東方氷焔録   作:ゆーきあいのそんさん

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2章 -新しい世界-

 

 

──要するにここは、隔絶されてはいるものの日本らしい

けれど正史とは違っているところも多く、その最たる部分は妖怪や魔法が実在している所だろう

 

「そんで、なんで俺は幻想郷に来ちゃったわけ?」

 

「そんなの私が知るか。まぁでもこういうことはユカリの管轄だから、運が悪かったのか選ばれたのか、どっちかだろ」

 

 

「んーと、ユカリってのは?」

 

「八雲 紫。この幻想郷の…なんつーかな、とにかく偉いやつだ。外来人は大抵アイツが連れてくる」

 

 

なるほど。その紫って人に何らかの理由で目を付けられて……ん?

ああ、そうか、なるほど。

 

 

「解った、俺頼んじゃったんだ」

 

考えるまでもなかった。ふりかけさんだ

ゆかりのふりかけ、なるほど。

 

「頼んだ?なんで、いやそもそもどうやって?」

 

「友達だったんだよ、ネット越しのだけどね。誕生日だから特別にーって、ここに連れてきてもらったんだと思う」

「ねっと?まぁとりあえず、お前が嫌がってないことはわかった。一番それが大事だからな」

 

納得したように頷く魔理沙

そして唐突に顔を上げると、そういえば、と切り出してきた

 

 

「お前、名前は?」

 

「あぁえっと、俺は神凪 氷雨。よろしく」

「氷雨…氷雨な。よろしく頼むぜ!」

 

笑顔で手を出してくるので、俺も応える

軽く握手をして、ずっと聞きたかった事を口にした

 

「ところで、俺はなんでここにいるの?」

 

 

「あー、それは、なんていうかだな。えっと…うーん……」

 

笑顔は崩さないが、明らかに彼女は焦り始める

 

「つまり!運命だったんだぜ!!」

 

とんでもないことを言い出した

 

「具体的に頼むよ」

 

「あー、だからその、森がザワついてたから見回ってたんだけど、そしたら1箇所だけやたら魔物が集まってる所があってな」

「うんうん。それで?」

 

「それで、その…あの……はい。」

「うん?」

 

「軽率にマスパしました…」

 

「ますぱってなんですか」

 

「あーもう!そうだよ!私がぶっぱなした魔法にお前を巻き込んじまったんだよ!!悪かったな!!!」

 

なるほど、気を失う前に見えた光は魔理沙の攻撃魔法だったのか

 

「そっか、ありがとう」

「ぅえ、ありがとう…?」

 

「助けてくれたんでしょ?だからありがとう」

 

「え、いやいや!知らなかったとはいえ人間を巻き添えにしたんだぜ!?」

 

「いやでもほら、生きてるし。五体満足だし。」

「いやいやいやそうだけどさ…」

 

「いやいや…」

「いやいやいや…」

 

暫くいやいや合戦が続いてしまったが、確かに俺は助かったのだ。そこは揺らがない事実であって、感謝しないわけにはいかない

 

 

 

 

「とーりーあーえーずーだ!」

 

そう話を切ったのは魔理沙

 

「お前がここに来たことには意味があるんだ。この幻想郷にも勿論、魔法の森に居た事にも意味がある筈なんだよ」

 

「意味、意味か…それは例えば?」

「そりゃ魔法の森の魔法使いに拾われたんだから、きっとお前には魔法の才能があるんだぜ!」

 

「なるほど道理だな。そんで、それを確かめる方法みたいなのはあるの?」

 

「ん?と、そーだな…ちょっと待っててくれ」

 

 

 

魔理沙は席を外し、数分の後に手に戻ってきた

 

 

「こいつを使えば1発だぜ」

 

そう言って差し出してきたのは、よく分からない模様の書かれた正方形の紙

 

「これは?」

 

「これは魔法陣だ。魔力を流し込むと光るようになってて、素質があればこれを持つだけで光らせられるはずなんだぜ」

 

「…魔理沙が持ってても光らないのに?」

 

「あ、あれ?どっか間違えたかなー…とりあえずほら、持ってみろ」

 

 

それを受け取り眺めてみるが、当然光る様子はない

 

「魔理沙さーん?これどうしたらいいんすかねー?」

 

「わかった、じゃあ教えてやるからよーく聞け。イメージするんだ、心臓から溢れるエネルギーを腕を通して掌、指先、その持っている物へ伝達する感じでな」

 

 

言われたとおりにイメージをする

自らの心音を聞きながら、そこから発生するエネルギーをイメージして徐々に動かしていく

肩へ、腕へ、掌へ、指先へ、そして魔法陣へ

すると───

 

ボンッ!

