2035年5月23日 トレセン学園
今日も様々なウマ娘が生活するトレセン学園。
そんなトレセン学園の朝のトレーナー室。
朝練を終えて、授業までの時間を過ごすエースと業務をこなすトレーナーさん。
そんな静かな朝の時間を壊すようなバン!!という音が鳴り響く。
「今日も並走を申し込むわ!カツラギエース!」
あの大阪杯以降、ほぼ毎日のペースでドゥービンワスカに並走を申し込まれる様になった。
「トレーニングになるからいいけどさ、本当によく飽きないよな」
「当たり前でしょ!私はあなたに勝つって言ったんだから!」
強気に話すワスカに椅子によっかかりながら答えるエース。
「悪いけどトレーナーさん!今日のトレーニングに並走加えてくれるか?」
申し訳なさそうに手を合わせてトレーナーさんに頼み込むエース。
「いいけど、俺午後居ないぞ」
「え!!」
エースが俺を見上げる。
「ど、どうしてトレーナーさん」
「いや、普通に自衛隊の仕事で東京湾基地行かなくちゃいけなくなってな」
理由を聞くと落ち着きを取り戻したのか、耳もピンと張った状態から垂れた。
「そうか〜、なら仕方ないな。代わりのトレーナーはいるのか?」
「シービーのトレーナーにトレーニング見てもらえるように頼んである」
「分かった」
俺と話し終わった後、くるりとワスカの方に向き
「ということでワスカ。トレーナーさん居ないけどいいか?」
「あなたと走ることが目的だし、別にいいわよ」
「ありがとうな!ワスカ!」
元気のいい笑顔で答えるエース。
「仲がいいのは結構だが、そろそろ時間じゃないか?」
時計を見るとHRまであと10分となっていた。
「あ!ありがとうトレーナーさん!行こうぜワスカ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
カバンを抱えている、トレーナー室から走って出ていく二人。
さて、俺は仕事をを進めますか。
再びキーボードを打ち始める仁。
午前で今日のトレーナーの仕事を終わらせなくては。
昼休み エースたちの教室
学業が終わり、トレーニングへの過渡期の昼休み。
各々が購買に行ったり、図書館に行ったりして自由な時間を過ごす。
そんな中、シービーとエース、そしてワスカが集まって話していた。
「そう言えばエース、トレーナーさんとの進展はどうなの?」
「全然だな。バレンタインも義理と思われたし、抱きついても全然効果なし」
「というか、エース。あなたってトレーナーさんのこと好きなのね」
面白いものを見るような目で見るワスカ。
「いやさ、好きつっても相手が気づかないんじゃ意味ないんだよ」
「そうだよね〜、アタシのトレーナーも全然だし」
「そういうワスカはどうなんだよ?」
「私そもそも担当トレーナー居ないんだけど」
ワスカは担当トレーナー無しで走っている珍しいタイプだ。
その分自由だが、本人でトレーニングメニュー等を考えなければいけない。
それでいて、G1を勝っているので本人のとてつもない努力が垣間見える。
「そういえばそうだったな。なんかすまん」
「別にいいわよ。気にしてることじゃないし」
「まあ、アタシも最初はトレーナー無しで走るつもりだったし、ある意味同じ?」
さすが天衣無縫のウマ娘とエースは思うのだった。
「そういえば、ワスカとエースって今日並走トレーニングするんだっけ?」
シービーがそう問いかける。
「えぇ、そうだけどどうかしたの?」
「それアタシも混ぜてもらってもいい?」
「別に構わないわ。エースは?」
「いいぜ!仲間は多いほどいいからな!」
彼女たちの話は昼休みが終わるまで続き、トレーニングに遅れそうになったのは別の話。
16時15分 東京湾基地 格納庫
日本の最新技術が集まる一大基地、東京湾基地。
その格納庫の一つのハンガーの周りで整備員が忙しなく動いていた。
そのハンガーには1機の機体が佇んでいた。
