機動戦士ガンダムSEED DESTINY 運命の破壊者   作:くまたいよう

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 水分補給が重要な時期。皆様も気をつけて下さい。


意図せぬ劇薬

 名前がまだ判明しないミラージュコロイド搭載艦をハイネ率いるMS隊、実質シンの手柄とはまだ広まってない形で撃沈された。爆発はしなかったので戦利品とされた一方、アーモリー1を挟んだ逆側の空域にいたレイ・ザ・バレルは休憩室で一人悩んでいた。急遽【予定】を大幅に変更した結果、ミネルバから離れて新型兵装のテストを任された。

 

【ドラグーン】

 

 事実を含めた戦犯として死後も泥を被らされた男が前回の大戦の最終決戦で使用した武装の有用性は高く評価されているが、使いこなせる者がいない・・・・そこで、適性検査で可能性があるものが集められたのだが?

 

 

 

 

 

『中々だ・・・・だが?』

 

『うむ、上々・・・・しかし?』

 

『気にするな【あの男】はザフトでも特別だったのだ。近い内に操作性は改良される・・・・そうすれば使いこなせる』

 

 

 

 皆が同じような事を言う。皮肉な事に気遣ってくれる者達の方がレイの心を最も深く抉っていた。

 

「・・・・俺・・・・は・・・・【俺はラウ・ル・クルーゼだ】・・・・そうだよね・・・・【ギル】・・・・」

 

 レイは出自を考えればヤキンで初期型のドラグーンを搭載したプロヴィデンスを初乗りで見事に使いこなし、特に本体が急拵えをマシにした仕上がりでなければか、せめて慣らし運転をすればフリーダムすら倒していたと言われるクルーゼのようにドラグーンを操れなければならないが、その基準で見た場合は目も当てられない結果、尤も元になった人物が人物である。本来はナチュラルのクローンであるにも関わらずにプラントに渡ってコーディネーターとして振る舞って、知る通りの成果を出したクルーゼと不作と揶揄される年の赤服を授かった段階なレイでは元が同じとしてもその後が全てにおいて雲泥の差がある。自らをクルーゼとするにはそれを気付けるか否かが当面の課題でもあった。

 

 

 

 プラント首都で政務に励むギルバード・デュランダルは養子と言える存在の嘆きも苦悩も知ってはいるが、敢えて手は貸さずにいた。

 

 

 

 

(レイ、可愛そうだが・・・・君をあのまま野放しには出来んのだ・・・・私が元凶ではあるがな)

 

 自分が【君もラウだ】と言ってしまったにしても、レイにはどん底を味わってもらわなければならないのだとしてデュランダルは思考を切り替えた。プラント議長として担ぎ上げられた身であるが思惑はわかっていた。自分は?

 

【いつでも切り捨てられる為の人選で選ばれたに過ぎない】

 

 ならばと思っていたが、シン・アスカがあの漂流していたMSらしき機体バルゴラを発見した日を転機に【計画】を一から練り直した。改めて幸いなのは、あの機体のデータのプロテクトだった。ザフトの技術を持ってしてもブラックボックスの固まりなのだが、幸い【趣味】の問題で自分には一部が解析出来て勝てると思ってしまったが、その後の事で頭が冷えた・・・・何故なら自分達の技術では量産に入るには少なくとも【ヘリウム3】が大量に必要なのだ。それを機に一気に道が開けた気がするし、過去の過ちを見直せた気がする。

 

(先ずは時間を稼ぐのだ・・・・最悪の場合、あのバルゴラはミネルバの中に置いたままでも爆破させてもらう・・・・)

 

 そう考えていた矢先にデュランダルには更なる転機が起きた。撃沈した艦のクルーは大半が半死半生であり自爆すら試みたらしいが失敗、損傷でシステムが上手く起動はしないのがあるが理由が集中する部分を綺麗に消し飛ばせていたからとは怪訝に思った。それよりナチュラルだからと覚悟を甘く見ていた事にも気付いた。そして、当面の扱いを見直すべきシンからの要望以上に益々変化を見せているとハイネから報告が来たので、即座には少々世間体が悪いので要望を飲む返答をする事にした。

