勝利の女神:ゴッデンドンデンドンデンドン   作:白あん

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 仕事の合間にちまちま書いてるのと、別作品の執筆も複数同時に行なっているので遅れがちですが、感想と評価沢山貰えたのが嬉しかったので、もう少しだけ書くことにします。


3話『鳥が飛んでいました。お爺さんは、あの日のこと、覚えていますか?』

 

 ─────俺は、鳥を探している。

 

 いつもの畑仕事、その合間にお爺さんが連れて行ってくれた自由な鳥が住む場所。

 

 それは、どこまでもどこまでも広く遠い空へと羽ばたいていて、俺は偶にお爺さんにその光景をせがって連れて行ってもらっていた。

 その光景を、自分は、ずっと見たかった気がするから。

 

 

 俺はまるで、飛ぶことを、飛べることを忘れてしまった鳥のような羨望を覚えながら、お爺さんと一緒に彼らをずっと眺めていた。

 

 

 ☆

 

 ─────目が覚めて、いつも通り艦内スタッフに混ざるべく行動を開始する。

 調理場にも入ってみたいが、今はまだ清掃の仕事だとかの方を覚える方が先だった。

 

 清掃担当のスタッフ先輩に掃除場所や、時間帯、必要なモノだとかどの道具をどこまで使っていいとかをメモにまとめながら今日もゴッデス部隊の移動用飛行艇『勝利の翼号』をぴっかぴっかにすべく、今日も一日モップを片手に燃えていた。

 

 

「よーし、今日もがんばるぞー!」

 

 ☆

 

 二か月前。

 俺はリリーバイスにスカウトされる形で、人類とラプチャーの戦争、その最前線で戦う特殊部隊『ゴッデス』に入隊することとなった。

 もちろん、おばあさんにもこのことは伝えてある。反対されるのは覚悟の上だったし、事実反対もされた。当然だ。あの人は俺のことをただの人間として………ただの少女として、一緒に住んでご飯を作ってくれてたんだから。

 

 どうしても許してもらえなかったらどうするか………そんなことを考えて、やっぱり辞めようか、なんて思ってしまって─────あの家に、お爺さんが居ないといけないことを思い出した。

 

 数度目の電話越しの言葉で、でも本当の言葉をぶつけた。俺は本気で、お爺さんが家に帰ってこれるくらいのヒーローになるって決めたんだ。

 本気の言葉をぶつけた。これでだめなら、お婆さんに嫌われてでも………ここに残るって決めた。

 

 それでも、怖いものは怖いし、嫌われるのは嫌だ。そんな逡巡を繰り返した末に─────「しょうがないね………やるなら、貴女のやってみたいようにちゃんとやりなさい」と返された。

 

 俺はお婆さんに元気よく返事を返し、早速お婆さんとの決着がつくまでは保留にしてもらっていた返事を、研究所からあの日出逢った彼女に送った。

 

 そうして、俺は晴れて研究所から出所し、このゴッデスの基地でもある巨大な鉄の鳥に乗り込んだのだ。

 

 

 

 ☆

 

 

 スカウトした『彼女』がゴッデスに入隊することを決めた、という報せを受けた彼女─────白い髪を持つ最初のニケはその報せを聞いて、ほっと安心していた。もし彼女が断った場合、上層部がそれを口実に彼女を『研究サンプル』として拘束してしまう可能性があったからだ。

 

 

 ─────リリーバイスが『彼女』をゴッデスにスカウトしようとした理由は、会う前と………彼女と会った後では少し変わっていた。

 

 彼女─────ノノはリリーバイスと同じく、ニケのオリジナルのような何かであると上層部は判断した。

 

 いや、厳密に言えば少し違う。

 

 リリーバイスがニケのプロトタイプ、つまり『対ラプチャー用の決戦兵器の雛形』として成立したからこそ後のニケたちは製造することが出来た。

 そして、彼女はリリーバイスよりも以前に存在していた、プロトタイプの更に前身である可能性があるということ。

 考えてみれば当然と言えば当然だった。

 

