あと、第四話で話したことや転移現象以外は現実世界と出来事は大差ないです。
2032年7月6日
ASAWP計画の人型兵器開発のテストパイロットに割り当てられて3ヶ月がたった日。
俺はひたむきにシミュレーターに取り組んでおり、日々その腕は上達していた。
「ふぅ。一旦休憩にするか」
気づくともう二時間も連続してシミュレーターで訓練をしており、「流石に休まないとな」と思って
シミュレーター室を出ると、アレス二尉に声をかけられた。
「やあ、仁君。訓練、頑張っているみたいだね」
「はい。操縦技術を上達させて良いデータを取れるようにしたいので」
「仕事熱心だね、君は」
「ありがとうございます。そういえばアムロ二尉は何処にいるんですか?」
「彼は今、試作機製造の指揮を取ってるよ。それと君、島崎一尉から呼び出されていたよ」
「呼び出しですか?」
「あぁ。なんでも新しい業務に関してらしい」
新しい業務?一体なんだろうか。
「ありがとうございます。ちょっと行ってきます」
多少の疑問と期待を持ちつつ、島崎一尉のいるオフィスへ向かう。
コンコン
「山本三尉です」
「おぉ〜、入ってええで〜」
扉を開けると、書類を処理している島崎一尉がいた。
「呼び出しをもらったので参りましたが、一体何用でしょうか」
「まあまあ、そう畏まらんでもエエ。謹慎処分をするわけでもないんやし」
悪い報告では無いのを聞いて安心しつつ、改めて話に集中する。
「話すことは2つ。1つは君の昇進についてや」
「えっ、昇進ですか」
まだ働き始めて3ヶ月くらいなのに、早くないか?
「そうや、君は三尉から二尉に昇任や」
「か、かなり早い昇進ですね」
「まぁ、昇進するということは責任を貸すに値するって思われたんや。気ィ張りや」
「はい。ありがとうございます」
1つ目の話が昇進の話だったので安心しきっていたが、次の話で一気に衝撃を受ける。
「それで2つ目の話やけど、君は転属が決まった」
「え!?」
働き始めて3ヶ月で転属!?
「え、えと。自分、なにか悪いことしましたか」
「いや。別に左遷というわけでは無いんや」
別に悪いことをしたというわけではないと聞いて安心したが、話はここからだった。
「それで君の転属場所やけど、日本ウマ娘トレーニングセンター学園や」
……………は、はぁ!?
「あ、あのそれってあのトレセンですか」
「そうや」
い、いや。もしかしたら地方のトレセンかもしれない。
「地方のトレセンですよね?」
「いいや、
えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?
「まあ、衝撃を受ける気持ちもわかる。ワシもこれ聞いたとき耳疑ったし」
まあ、そうだろうなとしか言えない。
「それでトレセンに自衛隊を派遣する理由何やけどな」
一番気になってたことだ、普通警察でもいいんじゃないか?
「二ヶ月くらい前やったかな、日本のトレセンで重小火器が持ち込まれて使用されてしまった事件が発生したんよ」
は?
トレセンに重火器?