 

 

 

 

 ―――――。

 

 

 

 

【弱虫】

 

 自分を巡る運命と陰謀が渦巻いていると知らないシンはミネルバの自室で周囲そっちのけに物思いに耽っていた。リーカに言われた事の方が後から頭の中で響いていたのだ。

 

(・・・・違う!俺はパイロットになって・・・・俺は強くなった!もう無力だった頃とは違う!今なら・・・・っ!?)

 

 そう思った辺りでシンは、重大な事に気付いた・・・・パイロットだから、どうだって言うんだと。確かに戦うべき時に戦う力、いや・・・・自分みたいな人間を出さない戦う為の力は絶対に必要だが、セツコにステラにリーカに向き合ったらどうするのだと。

 

 自分は強くなったから・・・・強くなったと、あの三名に対してそう言った後は?と。

 

 そもそも、シンが本当に強いと思ったのは?

 

(・・・・以前見た。夜中に失くなった息子のピアノの前で泣いていたのに、俺と話す時にはそれを見せないロミナさん・・・・)

 

 それが思い浮かんで自分には・・・・と思ってしまった事を考えた。

 

「向き合って。いや、やり直してみるか、正直言って怖いし難しいだろうけど・・・・ええ、と確か【あのピアノを弄らせてもらった時】でだけど、模倣からやるのもあるなんて言い分を聞いた。少なくとも今よりマシだってのは間違いはないハズだよな?」

 

 この日以来、一部を除いて益々シンに対する疑念が深まった。やはり連れ帰った女の前で良い格好をしたがってるからと言う輩もいたが、ルナマリアからしたら時々レイみたいな事を言うような頻度が益々増えた状態になったのだ。

 

 

 

 一方でギルバード・デュランダルは漸くにして避けていた部分と向き合った。

 

 

 

(私は【バカ】と言われた事すら無かったのかもしれんな・・・・)

 

 秘蔵っ子と言うべきであるシン・アスカに厄介な敵となった場合のMSとの戦いを想定した訓練をさせるのも遅かったし今更と言える以上にシンの出している成果こそが問題だった。

 

【勝てる】

 

 そして、最終的な目的を完遂したいのなら戦いが終わった暁に。

 

【シンを殺す必要がある】

 

 そうなる恐れはあるが、一先ずはシンを上手くコントロールすれば彼はあのフリーダムにすら勝てるだろう・・・・相性が悪いジャスティス相手にはこれから用意する機体に近接特化用の機体を想定させた武装を用意すれば良いと考えたが、それが今更だと気付いた。

 

【しかし、今のインパルスとその後に考えている機体に搭載する予定の武装は当分はどの勢力から見ても既存のものの延長な理由がある】

 

 何より、あのバルゴラを目の当たりにしたのを切っ掛けにして、自分の算段に致命的な問題が矢継ぎ早に出て来たのを気付いたからこそレイをシンから離した理由の最たる例。仮にシンとレイがこの先にどうなるかは未知数だが、今のまま想定した敵と2対2で戦う事態が早目に起きるとする。そうするとどうなるか?

 

『シン、お前はジャスティスを!フリーダムは俺が討つ!』

 

 簡単に脳内で再生出来る。念入りに不確定要素が出る場合を含めてな過程を組み込んだ際に何度仮想してもこれが答えだ。個別に相手をする場合に本来担当すべき相手を逆にして戦い始めて惨敗と言う結果を招くだろう・・・・その前にどうにかしようにもレイがそうしたがる。シンに関しては、彼が戦う際にキラ・ヤマトにはわかりやすく戦意を燃やせる理由はあるのだがジャスティスに乗るであろうアスラン・ザラ相手には無い・・・・否、あるにはあるが【劇薬】と言うべきなので、注意が必要だ。

