GANTZ:Another Reboot   作:ユーブロン

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お待たせしました。
主人公のいない場面は概ね原作と同じですので今回は話が大幅に進みます。
それではどうぞ。


0004 ねぎ星人 〜その2〜

「大丈夫?ついて来られる?」

「う、うん、ありがとう」

 

ねぎ星人討伐に向かった連中を追っている恵留は、行動を共にしている少女に声かける。渡した靴は紐で無理矢理合わせているが、やはりサイズが大きく少し歩きづらそうだった。

 

(かえって迷惑だったかな?でも怪我されてもなぁ…)

 

恵留は余計なお節介をしてしまった後悔を抱きつつも、早く家へ帰さねばという決意を改めて先を急ぐ。

 

「……ねぇ、加藤くんって」

「ん?」

 

すると少女は突然加藤のことについて質問を切り出した。

 

「加藤くんってどんな人なの?」

「あー、実は僕も今日初めて会ったから、よくわからないんだ」

「そう、なんだ…」

 

恵留の回答に残念そうな反応を示した。だが恵留は、それに付け加えるように話を続ける。

 

「でも、すごくいい奴なのはわかるよ」

「え……?」

「えっとね、ここに来る前もさ、電車に轢かれそうになってる人を助けようとしてたんだよ。なかなか出来ることじゃないよ」

「そう…ッ、そうなんだ!」

 

よほど加藤が気に入ったのか、彼の話をすると少女はパァッと表情が明るくなって聞き入ってた。話してる恵留も加藤には好印象を抱いていた。

もっと彼について聞かせてあげたいが、これ以上の情報を持っていないことが悔やまれる。

そんなことを思いながらしばらく歩いていると、

 

 

「何ガンくれてんだコルァ!!」

 

 

「…ッ!今のって…」

 

ちょうど今向かっている先に聞き覚えのある怒声が聞こえる。少女がこちらにも聞こえたかどうか確かめるように恵留を見てくる。

 

「うん、僕にも聞こえた」

「もしかして、また加藤くんと喧嘩に」

「あり得るね…、あっちの方向から聞こえて——」

 

 

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオ

 

 

「「!!?」」

 

 

恵留が指差した方向からさらに、猛獣のような雄叫びが聞こえてきた。どう聞いてもあのヤクザのものではない。というか、人間の声とは思えない。

脳が全身に警告している。この先に行くなと。

 

「どうする?行く?」

「…………ッ」

 

そして少女もただならぬ空気を感じとっており、恵留の問いかけに答えられず、声のした先を見つめて身震いをしている。

意を決した恵留は、

 

「……ここで待ってて、なるべくすぐに戻るから」

 

そう言い残し、少女を置いて様子を見に行こうとする。だが、

 

「あ、待って!」

「ん……?」

「私も行く…、加藤くんが心配だし……」

「……わかった…、じゃあ急ごう!」

 

本当はあまり連れて行きたくはない。だが置いて行くにしても、もう安全と保証できる場所はどこにもないだろう。何かあればこの娘を命懸けで守らなければならない。この決意が無駄になることを祈りながら恵留は先を急ぐ。

そうして謎の咆哮が聞こえてきた大体の方角へ2人は駆け足で向かっていると、案の定あの集団がいた。そこに当然加藤もいた。

 

「あっ、加藤くんいた!」

「いや待って、なんか変だ……」

 

だが、やはりと言うべきか、何やら異様な様子だった。()()を一目見た瞬間、恵留はゾワッと総毛立つ感覚がわかった。

2メートル以上はあろうかという大男が、少女を襲い、加藤と取っ組み合っていたあのヤクザの頭部を掴み、片腕で持ち上げていた。その大男に金髪の青年らは銃を向け、睨み合う形となっている。

 

「なに……?なんなの……?」

 

(あの大きい人…、人なのか?ねぎ星人に似ている。まさかアレの親……?)

 

さらに彼らの中心をよく見ると真っ赤な液体と謎の肉塊が地面と塀にぶち撒けられている。まさか、あのねぎ星人の子供の変わり果てた姿だとでも言うのだろうか。

 

「わっ、わかった!悪かった!!悪かった!!」

バベギョニチュニダモ!!ヴォッ ゾンダゴゲーニバ!!

