栄主と歌姫と白閃と   作:イ―グル

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お久しぶりです。
イーグルです。
長いことお休みしていました。
今後はマイペースに投稿していくので、よろしくお願いします。


第二十七話 学ぶこと学ばれること

2034年11月18日 東京湾基地

二人の戦いは牽制射撃から始まった。

ズダダダダダダ!!!

ライフルの駆動音と射撃音が入り混じった音が鳴り響く。

アムロ二尉の弾は命中弾となるも、事前に張っていたパルスシールドで防がれる。

一方、仁の弾は左肩部を掠めるも、有効打とはならなかった。

まあ、射撃戦では決着はつかないだろう。

ここで一旦攻撃をやめ、相手の出方を見る。

すると、こちらにスラスターを全開で吹かしてやって来る。

やはり接近して仕留めようとして来るか。

時間稼ぎのために背部の33式を6発発射する。

ミサイルは発射筒から垂直発射された後、アムロ二尉の機体に向かっていった。

しかし、そのミサイルはサイコフレーム+操縦センスによって避けられた。

しかも、こっちに突っ込みながらだ。

やっぱりアムロ二尉は常人じゃねぇ!

今でも現役のエースだ!

だが、これで2秒程度時間稼ぎができた。

HMD上でのみ判定のあるパルスブレードを展開して、パルスシールドで胴体を守る。

そしてライフルを投擲して、相手の進路を制限する。

そのライフルを避けてこちらの進路通りに接近してきたので、パルスブレードで切りかかる。

それと同時に向こうもブレードを展開し、鍔迫り合いとなる。

まあ、傍から見たら変な光景にしか見えないんだろうがな。

このままでも仕方がない、一旦距離を取ろう。

鍔迫り合いをやめようとして、突き放そうとしたその時

ドガァァァァァン!!!

腹部に強烈な蹴りを入れられた。

アムロなのにシャアザクキックかよ!

そう心の中で突っ込みながらも、体勢を立て直そうとする。

そこですかさず誘導弾による追撃を入れてくるアムロ二尉。

流石に切り払うことはできないので、シールドで防御しながら、フルバーストで迎撃する。

ドン!ドン!

模擬弾とはいえ、ペイントがはじける衝撃がコックピットまで伝わってくる。

その間にも、俺はミサイルで牽制射撃を行い、アムロ二尉は距離を詰めてくる。

クソ。このままじゃ押される一方だ。

何か、何か対抗手段はないのか!!

自分の頭の中に思考を駆け巡らせる。

その時、ある一つの話を思い出す。

あのアムロ・レイを撃墜寸前まで追い込んだ話を。

これなら!

戦いは動き出す。

 

 

 

私は恋というものを知らなかった。

いや、存在自体は知っていた。

しかし、実際に体感したことがなかったのだ。

学生時代に何度か男子から告白されたことはあったものの、一件も成就することはなかった。

だから、私は本当に恋愛経験0なのだ。

そして、それはアイドルという職業になってより一層体感しにくくなった。

アイドルというのはファンに夢と希望を届ける職業。

無論、例外はいるかもしれないが、私たちはある程度その夢と希望を壊さないようにする。

だが、それは異世界転移という異常事象に巻き込まれて一気に変わることになる。

山本 仁

それが私が初めて恋した人だ。

会った当初は、これからある程度お世話になる人なんだろうなぁ~位しかなかった。

だけど、これはあの開校祭の日を起点にして変わっていくことになる。

あの時のナンパを撃退してくれたこと。

正直、何回か同じような経験はあったので、助けてもらわなくても脱出できていたと思う。

だけど、私のために本気で怒ってくれたあの時。

ものすごく仁君がかっこよく見えた。

多分、ああいうのを一目惚れというのだろう。

だけど、その人には一つだけ難点があった。

それがあまりにも恋心に鈍感すぎるということだ。

こっちがデートに誘おうとただの付き添いだと思われるし、添い寝しようが全く気付かない!

それに加えて、こっちは立場もあるので強気すぎる攻めだと駄目。

そんなこんなでずっと膠着状態だったのが変わる転機が訪れた。

カツラギエース。

恋敵の登場だ。

学生とはいえ仁君に私と同じくらい接している子だ。

当然脅威になる。

そして今、その子と一対一でいる。

「優しいところかな。怒るときは怒るし、助けが必要な時は助けてくれる」

実際、開校祭以降にこういう場面は何度もあった。

「助けてもらった恩は一生忘れないって私は思ってるよ」

「底抜けにやさしいですよね~トレーナーさんは」

「人の三倍の仕事受け入れられるって凄いし、毎日心配してるよ」

苦笑しながら、そう話す。

「お、結構拮抗してるみたいですね」

画面に目をやると、中では二つの機影は複雑な軌跡を描きながら戦っていた。

「勝ってほしいけど、相手は伝説のパイロットだからね。頑張れ~仁君」

戦いは続く。

二つの場所で、それぞれの軌跡を描きながら。

 

