栄主と歌姫と白閃と   作:イ―グル

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この小説ではエースは2033年度時点で高1設定で行きます。


第十三話 謹賀新年

2034年12月30日 トレセン学園

ホープフルステークスを勝利したエース。

その後は特に何もなく、年末を迎えた。

「♪〜〜〜〜〜」

「いつにも増して機嫌が良さそうですね、エースさん」

同室で後輩のパーマーがそう言う。

「へへっ、そうか?」

「顔色もいい気がしますし、やっぱりあれですか?」

「おうよ!トレーナーさんと一緒に初詣に行くことになったんだ!調子が乗る!」

 

この会話をするに至る2日前

「なあ、パーマー」

「どうしました、エースさん」

「最近あたし、悩んでることがあるんだ」

「へぇ、明るいエースさんが悩みなんて珍しいですね。何でしょうか」

「実はな…」

ここからは話に熱中しすぎてよく覚えていないが、パーマー曰く惚気話だったらしい。

「ちょ、ちょっと待ってください」

「ん?どうしたんだ?」

「エースさんの話を纏めると、つまりトレーナーさんを意識しちゃうってことですよね?」

「そ、そうなのかなぁ」

少し気恥ずかしそうに、目を背けるエース。

「それ、明らか恋ですよ」

「ここ、恋!?さ、流石にそれは…」

否定しようとするエースに追い込みをかけるパーマー。

「じゃあ、仮のことを話しましょう。もし町中でエースさんのトレーナーと私がお出かけしているとします。しかも仲よさげに。これを見て、エースさんはどう思います?」

「なんだかもやもやするし、あたしのものにしたいって感情が渦巻いてくるなって、あれ?」

「気づきましたか」

ようやく恋と気づいたところで、話題はどうやって距離を詰めるかの問題に移る。

「この時期で距離を詰めるのなら、やっぱり初詣ですね」

「初詣か〜〜〜」

「カップルで行く人も多いでしょうし、もってこいの場所ですよ」

「でもよ、トレーナーさんが了承してくれるかわかんねぇぞ?」

「そればっかりは神頼みですね〜」

 

その翌日

パーマーはヘリオスの部屋に遊びに行っており、いないときだった。

「よおっしゃああああああ!!!!」

大声を出してしまい、はっと我に返り口を抑える。

「とはいえ、本当に了承してくれるとはなぁ」

スマホの画面には

「特に予定ないしいいよ。何時に集合する?」

というトレーナーからの返信がメールの最先頭に来ていた。

「一番いいスタートが切れたな」

恋愛のレースはまだ始まったばっかりだ。

 

 

 

12月31日 星街家

「それじゃsee you have a nice day!乙ま〜ち!」

そう言って、配信を切り一息つくすいちゃん。

「はぁ」

明日はお正月配信もあるし、その次は収録…

これじゃ仁君との初詣は無理かな…

 

遡ること2日前

「ねぇみこち〜」

みこちとビデオ通話していたときのことだった。

「なににぇ〜すいちゃん」

「私って仁君のこと好きなのかな」

「!?ゲホッ、ゲホッ」

いきなりの発言に、飲んでたお茶を咳き込むみこち。

「いきなり爆弾発言突っ込まないでほしいにぇ…」

「ごめんて」

「…それでどうしてそう思ったにぇ?」

「最初はあのショッピングモールのお出かけの時かな…」

その後はお出かけや通話を通して仁君に対して抱いた感情を話していった。

「…っていう感じなんだけど」

「な、中々長かったにぇ」

「それで何だけど、仁君と距離詰めるにはどうしたらいいと思う?」

「う〜ん難しいにぇ」

考え込むみこち。

「みこ達アイドルは体裁っていうものを何よりも気にしないと行けないし…」

「だよねぇ〜それで一体どうしたらいいのか分からないんだよねぇ〜」

二人とも考え込む。

「でも、まずは仕掛けるチャンスを伺うにぇ」

「それしかないか〜〜、仕事もあるしね」

仁のように仕事にしばらく忙殺される二人であった。

 