「ニュースで見んかったか?」
その時ハッと思い出した。
地方のトレセンで火器が持ち込まれ使用された事件を。
奇跡的に死者は出なかったものの重軽傷者59人をだす大事件だった。
「警察が捜査して、テロ組織が関与してることがわかって、海外警察と協力して一斉検挙して事態は収まったんやけど、もしこの火器が使われて死者を出す事態になってたら?取り調べによるとトレセン襲撃でのテロを狙ってたみたいやし、テロ標的としてのトレセン学園が重要な標的だということを政府は痛感したんや」
まあ、トップアスリートが集まるトレセンはテロの標的になりやすいだろう。
「重火器ともなると警察の特殊部隊のSATでも対応は難しい。だから自衛隊を派遣するんや」
まあ、道理はわかる。
「派遣するのは30人、場合によっては増派するかもしれへん」
まあまあな数だな。
それで2000人を守れるのかという疑問はあるが。
「そしてこれは君の昇任とも関係あるんやけど、君はそこの指揮官になってもらう事になった」
いや、人事どうなってんだ。
新人に指揮官を任せるって。
「なにか質問はあるか?」
少し考えた後、口を開く。
「ええっと、まず試験部隊の自分たちから出すんですか?出すにしても警備課では?」
「この基地から出せるギリギリの数が25人。いかんせん自衛隊も人手不足だから非戦闘部隊から出すっていうことになったんや」
人手不足って痛いなぁと思いつつ2つ目の質問をする。
「今までの仕事はどうなるんですか?」
「ええと、それなんやけどな…」
虫の居所が悪そうな顔で答える島崎一尉。
「今までと変わらずやってもらうことになった」
「は!?」
思わず声が出てしまった。
「すいません、素っ頓狂な声を出してしまって」
「いや、気持ちはわかる。ワシだってそうなるだろう」
「やるにしても、機材とかどうするんですか」
「当然向こうの事務所に持っていく、君だけが入れる特別な部屋でな」
特別な部屋とか優遇されてんのか冷遇されてんのかわからんな。
「他に質問はあるか?」
「いえ、特には」
「それじゃ、当日までに準備しておいてくれ」
「大変だとは思いますがm」
「ありがとうな、向こうでも頑張ってな」
そう言われオフィスを出る。
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜。」
いや、業務量おかしすぎだろ。
2つの業務を兼ねろって、上の連中は俺をロボットとでも思ってるんか。
まあ一先ず、荷物纏めに戻るか。
戻ると、アムロ二尉も帰ってきていた。
「おかえり。絞られてきたかい」
「絞られる以上のことになりましたよ」
「ほう、具体的には」
興味深そうにアムロ二尉が聞く
「昇進して二尉になりました」
「何だ良かったじゃないか」
「そして明日転属して、二倍以上の仕事を任せられる事になりました」
「過労死真っ先コースじゃないのか、それ」
「でも上からの命令なので、なんとかやりくりしていきますよ」
「そうか、転属先でも頑張ってな」
「あ、でもテストパイロット業務は続けていきますよ」
仕事が二倍という理由に納得した顔で、アレス二尉が話しかける。
「君も大変だな。でもまあ、これからもよろしくたのむ」
そんなこんなで、荷物とデータをまとめていると終業時間となった。
家に帰り、夕食を食べているときだった。
「なんか仁君元気無いにぇ。どしたん、話聞こか」
「えっ、そんな顔に出てましたか」
「うん。だよねすいちゃん」
「みこの言う通りだよ。仁君、何があったのか教えて」
「えっと、簡潔に言うと明日から転属で仕事量が二倍になります」
「「「「仕事量が二倍!?」」」」
全員の驚いた声が、家を揺らす。
ちなみにみこさんと星街さんはビデオ通話している。
「えっ、えっ、なんでそんなことに」
「どうにも人材不足らしくて今までの仕事と兼任するしか無いみたいです」
「それにしても仕事量二倍はやりすぎだろう、なあ母さん」
「そうね。辞めてもいいくらいよ」
「でも仕事量はある程度調節できるだろうし、大丈夫だとは思うよ」
「い〜や、大丈夫じゃない。辞退するべきだよ、仁君」
「いやでも、もう決まっちゃたことだし」
「そもそも2倍っておかしいよ!常人じゃできないよ!」
「う〜ん、じゃあ数カ月やってみてまともにできなかったら。訴え出るということでどう?