 

憤怒の表情で血涙を流し、未知の言語を使うねぎ星人の父親と思われる大男。その鋭い爪が生えた手にヤクザは顔を掴まれ許しを乞い、もがいていた。だが、息子を寄ってたかって追い回した挙げ句になぶり殺しにした者を許す親はいないだろう。

 

「死っねっ!」

「!?」

 

そして膠着に耐えかね、ついに金髪の青年が大型の銃の引き金を引く。

 

 

    ギョーーーン

 

 

「な……、撃ちやがったな、てめえ」

「あ…、やべえ…ッ」

 

しかし、ねぎ星人の父親は掴んでいたヤクザを盾にするように青年の前に突き出した。銃から奇怪な電子音と強烈な光が発せられたが、撃たれたヤクザに影響は見られない。だがヤクザは「よくも撃ちやがったなてめえっ!!!」と怒りを露わにし、青年は取り返しのつかないことをしてしまったように「すっ、すみませんっ、すみませんっ!」と謝り倒している。

 

「なんだ?あの銃で撃たれると何かやば———」

 

 

     バァンッ

 

「……ッ!!?」

「ヒッ……!?」

 

ヤクザの身体は撃たれた箇所を中心に爆ぜ、肉片を辺りに飛び散らせた。残った下半身は崩れ落ち、胸から上の上半身はねぎ星人に頭部を握りつぶされ地面に落下した。

 

 

「キャァァァァぶッ——ンーーーー!!」

「静かにッ、隠れろ!」

 

わずか十数メートル先の惨状を目の当たりにし、少女は当然ながら悲鳴をあげようとしたが、恵留はすぐさまその口を塞いで彼女を抱え、曲がり角まで戻って身を隠した。

 

「お゛ええええ」

(……ッ、なんなんだ!?どうなってんだいったい!?)

 

少女が自分の手のひらに嘔吐するのも厭わず、自分ももらいゲロしそうになるのを必死に耐え、声を押し殺した。

 

「うわーーーーーッ」

「ウオオオオオオオオオオオオ」

 

青年の悲鳴と『ギョーン、ギョーン』という奇怪な銃声が鳴り響くが、ねぎ星人の雄叫びと斬撃音でかき消され、彼らの抵抗虚しく鏖殺されることが恵留には見ずともわかった。彼らから十数メートル離れた位置からでも鉄に似た血の匂いが恵留の鼻腔をつく。

 

(どうしようッ、なんとか助けなきゃ、せめて加藤くんだけでも……、でも今出て行ったら、僕もあの人たちの二の舞だッ、どうすれば……、オ゛ぇッ、吐きそうだ……ッ)

 

少女を抱きしめて口を塞ぐ手と、かろうじて立っている足が震える。そのとき……、

 

 

    パンッ

 

(!?)

 

乾いた音が鳴り響いた。恵留は恐る恐る曲がり角の影から覗き見る。片腕を失ったもう1人の白スーツのヤクザが、銃をねぎ星人に向けていた。黒い球の支給品ではなく、通常のハンドガンで応戦していた。白スーツのヤクザが何度も発砲し、ねぎ星人を壁際まで後退させていく。やがて全ての弾を撃ち尽くしたあと、遂にねぎ星人は倒れ伏した。白スーツのヤクザも力付き倒れた。

 

生き残ったのはただ1人、辺り一面血の海の地獄絵図の中、加藤は佇んでいた。

 

 

「ハァ、ハァ、もう嫌だ……」

「加藤くん!!」

 

恵留は少女を民家の塀の内側に隠れさせ、憔悴しきった加藤のもとに1人駆けつけた。

 

「加藤くん、大丈夫!?」

「ハァッ、ハァッ、は、かり……、俺……」

「この人たち……ッ、加藤くんは休んでて!」

 

まさに死屍累々といった状況である。それでも恵留は彼らの中に1人でも生存して欲しいと望みをかけ、むせ返る血の匂いに耐え、容態を調べ始めた。

 

(…!この人はまだ息がある!手当てが早ければもしかしたら……ッ)

 