 

2034年1月1日 元旦 8:00 東京都府中駅

横浜から何回か乗り継いでやってきた、トレセン学園最寄り駅。

「そろそろ時間だが…」

あたりを見渡すと彼女のトレードマークの白いメンコが目に入った。

「お〜い!エース!」

見た感じ、エースもこちらを探しているようだった。

「あ!トレーナーさん!」

笑顔で駆け寄ってくるエース。

「待ったか?」

「いや、全然」

エースはゲームの私服である赤の人参パッチワークのスカジャンに、ジーンズを履いていた。

「それじゃ、行くか」

「おう!確か最寄りの神社だったよな」

そんなことを話しながら歩を進める。

「トレセンの近くに神社があるとは驚きだな」

「なんだ、トレーナーさん。知らなかったのか?あの神社は自主練の常套ルートにもなってるぜ?」

「ほ〜ん。自主練で思い出したけど、過度な自主練はするなよ。足の健康は重要だからな」

「は〜い、心配症だなぁトレーナーさんは」

トレーニングに関することや

「最近シービーとかとはどうだ?」

「いい戦友だな。次のクラシック戦線では負けねぇぜ!って語り合ってる」

「闘志が存分に燃えてるようで大変結構。頑張ってくれよ?」

「おうよ!任せとけ!」

そんな感じで話していると神社についていた。

「東京の神社ともなると人が多いな…」

「チラホラとトレセン学園の連中もいるな…見知っているやつもいるし」

「取り敢えず並ぶぞ、出店とかは後だ」

参道を埋め尽くす長蛇の列に並びながら、再び話し始める。

 

 

 

「なあ、あんたはなにお願いするんだ?」

「エースの必勝祈願だ。神様見ててくださいよ〜ってな」

「へへ、ありがとうなトレーナーさん」

少し照れたのか、顔が俯くトレーナーさん。

「なんだ〜照れてんのか〜?」

「え、エースの願いは何だ?」

やっぱり照れてんじゃないか

「あたしのは秘密。まだ言いたくないからな」

「まだ言いたくないってのは?」

「それも秘密だ。乙女には一つや二つ隠し事があるもんだ」

「じゃあ、いつか聞かせてくれることを願ってるよ」

前を見ると後2列ほどで、あたしたちの番になっていた。

「そろそろ五円玉用意したほうがいいな」

「やべ、持ってない」

「あたしちょうど二枚あるからやろうか?」

「すまん、頼めるか?」

そう言って五円玉を渡す。

「ありがとうな、エース」

そして自分たちの番がやってきた。

まず五円玉投げて…

二礼二拍手…

トレーナーさんとの恋が叶いますように〜。

そして一礼。

一つずつ丁寧に、神様への感謝を込めてやる。

終えて移動した後、トレーナーさんと次どうするか話す。

「トレーナーさん、この後どうする?」

「今日はフリーなんだよな、そっちは?」

「こっちも特にやることはないな」

「じゃあ、今日は府中ぶらぶら歩くか!」

「おっ!それいいな!」

なんだかんだ、このへんは商業施設とかいっぱいあるし楽しめそうだ。

そう思ったときだった。

脇に乗り上げてい石に気づかず、躓いてしまった。

くそっ!やらかした !

そう後悔しながらも、手をつくのが間に合うタイミングでもなく、痛みをただ待っていた。

だが、いつまで経ってもジーンとした痛みが全身に来ない。

代わりに、お腹に抱えられてる感じがした。

「大丈夫か、エース」

後ろを見ると、片手でトレーナーがあたしを支えていた。

「あ、ああ、大丈夫だ」

トレーナーさんの腕から離れ、姿勢を立てなおす。

「足元には気を付けてな。俺の大切な担当なんだから」

た、大切な担当って言われた!

「ん?どうしたんだエース?」

「い、いやなんでもない!」

慌てながら、顔を背ける。

多分、今振り向いたら

口角が上がったとんでもない顔を見せつけることになる…!

その後の府中巡りは完全に身が入らなかったエースであった。





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