 リリーバイスはニケになった。

 つまり、表向きの最初の成功例であるが、何事も科学技術というものはトライ&エラーの果てに成功に辿り着くもの。

 則ち、リリーバイスをニケにした当時の科学者達が秘匿していた『トライ&エラー』が存在していたのではないかとは前々から噂されてはいたが、何故かリリーバイスをニケにした彼らはどこかへ消えてしまった。

 

 人類がどんな手段を以てしても、何を使っても、どんな兵器でも、どれだけリソースを注ぎ込んでも一度も勝てなかった未知の敵に、急に勝てるようになった最初の要因。

 いや、それ以前の問題だ。

 

 あの頃、人類は疲弊していた。何をやっても勝てない、何をやっても無駄。

 

 やる気が減っていく、だなんてどころの話ではなかった。

 彼らが一番最初にどんな上等な研究所に所属していたかは不明だが、ニケの開発はまず期待されているような類ではなかっただろうし、用意されたリソースも防衛方面よりは優遇もされていなかっただろう。

 

 

 なのに彼らは成功した。たった一発で。まさに奇跡。

 

 ……………という、明らかに上層部にさえ開示していない部分がある前提の背景で、リリーバイスという表向きの『オリジナル』は誕生した。

 

 何か後ろめたいことがあったのか、─────それとも、『彼女』こそが、彼らがたった一年という異常なまでのスピードでプロトタイプ作成の成功に繋がった『ミッシングリンク』なのか。

 

 そこには、見えない霧があった。

 確かめるために深入りすればするほど詳細が見えないくなる、深い霧が。

 そこに一筋の光明が差したのだ。

 上層部は未確認のニケらしき存在である彼女から『リリーバイスとは違ったアプローチ』を欲している。

 つまり、彼女の肉体─────リリーバイスとは別のブラックボックスを開けることで、『新しいニケの方向性』を探ろうとしている。

 

 そこで、上層部の依頼を聞いた彼─────『ゴッデスの指揮官』がリリーバイスに彼女をスカウトしてくるように頼んだのだ。

 真っ当に考えるならば、貴重なサンプルなのだから前線に出すよりはこのまま研究所に居てもらった方がいいだろう。

 

 だが、今はリリーバイスが『ニケの技術のお手本』になった時とは状況が変わってしまっている。

 彼らはもういない。リリーバイスの時のように、『開発に成功したデータ』を再び彼女─────新しいプロトタイプ疑惑のあるニケから採取するためには、彼女の身体を『開く』必要がある。

 

 つまり、今何もしなければ彼女はサンプルとして死亡する可能性があった。

 そこでゴッデスへの入隊だ。

 

 ゴッデスは人類の希望であり、今最も注目が集まる部隊でもある。

 つまり、彼女がゴッデスとして『人類の希望の象徴』、その一部となれば、仮に三大企業の横槍があったとしても『解析する=死亡する』という構図を防ぐことが可能となる。

 

 無論、データの収集はあるだろうが、ゴッデスの一部を今失うことは士気を大きく下げることに繋がることを上層部は最初のフェアリータイプの一件で知っている。最悪のパターンは避けられるだろう。

 

 そういった思惑もあり、リリーバイスは彼女に会いに行った。

 

 ─────そして、リリーバイスは出逢った。自身と同じ瞳を持つ………彼女に。




 ラプチャー侵攻最初期に居たであろう、一切何も知らない状態で『人類の最新科学兵器の一切が無意味だった怪物達にただの人間を改造して対抗します! 今まで成功例は(表向き)一つもありません! 防衛とかよりこっちにリソース回した方が100%成功するんで、お金めっちゃ下さい!」とか言われた場合の当時の上層部の人たちの心境、(このクッソ忙しい時に何言ってんだコイツら…)になるんじゃないかしら(その後たった一年でリリーバイス開発に成功する科学者達、お前らホント何やった?? というか今まで何やってた?? になるので)
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