他の人もいるわけだし、思ったよりは大丈夫かもしれないよ」
「う〜〜〜ん、限界だと思ったらすぐ辞めるのよ」
納得しきってない様子で母さんが答える。
「わかったよ、母さん」
そんなこんなでなんとかこの話は決着がついたが、若干暗い雰囲気になってしまった。
「そういえば、転属地ってどんなところなん?」
この雰囲気を打開するため、みこさんが話題を投げかけた。
「聞いて驚かないでね、トレセン学園です」
「ふ〜ん、トレセン学園.........トレセン学園!?」
またしても一同の視線が俺に向けられる。
「どっ、どうしてそんなとこに?」
驚いた顔で星街さんが質問する。
「何でも、テロの標的とかになりやすいから、自衛隊の部隊を置くことになったらしい」
「ふ〜ん、確かにこのまえの事件にもあるし当然か」
「まあね」
「それにしても、トレセン学園かぁ〜。一応行ったことあるよ、私」
「えっ行ったことあるんですか、星街さん」
「うん、3ヶ月前に。テレビに映す感じでだけど。みこちと一緒に特別講師として授業したね」
4年活動している星街さんは5ヶ月前に登録者100万人を達成しており、注目性の高いアイドルだったため、呼ばれたのだろう。
一方のみこさんも順調に登録者を増やしており、先日登録者9万人を突破し10万人目前となっており、同じ家に住んでいるということもあって呼ばれたのだろう。
「どんな感じでした?」
「まあ、普通の学校って感じだったけど、ほぼ全員が真面目に聞いてくれたり、ノートを取ってたりしてて、エリートたちだと感じたね。その分個性的だったけど」
「みこもそんな感じ。選びぬかれた天才って感じがしたにぇ」
やっぱり、ゲームと同じように相当なエリートが集まっているようだった。
アグネスの連中とかバクシンもいるのだろうか。
そんな感じでトレセンについて聞いていき、ある程度の情報は集められた。
その後風呂に入り、布団に入って、眠りを待っていた
「それにしても、トレセンか…」
トレーナーとしても行きたかった感じもあるが、今更どうにもならないだろう。
まあまずは、自分の職務を全うするのが優先だな。
仕事への重すぎる不安と新任地への期待を持ちつつその日は眠りについた。
次の日 2032年7月7日 6:00 トレセン学園着任当日
基地と比べると距離が離れているので、早めに家を出たが、予定時刻の30分前に着いてしまったので、来客用の駐車場に車を止めていた。
夏だがまだ日が完全に出て来て無いこともあってまだ過ごしやすく、心地よい風が頬を撫でる。
「しかしまあ、ここの生徒は真面目なもんだな」
少し目をやると、朝から外周に励んでいる生徒たちが見える。
「あれって、こないだ言ってた自衛隊の人?」
「そうじゃないの?それにしても自衛隊が駐屯するとはね」
「それな!いくらなんでも過剰過ぎない?」
「そうね、警察ぐらいだと思ってたけど自衛隊って」
「まあそれほど重要視されてるってことじゃないの」
「そうかもね」
そんな、生徒の雑談が聞こえてきた。
まあ確かに、自衛隊は過保護すぎるかもしれない。
けど、こんな重要施設にはどんな攻撃が来るか分からない。
それこそSATすら対応出来ない攻撃が来るかもしれない。
だからこそ、我々が派遣されたのだろう。
こんなふうに雑談ができる日常を守っていこうと、改めて決意を固める。
気づくと、時計の針が6:45を指していた。
そろそろ行くかと校門へと向かって歩き出した。
6:25 トレセン学園校門前
校門前に着き、ちょいちょいと登校してくる生徒を見ていると、前の世界のゲームで見慣れた緑の帽子がやってきた。
「おはようございます。もういらっしゃってたのですか」
「おはようございます。自衛隊は時間に厳しいもので。ちなみに他の隊員はまだ?」
「いえ、3,4人ほどもういらっしゃっていますよ」
念の為時間の三十五分前に来てみてたが、それより前に来てる連中がいるのか。
「一先ず理事長室に案内するので、付いてきてください」
そう言われ、一先ずついていくことになった。
「そういえば、まだ自己紹介していませんでしたね。改めまして、
「それではこちらも。今日からトレセン学園に配備されるトレセン学園駐屯隊にの隊長となりました。戦略自衛隊二尉、山本仁です。よろしくお願いします」
「こちらこそ。よろしくお願いします」
そんなこんなで、身の上話をしていると理事長室へと着いた。
たづなさんが扉を叩くと、「許可!!入ってきてくれ!」と元気のいい声が聞こえた。
扉を開けると、やよい理事長がソファーに座っていた。
やはり、ゲームの通り相当小さいな。
たづなさんに促され、対面のソファーに座ると理事長が話し始めた。
「歓迎!!トレセン学園へようこそ!私の名前は秋川やよい!
