目が覚めて、欠伸をして、身体を起こす
スマホを手に取り、ツイッターを開いて、おはようと呟く
数件リプライが来て、さらっと返して、小さく息を吐きながらベッドから抜け出す
「…ねむ。」
俺は神凪 氷雨(カンナギ ヒサメ)
高校2年と3ヶ月生だ
身支度を手早く済ませて、いつもの電車に乗る
まだぼやける目を擦りながら、とあるサイトにアクセスした
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雪 さんが入室しました
雪:おはよー
桜chan☆:おはよ
藍染:おう、生きてたか
雪:なんだなんだ生きてたとは。死んでほしかったみたいじゃねーか
ふりかけ:おはよー雪くん
藍染:んー?間違ってねーけどー?
桜chan☆:そうだねw
紅の… :2人とも朝から物騒です。雪さんおはようございます
雪:お前らな……
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そう、LINEが主流な昨今では珍しいWeb上でのチャットルームだ
友達に誘われて知り、暇な時間は大抵ここで雑談をしている
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藍染:だってコイツ、甘やかすとすーぐ調子乗るんだぜ?
基本厳しくしといたほうがいーんだよ
紅の… :だからって死ぬとかなんとか、ちょっと酷くないですか?
せめてもっとこうマイルドにですね
雪:あ、傷付く前提なのは変わらないのね…
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わりとひどい扱いな気がするけど、これも日常
なんやかんやで受け入れてしまっている
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ふりかけ:まぁそれはそれとして、今日は雪くんの誕生日なんだっけ?
桜chan☆:ほんと!?おめでとう!
紅の… :そう言えば先日そんなことを言っていました、おめでとうございます
雪:覚えててくれたんだね、みんなありがとー
藍染:しょうがないから呪ってあげよう( ゚Д゚)<祝呪祝呪祝呪祝
雪:キャーやっさしーアリガトー
ふりかけ:藍ちゃんはほんと素直じゃないなぁ
藍染:ちゃん付けをやめろ!野郎にちゃんはキモすぎる!!
雪:藍ちゃん
紅の… :藍ちゃん?
桜chan☆:あーいchan☆彡
藍染:よし、責任を取って雪が死ね
雪:この場合ふりかけさんじゃねーの!?
桜chan☆:問答無用であるぞ
紅の… :いつものですね?
ふりかけ:(^ω^)
雪:^^;
藍染:よし死ね(っ・д・)三⊃)゚3゚)'∴:. ガッ
雪:0(:3 )〜 _('、3」 ∠ )_
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電車を降り、学校へ向かう
合計40分ほどの道程、けれど話しているとすぐだ
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ふりかけ:ともあれおめでとう、また1年死に近づいたね!
雪:その言い方すっげー嫌なんですけどやめてもらえませんかね
紅の… :そうですよ、それもちょっとひどいです。せめて寿命が縮んだとかにしましょう?
桜chan☆:雪くん…君…死ぬのか…?
雪:もういいですーそうですーはいはい
藍染:そのままサクッと死んじゃいそうだよねー
雪:キミはなんでそこまで俺にヘイト向けてるのかな???
藍染:やだなぁ八つ当たりしてるだけだよ~
雪:( ^o^)<ンンンンンンンンンンンンンンwww
紅の… :聞いてる限り藍さんはストレス過多みたいなので、サンドバッグも必要だと思います
雪:紅さんの冷静な分析突き刺さるよありがとう。仕方ないから殴られてやんよ!もっと来いオラァ!!
ふりかけ:雪くん優しいなぁ…
雪:だーろーー???
藍染:いや、気持ち悪いからいいです。暫くromります
桜chan☆:雪くんェ…
雪:えぇ……俺のせいなの…?
ふりかけ:諦めようね
藍染:やっぱりぶっ殺す
雪:怒りは地球を救う
藍染:´∀`)=⊃)`Д゚);、;'.・グホォ
雪:ひどい_ノ乙(、ン、)_
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まぁうん、いいんだよ
一人の犠牲で誰かが助かるならさ
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ふりかけ:そーれで、雪くんっていっつも別の世界に行きたいって言ってたよね~
紅の… :そうですね。現実逃避もここまで来ると清々しいです
桜chan☆:そんな…僕達がここにいるのに…!
雪:まーなんというか、好奇心とリアルへの辟易って感じだよね
新しくものが見られるならその方が楽しそうだし、なにより今現在の環境がよろしくないから
藍染:よろしくない程度でなーに言ってんだか
雪:受け取り方には個人差がありましてですね?
紅の… :でも、私も気になります。ここ以外の世界なんてある事すら信じられませんし
桜chan☆:まーねー、確かに気になるよね
でも楽しくないと嫌だなぁ…ほら、大抵はそういうやつってよく文明が遅れてたりするじゃん?
藍染:そだなー、俺も興味が無いわけじゃねーからな
被るのが頭にくるけど、やっぱり好奇心はある
雪:うんうん、未知の世界への憧れってのはあるよな
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実際、今の俺の環境は良くなかった
考え方が古すぎる教師達、それの言いなりになる頭の足りない生徒達
親までもがそれに取り込まれていて、とても息苦しかった
だからこんな世界から出ていきたいなって、ずっと思ってたんだ
とても、軽い気持ちで
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ふりかけ:皆がそうしたいなら、連れて行ってあげるよ?
桜chan☆:????
雪:ふりかけさんどうした?
紅の… :珍しくお疲れモードなのでしょうか
ふりかけ:えー、なにその憐れみのシセン
藍染:あ、わかった?さっすがー
雪:こらやめなさい。疲れてるんだから
ふりかけ:まぁでも、反論が出ないだけで十分さ
藍染:ふりかけ、アンタどうしたんだ?
いつもより可笑しいぞ
雪:疲れてんなら無理すんなよー?
無理せず休むのも仕事のうちだぜ
ふりかけ:気遣い痛み入るよ、でも残念ながら正気だ
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気が付くと、朝方の筈なのに空が暗くなっていた
さっきまで周りにいた学生たちも居なくなっている
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ふりかけ:優しい雪くんに免じて、君達を私が招待してあげる
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は?
と、文字を打ち込み送信しようとした時だった
唐突に視界が揺れ、立っていられず跪く
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桜chan☆:なに、こr
藍染:( ^o^)<うわぁー!
紅の… :ここ、どこ…誰もいない…
ふりかけ:それは厳しく、しかし楽しい世界だ
気に入ってくれることを願うよ
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一際大きく揺れを感じ、スマホを取り落とす
すぐに探したが見つからない
焦る、探す、焦る、ない、ない、焦る、ない、探す、ない。
やがて視界は闇に閉ざされ、身動きも取れなくなる
「なんだよ、これは…!」
そうして俺の日常は、唐突に終わりを告げた