卒業式の描写は勘弁してください。
2025年9月5日 改稿
2026年2月18日 改稿
2031年1月
第四学年になり、後期定期試験が迫った雪降る1月後半。
自分は変わらず自習室にこもっていた。
「仁、頑張っているみたいやな」
「島崎先輩、もう行くんですか」
「あぁ、ちょっと睡眠不足でな。ちょっと早く寝ておこうと思ってな」
「そうなんですか、自分はもう少し勉強してます」
「わかった、それじゃあおやすみ」
「はい、おやすみなさい」
そういい、島崎先輩は部屋に戻っていった。
さてと、もう少し頑張りますか。
そう思いながら、夜は更けていった。
それから2か月。後期定期試験や持久走競技会、卒業前訓練を終えいよいよ卒業式となった。
卒業式には防衛大臣だけでなく、総理大臣も参加しており荘厳な雰囲気だ。
「これより、令和12年度防衛大学校卒業式を開式いたします」
防大の卒業式後には、任命式が控えており、任官拒否しなかった学生はここで任官する。
「以上を持ちまして、令和12年度防衛大学校卒業式を閉幕いたします」
一時間半に渡る式が終わり、卒業生が退場することとなった。
「倣え!」
ザッ
「厳しい環境の中でも、高みを目指しつづけた同志たちよ!さらば!」
この防大で過ごした4年間を思い出すと涙ぐみそうになるが、グッとこらえる。
そして、最後の言葉が放たれる。
「卒業生!解散!」
その瞬間、自分たちが持っていた帽子を一気に天井に向かって投げる。
防衛大卒業式恒例の帽子投げだ。どうやら、他国の軍学校でも存在するらしい。
一気に出口へと向かう卒業生。
一瞬、足を取られそうになったが晴斗の助けもあり、無事に退場できた。
「次は任官式か、晴斗って任官拒否してなかったよな?」
「あぁ、だから任官式にも出るぞ」
その後の任官式は卒業式と比べると短く終わった。
「晴斗は陸上要員課程だったよな」
「陸上自衛隊幹部候補生学校に入ってそのまま陸自行きだな」
「俺は戦略自衛隊幹部候補生学校に行って戦自行きだな。進路は違うけど互いに頑張ろう」
「そうだな、それじゃ」
「「さらば学友よ!」」
晴斗と別れ、観閲式や午餐会が終わった後、今度は家族に会いに行った。
「久しぶり!父さん、母さんってあれ?」
事前に伝えられた場所に父母の姿はなく、星街さんだけがいた。
「あー久しぶり、仁君」
バツの悪そうな顔で星街さんが話し始めた。
「え!二人とも感涙の極みで倒れた⁉」
「ちょちょ、声が大きい」
「す、すいません。もう少し具体的に」
「卒業式は普通だったんだけど観閲式の時、感涙のあまり姿勢を崩して頭を打っちゃて。今は救護室で休んでる」
「そうだったんですか、ひとまず命に別状はなさそうでよかった」
「それは本当に良かった。ところで、仁君この後予定はある?」
「いえ、特には。定刻までに寮に帰ればいいので」
「それじゃあ、一緒に校内回らない?」
まさかの、星街さんから校内巡りの誘いが来た。
この時、一瞬迷ったものの
「まあ断る理由もないので、いいですよ。」
嬉しそうな顔をするすいせいさん。
「やっぱり笑顔が似合うな…」
一瞬、場が静まり返る。
「あ、あっ、すいません!お、思わず声に出してしまって!」
「別にいいよ〜このくらい普通だし」
周りが5分ほど静まりかえったがなんとか事態は収まった。
それから自分たちは校内めぐりに行った。
校内は桜がチラホラと咲き始めており、もう少しで見頃だろう。
「見頃には早いですけど、桜が綺麗ですね」
「えぇ、本当に綺麗ですね」
来年度の入学式の頃は見ごろになっているだろう
一体どんな奴が入ってくるのか。
「入学式の頃が多分見ごろでしょう。一体どんな人が入ってくるのか」
「きっと仁さんみたいな、優しい人が入ってきますよ」
「そんな俺が優しい人だなんて。所詮、俺は中途半端な人間ですよ」
正直、この学校に行ってもこれはあまり変わらなかった。
中途半端に卑怯で、普通な人。
あの人が言っていた、生きる理由だって見つからない。
結局自分はダメ人間だ。
そう落ち込んでいたが、星街さんが話しかけてきた。
「少なくとも、私は仁さんが優しい人間だと思いますよ」
「え?」
「だって、初めてこの世界に来た私をちゃんと案内してくれたし、開校記念祭でも困っていたところを助けてくれたじゃないですか!」
「あれはあくまで自分の責務を果たしたまでで……」
「それでも嬉しかったんです。私にとっては、その時の仁さんが頼もしくて、そしてかっこよく
て…。あ~もう!とにかく!そんなに自分を過小評価する必要はない!わかった?」
そう言われたとき、自分の目から涙が零れ落ちた。
「えっ!あっ!ご、ごめん!強い言葉で言いすぎちゃった⁉」
「い、いえ。ただ自分がそんなちっぽけな存在じゃないって、改めて思えて……」
その時、自分の中の呪縛が解けたような気がした。
数分した後、何とか落ち着いてきたので、改めてお礼を言う。
「ありがとうございます、介抱していただいて」
「いえ、大丈夫ですよ。仁君が涙もろいという一面も知れたし」
なんか弱みを握られた気分だが、まぁいいだろう。
「それじゃ、行きましょうか」
その後、校内の立ち入り許可されている場所から見えるものを見て回った。
そして、一時間半程立ち、父さんたちが十分に回復したとの連絡があったので救護室へ向かった。
「父さん、母さん、無事でよかった」
「あのくらいなら大丈夫よ。ねぇ、お父さん」
「あぁ、あれくらいでどうにかなるような奴じゃないさ。それにしても、星街さんと校内を見て回ったそうだな。それってデェ」
スパン!
母さんの鋭い手刀が刺さる。
「コラ!お父さん、そういうこといわないの。ごめんね、仁、星街さん。」
「いえ、大丈夫ですよ。ねえ、仁さん」
「はい、別にいいよ母さん」
そんなことがありつつも、卒業式は終わった。
さて、防大を卒業し任官拒否をしていないので、自衛隊に入ることになるのだが、各自衛隊に入隊した後幹部候補生学校に半年から一年入学し尉官となる。
自分の場合は戦略自衛隊なので戦略自衛隊幹部候補生学校に入学することになる。
なんだかんだ一年しか通わないので、あまり思い出はないが。新しい同期ができた。
「よう!何考えてるんだ、仁!」
それが彼、橋塚だ。
「やぁ、直人。いやぁ、もうすぐここも卒業だなと思って」
「だな、一体どんなところに配属されるんだろうな」
「わからないけど、とにかく頑張るしかないってことはわかってる」
「はは、言えてるな」
そんな彼らに待ち受けるものは、まだ、誰にもわからない
橋塚 直人
身長 180㎝ 趣味 レース観戦
年齢 23歳
誕生日 9月17日
体重 83㎏
特技 データ処理
幹部候補生学校での仁の新たな同期。
IT関係のことが得意。
ちなみに、ラーメンマニア。