 

 

田舎から出てきたアタシは少し寂しかった。

無論、友達がいなかったわけじゃあない。

こっちに来てから友達はできたし、シービーみたいな親友もできた。

だけど、アタシの心に何か隙間が空いていた。

父親や母親のように同じ視点に立ってくれる人がいなかった。

一般的に言うなら、トレーナーがそれにあたるのだろう。

だけど、あたしには中々トレーナーがつかなかった。

根無し草ということもあって、中学期時代は全くトレーナーがつかなかった。

そして、若干諦めていた高校一年。

運命の人と出会った。

山本 仁トレーナー

後々、アタシが推しだということを知ったがそんなことはどうでもいい。

アタシと同じ視点に立って、同じ歩幅で歩いて、一緒に考えてくれる。

思春期の学生はたいていの場合は、大人との思い違いが出るものだが、寄り添ってくれる大人が居たら、惚れてしまうものだろう。

だがそんなアタシの恋路にもライバルが現れた。

星街すいせい

誰もを魅了する歌声を持つ、超一級のアイドル。

そんな人がトレーナーさんの日常にいる。

これは極めてまずい状態と言える。

それに相手は大人だ。

あたしら学生とは行動できる規模が違う。

だけど、アタシたちもただの学生じゃない。

学生兼アスリート兼アイドルだ。

お蔭である程度渡り合えている現状がある。

「そういえば、エースちゃん。次は?」

「そうですね~」

アタシの番が回ってきた。

画面から少し目をそらし、考える。

「仕事ができるところですかね。あんな量の仕事をこなすのはウマ娘でも難しいですよ」

ウマ娘は人間より体力的に優れているので、多少なりは多く働けるのだが、3倍は厳しい。

「やっぱりそこか~。そういう働いても体壊さない頑丈な人って一部居るからね」

そんなことを話しながら、再び画面に目を向けると戦いは新たな局面に移っているようだった。

「なんかトレーナーさんの機体、距離を取っているように見えますね」

「本当だ!なんか作戦でもあるのかな?」

戦いは転換点(ターニングポイント)

 

「ところでみこさん遅いですね」

「そういえばそうだね。何してんだろう」

一方部屋の外

「もう少し、遅れて入った方がいいっぽいにぇ」

策士みこち待機中ーーーー

 

 

 

よし、これくらい離れればいいだろう。

残り時間は5分。

そろそろ攻守をひっくり返してもいい頃だ。

アムロ・レイが撃破されかけたことは少ないが、あるにはある。

その中でも、成熟してきたアムロが撃破されかけた時の戦法を使う。

スラスターで位置を微調整して、、、、

ココだ!!

その瞬間、俺は急加速してアムロ二尉の機体をがっちりと捕縛した。

「やるな!!仁!」

アムロ二尉からの言葉とともに反撃を食らいそうになるも、俺はサイドパネルにコードを入れる。

それはトランザムの起動コードだった。

サイドパネルに「TRANS‐AM」の表示が出現する。

雨に打たれる機体の表面が赤く発光し始める。

そして、一気に急加速と急機動を始める。

複雑な機動や急軌道は以前のトランザムの試験でやったので、どうにかなる。

「ぐっ、ぎぎぎぎぎ・・・・! 」

当然途轍もないGが体にかかるが、これもあの戦法を再現するため・・・

この戦法はアムロが初めてビグロと相対した時の戦法である「相手を気絶させて仕留める戦法」。

宇宙に上がったアムロが気絶するレベルの加速をしたのちにメガ粒子砲で仕留めようとしたのを参考にしており、今回はそれをトランザムで再現している。

加齢によって耐G耐性もある程度下がっていると見越してこの戦法を選んだ。

「クソ、やはりきついなこれは…」

アムロ二尉が弱音を上げても気絶寸前まで続ける!

残り時間は後一分半!

トランザムの残り時間も少ない!

どうにか決着をつけなければ!

その迷いが一瞬のスキを生んだ。

その隙でアムロ二尉の機体によって上に蹴り飛ばされた。

くそッ、駄目だったか!

そして、アムロ二尉の機体によって一斉射撃がされる。

ここから打開できる方法は…

そうだ、あれを使おう!