 

「私はこれが若さか・・・・ではなく、バカさだと言われるべきだったか」

 

 デュランダルは自分の【バカさ故の過ち】を実感して凹んでいたが・・・・彼に敵対する路線の者達からは最悪の事態に繋がる方向に傾く流れとなった。

 

 

 

 

 

 その頃、オーブではデュランダルの危惧するのとは違う【劇薬の準備が進められていた。

 

 

 

「さて、問題をまとめますか?」

 

「これが、プラントから公開された映像と情報です」

 

 戦艦とハイネ・ヴェステンフルス率いる隊の交戦記録、オレンジカラーのザクに率いらた隊にミラージュコロイドを見抜かれて成す術は無かったと言うべき流れだった。

 

「ミラージュコロイド搭載・・・・どのタイミングで見抜かれたかはともかく、近くの大きめな小惑星に沈む瞬間まで提供されています。完璧に【条約違反】・・・・大破した艦からは噂のエクステンデットを始めとした非道としか言い様が無い類いのデータや設備の一部が回収されて解析中と公表されました。捕虜の方は尋問中ではあるが全員黙秘を貫いているとあります」

 

「それだけならともかく、ミラージュコロイドを破った技術は・・・・【ミラージュコロイドデテクターとされています】・・・・プラントがこれをどう開発したか迄で我々には厄介な問題があります」

 

「厄介・・・・何がだっ!?」

 

 カガリに白い目を向けたいのを我慢して、セイラン親子は淡々と告げた。イザと言うときは後が怖いから冷静になっていたとする事を決めながら。

 

「ミラージュコロイドを搭載する兵器については元々我が国の技術でしたな代表、仮にですが今回ミラージュコロイドを破った技術が仮に元オーブ市民が協力した結果だとしたらいかがされます?」

 

「っ!?」

 

「代表の名においてやめるよう要求した事、元オーブ市民の技術協力から軍事利用・・・・プラント側がどう解釈しているかはまだわかりませんが、良い流れにはなりませんな」

 

「そもそも、プラントに肉薄される幾つか手前でしたから・・・・ミラーとかの主要部分を破壊すれば簡単に干上がるのがコロニーってものですからね」

 

 ユウナ達からしたら、ここで?

 

【カガリの要求がオーブを含めた地球側の策謀と見なされる】

 

【撃沈された戦艦が、もしもプラントに肉薄する程になったら核を使っていた可能性】

 

【エクステンデットを初めとした非道】

 

 これ等を矢継ぎ早に話題に出さないのがカガリに対するやり方であった。悪く言えば複数の事項を考えられないカガリの難点を見抜いているが、切っ掛けが無い段階では本格的に攻め込むべきではないと判断した。だから、一つ目を少しずつ切り出す事にした。

 

「まあ、戦艦からのデータ解析が進んでからにせよ、改めて問題はこれが広まった際に我等がやっていた事がどう取られるかです。移民や技術についてが後で厄介になりかねません」

 

 俯き気味なカガリが顔を上げたのを見て取ってウナトは先手を取った。

 

「そこで代表。私から提案があります」

 

「提案?」

 

「はい、今回の件がどう動くにせよ元オーブ市民に誠意を示す必要がありますし、遅まきながら話をする機会も欲しいので・・・・【責任者で適任者】に意思を伝えるだけでもな名目で会いに行ってもらうのは如何ですか?」

 

「責任者で適任者・・・・誰だ?」

 

「【トダカ一佐】です」

 

 カガリは理解出来なかった。トダカと言えば現在のオーブ軍人の中で人格者振りでは右に出る者はいない・・・・だが軍人であるトダカを何故と考えた後に聞かされた事には衝撃を受けざるを得なかった。

 

【カガリからしたら、一番厄介かもしれない人物をプラントに行かせてしまった男となっていたのだ】




 シンの変化で皺寄せが大変なのはレイとトダカどっちになったかな回。
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