35式人型機動機”明星”。
転移してきたスティールヘイズ・オルトゥスをベースに開発された最新機体。
見た目はほとんどベース機と変わらないが、中身は別物。
まず、動力源は擬似太陽炉に変更。
次に武装関係を一新。
具体的には・新開発のビームライフルを標準装備。
・パルスブレード兼シールドを両腕に装備。
・ターミナルアーマーからアサルトアーマーに変更。
・両肩に国産ファンネルミサイル「35式特殊誘導弾」を装備。
更に、機体全身にサイコフレームとコックピットに一般人でも扱えるサイコミュを搭載。
これらの改良によって、多少高価だがニュータイプじゃなくても扱える強力な機体が誕生した。
この機体を月産20機のペースで量産することを目処にしており、今は月産5機の状態。
「何回見てもかっこいいな〜この機体」
そんな感想を仁は持っていた。
「よーし!始動機つなげ!」
前では指揮を取っているアレス二尉がいた。
「どうだ、新しい機体は」
後ろから、作業用ヘルメットを被ったアムロ二尉が話しかけてきた。
「やっぱり、気分が高まりますね。新型というのは」
それを聞くとアムロ二尉は
「色々大変なこともあるが、純粋に戦力増強になるからな。ロンド・ベル時代にそれを感じたよ」
あの艦隊、周囲から疎まれてそうだったもんな…
そんな事を思っていると、起動準備が整ったようだ。
「それじゃ、そろそろ自分は行きます」
「あぁ、頑張れよ」
そう言って、タラップを駆け上がっていく。
タラップを上がり切ると、すでにコックピットハッチは開いていた。
「中央の丸の後ろがコックピットブロックなのか」
「一応機種転換は済ませてあるが、操縦系は変わらんな」
コックピットハッチを閉じると同時に、接続したHMDにも電源が入った。
一瞬の起動コードが写った後、カメラの視界が共有される。
「あ〜あ〜聞こえるか山本」
下にいるアレス二尉の声が入る。
「聞こえます。今は各部チェック中です」
「了解。今から上に上げるぞ」
各部チェックが進行しつつある中、ハンガーごと上に上げるエレベーターの警報がなる。
赤色灯が点灯し、整備員が退避する。
「頭部の稼働も…問題なし」
頭を上に上げると、朱に染まりつつある空が見える。
ガコン
エレベーターが停止し、射出カタパルトに地機体が接続される。
「各部チェック完了しました」
「こっちも作業員退避が終わった。今から発進作業に移る」
アレス二尉の淡々とした声が耳に残る。
「………」
ここからの発進はあまりやったことがないので、少し緊張する。
でも、同時に高揚感も芽生える不思議な感じだ。
「カタパルト接続OK。発進準備よし」
「了解。管制の指示に従って発進する」
下を見ると、黄色い服を着た誘導員が発進を伝えるポーズを取っていた。
ここらへんはいずも型の経験が生きてるな。
そうしていると誘導員が腰を下げ、発進のポーズを取った。
それと同時にこちらも機体の腰を下げ、スラスターをフルスロットルした。
ドンッ
一瞬で280キロまで加速するGが全身にかかり、血が押し付けられる感覚がする。
だが、耐えねば海ポチャだ。
意識を強く持ち操縦桿で高度を上げる。
段々Gにも慣れて、高度を取った時通信が入った。
「無事に発進できたみたいだな」
アムロ二尉の声がHMDから聞こえる。
「はい、なんとか」
「このまま東京湾を抜けて、いつもの伊豆実験場で試験を行う。いいな」
「了解。」
ちなみに基地では戦略機用のカタパルトの増設も行われている。
18時30分 伊豆試験場
「試験は標的破壊と機動試験だ」
「内容は今までと変わらない感じですか?」
「あぁ。新機体の性能を思いっきり活かせ」
その言葉とともに、機体のスロットルを上げる。
機体からGN粒子が放出され、赤い航跡が残る。
島に侵入しようとすると、見慣れた高機動車の標的が見えてくる。