「歓迎してくださり、ありがとうございます。今日からトレセン学園に配備されるトレセン学園駐屯隊の隊長となりました。戦略自衛隊二尉、山本仁です。よろしくお願いします」
「うむ、これからよろしく頼むぞ。ここでは自衛隊という職業上、よくない目で見られるかもしれんが、頑張ってくれ!私達も最大限協力する!」
「ありがとうございます。本官も粉骨砕身の覚悟で努力していきます」
「感心!!たづなっ、このあとの予定を教えてくれっ!」
「はい、このあとは全校集会に出席した後、自衛隊の業務に移ることになっています」
「ありがとうございます。それでは今後の予定なんですが………」
その後は、今後の予定について話していると全校集会の時間となったので移動する。
9:00 会議室
「開始!!これより全校集会を始める!」
全校集会はオンラインで各教室に中継されていた。
まあ、2000名もいたら流石に体育館に収まらんし、当然か。
そんなくだらないことを思っていると、自分の番が回ってきた。
「それでは、今日からトレセン学園に配属されました、自衛官の山本仁二尉からです」
たづなさんが退壇し、俺が代わりに登壇する。
「はじめまして、本日よりトレセン学園に配備となったトレセン学園駐屯隊の指揮官、山本仁二尉です。昨今の情勢によりここ、トレセン学園へ配置されました。本隊の任務は皆さんの安全を守るためでありますので、その意義を果たしていくつもりであります」
「山本二尉、ありがとうございました」
そう言われ、退壇したづなさんへと切り替わる。
「それでは、本官は元の任務へと戻ります」
「うむ、頑張ってくれ!」
理事長へ別れの挨拶をした後、自衛隊の建物へ向かう。
「え〜と、ここか」
その建物は二階建てで縦横25mくらいの建物で、壁や屋根はトレセン学園と同じなようだ。
隊員証を見せると、入れてくれたため、オフィスがあると事前に聞いていた二階へと向かう。
ガチャ
「おはよう」
ザッ
「「「おはようございます」」」
「楽にしてくれ、今日は一先ず明日からの仕事の準備に励んでくれ。命令は以上だ」
「「「わかりました」」」
命令を伝えた後に、言われていた自分のオフィスへと向かう。
キーカード式となっており、隊員証をかざすと扉のロックが解除された。
ガチャ
「ほ〜中はこんな感じなのか」
中は一般的な事務室になっており、中央に事務机がある。
カチャリ
どうやら、扉は俺が入ると自動でロックされるようだ。
机の周りにある資料を探って見ると、装備の保管数や隊員の名簿があった。
「後でしっかり確認しないとなあ」
そうして、ある程度資料を確認した後に件の部屋の扉を探す。
すると、不自然な壁のモールドを発見する。
モールドを押すと、キーカードリーダーと生体認証装置らしきものが姿を表した。
キーカードに加えて、指紋と虹彩で確認するらしい。
ガチャン
ここは自動で扉が自動で開くようだ。
「中はそんな変わらないな」
その中は前の部屋とそんな変わらなかった。
部屋の奥にある球状の物体以外は。
「改めてみると、シミュレーターでかいな」
前は、部屋に埋め込まれる形だったので大きさを実感出来なかったが、改めて見るとその巨大さを実感する。
まあ、部屋や環境が変わったところで、やることは同じだ。
「さあて、仕事頑張りますか!」
配備装備
銃器
9mm拳銃 SFP 35丁 (30丁+予備5丁)
9mm機関けん銃 15丁 (10丁+予備5丁)
20式5.56mm小銃 25丁 (20丁+予備5丁)
5.56mm機関銃MINIMI(B) 6丁 (4丁+予備2丁)
7.62mm対人狙撃銃G28E2 4丁 (3丁+予備1丁)
対物狙撃銃 3丁 (2丁+予備1丁)
12.7mm重機関銃M2 2挺 (1挺+予備1挺)
火砲・対戦車兵器
84mm無反動砲(B) 2門 (1門+予備1門)
91式携帯地対空誘導弾 2セット
車両
軽装甲機動車 1両
高機動車 2両
中距離多目的誘導弾 1両
弾薬
5.56mm弾 一万二千発
7.62mm弾 二千発
9mm弾 七千発
12.7mm弾 八千発
84mm砲弾 三百発
中距離多目的誘導弾 百二十発
これらの装備は建物の地下に保管され、厳重に隔離されている。
また、この保管庫とは別に地下射撃場が存在する。