ー
ーー
ーーー
ーーーー
ドォン!
「はっ!?」
唐突に大きな音が鳴り、飛び起きる
辺りを見回すと、その原因はすぐに見つかった
「なんだ、これ。猪…?」
記憶にあるのとは少し違うが、すぐ近くに倒れていたのは猪と思われる動物だった
下の地面が少し削れている、どこかから吹き飛んできたらしい
地鳴りのような音がする
それはどんどん近付いてくる
というかここは何処なんだ
改めて周りを見ると、見渡す限りの木々
鬱蒼とした森の中のようだ
近付いてきてようやく方向がわかった
それは背後で止まったらしい
恐る恐る俺は振り向くと
「うそ、だろ……」
そこに居たのは、おぞましい表情をしたヒトの顔を幹に持つ、木のバケモノだった
ビュオッ
「うわぁっ!?」
唐突に細い枝を横薙ぎに叩きつけてくる
咄嗟に身を屈めてどうにか躱したが、そのまま転んでしまった
軋むような音を立てながら、バケモノはその太い枝を振り上げ
そのまま俺目がけて振り下ろした
「あっぶねぇ!」
必死で転がって避け、そのままの勢いで立ち上がる
なにか武器になりそうなものはないか辺りを見回すと、少し遠くに白鞘の刀が転がっていた
再び繰り出された横薙ぎを転がりながら避け、一目散に走りその刀を手に取る
しかし、それは何故か抜く事が出来なかった
「なんで、クソ…っ」
渾身の力で刀を抜こうとするが、ビクともしない
苦戦している間にバケモノはこちらへ近寄ってくる
もうヤツの射程に入ってしまう
逃げようと道を探すが、そこで俺はやっと現状を把握した
辺りの木々の隙間が、有り得ない位置で絡まる枝で閉ざされている
そうか、ここ一帯の木々は全部ヤツの仲間だったのか
「こんな所で死にたくない…頼む……」
祈るような気持ちで刀に力を込める
バケモノの枝が振り上げられる
「力を、貸してくれ…!」
ドクンッ…
1度だけ脈打ち、今まで感じていた引っ掛かりのようなものが消え
白鞘に封じられていた刀身を解き放つ
遂にその姿を見せた白金色の刃は、異常な程の熱を放っていた
咆哮のような轟音と共に振り下ろされる太枝に、切っ先を向ける
すると、俺に触れる前にそれは炎に包まれ、瞬く間に消し炭と化した
ヤツは動揺しているのか、次の手を打ってこない
俺は鞘をベルトに差し、両手で刀を握った
懐に飛び込み、大上段に構え
「はぁぁあっ!!!」
その幹に向け、全力で袈裟懸けに振り下ろす
ギャァァアアッ!!!
その刃はまるでバターでも切るかのように手応え無く進み、あっさりと両断した
ふぅ、と息をつくと
\\マスター、スパーーーーク!!!!!!!//
直後、その一帯は光に包まれた
ーーー
ーーーー
ーーーーー
ーーーーーー
「…ん…?」
目を覚ますと、そこは知らない家だった
不思議な匂いがして、不思議な造形のモノが散乱している
身体を起こすと、すぐ側にいた人が声を掛けてきた
「あぁよかった、死んじまったかと思ったぜ」
そう言って笑うのは、黒を基調としたフリフリの服を着た金髪の美少女
「あの、キミは?」
「私はマリサ、霧雨 魔理沙っていうんだ。魔法使いだけど人間だぜ」
「ごめん、えーと、なに?魔法?」
「ん?…あぁそうか、お前は外来人なんだな。そりゃ知らないのも仕方ない」
「ガイライジン?」
「そう、外来人。親切な私が懇切丁寧に説明してやるとだな、要するにここはお前のいた世界とは違う。」
…なんだって?
「あーいや違うな、ここはそう、外と切り離された世界だ。幻想郷って呼ばれてるんだぜ」
「マジすか」
「マジだぜ」
「マジなんだ……」
「まぁとりあえず、こう言うべきだよな。」
「どういう?」
「そりゃ、勿論こうだろ」
そして彼女は少し溜め、にやりと笑ってこう言った
「ようこそ、幻想郷へ」