早速これ使うか。
右手に装備された宇宙世紀との形状なライフル。
形はジェガンのビームライフルの銃身を延長した形に近い。
35式粒子圧縮砲。
それがこのビームライフルの正式名称だ。
それを装備した右手は、コンピューター制御によって正確に標的にロックオンされる。
トリガーを引いた瞬間、圧縮されたGN粒子の圧倒的な熱量によって標的は溶解した。
この機体、というか人型機動機は目を向けるだけでAIが脅威度判定して勝手にロックオンされる。
これもマルチロックオンシステムと同様にヤマト三佐によって開発されたものだ。
残りの高機動車もライフルで破壊した後、空中目標に移る。
空中目標はドローン13機と標的機12機。
今回はやけに多いな。
この機体にも”巨人”と同様にマルチロックオンシステムも搭載されている。
次はこれを使う。
両肩に装備された35式特殊誘導弾のコンテナハッチを開け、ライフルを構える。
自動で目標が選択されていき、”READY”の文字がHMDに表示される。
トリガーを引くと、ミサイルコンテナから誘導弾が次々と発射され、銃口から熱線が吐かれる。
推進剤の軌跡とビームの航跡が向かっていく。
誘導弾が標的に近づくと、脳内に幾つもの映像が現れる。
ここらへんは複数機操縦していたときと変わらないのか。
そんなことを傍らで思いつつ、すべての誘導弾を正確に誘導し命中させる。
その瞬間、空には幾つもの花火が打ち上がった。
「これで標的破壊試験は終了だ。機動試験に移ってくれ」
「了解」
アムロ二尉の通信を受けて、機動試験エリアに移動する。
”巨人”や”不屈”で何回もこなしてきた機動試験エリア。
様々な障害物が島内に設置されている。
「トランザムの試験は今回行うんですか?」
「後でな。今は通常状態でやってくれ」
会話をしながら次々と障害物を避ける。
なんだかんだ慣れてきたものだ」。
「終わりました」
「早いな。流石に慣れてきたか」
感心しつつ、最後のトランザムの試験に移る。
「トランザムの起動コードは以前と同じだ」
その言葉を聞くと同時に、瞬時にコードをパネルに打ち込みトランザムを起動させる。
キュオオオオオオオという太陽炉の駆動音が一層強くなる。
それと同時にスロットルを限界まで上げて、一気に加速する。
粒子が各部のバーニアから噴出し、赤い流星が空を舞う。
そのまま起動試験を行い、その日は終了となった。
2035年6月3日 東京レース場 日本ダービー当日
仁とエースや橋塚とシービーがしのぎを削りあっているとき、新たな芽が吹き出ようとしていた。
昨年はエースが制した日本ダービー。
「スジューマッチ逃げるが!ルドルフ躱した!」
「行け!ルドルフ!」
彼女のトレーナーと思わしき人が大声で応援する。
「ルドルフ先頭!ルドルフ先頭!」
高1にして生徒会長の座に就き、名家シンボリ家の出身であるその名は…
「シンボリルドルフ一着!シンボリルドルフ一着!」
元の世界では史上初の無敗三冠と七冠を達成した最強馬の一角”シンボリルドルフ”。
「やったな!ルドルフ!」
嬉し涙を流しながら、駆け寄るトレーナー。
「あぁ!トレーナー君!」
勝利を喜ぶ二人。
そのトレーナーの名札にはこう書かれてあった。
”吉井晴斗”と。
ワスカの性格のモデルは某キューカンバーです。
35式人型機動機”明星”
転移してきたスティールヘイズ・オルトゥスをベースにした新型機。
今までの機体と違う点は、
・新開発のビームライフルを標準装備。
・パルスブレード兼シールドを両腕に装備。
・ターミナルアーマーからアサルトアーマーに変更。
・両肩に国産ファンネルミサイル「35式特殊誘導弾」を装備。
更に、機体全身にサイコフレームとコックピットに一般人でも扱えるサイコミュを搭載。
これらの改良によって、多少高価だがニュータイプじゃなくても扱える強力な機体が誕生した。