メインパネルの起動ボタンを押す。

すると、接近していた砲弾やミサイルが一斉に爆発した。

まるで何かの壁にぶつかったように。

もし元の世界でACを知っている人が居たら、こう言うだろう。

「パルスアーマー」と

太陽炉で発電した電気をパルスに変換して防御と近接攻撃を行う攻守一体の兵装。

守るだけならGNシールドでも十分なのだが、攻撃も兼ねるのがポイント。

ちなみに正式名称は34式光波防御攻撃一体装置。

一先ずこれで射撃は防げたのでトランザムを切り、再び突撃する。

何度目か分からない鍔迫り合いが始まる。

「かなりできるな!仁!」

「あなたのデータに鍛えられましたから!」

これで決める!

そう思い、背中から33式を全弾発射して、相手を蹴り飛ばす。

そして再び突撃する。今度はコックピット狙いで。

アムロ二尉も同じ考えのようで、下から切り込むような狙い方をする。

「うおおおおおおおお!」

「はああああああああ!」

そうして決着が決まろうとしていた……

ウウウ~~~~

試合終了の合図が鳴った。

「試合終了。試合終了。結果は引き分け」

比呂困憊ながら、基地のハンガーへ帰投する。

「はあ、はあ、はあ、はあ」

「お疲れさま、仁」

アムロ二尉が声をかけてきた。

「良い戦いだったぞ」

「アムロ二尉も腕は鈍ってないようですね」

「ああ、定期的にシミュレーター使わせてもらっているからな」

そりゃ勝てんわ。

勝負は引き分けになったけど、あのまま続いてたら多分負けてたな。

下に下に潜り込まれて、撃破されてただろうな。

まあでもそんなことも学んで次に活かすか。

そんなことを思いながら、更衣室に向かっていく。

「お疲れ様。いいデータが取れたよ」

振り返ると、三佐の階級章を付けた好青年が立っていた。

「ヤマト三佐。お疲れ様です」

キラ・ヤマト。

機動戦士ガンダムSEEDシリーズに登場する主人公。

ファウンデーション事変後にラクスとともにアムロと同時期に転移し、自衛隊の技術将校となっている。

「前の戦闘事案でも君のデータ取らせてもらったけど、やっぱり戦い方が僕やアムロに似てるね」

前の戦闘事案は伊豆事件のことだ。

「まあ、アムロ二尉の戦闘データに鍛えられましたから」

「子が師に似るのは当然か…ところでフルバーストモードの使い心地はどうだい?」

「だいぶ使いやすいですよ。戦闘の最中でも起動できましたし」

34式に搭載されているフルバーストモードはヤマト三佐が組んだものだ。

正直、勝手に脅威度を判別してロックオンしてくれるのでかなり使いやすい。

「ただ、脅威度の判別が若干甘い気もしますね」

「そこらへんはAIを使って改善していく予定だから、安心してね」

戦闘の反省は様々なところで活かされる。

その反省が活かされるのは少し先の話。

 

 

 

「いや~結局引き分けになっちゃったね」

「なんかもう、戦い方がSFじみてますね」

画面を閉じ、振り返る二人。

人型ロボットの時点でSF要素満載なのだが、戦いを見たことでさらにその感じが増した。

「そういえば、仁君の好きなところの出し合い途中のままだったね」

ふと、勝負の途中であったことを思い出す。

「そういえばそうでしたね。…どうします?」

エースちゃんからそう聞かれる。

二人の間に少しの時間が流れる。

正直に言うなら、まだ勝負は続いてるっ!て言いたいところなのだが…

「ちょうど勝負も終わったし…」

「このまま続けるのも…」

顔を見合わせる二人。

「今日は一時休戦といこっか!」

「ですね!」

戦友とはライバルであり、友でもある。

 

 

 

夕方

「今日はありがとうございました」

「また時間あったら来てね~」

「いつでも歓迎するにぇ~」

その後はお菓子なんかを食べつつ、雑談して過ごした。

「それとエースちゃん!」

声をかけられ、振り返ると笑顔の星街さんがいた。

なんだろうと思った。

そして一呼吸置いた後に、こう言った。

「今度は敵、だからね」

声色を変えて、まるで女王のような威圧感を出しながら言った。

その威圧感に、一瞬鳥肌が立っちまった。

だがそんな威圧感を拭い、腕を高く上げて、笑い返してやった。

それを見た星街さんは再び笑い。

「覚悟はあるみたいだね」

と言った。

帰りの電車の中で、太平洋に沈む夕日を見ながらエースは相手の強大さを実感するのだった。




34式光波防御攻撃一体装置
新しい攻防兵装としてアレス主導で開発された新兵装。
電気を周囲に放電し、電気の壁を作り出す兵装。
今後の機体の標準兵装となっていく予定である。

キラ・ヤマト
ガンダムSEEDシリーズの主人公。
SEEDFREEDOM後に、ラクス総裁とともに転移。
この世界では、自衛隊の技術士官として勤務。
マルチロックオンシステムの開発などに関わっている。
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