勝利の女神:ゴッデンドンデンドンデンドン   作:白あん

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 最近真っ当に何も書けてなかったので、即興で書き散らしていきます。
 作者はあんまりニケに詳しくないし、ノリだけの代物なので、どう着地するつもりなんだろう、これ………(他人事)と思いながらやっていくので、ブラウザバック大推奨。



1話『異世界で、女の子になってました。今は農家やってます』

 

「今はネットさえあればどこでも名作観られるからいいよなあ」

 

 大人になると、世界が広がる。

 

「そういえば、まだトップの続き見たことなかったっけ」

 

 その代わり、子どもの頃のような自由さがなくなる。

 社会に出て、忙しく働いていると時間はどんどん加速していき、自分の身体が一つだったことを知ることになる。

 

 昔、アニメ好きな先生が学校にいて、先生が好きなアニメの続編が映画でとうとう出て、俺は真っ先にこの感動を先生と共有しようと話に行ったのだが、「ああ……見れてないんだよねえ」と言われ、ならばと数か月経っても………それこそ、映画公開ギリギリまで待ってみたのだが、先生は結局申し訳ない顔をするばかりで、子どもの俺はひどく裏切られたように感じて、暫く先生を許せなかった。

 

「見る時間、無くなっちまうんだよなあ」

 

 それだけじゃない。見るための精神的な体力もどんどん削られていく。

 これが、あの時の先生だったのかと、心底申し訳なく感じる。どれほど今見るべきだと思っていても、作品のカロリーを余さず受け止めるだけの体力がないと、仮に時間が作れたとしても見ることが出来ないのだ。これから受け止めることになる超高カロリーを夢想して、それだけの高火力を受け止められるか自身のメンタルと相談して、メンタルの方が無理だと言い出すとどうしようもなくなる。無理に行けばいいと言われるかもしれないが、無理をして折角子供の頃に青春を共にした名作の続編を100%楽しめるのか? お前はそれでいいのか? と自問すると、どうにも見れなくなってしまう。

 

 嫌いになったわけではない。好きじゃなくなったわけでも、絶対に時間が無くなったわけでもない。

 ただ、自分が人間で、人間の身体はたった一つで、身体と精神のリソースも有限なのだと、今さら気づいてしまうのだ。

 

 そんなことを考えながら、部屋を暗くして、自宅専用のPCからHDMIで出力したテレビの画面を見る。

 

 自分が学生の頃、ロボットアニメの名作として無印の方は見たことがあった。確か、友達の家で休日にぶっ続け全部見たんだっけ。時間がいつの間にか消え去っている怖さと、それを有り余る勇気を覚えている。

 

 暗い部屋。

 誰もいない家の中を若干寂しく思いながらも、俺はただ一つ輝く光に向き直った。

 

 

「よーし、見るか! トップ2!」

 

 

 

 

「う、うう………あったま、いったぁ………」

 

 ズキズキと痛みを覚える頭を押さえながら、肌に触る地面の粗さに顔をしかめて、上半身を起こす。

 

 目を開けて最初に飛び込んできたのは一面の緑と畑。

 空を見上げれば、青い空にお日様がさんさんと輝いていた。

 

「………外?」

 

 外。

 明らかに自室のベッドの上などではない。

 未だぼーっとする頭でのどかで平和な景色を眺めていると、ふと、視界の端に桃色の絹糸が入り込んでいるのに気が付いた。。

 

「なんだこれ………頭にくっついてる? ウィッグ?」

 

 視界をかすめるその見慣れない、だが自然な配色の明らかに安物ではなさそうな超高級品だと思われる謎のウィッグを視線で追っていくと………それが、背中まで続いていることに気づき、同時に自分の胸部になにやら視界を邪魔する、二つの谷間があることに気づいた。

 

「………? ッうひゃ!?」

 

 何気なく両手で触ってみると、何故か自分の身体を触ったような感触と未知の感覚に変な声が漏れる。

 

 声。

 声?

 ………女の子の、こえ?

 

「は? ………はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

 なんだこれ、なんだこれ!?

 

 い、いや何?? これ、もしかして本物の胸?? まさかとは思うけど、俺の身体の一部として、くっついている─────!?