比較的傷が浅い人物に目を向ける。しかし出血が酷く、措置が遅くなればなるほど危険な状態だ。恵留は彼の衣服を破き、傷口にグルグルと巻きつけ止血を試みた。

 

(これでいいのかな?でもこのままじゃ傷口にバイ菌が入るよなぁ…、何にしても早く病院に連れてかないと。次は……)

「おい葉狩……逃げろ…」

「え?どうしたの?加藤———ッ!?」

 

加藤の声に振り返ると、白スーツのヤクザによる9発もの凶弾に倒れたねぎ星人の父親が起き上がり、加藤を睨みつけていた。

 

 

 

  ● ● ●

 

 

 

「よかった、よかった……TVだったんだ………、………!?あれ?手は?手がないぞ」

「山田さん!?」

 

ねぎ星人の父親に両腕を切断され、そのまま失血死したかと思われていた小学校教師の山田が意識を取り戻した。だが、自身の失った両腕を見て錯乱状態に陥った。

 

「そうだっ、またあの部屋に戻るんだ!そうに決まってる!」

「山田さん落ち着いて!あなたは助かります!どうか暴れないで!!血がっ、血が出ちゃう!!」

「離せェ!催眠術なんだ!これはTVなんだ!また何事もなかったようにッ」

 

恵留は暴れる山田を宥めて必死に止血を施そうとする。しかし、芋虫のようにのたうち回り、服を裂いた布の量も足りないため上手くいかず、そのまま衰弱していく。

 

「そうだ、あの時みたいに……、また戻るんだ………」

「あぁ……、死んじゃった……ッ」

 

山田は再び意識を失い、そのまま事切れた。彼がTV番組だと疑うことは最期までなかった。

 

「助けられなかった……ッ」

「……葉狩」

 

目に涙を浮かべて悔やむ恵留を横目で見る加藤にねぎ星人が血溜まりをビチャビチャと音を立てて踏みながら近づいてくる。

 

「あっ、あんたの気持ちはわかる……、だから」

「か、加藤くん……」

 

 

「ズゴヌアバッ ジオニバッ グァッア゛ッ」

 

未知の言語で何かを訴えかけているねぎ星人の父親。理解できなくとも、息子を殺された怒りをぶつけているのは伝わっている。

 

(どうする?この銃使うか?でも、この位置じゃ加藤くんにも当たるかもしれない。それに……)

 

恵留はスーツの右腿部に装着された銃に手をかけるが、人体を容易く弾き飛ばす威力を誇る銃を自分が扱う。その実感が恵留に銃を使うのを躊躇わせた。

 

「俺に出来ることはなんだってする、だから……

 

 

 

 

 

そこにいる葉狩と、もう1人の女の子には手ェ出さないでくれ!!」

 

「……ッ!!」

 

加藤のその言葉を聞いた瞬間、恵留は胸の奥からマグマのように熱い何かが湧き出てくる感じがした。それがあらゆる恐怖感を焼き尽くし、消し飛ばしてくれる様だった。

 

「そいつらは関係ない!だから」

マガッマヌガッズマッズマッ

「くそっ、伝わんねーか、ちくしょう…」

 

加藤は落胆すると同時に持っていた銃を構える。「落ち着け俺、落ち着け」と自身に言い聞かせ、呼吸を整えながら狙いをすませる。その加藤にねぎ星人は鋭い爪を携えた左腕を振り上げた。

 

「!?」

 

加藤は躱すと同時に、銃口をねぎ星人の顔面に突きつける。ヤクザや金髪の青年らが持っていたそれとは形状が違うが、そのままトリガーを引けば勝ちは確定するだろう。ねぎ星人の額に汗が流れる。しかし、

 

「ハァッハァッハァッ、……だめだ…、やっぱ、だめだ……」

 

加藤はそのまま銃を下ろしてしまった。

戦意を失った加藤に再びねぎ星人は強靭な爪を振り上げた。

 

 

 

 

     ガンッ

 

「ヴ…!?」

 

ねぎ星人の後頭部に衝撃が走る。それは音ばかり派手でねぎ星人にとっては軽く小突かれた程度のものだった。ゆっくりと背後を振り返ると、何かを投げた様な姿勢の黒いスーツの少年、足元にはアタッシュケースがあった。

