徒が異様な雰囲気で待機しているという状況になっている。

 

「何でコイツらはこんなに異様な雰囲気醸し出してるんだ?」

 

「八木君聞いてないのか? 今日の体育は女子と合同でやるらしいぞ」

 

 それは初耳だった。

 光希も普通に教えてくれれば良いのに、と思いつつ周囲を見渡してみる。

 

 そこには体操服に身を包んだ女子生徒の姿があった。

  当然その中には見知った顔の人物もいるわけで、そこに彼女を見つけることができた。

 光希が俺達に気が付いて手を振っている。

 

「おーい親友〜!」

 

 そして手を振るたびに、体操服に収められたあのデカい胸がゆっさゆっさと揺れる。

 その光景を見て思わず見とれてしまった。

 

 あれはもはや兵器と言っても過言ではないほどの破壊力を持っている代物である。

 その証拠に何人かの男が股間を押さえて前屈みになっているのが見えた。

 

 中には倒れ伏しながらもガッツポーズを取っている者もいるようだが見なかったことにしよう。

 しかしいつまでも見惚れているわけにもいかないので軽く手を振り返してやると満足したような顔をしていた。

 何ともわかりやすい反応である。

 

「八木君後ろは見るなよ。 面倒だから」

 

「わかってる」

 

 洋介の言う通り、後ろだけは振り向かない。

 他の男子からの妬みの視線が突き刺さっているから振り向いてしまえば面倒な事になるのは明白だからだ。

 

 ここはスルー安定である。

 

 そんな事をしているうちに、体育館の入り口から筋肉モリモリ、マッチョマンと表現するべき男性が入ってくる。

 ぴっちりとしたタンクトップがその筋肉を浮き立たせ、見るからに偽筋ではないことを窺わせる。

 

「やあ皆、今日も僕と一緒に筋トレ……じゃなかった身体を動かしていこうじゃないか」

 

 この男、名前を筋道筋太郎と言うのだが何を隠そうウチの高校の体育教師なのである。

 どう考えてもボディビルダーとかそっちの方にしか見えないのに、体育教師をしているのは不思議でしかない。

 

 生徒達の間では通称MT、マッスルティーチャーと呼ばれている。

 指導内容としては基礎的な体力作りがメインとなっているためかなり楽だったりする。

 

 だからといって油断はできない。

 いつどこで変なことをしでかすかわからないからだ。

 現に今もこちらを見ているような気がする。

 

 視線を向けないようにしつつも周囲の警戒を怠らないようにしていると不意に声をかけられた。

 

「親友、先生が男女混合で組めって言ってるよ」

 

「ん? ああ、男女で組むんだな……は?」

 

 いつのまにかそばにいた光希に声をかけられ反射的に返事を返した後で聞こえてきた内容を理解すると共に驚きのあまり変な声が出てしまう。

 ちょっと待て、誰がどう見てもおかしいだろこれ。

 

 そう思った時は既に遅く、周りのクラスメート達はそれぞれ仲の良い者同士で集まり始めてしまっていた。

 そうなると必然的に余った者同士が集まってペアを作る形になる訳であって。

 

 その結果こうなったのだと言いたいところではあったが納得できるはずもない。

 何せ俺と光希が同じチームになってしまっている現状なのだから。

 

 完全に仕組まれたとしか思えない状況に戦慄を覚えていると肩を叩かれ振り返る。

 そこにいたのは申し訳なさそうに頭を掻きながら苦笑いをする洋介の姿があった。

 

「悪いな八木君、耐えてくれ」

 

「お前わかってこの人選にしたな!?」

 

「だって他の男子じゃ耐えられないでしょアレ」

 

 洋介が指を差した先にいる光希を見れば、言いたいことは自ずと伝わる。

 あの身体で体操なんてすれば、理性を保たせるのは至難の業だろう。

 だからと言って俺も普通に持つかと言われると怪しい方なのだが。

 

「ほら早くしないとマッスルティーチャー来ちゃうから腹を括ってくれ」

 

「洋介……後でお前の弁当のオカズ半分奪ってやるからな……」

 

「高校生男子にはエグい報復方法だねそれ」

 

 そこまで言うならお前がやってみろと言いたいところだが、この中で安定して耐えられるのが俺だけならば諦めるしかない。

 一つ息を吐いて、光希の方へ視線を向ける。

 

「あ、親友話は終わったかい? それじゃボクと一緒に柔軟体操をしようか」

 

「ああ」

 

