機動戦士ガンダムSEED DESTINY 運命の破壊者   作:くまたいよう

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 別作品の一部を整理したものを加筆して投稿する事にしました。


序章 少年への劇薬

 コズミック・イラ73

 

 宇宙に進出し始めた人類は、遺伝子操作をされて生まれたコーディネーターとされてない側のナチュラルとされる概念が生まれ、ある日に宇宙に住む側のコーディネーターのコロニー、ユニウスセブンに核が撃ち込まれた事件を機に戦争に発展してしまい、ヤキン・ドゥーエの戦いを機に漸く停戦に至る。

 

 そして、悲劇の地であるコロニー・ユニウスセブンにて和平条約を結び終戦を迎えた。

 

 

【それが、根底を無視した形と考える者が極少数であると知らず】

 

 

 終戦から2年を経て、この世界の人類は代償を払うべき時が迫っていると知る術は無いまま過ごしていたある日の事。

 

 

 ――――――。

 

 

「システム、全て良好・・・・」

 

 やや癖のある黒髪と赤い瞳であり、同年代では身長は平均でも細身な少年シン・アスカは自分の機体であるインパルスを駆り宇宙でテスト飛行を繰り返す日々であった。

 

【ザフトの赤服】

 

 プラントと呼ばれるコロニー郡にして宇宙の一国と言える場のアカデミーを優秀な成績で卒業した者に送られる服を受け取る形で卒業したのが今のシンの肩書きである。例え【不作】と揶揄される年のものとしても。

 

 こうなった切っ掛けは二年前に家族を無くして、避難先で知り合った人に世話になって移民を奨められたからだ。

 

【あの青い翼を持つ機体からの流れ弾で家族を失った】

 

 そうして入ったアカデミーは自分にとって予想外な場だったが、元々一般人として暮らしていたシンでは当初カリキュラムに苦戦の連続だったので、直ぐに考える余裕は無くした末に新型機のパイロットに選出されたが、一つ負い目がある。

 

『気にするな、俺は気にしない。お前向きな機体だから正しい』

 

 同期の中で一番優秀な【レイ】ではなく自分が選ばれた理由、インパルスは操縦性やバランスが他より劣悪なので、その類いに適正があっただけとしてシンは割り切っていた。

 

 

 そして、ある日にシンの運命が大きく変わるキッカケが起きた。

 

 

「え・・・・っ!」

 

【虹】

 

 まるで虹のような光が此方に向かって来て、周りも青い宇宙になっているようにシンは感じた。後方から通信が来たが、接触しての回線が来るまでシンは唖然としていた。

 

【リーカ・シェダー】

 

 インパルス同様にセカンドシリーズと言われる新型機体ガイアのパイロットであるが、生来盲目であった20代にしては童顔で小柄な眼鏡をした女性パイロット。良い意味でプラントのコーディネーターらしくないリーカはシンにとって良き先輩。気を許した相手の声で真っ先に我を取り戻したが、視界には先程とは違う微かな光をシンは発見していたが、リーカには見えなかった。向かった先にはインパルスより僅かに大型でゴーグルのようなメインカメラの頭部なMSらしき機体。どうやらバックパックを破壊されているらしく起動が出来ないのは確認して呼び掛けたが応答が無い。その内に画像が繋がった。

 

『あら、私より少し下くらいの娘が気絶してるね。ミネルバに連絡・・・・シン、ちょっとシン!どうしたのよ!?』

 

 シンの青ざめた顔をモニターで見たリーカが慌てた声を出すがシンには全く届かなかった。

 

(・・・・マ、ユ・・・・っ)

 

 二年前、両親と違って片腕だけしか残らない形で死んだ妹。その妹が以前に会った親戚を参考に将来自分もあんな感じになるのかと無邪気に言っていた。その際にシンもイメージした姿に重なっていた女性がコックピットの中で気絶していたのだ。我を忘れたようになるシンだが、その間にリーカが手続きをして未確認機を回収しつつミネルバに帰還したが、シンには艦長であるタリアからリーカに任せっきりな手際に対して厳しい叱責が待っていたが、正に右から左で耳に入らなかった。

 

 意識を取り戻した女性は【ほぼ失明】までしていたと報告があって嘔吐しそうな顔となったが、リーカに連れ出される形に退散した。

 

【セツコ・オハラ】

 

