栄主と歌姫と白閃と   作:イ―グル

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第三十九話 最強の現役覇者として

2035年9月4日 トレセン学園

今日も多くのウマ娘とトレーナーが活動するトレセン学園。

その中にはエースと仁の姿もあった。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「今日はこれくらいで終わりにしよう」

気づけばもう日が傾いて、学園を赤く照らす。

「お疲れ様、エース」

「おう。ありがとうなトレーナーさん」

夏合宿も終わり、秋シニア三冠の第一戦である天皇賞(秋)に向ける機運が高まっている。

シービーとワスカもそこに出るらしい。

「次の秋天。負けられないな」

「あぁ、エースも気張っていけよ?」

「もちろん!やってやるぜ!」

そうやって話している最中だった。

「やあ、仲睦まじいようで何よりだ」

後ろから、どこか威厳を感じる声で呼びかけられた。

「ん、誰…会長だ」

「お、ルドルフじゃねえか」

そこに居たのは二冠バであり、生徒会長であるシンボリルドルフだった。

「一体、生徒会長が何用で?」

「何、ちょっとエース先輩に用があってね」

「あたし?」

 

 

 

一体あたしになにかあるのだろうか。

唯わかるのは、明らかにこれが真剣な話であることだ。

「俺はお暇したほうが良さそうだな。先戻ってる」

トレーナーさんもそれを察したのか、離れていった。

そして、グラウンドにはあたしとルドルフだけになった。

「さて、単刀直入に言おう」

ルドルフの口調がより一層威厳のあるものになる。

多分、過ぎたのは3秒ぐらいだったんだろうけど、あたしには数十分にも感じられた。

一体、何をその口から語る?

あたしに次ぐ二冠バ、いや、三冠バ候補が。

あたしたちの打倒か?

このレース界の革命か?

そう待っていた時、その声が響いた。

「私はレース界を席巻するウマ娘になる」

その発言にあたしは只々呆然としていた。

「だが、それも前段階に過ぎない」

「………」

「私はレースそのものを変える存在になる」

瞬間、風が凪いだ。

そして其処にあったのは、

      皇帝の威厳を持ったルドルフだった。

 

 

 

「………」

先輩は其処に立ち尽くしていた、

まあ、後輩がこんな発言したら戸惑うか。

「くっ」

「?」

「ははははっ!!!」

突如、先輩が笑い出した。

狂いでもしたか。

「いや〜スマン。あまりにも突然なこと言い出すから驚いちゃって」

「いえいえ、そんな」

若干不満を覚えつつも、話を聞く。

「それでな、アレの返答だが…」

「はい」

一体どんな返答が来るのだろうか?

宣戦布告返し?

否定か?

それとも…

そしてその時は訪れた。

「先輩を舐めるなよ」

再び風が二人の間を通り過ぎる。

より強い風が。

「確かにルドルフは強い。それは認める」

足を外に開き、腕を組みながら言う。

「だが、それに黙ってやられるようなやつじゃねぇってことは百も承知だろうなぁ!!」

その時、彼女の後ろになにか現れた気がする。

虎でもない、獅子でもない。

それは…龍。

黒い雲を纏った、黄金の龍。

それが、彼女の力を示すようにそこに居た。

「あぁ。難攻不落、だからこその挑戦だ」

その時、遠くから見ていたウマ娘はこう言ったという。

「あれは言葉で表せない、力の戦いだ」

視線が交わされ、プレッシャーが全力で出される。

一触即発、そんな状況だった。

だが、どんなことにも終わりは来る。

「お〜い、エース!!」

 

 

 

その言葉に気がついて振り向くと、トレーナーさんが走ってきていた。

「どうしたんだよ、トレーナーさん?」

「ちょっと忘れ物しちゃってな」

「忘れ物ってこれか?」

あたしは椅子の上においてあるクーラーボックスを指差す。

「そうそう、これ!」

トレーナーさんが持ち込んできた雰囲気で、場は一気に変わる。

「忘れん坊だな〜トレーナーさんは」

「いや〜すまんな」

その様子を見守っていたルドルフだが、

「おっと、そろそろ生徒会の仕事に戻らねば。それではまた」

そう言って去っていった。

「ルドルフとは話付いたのか?」

「あぁ。なんとかな」

去り行くルドルフの背中を見ながら、口を開ける。

「トレーナーさん」

「ん?」

「次の秋天、絶対勝とうな」

「だな」

あいつのことを多分知っているであろうトレーナーさんも察したのか答える。

秋シニア三冠、一体どうなるのか。

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