 

「うわっ!?」

 

唐突に小さな爆発が起きた

怪我はしていないが、魔法陣の書かれた紙は跡形もなく消し飛んでしまったようだ

 

 

 

「あちゃー……そっかー…」

 

魔理沙は苦笑している

 

 

「なにがそっかーなのかな魔理沙先生」

「うん。分かったことがある」

 

「はい」

 

「お前に魔法の素質は無い!」

 

ずびしぃっと指を差される

しかし話には続きがあった

 

「無いが、代わりに妖力は備わっているみたいだぜ。それも一瞬で魔法陣を消し飛ばすような強力なのが」

 

「妖力…って、名前からして妖怪が持ってるもんなんじゃないの?」

 

「普通はそうなんだがな…人間が持ってるのは基本的に霊力か魔力の筈だ。けどお前がさっき滲ませたのは、間違いなく妖気だったぜ」

 

「ほえー…妖力ねぇ…」

 

唐突に妖力とかなんとか、魔力よりも実感が無いことを言われてもしっくり来ないが、まぁでも魔理沙が断言するならそうなんだろう

 

 

「でも、どこを見て強力だって?」

 

「んーっとな、魔法陣ってのは与えられた魔力を原動力に働くものなんだが、蓄えられる量にも限界があるんだ。それは単純な陣であるほど多くなるんだが、それをお前は一瞬で飽和させてぶち壊した。それも魔力換算ではかなりエネルギーになりにくい妖力でな」

 

「ふむふむ」

 

「私でもあれを飽和させるには1分ちょいかかるんだが、それを一瞬でってことはつまりだな。なんとなくわかるか?」

 

「うん、わかった。ありがとう」

 

魔理沙が少し時間をかけて練り出す魔力の、何倍もの妖力をさらっと放出したってことらしい

なるほどそう考えると、確かに強力だと言えるだろう

 

 

「はー…しかしつまりは、私は足役って事なんだなー。損な役回りだぜ」

 

「足役って?」

 

「お前、ここでするべき事が無いのさ。残念ながら私は魔法しか使えないからな、妖力の扱いも刀の扱いも専門外だし 」

 

「そう、だな。となると、俺を適切な人の所へ届けるのが役目ってことになるか」

 

「そーゆーことだぜ。まぁいいんだけどな、なんせ最初にお前を助けたのが私って事実は変わらないんだから」

 

「そうだね、大事な恩人。マスパしてきたけど」

 

「その節は申し訳なかったんだぜ……」

 

「軽率にマスパするのやめようね」

 

「あーもうそれはやめろ!とりあえず次に行くべきは、刀と妖力なら白玉楼だな!よし決まり!」

 

「ハクギョクロウ?」

 

「あーいや、その前に服か…なら香霖堂でいいな」

 

「コーリンドウ?」

 

「というわけで、善は急げだ。外で待っててくれ、40秒で支度する」

 

「アッハイ…」

 

 

言われるがまま家を出て、待つ

少し後で、いかにも魔法使いといった感じの帽子を被り箒を持った魔理沙が出てきた

 

 

「よし、それじゃあ出発するぞ。後ろの方に乗ってくれ」

 

そう言って箒を放ると、それは地面と水平に、クッションにでも乗ったようにふわりと宙で動きを止めた

 

「おぉ…これが魔法の箒…」

 

「ふふん、見るのは初めてだろ?ついでに乗せてやるんだ、ありがたく思え」

 

「いやほんとありがとうございます恐縮です」

 

「そこまで畏まられるとその、こっちもちょっと緊張するからやめてくれ」

 

「りょーかい。んじゃ宜しく頼む」

 

「おう、任せとけ!」

 

箒に跨ると、不思議と丸めた布団にでも跨っているような感覚だった

 

「魔理沙、これも魔法?」

 

「そーだぜ、素のままじゃ痛いからな。さぁ、飛ばすぞー!」

 

「え、ちょ────

 

俺の抗議も虚しく、魔理沙は懐からカードを取り出し

 

「スターダスト・レヴァリエ!!!!」

 

俺たちは空の彼方へ吹っ飛んでいった

 

 

 

 

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