 死刑執行を待つ罪人の様な面持ちで俺はストレッチを始める。

 ウチの体育は今回の様にペアで準備運動することもあれば、一人で先に身体を動かしてそれを準備体操に充てたりすることがある。

 今回はそれがある意味仇となって降りかかってきているのだ。

 

「それじゃいくよ親友」

 

「よしこい……っ!?」

 

 床に座り込んだ俺の背後から光希が背中を押そうと手を置いたーーーかと思いきや、身体をピッタリとくっ付けて押してきていた為驚いてしまう。

 背中越しに感じる柔らかさだけでなく体温までもが伝わってきた。

 デカイとは思っていたがここまでとは予想外だった。

 

「親友、どうだい? キてるかい?」

 

「ああ、それくらいの力で頼む」

 

 確かにキテいる、俺の股間へと。

 まるでガン○ムが立ち上がるかの様に俺のナニが立ち始めようとするが、気合いでそれを捩じ伏せる。

 光希は元男だ。

 

 それは不変の事実である。

 男に対してそう言う感情を持ってしまったら、人としても友人としても終わりだ。

 何としてもここは誘惑に負けてはいけない。

 

「親友の身体はやっぱり大きいね。 女の身体だと全身を使わないと押し切れないや」

 

「そこまで無理に押さなくても良い。 一応身体は柔らかい方だからな」

 

 一応筋トレと並行して柔軟にもしっかり力を入れているおかげで、筋肉がありながらも身体が柔らかいのが自慢だ。

 だが、これでも不運はやってくる。

 

「じゃあ、もっと親友に体重をかけても大丈夫ってことだね」

 

 体重をかけた事で豊満な胸が俺の背中に広がり、押しつぶされていく感覚を感じる事ができる様になっていく。

 それだけじゃない。

 

 吐息混じりの声が耳をくすぐる度に脳髄に響き渡る様な甘美な感覚が身体中を駆け巡っていくのがわかった。

 このままではまずい、そう考えるのに数巡すらいらない。

 

「親友の身体は柔らかいよね。 鍛えてるのに身体が床につきそうだよ」

 

「毎日欠かさず柔軟してるからな」

 

 頭の中で、ひたすらにマッスルティーチャーが良い笑顔でスクワットしている光景を思い浮かべる。

 そのあまりのむさ苦しさと爽やかさが同居するなんとも言えないイメージによって、立ち上がりかけた息子は急速に萎えていく。

 

 いいぞ、やればできるんだ俺。

 そのまま鎮まれと強く念じ続けながら素数を数え始めた頃に、次の体操へ移行するため移動の指示が出た。

 

 助かったと思った矢先の出来事であった。

 今度は二人が開脚して座り、足裏をくっつけ、両手をにぎり、船のように交互に漕ぐ体操が始まった。

 

「……ふっ、うぅん……。 はぁっ……あぁん!」

 

「普通に艶かしい声出すな。気が散るだろうが」

 

「だ、だって……この身体前に倒すのが大変なんだよ」

 

 そりゃそんな胸があれば身体を前に倒しても、床について倒れることすら億劫だろう。

 軽く引っ張るだけでも、柔らかな爆乳が床の上でぐにゃりと潰れるのだ。

 

 それだけで凄い絵面になるのは言うまでもないだろう。

 既に俺らから少し離れた場所でやっている男子が交互にやるはずのストレッチを同時に行なって身体を見られない様にしている。

 プルプル震えてるのがシュールでとても気持ち悪かった。

 

「なにあれ……」

 

「私達と同じ女なの……!?」

 

 またすぐそばで光希のストレッチを見ていた女子達も、その胸のデカさに恐れ慄いている。

 わかるわ、圧倒的だよな。

 だからそれを目の前で見せつけられている俺の気持ちを把握して君達が代わってくれ。

 

「ねえ親友、この体勢は中々辛いものがあるね。 股関節がギシギシいってるよ」

 

「頑張れ、光希ならいける」

 

「あ”ん”っ……もう少しだけ足を閉じてくれないかい?」

 

「そうしたらストレッチにならないだろうが」

 

「酷いじゃないか親友……あん……♡」

 

「変な声出すな」

 

 いくら何でも敏感過ぎやしないかこの淫乱女め。

 まだ授業が始まって間もないのになんでこんなに疲れてるんだろうかと思っているといつの間にか次の種目になっていたようだ。

 

「それじゃ、今日の体育はバレーボールをやっていくよ! この運動で君達の上半身と下半身をゆっくり鍛えよう!」

 

