機動戦士ガンダムSEED DESTINY 運命の破壊者   作:くまたいよう

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 サブタイトル通りミネルバの内情。


予定変更のミネルバ

【ミネルバ】

 

 ザフトにおいて、ニューミレニアムシリーズと呼ばれる新世代機の運用を兼ねたグレーの戦艦は特にインパルスを主軸としたMS部隊を扱う為の戦艦である。

 

 前大戦で有名を馳せた戦艦を元にした艦であるが、艦長であるタリア・グラディスに言わせれば色からして二番艦の方でプラントに全面核攻撃を仕掛けた艦に近いイメージではないかと密かな疑念はある。

 

 しかも、ワケありの相手である現プラント議長であるギルバード・デュランダルが構成に関わっているので自分が艦長に選ばれた事に迄懐疑的だった。先日の漂流していた機体に関してはデュランダルが最初から関わってはいないにしても何やら悪巧みをしていると確信がある。

 

【唐突なオリチャーをしがちな自覚が無い】

 

 タリアなりに把握するデュランダルの欠点は先を見通せるようで一手先がその場のライブ感が強くて疎かな点。艦の運用テストが早まったのもそのせいだとして頭痛が起きそうになったが、それに関して複雑な成果が出ている。

 

「インパルスと【アビス】。これより模擬戦に入ります」

 

 タリアの複雑な疑念の一つ関わる事。アビスは水中での運用を想定した機体でありインパルスと比べたら宇宙戦では単純な戦闘力では劣る認識どころではない光景が広がり始めた。

 

(・・・・やっぱり、どうしちゃったのよ。あの子っ!?)

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

「ぐっ、この安物があっ!」

 

 アビスのパイロットである【マーレ・ストラード】はモニターされているのも忘れてヒステリックに叫んでいた。病的なナチュラル嫌いである大戦経験者は本来望んでいたインパルスのパイロットの座がシンのものとなって以来にやたらと突っかかっていた。少し前からシンが何やら大人しくなったと聞いて鼻で笑っていたものだが、対峙してみると差が歴然としていた。正面から訓練用の仮想とは言え火器をどう向けても回避されては死角に回られて反撃の仮想ビームを受けている。

 

 事故を装ってランスでコックピットをとしてもゆるりと回避しては反撃を受ける。

 

「貴様、その機体をどう弄ったああっ!?」

 

『よしなさいよ・・・・』

 

 規定に無いランス攻撃を往なして仮想ビームを正確に当てて更に撃墜数を増やす。無茶苦茶に動かして推進剤もバッテリーも空に近くなったのでアビスは僚機に連れられて別の艦に帰還したのを何事も無かったように見送ってミネルバに余裕を持って帰還した。

 

「良し、今回のテスト完了っと」

 

「ご苦労さん、報告書と身体のチェックは念入りにな」

 

「わかって・・・・いや、どうもマッドさん」

 

「おう」

 

 赤いパイロットスーツのシンに声を掛けたマッドと呼ばれた整備主任は違和感は拭えなかった。ミネルバの主要機を扱う少年が急激に腕を上げたが、模擬戦で痴話喧嘩を繰り返していた相手に圧勝は悪い事ではない。【周りの噂】は間違いかどうか以前にそれだけではないとしていた・・・・少し前とは性格からして全然違っているのだ。尤もマッドは相手の本質を見抜けているので、一番確信に迫ってはいる側ではある。

 

「シン、お疲れ。最近調子良いねえ?」

 

「リーカさん・・・・セ、【あの人】の様子は?」

 

「う~ん、私の眼鏡で培ったデータが役立ってるようで【視力】は回復して来てるよ。あの機体についてはお手上げだけどね」

 

「そうですか・・・・」

 

 セツコに関しては何かのショックで視力がほぼゼロになっていた事でコーディネーターなのに生来盲目なリーカが世話になっている専用メガネ等を始めとしたデータを使った治療を実行した成果は良いが、シンからして経緯は怪しいし、今もミネルバに収容された蒼い機体は解析が殆ど進んでいないとされている。特に動力炉に関しては厳重なプロテクトが掛かっているというのが一部を除いた認識。

 

「で、予定では【尋問】はまだやるんでしょ。身嗜みはしっかりね」

 

 冗談半分で言ったが、救助したセツコの顔を見たシンの驚き様が印象に残っているリーカはシンが一瞬ビクっとしたのがわかる。ミネルバ内で保護しているセツコにシンが入れ込んで以来に下衆な方向で一皮剥けたとする類いな軽薄な噂が飛び交った事で彼の気性の激しさからしてどうなるかと心配したが、これまたおかしいとする展開となった。理知的でぽややんとしてるとも言える感じの対応をして開いた口が暫く戻らなかった。推測が大部分であるが聞くところで【家族】と暮らしていた時に戻ってしまっているとした。尤もリーカ自身はシンの身の上でそのレベル迄聞き出せているのが自分を含む少数としか知らないし意味を考えてないが、今はシンが比較的冷静になってくれているに近い状態になったのを良しとする結論を出したのだ。

 

「あ、リーカ。シンはシャワーかい?」

 

「はい、アーサー副長は何を慌ててんです?」

 

【アーサー・トライン】

 

 ミネルバの副長だが、善人であるが慌て者だのリアクション芸人でどうにも頼りないと評判な男が持って来た報告に顔をしかめた。

 

「レイがミネルバに乗らずに【移転】がいきなり決まった?」

 

 シンの同期の赤服では一番の優等生である少年で少し前迄は早く来て欲しかったのだが、今のシンを見せてはならない予感がした。リーカからしてもシンとレイは良い友人だが、それは安定性でレイが勝るからこそではないかとする認識がある。一方でアカデミーで人気者だったルナマリアと妹のメイリンだけが合流と聞かされた。

 

(まあ、大丈夫よね?)

 

 何やら不吉な予感があると繰り返してしまうが、その予感は赤く塗られたザク・ウォーリアを自慢気にシンに見せてシミュレーションを持ち掛けたが秒殺されての敗北を繰り返して赤いショートヘアの上に飛び出すアホ毛をビリビリさせるルナマリアの有りがちな姿で一先ずは深刻にはならないとした。しかし、シンの変化以上に上達の理由がやはり気になった。

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

(どんな訓練してるんだよ・・・・)

 

 ミネルバを去ったデュランダルはシンへの置き土産にバルゴラに残ったデータを渡したが、完全に鼻っ柱をへし折られた。シンからしても仮定する限りで丁寧な操縦振りに舌を巻くセツコを完膚無き迄に打ち負かした相手は俊敏さの中に小技や不意討ちを自然に噛み合わせている恐るべき敵だった。

 

【創造は模倣から始まる】

 

 一時、芸術家気取りをしたデュランダルの体験談を聞かされて試しにやった事が妙に肌に合った。防御、不意討ち、トリック・・・・普段とは違うやり方を敢えてやる事で見えて来たものがあるが、差が大きすぎる。何を想定しているかすら次元が違ったように感じたのだとしながら尋問の時間が迫っていたので準備を始めた。

 

(何で、鏡見て身だしなみなんて・・・・)

 

 実際は気にしている理由が見栄とかではなく身だしなみをマユに注意させられた記憶を連想させられるのが怖くて仕方無いのだと認めないまま尋問に向かった。そこには既に軍務的な意味は無かったとシンには知る術は無い。




 ジークアクスで言及されるようにシャアよりはマシかもしれないのようで尚悪いデュランダルの欠点は今のとこマシに作用した回。
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