あろうことか、恵留は自身のスーツの入っていたアタッシュケースをねぎ星人の後頭部目掛けて投げつけたのだ。

 

「こ、こっちだデカブツっ!ぼ、ぼ…、僕が相手だ!」

 

ねぎ星人はその少年を凝視すると右腿部の銃に目を付けた。息子を惨たらしく殺したヤクザたちと同じもの。ねぎ星人の父親は恵留を彼らの仲間だと判断し、憎悪の雄叫びを上げた。

 

「ウオオオオオオオオオオオオ!!」

「……!!加藤くん!救急車と警察呼んで!!」

 

恵留はそう言い残し、踵を返して駆け出した。ねぎ星人もそれを追うように走り出す。

 

振り返る直前に視界の端で加藤がこちらに何か伝えようと声をかけ、手を伸ばしていたが恵留の耳に届くことはなかった。

 

 

 

  ● ● ●

 

 

 

(やっちゃったッ、やってしまった!!なんであんなことを!!?)

 

恵留はねぎ星人を引きつけるなり後悔していた。心の熱く燃えたぎる様な闘志も急降下、消え去ったはずの恐怖に飲まれ冷え切っている。

ねぎ星人は一定のペースで追ってきている。恵留がスタミナ切れを起こし、追いつかれたが最後、先のヤクザや山田ら同様ミンチにされることは間違いないだろう。

 

(やっぱりこの銃で、ああいや、これにはタイムラグがある。もしちゃんと当たったとしても効果が出るまでに僕が殺されて相打ちになるかもしれない!)

 

極度の緊張感で出た脂汗で脳までふやけていく様にどんどんまともな判断がつかなくなっていく。

 

(あああッ、いつもみたいにすぐ決断ができない!……だれかッ)

 

「誰か!たすけ——」

 

 

 

 

    ドンッ

 

「!?」

 

背後から何かぶつかる様な大きな音がした。振り向くと、乗用車が停まっており、ねぎ星人が大の字で倒れてる。どうやらその乗用車に轢かれたようだ。

車から2人組の男性が降りてくる。

 

「だ、大丈夫ですかァ?」

 

 

「ハァッハァッ……!!ダメだッ、車から降りてきちゃダメだ!!」

 

ぶつかったねぎ星人に呼びかけている2人組。恵留は細心の注意を払い、2人の男性とねぎ星人からある程度距離を取って声をかけた。

 

「ソイツに近づかないで!車に戻ってください!」

 

「誰もいないじゃん」

「うん」

 

「え……?」

 

だが彼らの目にはねぎ星人は見えておらず、恵留の声も聞こえていないようだった。

 

「行こ行こ」

「猫かなんか撥ねたのかな」

 

2人は車の中へ戻って行き、そのまま走り去って行ってしまった。

 

「どーなってるの?……ハッ!」

「う゛っ、ゔぅ〜」

 

呆然と立ち尽くすのも束の間、ねぎ星人が起き上がろうとしているのを見ると、すぐにその場を離れた。入り組んだ道を活用してとにかくねぎ星人の目をくらまそうと立ち回る。

そうして恵留は住宅街を走りながら自分の置かれている状況について思考する。

 

(考えて見れば、あれだけの騒ぎで近隣住民の1人も出てこないなんて……、やっぱり死んじゃってるのかな?ぼくら…)

 

電車に撥ねられ、死んだはずなのに見知らぬ場所で生きているそもそものこと。そして車に乗っていた2人の男性の反応からして、自分はおろか、ねぎ星人の姿が全く見えていないこと。

このことから自分たちはすでに死んでいて、幽霊としてこの世に存在しているとでも言うのだろうか?まるで某映画の主人公、そのラストシーンで描かれた切ない境遇のように。

 

(しまった!さっきねぎ星人が倒れてる隙にこの銃で撃ったら終わりだったじゃん!はぁーーーなにやってんだろ僕!!)