「先生暑苦しいでーす」

 

「それは失礼! でも今回は一つルールを決めようと思う!」

 

「ルール?」

 

 マッスルティーチャーの言葉に俺達はオウム返しの要領で言葉を繰り返すしかなかった。

 一体何をやるつもりなのか想像もできないというのが正直な所ではあるのだが。

 

「今回は男女混合だろう? スパイクを打って怪我をしては筋肉が鍛えられないよね。 だから今回はスパイクは禁止、トスとレシーブのみでやってもらうよ!」

 

「必然的にラリーになって身体を動かせるってことか」

 

 そう言われると男女混合でも普通にできるスポーツだな。

 このルールなら足を挫くとかそういったことがない限り怪我なく楽しく身体を動かせるだろう。

 

「それじゃあ、早速チーム分けしてやってみよう! 僕が腕立て伏せ十回十セット終わるまでに男女混合で決めてね!」

 

 そういうや否やマッスルティーチャーは、筋肉の可動域を確かめながら腕立てを始める。

 毎度思うんだが、筋トレじゃなくて時間を普通に測れば良いのではと思ったのは俺だけじゃないだろう。

 

「……そんなこと言っている場合じゃないな。 早くチームをーーー」

 

「八木君はこっちのチームだぜ」

 

「親友、早くおいでよ」

 

 動き出そうとしたところで、洋介と光希に声をかけられてあれよあれよとチームが決まる。

 お前ら手際が良過ぎないか?

 2人に呼ばれ近付きながら疑問を口にしてみることにした。

 

「なんでこうもスムーズに決まるんだろうな。 もしかして事前に打ち合わせしてたんじゃあるまいな?」

 

「まさか、偶然だよ偶然」

 

「そうそう、たまたまだよ」

 

 二人とも目が泳いでるんだよなあこれが。

 確実に何かあるのは間違いないだろうなと思いながら、深く追及することはせず素直に従う事にする。

 それよりも心配なのは他のチームメンバーである。

 

 生半可な人をチームに入れると光希の発育による暴力で動けなくなったり、戦意喪失すること請け合いだ。

 よって光希の身体の動きを見ても特に動じない人選をしなければなるまいと考えるわけだ。

 そこまで考えてふと気付く。

 

「普通に考えて無理では?」

 

「八木君、お気付きになられましたか。 そう、光希ちゃんの身体を見て耐えれる人なんて君以外いないのだよ」

 

「皆頭の中性欲だらけか」

 

 非常に失礼な物言いではあるがあながち間違いではないのだから仕方ない。

 とりあえず仕方がないとは言え何とかするしかない訳だ。

 まずは、簡単なところから攻めてみようと思う。

 

「ちなみに他にツテっているか?」

 

「いないわけじゃないけどこのチームに呼ぶのは無理だね」

 

「ボクも同じくかな」

 

 やはりかと溜息をつくと同時に、俺はそこら辺にいた男女数人に声をかけて6人になってチームを組む。

 人数合わせではあるが、授業なのであまり深く考えないようにする。

 

「さあ、皆! そろそろ僕のプッシュアップが終わるけどチーム分けはできたかな?」

 

『できましたー』

 

「よーし、それならコートが2つあるから試合をするチームは中に入ってね! 試合をしないチームは点数をよろしく!」

 

 マッスルティーチャーの声かけによって各々のチームがコートや外に分かれて準備を始めていく。

 俺達もコート内に入って準備を始めた。

 

 相手側のサーブから始まったゲームだったが、相手の点取り要員と思しき男が軽々とボールを上げて構えたと思ったらやたら強い回転をかけて俺達のコートへボールを打ってくる。

 

「面倒な回転をかけおってっとぉ!」

 

 丁度飛んできたボールを俺は身体全体を使ってブロックしようとする。

 強烈なスピンがかかったボールは俺の腕にかかり勢いを殺してなんとか受け止めることに成功した。

 すかさず反撃に出るために、洋介に声を掛ける。

 

「洋介!」

「ほいきた!」

 

 洋介は俺のレシーブしたボールを近くにいた女子が打ちやすいように柔らかくトスをあげる。

 その心の優しさがあればお前も普通にモテるのでは?