 

「か、鏡………そうだ、鏡………」

 

 想定外というか、想定できるはずもない何かに混乱しながら、俺はこの不可思議現象の全容を確かめるためにラーの鏡を求めたのである。

 

 しかし、そんなものは見つからない。ここは外だ。何もない、緑と澄んだ空気だけがあった。

 

「あ、家だ」

 

 未だはっきりとしない、痛みを伴う頭を押さえながら、恐らく民家と思わしき家の窓─────俺の今の姿を映してくれる、白いカーテンを奥に持つガラスへと近づいた。

 

 そして俺は、漸く自身が今どんな姿をしているのか、何に変化してしまったのかを知ることとなった。

 

 それは、ピンク色の髪に、特徴的な十字架を秘めた青い瞳の少女。

 そして何より、特徴的な黄色い「の」の形をした髪留めと、頭の頂点で主張しているピンクのアホ毛。

 

 

 ノノ。

 それは、つまり。

 

 

「な、7号……!? って」

 

 

 ─────だれ、だっけ………?

 

 

 

 

 

 

 

「おっかしーなあ、アニメ系の何かだった気がするんだけど」

 

 ぼやきながら運んでいるのは俺を拾ってくれた農家のおじいさんたちの畑で採れた収穫物だ。

 今日も今日とて見ず知らずの全裸系美少女と化していた一般未成年不審者を三食付きで住まわせてくれる彼らのために、炎天下の中せっせと働く。

 

「野乃ちゃーん! 次、ジャガイモのほうお願ーい!」

「あ! はーい! よーし、次はジャガイモさんだなー! ………って、またかぁ」

 

 咄嗟に出た『ジャガイモ』へのさん付けに少しげんなりする。

 この身体になってから3年。色々と分かったことはあったり、なかったりしていたのだが、その中の一つがこれ。どうやら、理由は全く不明ではあるが、言葉遣いというか、ワードのチョイスが若干女の子っぽくなっているのだ。

 

 そして『野乃』という名前はこの身体に則した名前を使っているわけではなく、俺の元の名前が思い出せなくなってしまったため、仕方なくこの異世界に迷い込んだ直後に覚えていた『この身体の名前』を名乗っているだけ。もう一つの『7号』、という明らかに人名ではないコードネーム的な呼び方はこの際無視した。そんな名前を名乗られたら、俺でなくとも困惑する。二つ選択肢があるのなら、より自然で親しみやすい名前の方が適切だろう。

 

 野乃…………ノノ、という名前は………当初は違和感というか、自分の名前であることに結びつきを見いだせず、呼ばれても返事を返すことが出来なかったりしていたのだが、まあ、3年も毎日呼ばれ続けて返事をし続けていたらそれなりに慣れた。慣れるしかなかったというべきか。

 

 ちなみに髪色については何も指摘されなかった。どうやら、元の世界であまり見かけない奇抜なカラーリングの髪色も一般的にそれなりによくいるらしい。アニメの世界か何かか。ともあれ、元の世界と似ているようで違う世界であることは確かなようだった。

 

「ふう、これでよしっと!」

 

 目覚めたばかりの頃は明らかに動かし慣れていなかったこの身体もそれなりに動かせるようになった。

 体力はあるし、少女の割にはそれなりに力もある。拾ってくれた老夫婦は見た目的には未成年の俺が学校にも行けず、毎日畑仕事の手伝いをしていることに思うことがないわけでもない様子だったが、俺は実年齢は未成年ではないし、なにより日々お世話になりっぱなしのあの人たちにこれ以上負担をかけるわけにはいかない。彼らは俺のことを「娘のように思っている」と言ってくれたのだ。知らない世界で、知らない身体で、名前すら失った俺を、だ。

 

 ………それに、ここはかなりの田舎だし、仮に学校なんて行くことになったとしても近場にそんなものはないので、結局のところ自分一人で引っ越ししないと話にならないらしい。昔はこの辺にもあったようだが、今は今。どうにもならないので嬉々と彼らを説得し、今に至る。………せめて勉強はしておきなさいと、どこかから用意された高校までの………異世界の常識が書かれた教材と睨めっこする時間が追加されてしまったが、些細なことだ。

 

 なんでもない日常。

 元の生活とはかなり違っているが、俺はなんだかんだ二人と一緒に暮らせている今の生活が気に入っている。

 文明的な場所に行くのは収穫物を出荷するときにお爺さんの何やら妙にハイテクな軽トラックモドキに乗っていくときぐらいであり、偶にある刺激と言えばそれくらいなものだが、他人と囲む食卓は悪くなかった。

 

 そんなときだった。

 

「野乃ちゃん、今すぐここを出るぞ!」

「おじいちゃん?」

 

 時に2030年7月。

 

 ─────俺の暮らす平和な田舎に、人を殺す『宇宙人』と呼ばれる何かの存在が耳に入ったのは。

 

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