 

過ぎ去った好機にその場で頭を抱えそうになる。

 

(でもそのかわりに、いいこと思いついたぞ…)

 

少しずつ冷静さを取り戻した恵留は打開策が頭にふと浮かんだ。それを実行すべくすぐに行動を起こした。ねぎ星人にバッタリ遭遇しないように警戒を怠らず、ある場所へと向かった。

 

「ハァ、ハァ…、やっぱり、あったぞ」

 

その場所へとたどり着いた恵留は、最後の反撃の準備に取り掛かった。

 

 

 

  ● ● ●

 

 

 

青白い顔に緑色の頭髪といったねぎ頭の大男が目を覚ました時には、黒いスーツの少年はすでにいなかった。車に轢かれて意識を失っていた時間は僅か数秒だったが、その間にそそくさと姿を消し、完全に見失ってしまった。

 

 

「グルルオオオオオオオオオ!!」

 

憎しみの渦に飲まれたねぎ星人は慟哭した。ヤツは息子を殺した一味の仲間だ。そうに決まってる。必ずこの手で殺してやる!次にあの背の高い青年だ。こちらに何か伝えようと話しかけてきた。言葉はわからなかったが多分命乞いだろう。息子の無念を晴らすべく、必ず皆殺しにしてみせよう。

彼はそう心に誓い、カチカチと自慢の爪を鳴らしながら住宅街を彷徨い歩く。

するとそのとき、

 

 

「おーーーい!」

 

「!?」

 

どこからか声が聞こえてくる。若い男の声だ。そう離れた場所ではない。

 

「ねぎ星人ーーーー!!出てこーーーい!!」

 

「グォォ!!」

 

今ヤツの声は他の者には聞こえていない。自分から居場所を知らせるようなことをするとは、愚かなことだ。

そう言わんばかりに、ねぎ星人は声のする方へ向かう。

 

ねぎ星人は崖下の街道へと続く階段の前に来ていた。ヤツの声はこの辺りから聞こえた。辺りを見まわし、憎き怨敵を探す。

その背後、ねぎ星人を挟んで階段の十数メートル離れた場所に恵留は立っていた。

 

(よし、良い位置に立ってくれた)

 

この住宅街は坂道が多く、傾斜地に作られており、高低差のある長い階段がどこかにあると推測していた。恵留はねぎ星人から逃走しながら脳内でマッピングし、階段のありそうな場所に目星をつけ特定した。そしてそこにねぎ星人を誘き寄せ、階段から()()()()()のが恵留の作戦だ。

 

(このままアイツを振り切って逃げることは簡単だ。正直そうしたい。でも……、そうすればアイツは加藤くんやあの女の子を殺しに行くかもしれない…、僕がやるしかないんだ)

 

スゥーー、ハァーーーー

 

呼吸を整え、リレーのスタートのような姿勢をとった。

 

(よぉし……、やってやる!!)

 

そのまま恵留はねぎ星人のところへ一直線に走り出す。防御も、相手からのカウンターも一切考慮せず突進していく。助走を十分につけ、ねぎ頭の大男を突き落とすために!着ているスーツからメキメキと音がすることにも気に留めずに突っ込んでいく。

 

グ!?ズモア!!

 

(気づかれた!しかし押し切る!!)

 

ねぎ星人に気づかれた時にはもう5メートルを切っていた。その距離も瞬く間に埋まっていく。ねぎ星人は迎え撃つように左手の爪を繰り出す。

 

グオァ!!

「ッッッ!……カア゛ァ゛!!」

 

恵留はねぎ星人の爪が振り下ろされるより早く懐に入り込み、己の全体重をかけた体当たりを腹部に叩き込む。

 

ガフッ!?

 

渾身の一撃が入った手応えを感じると、恵留はすぐにブレーキをかけるように足を踏ん張った。

 

「おぉっっとっと……っと!??」

 

階段のあと一歩手前のところでどうにか踏みとどまり、腕を回して体重を後ろに流して転落を免れた。

その時顔を上げた恵留が見たものは、放物線を描き、街道へと落ちていくねぎ星人の姿だった。

 

 




階段のシーンは原作主人公の玄野と、今作のオリ主の恵留の生き様の違いを極端に表しているため、こだわって書きました。

感想、ご意見お待ちしています。

次回もご期待ください。
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