 

 ボールが来た女子はオロオロしながらも下手打ちで相手コートへボールを打つ。

 相手側も上手に3回ラリーを続けて俺達のコートはボールを戻してきた。

 洋介が綺麗に上へと打ち上げれば、丁度その近くにいた光希が声をあげた。

 

「ボクがいくよ!」

 

 腕を前で組んでレシーブの形を取ろうとするがーーー

 

「あれっ!?」

『っ!?』

 

 コート横から、相手コートから、隣のコートの方から、マッスルティーチャーがプッシュアップの休憩に息を吐いた瞬間、皆が息を呑む音が聞こえてくる。

 何となく予想していた事だが、手を前に出して組もうとする時点でその豊満な胸に阻まれることはわかっていただろう。

 腕の間に挟まれた胸がむにゅうと柔らかそうな擬音を出しているかのように、柔らかく形を変える。

 

 側から見ればだっちゅーのポーズに見えなくもないが、それだけでも男子高校生にはあまりにも毒過ぎた。

 それは女子にも言えることで、あまりの戦力に彼我の差というものを突き詰められてしまっていた。

 

「い、いかん。 これでは俺のアピールタイムが……!」

 

「何なのよあれ本当にデカすぎるでしょ!」

 

「しかも今思いっきり揺れたわよ!? あんなに揺れて痛くないのかしら……」

 

 などとあちこちから聞こえてくる始末である。

 そして、当の本人の様子といえば堂々と胸元の位置を直していた。

 視線を胸に奪われたことによって俺達のチームに一点が入るがとても腑に落ちないのは敢えて何も言うまい。

 

「親友、今のボクを見てたかい? 胸が大きすぎると前で組みづらくなるんだねぇ」

 

「何でそれに早めに気付かないんだ」

 

「だってできそうかなって思ってたから」

 

「とりあえず、光希はレシーブ禁止な。 ある意味勝負というか授業にならん」

 

「わかったよ」

 

 割と真横から見ていたが、ジャージから溢れんばかりに腕によって寄せられた胸が脳裏に焼き付いてしまっている。

 本当に何かする度にエロに繋がるのは何なのだろうか?

 

 俺だって健全な男子高校生だ。

 今は気合いで息子がスタンドアップするのを捩じ伏せているが、いつか我慢の限界が来そうな予感がする。

 

「とりあえず、気を取り直して次行こう」

 

「八木君頼んだぜ〜」

 

「親友ファイトだよ」

 

 相手コートからボールを受け取り、俺がサーブを打つ番になる。

 相手の女子が取っても大丈夫なように、高過ぎず、強過ぎないように調節しながら下手打ちでボールを相手コートへと放つ。

 

 パァンッと小気味よい音を響かせながら相手コートに入ったボールはすぐにセッターポジションにいる女子の元へ返された。

 返ってきたボールを相手の女子は何とか上へと弾いて繋げていく。

 そして2回目、3回目とボールが宙を舞ってまた俺達のコートは帰ってくる。

 

「オーライ! 八木君行くよ!」

 

「あいよ」

 

 洋介のレシーブで上げられたボールをトスして光希へ送る。

 先程のレシーブ禁止はよくわかってるようで、トスの構えをしながら光希はボールが落ちてくるのを今か今かと待ち構えていた。

 

「返すよー!」

 

 そして落ちてきたボールを返そうとした瞬間、またも各所から息を呑む声が聞こえてくる。

 お前ら試合中なのによく他の場所に視線が飛ばせるな、素直に凄いと思う。

 

「こ、これはっ!」

 

「ボールが3つあるぞっ!」

 

「よいしょっ!」

 

 そんな可愛らしい掛け声と共にボールは相手コートに返されていき、それと同時に光希の胸も縦横無尽に揺れて揺れまくる。

 あまりにも圧倒的な胸の揺れは相手チームの戦意を削いでいく。

 

 男子については削ぎつつも別の場所のボルテージが上がってしまっているのは言うまでもない。

 誰も動かずにボールが床の上に落ちると、それを見た光希が声と胸を弾ませながら俺の方へやってくる。

 

「親友見たかい! ボクのトスが誰も取れなかったのを!」

 

「ああ、そうだな。 やるじゃないか」

 

 その弾む胸を見たら誰だって取れる訳無いと思う。

 俺でさえ不意をつかれたら普通に見てしまうほど、視線を誘導する能力が高いのだからしょうがない。

 

 それにしても大袈裟すぎて逆に笑えてくるレベルだ。

 ドヤ顔が可愛いから言わないけれど。

 そんなこんなで試合を終えて結果は10対3で圧勝に終わった。

 その後の授業でも同じような事をやり続けていたせいか、やたらと視線を集めるようになった気がするが気のせいだと思いたい。

 

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