 亜麻色に映る事もある茶色寄りなロングヘアーをした十九歳の女性がシンの何もかもを変えてしまうキッカケになるとは知る術が無かった。

 

 

 

 

 ーーーーー。

 

 

 

 

「ナチュラルを連れ帰ったんだってな・・・・マーレがいたら大騒ぎだったろうぜ。コーディネーター様の艦に連れ帰ったとかでさ」

 

 ミネルバの整備主任であるマッドが休憩室でシンに声を掛けたが届いていないとした。

 

【コーディネーターとナチュラル】

 

 この世界では遺伝子操作をされている者をコーディネーター、されてない者をナチュラルと分類している。その事から端を発した争いが大戦まで発展して停戦を迎えたのが二年前だ。マーレと言うのはリーカと違って極端なナチュラル嫌いであり病的とまで言える域だ。尤もそうなったのが二年前にナチュラルに敗北したのがキッカケであるので肩身は比較的狭い。

 

 マッドが言うようにセツコが検査の結果ナチュラルと判明はしたが、それがどうなるのかとした時にシンにタリアからの呼び出しが掛かった。

 

「え、俺が尋問をですか?」

 

「えぇ、どうもセツコ・オハラの言動がまるで要領を得ない。近くにいた議長が立ち合った結果で発見者にやらせてみようって事になったのよ」

 

 実は縁がある男の気紛れさを知る故、仕方無さ気に目を瞑るタリアはシンの表情を見逃してしまった。それが正に一瞬の隙が命取りな類いであると知る術は無かった。

 

 

 

 ーーーーー。

 

 

 

「あ、あなたが私を助けてくれたパイロットなんですか?」

 

「い、いや。俺は発見をしただけで」

 

 その様子をモニターで見ていたプラント議長であるギルバード・デュランダルは即座におかしいと気付いた。周りが自分の選出した者だから遠慮無しに退室を促せた。理由は彼は女に弱いから見るのが気の毒だと冗談感覚で言ったがシンのセツコを見る目には明らかな【怯え】がある。プラントに来たばかりでもあんな風ではなかった。それが幸いだったとは直ぐに証明される。

 

「あ、あの・・・・私の視力が殆ど駄目になっている理由は心当たりありますが、その前に此処は何処なのですか?」

 

 とても軍人とは思えない気弱さを滲ます声色だったが、セツコが何とか伝えられた事から漸く推測出来た事は、彼女がこの世界の人間では無い事だった。

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

 

「やあシン・アスカ。君には【養子】が世話になった事で縁があるね」

 

 シンは尋問を一旦は終えた後にデュランダルと対面した。アカデミー卒業間近にレイの後継人であり養父がデュランダルだと聞いていたが、立場上で緊張せざるを得ないのだ。それにデュランダルが知らない緊張感があった。実はマユの顔をまだ知らないのでシンの変化は劇薬並に恐ろしいと気付けなかったが、関係は無かった。

 

「君が聞き出せた事は、今日をもってトップシークレットとやらだ。外に漏らしたら、私は立場上の義務として君を殺す!理由は自分で考えたまえ。少々頭脳戦にムラッ気や弱点がある君には良い宿題になる・・・・レイを悲しませたくはないのでね、私にそんな事はさせてくれるなよ?」

 

 聞き入れたシンの様子がやはりおかしいのは気になるが、数時間後にデュランダルは笑みを浮かべてしまった。あの機体は【バルゴラ】という名であり、技術者の目を引いたのは機体フレームの性能と特性。

 

(想定される性能から考えられる使用武器の限界、それの数倍の負荷に耐えられるようなレスポンスとはな・・・・)

 

 これだけで素晴らしいとすべきだが、もう一つはコズミック・イラの基準ではブラックボックス化しているも同然なプロテクトが掛かる動力炉のデータであった。基本となるものだけでも調べるのは難儀だが、デュランダルには解析が出来てしまった。

 

(・・・・この世界で想定されたものとは違うが、これは実質【核融合】ではないかっ!)

 

 高ぶる気持ちを抑えざるを得ない要素が多いが、デュランダルには僥倖であった。これは天が与えてくれたものだとして急速に自分の中の計画を練り直した。それにより、この世界の運命も変わり始めた。

 

 

【だが、バルゴラの最後のピースとなる部分への鍵は既にシンが掴んでいたと知る術は無かった】




 対シン・アスカ兵器の最大要員がいきなり来た一話目ってとこです。
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